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3.術後3日目から5日目まで

※ほぼトイレの話しかしていませんのでご注意ください。

一晩寝て起きると、明らかに前夜より痛みが減っていました。

人間の身体って本当にすごい。寝るたびに回復を実感できます。


手の甲に刺さった輸血用の針を抜かれ、痛み止めも錠剤飲めるようになったので腕に刺さった点滴用の針を抜かれ、身体に付属するものが全てなくなりまさに絶好調。

家族あてのLINEを振り返ると、浮かれポンチなスタンプが乱れ飛んでいます。


寝返りのコツも会得し、腰や背中の痛みが少しマシになりました。

ここで調子に乗ったせいか、今度は咳が出始めました。


自律神経がめちゃくちゃなのか急に汗だくになるほど暑くなったり、かと思えば震えるほど寒くなったりで風邪を引いたのか、あるいは手術中の呼吸ルート確保用に喉に管を通していたらしいので、その時に多少傷がついたのか。

とにかくチクチクした痛みと痰が絡み始め、否が応にも咳が出る。

咳が出ると傷口開くんじゃないかと不安になるくらいの激痛が。


病室が乾燥していた場合を想定して持ってきた龍角散のど飴がここにきて輝きました。

最近の病院て湿度管理しっかりしているようでそれまでまったく出番がなかったんですけど、そこから退院まで、ご飯食べる時と寝る時以外ほぼずっと舐めてました。

龍角散くんがいなかったらその日で心が折れていたことでしょう。


咳さえ乗り切ればもう余裕。

腹筋に力を入れなければ傷口の痛みもほとんど感じることなく、痛み止めも最小限。

一日一回様子見に来るノンデリ先生にも「このままの調子なら退院早められそうですね」とお墨付きをもらいました。

こりゃあ退院日早まっちゃううのでは?入院費多少浮くのでは?とかなり楽観的になっておりました。


この時点で術後三日目。

相変わらずお通じはないままでした。

さすがにちょっとお腹が苦しくなってきたので、看護師さんに勧められるままとうとう弱めの下剤に手を出すことに。

強めの下剤も処方してくれたらしいのですが、そっちはもらえるまで時間がかかるとのことで翌日に。

寝る前に処方された「センナ」という腸の動きを活発にする漢方薬を飲み就寝。


翌日、さらに回復を実感した状態で目覚め、ベッドから起き上がるのもだいぶ上手くなってきたと自信がついてきて。

看護師さんに「退院日を早めたい」と申告し、快諾されました。


この頃には看護師さんが病室に来る回数がぐっと減り、ようやくゆっくり過ごせる感じになったのですが、寝る前にセンナを飲んだせいか、腸が動く動く。

何度もトイレに駆け込んではお腹に力を入れられず、なんの成果も得られないままベッドに戻る、の繰り返し。


一向にスッキリしないまま、腸だけが元気いっぱいです。

もはや傷口の痛みより便秘による痛みの方が強く、食事の時にベッドを起こして座ることすら苦痛というありさま。


ロクに朝食を食べられないまま、少しでも腹の痛みを逃がすためベッドに横たわり深呼吸。

しているところに、爆音で警報が鳴り響き心臓が縮み上がり腹筋に激痛が走りました。

泣きそうになりながら放送の内容を聞いていたら、どうやら訓練放送とのこと。

そんなんあるなら朝の検温の時教えてや…絶対この警報で具合悪くする患者さんいっぱいいるでしょ…。


訓練放送のあとにも看護師さん来たんですが、放送のことには一切触れず。

あーびっくりした、お腹いた、とか思いながら半分も食べられない昼食を涙ながらに見送って、うとうとし始めた頃。

再び爆音で警報が鳴り響き、驚きのあまり腹筋を痛めました。確実にダメージ負ってます。

朝の警報は災害のお知らせで、昼の警報は災害後に収容された怪我人のお知らせ、という感じで物語がちゃんとあるようでした。

こりゃ夜にもう一回警報くるな、次は絶対に驚かないぞ、とずっと気を張っていたのですが、その二時間後くらいに普通に「訓練終了です」って放送だけで終わりました。肩透かしもいいところです。


その間もどんどん腹痛が増していき、これはもう覚悟を決めるしかないとトイレに向かい、腹を裂く覚悟で便器に腰を下ろしました。

両足でしっかり床を踏みしめ、腹帯の上から傷口にそっと手を添え、大きく深呼吸。

全力を振り絞り、汗だくになりながら激痛に耐え、出るまでは絶対にここを出ないぞと誓い闘志を燃やします。

エイリアンが腹を食い破るシーンを脳内で無限リピートしながら十分以上に及ぶ激闘の末、ようやく目的を達成して、私は燃え尽きました。

トイレの壁に凭れ掛かったまましばらくそこから動けませんでした。


ようやく気力が回復し、なんとかトイレから出て倒れ込むようにベッドへ。

ごく少量でしたがお腹の痛みは少しマシになりました。

そのタイミングでようやく強めの下剤がもらえて、ふふ、少し遅かったようだな、とか思いつつもありがたく飲ませていただきました。便秘怖い。

でもこれを機に明日からはちゃんと出るようになるだろう。

そんな希望を胸に眠りにつきました。

あまりにも甘い考えでした。


術後五日目。

下剤のおかげで明け方から活発化する腸。

しかし眠気を堪えて何度トイレに行っても出ない。水分をとっても出ない。お腹は痛みを増していくばかり。

あまりに痛くてベッドの背を起こして座っていることもできず、朝食はほぼあおむけに近い状態で食べることに。

術後一日目に逆戻り状態です。

午前中はほぼトイレとベッドの往復のみ。

そして次に訪れたのは膀胱の傷みでした。

ずっと尿意はあるのになぜか出ないんですよね。


ふと気づけば昨夜下剤を飲んでからずっと、あんなに順調だった排尿が途絶えている…。

おそらく腸がギチギチに詰まっているせいで膀胱が圧迫され、果ては尿道までせき止めている状態なのではないかと予測。

不安になり看護師さんに異常を訴えるも、様子見で排尿量を調べるように言われ、検尿で使う尿カップを渡されるのみ。

出ないと言っているのに量を量れとは????となりましたが、結果的にこれがよかった。


量れと言われた以上は出さなくてはとなぜかプレッシャーを感じ、必死で絞り出す努力をしました。

ほんの少しずつ出すのを数時間繰り返したのち、膀胱の空き容量に少し余裕ができたのか、徐々に普通に出るようになっていきました。

そして時間をかけて膀胱が空になり、腸の位置がまたズレて刺激になったのか、とうとうお通じも…!


この日は結局一日中ロクに食事も摂れず、ずっとトイレとお友達状態でした。

お腹の痛み的には術後二日目といい勝負です。

せっかく退院予定早めてもらったのにこのままじゃ退院できなくなる!と不安になるくらい痛かったです。痛すぎてその日はリハビリで歩くということが一切できませんでした。ただトイレとベッドの往復回数多すぎて、それだけでまあまあの歩数いっていました。


下剤は経口で錠剤を飲める状態になったらすぐ処方してもらうべきです。

手術内容も痛み方も個人差あると思いますが、これだけは絶対です。

今回の入院経験で、これだけでも周知していきたいです。

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