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プロローグ
理を超える力_______異能
今から約5000年前に突如として現れた【異世界の旅人】がもっていた力。
その血を受け継ぐ者は、その力を扱えた。
これは、【異世界の旅人】の血を色濃く受け継ぐ「令条家」に生まれおちた、1人の少女の物語。
私・令条奈乃羽の目に、光は決して映らない。そう、私は生まれながらにして、盲目だった。
異能には、盲目を治す力がある。だが、【漆黒】術者で、なおかつ【完全治癒】の力を扱える者がいなければ、治らないだろう。【漆黒】術者は100年に1度現れるかどうかという希少な術者で、しかも【完全治癒】など今まででたった1人しか現れた例がないというかなり希少な力であった。
つまり、絶望的なのだ。私の目を見えるようにすることなど。
私が盲目であっても優しく育ててくれたお母様、お父様の顔を見てみたい、美しい景色を眺めていたい。
そんなことをどれだけ願っても、現実とは残酷だった。
お読みくださり、ありがとうございました。