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私はAR開発者 ~私の夢は部屋でお魚を飼うこと~

作者: konoha
掲載日:2025/11/22

 私は高宮 照子。高校2年生です。まだ学生だけど、気分は大人です。


 夢はお部屋で魚を飼うこと。水槽などで飼うというわけではなく、部屋で放し飼いをしたい。小鳥のように。


 大人になった今。それが実現できそうになった。


 拡張現実というものを使うことによって。



 拡張現実とはリアル世界にデジタル情報を重ね合わせることでリアルを拡張するものであり、スマホやグラスで外の景色を画面で覗いたときに、そこに人や物を合成するようなものである。


 通常ARやMRなどと呼ばれる。


 これを利用して、スマホの画面や、ARグラスからお魚を見ることができる。


 ちょうど今は夏休み。なので、私はそのARアプリを作っている。カップを片手にコーヒーを飲みながら。


 今日はお魚さんをモデリングしている。オレンジと白の模様を持つ結構有名な魚だ。


 熱中していると、カーテンを閉めたまま、パソコンで作業していることが多い。今日もちょっと薄暗い部屋で作業している。


 いつの間にか夜になり、私は睡眠をとりにベッドで横になる。


 ……


 ……

 


 んん?


 私の周りをお魚さんが泳いでいる。


 ぐるっぐるっと、3周ほど顔を回り、そして少し離れたところで泳ぎ始めた。


 しばらく眺めていると、お魚さんが仲間を連れて、こちらへ向かってきた。


 あれ? どんどん速くなっているよ。


 ぶつかる!!!



 と思ったところで、目が覚めた。どうやら夢だったみたい。



 さて、今日もお魚さんを作るよ。


 熱帯魚のビデオを見て、お魚さんの動きを勉強する。そして、その動きをパソコンで再現する。


 何度も繰り返して、やっと動きを再現できた。


 さて、これをARの開発キットに取り込んで、ARグラスを掛けてみた。


「わぁ~。すごい。お魚さんが私の部屋を泳いでいる!」


 一人なのに、つい口に出してしまった。それぐらい嬉しかった。


「うんうん。よく泳いでいるね」


 しばらく眺めていると、ちょっとおかしなことに気がついた。


 お魚さんが部屋の物、例えば机などをすり抜けてしまうのだ。


 開発キットのマニュアルを読んでみると、コリジョンの設定をしないといけないみたい。


 つまり、オブジェクト同士の衝突の判定ね。



 というわけで、いろいろとやってみた。試行錯誤の末、なんとかすり抜けないようにできた。



「うーん。お魚さんだけだと物足りないね」


 ついつい。愚痴がでてしまった。


 横にあった、熱帯魚の雑誌を見てみる。


 ……


 んん?


「そうだ。水草が足りないんだ。やっぱりこれがないとね」


 ただ、お魚さんは室内を泳いでいるし、水草じゃなくて、普通の部屋にある観賞用の植物でもいいかな。


 というわけで、観賞植物の雑誌を見てみる。



「これがよさそう」


 私の好みかつ、モデリングがしやすそうなのを選んでみた。


、数時間の格闘の末、観賞用の植物ができた。


 それを設置をし、再びARグラスを掛ける。


 しばらく、お魚さんは同じ場所を泳いでいたけど、観賞用の植物に気がついたのか、そこへ向かい、周りをぐるぐると泳いだ。


「物に反応するのは良いねぇ」


 でも、せっかくのARなんだから、もっと他の物も入れてみたい。しかし、何が良いかな。


 追加したいものが思い浮かばなかったが、ちょっと疲れたのでテレビの電源を入れてみた。


 ごろっと寝っ転がってテレビを観ていると、童話のアニメが始まった。


 観ていると、小人たちが登場した。とことこと歩いている様子が可愛らしい。


 !!!


「ARに小人を登場させたい!」


 そう独り言をつぶやきながら、私はすでにパソコンに向かっていた。


 小人を可愛らしく、モデリング。そして頭巾をかぶらせる。


 姿はできたが、これを動かすのが大変そうだ。テレビでアニメなどを観ながら、動きを研究する。


 歩くモーション。走るモーション。なんとか作ることができた。



「うーん。でも、それだけじゃものたりないなぁ」


 座ったり、ジャンプしたり。あと、物や人を引っ張るモーションも欲しいかな。


 またまたテレビの映像を資料にして研究する。時には自身が座ったり、飛び跳ねたり。物を引っ張ったりする。人に見られたらちょっと恥ずかしいけど、幸い誰も部屋へ入ってこなかった。


 そして、何日かかけて、ようやく完成。ただ、これはCGソフトで作っただけだから、まだ実際にARで動くかは不明の段階だ。


 開発キットに取り込んで、とりあえずパソコンのモニターで試験的に表示する。



「うん。ちゃんと画面に出てきたね」


 ちょっと安心したけど、なんだか動く様子がない。どうしたんだろう。


「ひょっとして、ARグラス内じゃないとうまく動かないのかも」


 そう言いながら、ARグラスを掛ける。


 ……


「うーん。グラス内でも動かない。どうしてだろう」


 その後、いろいろやってみたのだけど、動かなかった。


 動かないと、動くまでいろいろとやってみないと気が済まないのだけど、ちょっと友達と会う約束を思い出したので中断した。



 頭の中がもやもやとしたまま、近所の喫茶店へ向かう。


 外は青空で、空気も綺麗な感じだ。太陽の光で眩しく感じる。歩行にちょっと影響が出るぐらいだ。


 そう思いつつも、すでに喫茶店の前まで来た。外から店の窓を見ると友人の座っている姿が見える。



 カラン……


「いらっしゃい」


 マスターの声が聞こえる。


「こっちだよ~」


 と同時に、友達の声も聞こえた。


 私の顔色を見るなり、こう言った。


「まだ、部屋でパソコンで何か作っているの? もうちょっと日を浴びないとダメだよ」


 友達が心配している。まったくもってその通りであるのだけど、一度作り始めたものはなかなか中断できない。この心境は作っている者にしかわからないよ。


 お茶とお菓子で他愛のない会話をして、喫茶店を出た。


 友達と別れて、自宅へ戻り、再びパソコンへ向かった。


 いろいろと試したが、結局その日は小人さんは動かなかった。



 翌日。


 目が覚めて時計を見ると、まだ5時だった。解決しない問題があると、早起きになるようだ。


 朝食の前に、まずはパソコンの前に座って作業だ。


 マウスを動かしたり、キーボードをカタカタと叩いて作業をする。


 すぐに結果がわかるように、ARグラスを掛けながら作業をしているけど、小人さんは動かない。



 (もうちょっと日を浴びないとダメだよ)


 突然、昨日の友達の言葉が脳裏に響いた。


 そういえば、今までずっとカーテンを閉じたままだったね。


 私はサッと、カーテンを開けた。


 開けたと当時に、強い日の光が入ってきた。


「まだ朝早いのに、なかなか強烈だね」


 ARグラスを掛けたままでも、その強さがわかった。



「さて、作業を続けるかな」


 そう思って、ARグラスから周りをよく見渡すと、止まっていたはずの小人が軽快に動いていた。


「小人さんも明るい所じゃないと、動けなかったのかな」


 開発キットのバグかもしれないけど、私はそう思うことにした。


 細かいところはまだ修正しないといけないけど、私の長年の夢がかなったようです。





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