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40話 ペアリング祭りの余波(改)

世界中で巻き起こった、第一次奉仕種族派遣によるペアリング祭り。


街に溢れかえった美少女の奉仕種族たちに、普通の男性から中年、

果ては老人に至るまでが翻弄されるという前代未聞の事態は、

瞬く間に世界規模の混乱へと発展した。


各国政府の窓口は苦情の電話で完全に麻痺し、その余波はノア・プレートにも及んでいた。


執務室の巨大モニターには、未読のメール、保留中の通話、

緊急要請のログが滝のように流れ続けている。


その前で、アーシグマ・プライムがパン、と手を叩いた。


「アリスちゃ~ん!みんなカンカンに怒って、苦情が山ほど来てるわよ~!?」


明るい声とは裏腹に、画面の情報量は完全に地獄だった。


ルビーは肩をすくめ、どこか楽しげに言う。


「地球じゃ電話回線がパンクしてるんじゃないかしら? 残念ね、ここじゃ起きないから、

溜まる一方だわ」


「技術がありすぎるってのも、考えものかもねぇ……」


ノワールがソファに沈み込みながら、ぼやくように呟く。


セレスは淡々とモニターを見つめたまま、事実だけを切り取る。


「地球の人たちも、たかだか数億人程度の女の子が来ただけで騒ぎすぎです。

器が小さいですね」


「ほんとそれよ」


ルビーが即座に頷いた。


「あたしたち、五十億人のお転婆娘相手に日常業務回してるのよ? ちょっと大げさすぎるわ」


――次の瞬間。


バンッ、と机を叩く音が執務室に響いた。


「呑気なこと言ってないで、ちゃんと対応してください!!」


アリスだった。


書類の束を抱え、珍しく声を荒げている。


「現場が混乱している以上、こちらが責任を持って調整しないといけないでしょう!」


その言葉で、空気がようやく引き締まった。



その後、ノア・プレートでは各国代表を招いた緊急会議が開かれた。


議題はただ一つ――第一次派遣後の混乱への対策。


長時間に及ぶ協議の末、以下の決定が採択される。


・次回派遣は一旦停止

・派遣人数および名簿作成を必須化

・派遣人数は各国政府と奉仕国家の合意により決定

・未成年との性的接触を伴うペアリングは禁止

・誤っての接触(汗・血液など)は合法

・未成年への派遣は学習補助・生活補助に限定

・第一次派遣組には緊急永住権を付与、重婚も超法規措置として容認

・第二次以降の派遣は各国政府の判断に委ねる


この取り決めによって、ようやく世界は落ち着きを取り戻し始めた。



執務室へ戻ったアーシグマ隊と、アリス、セイラ、マーヤは円卓を囲み、

情報整理を行っていた。


アリスは深いため息をつき、資料に視線を落とす。


「……やっと一段落しましたね。一時はどうなるかと思いました」


セイラは腕を組み、眉をひそめる。


「あいつら……旅立った後まで、派手にやらかしてくれたな」


アリスは口元に小さな笑みを浮かべ、からかうように言う。


「その割には、ちょっと嬉しそうじゃないですか?」


「なっ……!」


セイラは一瞬で顔を赤くし、声を裏返らせた。


「そ、そんなことはないぞ!!」


マーヤは椅子にもたれかかり、のんびりと言う。


「まあまあ。結果的には話まとまったんやし、ええんちゃう?」


だがセイラは納得がいかない様子で、眉を寄せる。


「それにしても……だ。

そもそも、なぜ第一次派遣が、あんな事態になったんだ?」


アリスは資料をめくりながら、首を傾げた。


「そういえば……あの時、感傷に浸っていて流してしまいましたが。

派遣を最初に進めたのは、誰だったんでしょう?」


セイラが鋭い視線を向ける。


「アリス、お前が決裁したんじゃないのか?」


アリスは即座に首を振った。


「いいえ。私は出していません」


ルビーが手を振りながら言う。


「『派遣が決まったから輸送船を用意して』って言ってきたの、アリスちゃんじゃないわよ?」


セレスも淡々と続ける。


「命令系統上、アリスさんの署名は確認されていません」


セイラの表情が険しくなる。


「……じゃあ、誰なんだ?」


アリスは小さく眉をひそめ、恐る恐る口にする。


「まさか……マーヤさん……?」


「ちゃう!!」


マーヤは即座に両手を振った。


「ちゃうちゃう!! 今回はほんまにうちちゃうで!!」


アリスはジト目でマーヤを見る。


「マーヤさんじゃないとしたら……いったい誰が……」


セイラは考え込み、そして、はっと息を呑んだ。


「……マーヤ以上に、はた迷惑な奴……?」


その瞬間――


バタン!!


勢いよく扉が開いた。


「そう!! この僕さ!!」


舞台役者のような身のこなしで、長い金髪を揺らしながらレオナが颯爽と現れる。

その顔は、悪びれないどころか誇らしげですらあった。


執務室の空気が、一瞬で固まる。


アリス、セイラ、マーヤ。


三人は揃って、深いため息をついた。

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