全く思考が追い付かないぜ
部屋の明かるさからして普段より早い時間だな、多分
それならもう少しころがっておこう、そう思った俺の鼻を貫くとんでもない悪臭、反射で鼻をつまみ、そのままベットから転がり落ち、起き上がる周りを見る
ベットの反対側には・・・左からベランダとかについてるあのでかい窓と小さいテレビ、小さいテーブル、棚の上に置かれた炊飯器、少し小さめの冷蔵庫、ごみ箱とキッチン、どれもこれまでと違いない、異常なし、つまり、つまり!おれの後ろ、ベッドかクローゼットにこの悪臭の正体があるという最悪な展開だ
心を決めるためにと深呼吸とかいう自殺を寸前で止め、心を決めて後ろを向く
そこにいたのは、ぼさぼさの金髪、綺麗な碧眼、頬から後ろ側に伸びる傷のある幼い顔の貧乳の高校生くらいの女の子が、上下どちらも穴の開いた麻袋の上側に黒い紐2本のついた奴隷の服のようなものをつけた、かわいい、がとてつもなく臭く汚い女の子が今ちょうど起き上がり、目をこすっている
「だれ?あなた」
首をかしげる少女の後ろの小さい窓から光が刺しとてもうつく・・・いや臭いせいでなんも感じねえ、少し汗臭かったりとかは好きだが、これは少しとかそんなレベルじゃない、というか汗じゃなくて下水とかのにおいがするし
「まずお前風呂入れ、めっちゃ臭い、話はそれからだ」
そうお風呂場を指していうと恥ずかしそうに頬を赤らめ、少し落ち込んだような顔をしてベットから降りお風呂場に向かう
いったん換気をしようと立ち上がると今まで聞いたことのない言葉が飛んできた
「あの、このなんかよくわからない、柔らかい筒のようなものがついてるものってどうやって使うんですか?」
シャワーを知らない?おいおい嘘だろ、どんだけ多変な環境で生きてきたんだよ、さっき臭いとか いったのが申し訳なくなるじゃん、あとでちゃんと謝ろう
「その筒の先に取ってがついてるやつあるだろ?それを上のほうに回してくれ、そしたら・・・」
「きゃっ、冷たい」
「少ししたらお湯が出てて来る、それまではよけとけ」
「はい、ありがとうございます、ああ、あったかい」
ホッと息をついたタイミングで気づいた、自分の口から鼻にかけてあの悪臭が広がっていることに
トイレに走り思いっきり吐く
はやく換気をしよう
ああーー、やっとまともに息ができる、幸せだ、ああこれがきれいな空気か
そうきれいな空気を感じて楽しんでいるとお風呂場から声が聞こえる
「すみません、服はどおしたらいいのでしょうか、さっきの奴ですか?」
う~ん、でかいだろうが俺のを貸すか・・・いや待てよあがるの早くね
「なあ、お風呂場の右側にあった入れものの中のもの使った?」
「いえ、濡れたタオルで少しこすったくらいですが」
やっぱりか~
「お風呂場右側の入れ物の中には液体が入ってるからそれを使って洗って、一番右奥の奴が髪を洗うやつ、その隣が髪を良くするやつ、その隣が顔を洗うやつ、その隣が体を洗うやつだ、特に髪と体を洗うやつは何度も使って洗い流してくれ」
「はい、大体わかりました、ありがとうございます」
そのあとは毛布やベットのシーツを洗濯して、毛布とベットにはいったん芳香剤をかけて、着ている服にもにおいがついてるなめんどいし捨てて着替えよ、もともともうすぐ捨てようと思ってたし
ということで今までつけていた「おはよう」とだけ書かれたTシャツを捨て「Oね」と書かれたTシャツをつける黒髪フツメン、169㎝、60㎏のどこにでもいる男子に変身
衣装棚のほうは大丈夫だな、じゃあてきとうな部屋着取って脱衣所に置いとくか
入って大丈夫、なのか?
とりあえずノックしよう コンコンコン
「着替え置くから入るぞ」
「はい、ありがとうございます」
それを聞いてから脱衣所に入ると少し蒸された飛んでもないにおいが充満していた
・・・・・・・・・はっ、あまりのやばさに意識が飛んでいた?
てかなんでこんな・・・に・・・
目に映る、あの少女がつけていた服が
あれがにおいの根源か、うーーん・・・さすがのおれもあれのにおいをかぐ勇気は出ないな
「なあこの、さっき君が来ていた服、そのすまないが・・・えっと」
とこちらがどう言うか悩んでいると少女が言う
「ああ、それはぜんぜん捨ててもらって大丈夫ですよ」
そうとてもあっさりと、悩んでいたこちらが馬鹿らしくなるほどあっさりと
「じゃあ着替え置いとくよ」
「はい、ありがとうございます」
そして少女が来ていたやばい服をつまみ脱衣所を出る
とりあえず袋五枚ほど重ねてそして・・・うーんどうする?・・・今日ちょうど燃えるごみの日だしごみ袋に入れて出しにいこ、考えるのめんどい、多分大丈夫だろ少なくとも分別はこれで大丈夫だし
とゴミ出しにいっている間に少女が、右肩が出てしまうほどぶかぶかの、真ん中にYと書かれた少し汗がつきぬれている白いTシャツに、折り曲げないといけないほどサイズの合わない灰色のズボン、濡れた長い髪をたらし、頬と額に汗と水滴をつたわせテーブルの前で正座している、その姿は思春期のしかも童貞の男子には刺激が強すぎた
かかか、かわいい、しかもエロい!なんだこいつ、本当に今日朝見たやつと同じ人間か?一体どうやって話しかけたらいいんだ?とりあえずてきとうに話かけよう
「もう上がっていたんだな」
動揺を全然見せずにそう話しかけると、少女がこちらを見ていきなり土下座をしてきた
????????????????????
待て待て待て待て、いったいどういう状況だ、どういう状況なんだ?何が起こってる?美少女がいきなり土下座してきた・・・いやどういう状況なんだよ、どういう状況なんだよ、待て待て待て待て、いったん落ち着くんだ俺、いや落ち着けるか!
保志 始 (ほし はじめ)の混乱が落ち着く前に少女が口を開く
「この度は身分の高いお方と気づかず、無礼な真似をしてしまい申訳ございませんでした、どうか、どうか命だけはお助けください、なんでもしますから!」
おれは今、宇宙を感じているそんな気がする
ふうーー、はあーー
心の中で深呼吸をして、そして頭を空っぽにして言う
「顔を上げてくれ、僕は身分の高い人間なんかじゃないよ、きっと何か誤解をしているんだよ、まずは状況を整理しよう」
状況を整理した、ここに来た経緯も聞いたでも、でも!まったくわからん
何?どういうこと?そこそこでかい国の騎士の家庭の長女で、才能がないのに親に無理やり騎士にさせられ、騎士団に入ったらコネで隊長になったけど才能がないおかげで前線に行かずに済んでたのにどんどん戦線が後退していった結果、戦うことになったけど怖くて白旗上げて降伏した結果捕虜になってはじめは肉体労働させられたけど体力も筋力もごみのせいで使えないと判断され結果魔法の実験に使われ、無事?魔法成功でこの世界に転移してきた、あとその世界には超能力とかもあるらしいあと名前はリリリ・アリーゼ
そしてここにあるものを見て高貴な人だと勘違いしてああなったらしい
よし、深く考えるのはやめよう、そのまま受け取ろう、うん、きっとそれが一番なんだうんうん
「まあ、とりあえずこれからよろしく、リリ」
そういって手を伸ばすとリリが手を握り
「うん、よろしく始」と返す