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クラスS冒険者なんて辞めてやる! ~やりなおしの元世界最高位冒険者の異色冒険譚~  作者: GIYANA
冒険者として生きることは夢ではなく現実であること
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第89話:おまけ:第二次温泉補完計画・序


 ここはギルド、ジョー・ギリアン。


 今日は臨時休業、中ではシダのメンバーとホヴァン、そして俺がいた。


 現在秘密会議中、議長たるテドン(商会長)さんが最後に俺にこう言った。


「さて、最後になるが、ギリアンさん」


「なんでしょう?」


「今回のクエストのランクをつけてくれないか?」


 俺はニヤリと笑うとこう発言する。



「文句なしにクラスSクエストと認定しましょう」



「ふっ、よかろう、聞いたな皆の衆」


「「「「「おう!!」」」」」


 呼応に応えて商会長さんが立ちあがり宣言する。



「それでは、第二次温泉補完計画をここに実行する!!」



「「「「「うおおお!!!」」」」」


 その宣言に沸き立つ俺達。



 時は1週間ほどさかのぼる。





「採取クエストですか? いいですよ~」


「ええ!!??」


 場所はギルド・ジョーギリアン。


 びっくりしているのはテドンさん。


 ルアがギルドに来るという報を受けてたシダは、先日の温泉地近くの採取クエストをダメもとで誘ってみたところまさかのオーケーだったのだ。


「い、いいのかい?」


「はい、ただ私のヒュレンへの実績にしたいので、ちょっと待ってくださいね~っとこれこれ、このヒュレン既定の書類にクラン長さんである商会長さんとギルドマスターであるギリアンさんの連名サインをして欲しいのですが」


「も、もちろんだ、なあギリアンさん」


「あ、ああ、俺も構わないけど」


 さらさらと手渡された用紙にサインをする俺と商会長さん。


「ありがとうございます、私のスケジュールはギリアンさんに預けていますので、それで日程調整をお願いします。報酬等については、次の打ち合わせの時に。今日はこれからクランの方のクエストの打ち合わせがありますので」


 と言いながら相変わらずテキパキと用事を済ませて帰っていった。


「充実してるって感じだなぁ」


 思えば俺もアマテラスのメンバーが揃ったクラスC時代が一番楽しかったなぁ。


 ちなみに現在ルアは、こんな感じでギルドの二足の草鞋を履いているというか、今回はなんと公共クエストをやりに来たのだ。


 公共クエストは実績としては認められないはずなのにと聞いたところ、こんな返しをされた。



――「ギリアンさん、冒険課の課長さんと懇意にしているじゃないですか。引き続き「小回り」を利かせてもらう為に、定期的に顔を出しておく必要があるんです」



 だそうだ。


 懇意って、まあ俺からすると食いつないでいく上でなんとなく仲良しになった感じなんだけど。


 本当に色々と気を配るものだなぁ。


「あの子は凄いな」


 とはテドンさん。


「テドンさんも思うんですが」


「もちろんだ、優秀と有能を両方兼ね備えている人材は稀有だ。ま、その形は人ぞれぞれだがね、我々は「地元密着」というところに強みを見出しているからな、さてと」


 と商会長さんはニヤリと笑う。



「なればギリアンさん、他のメンバーを呼び第二次温泉補完計画をすすめよう、悪だくみここでやっても構わないか?( ̄ー ̄)ニヤリ」



「もちろん( ̄ー ̄)ニヤリ」



――そんなこんなで全員集合



「さて、まずは、真面目な方からやらないとな」


 真面目な方。


 先述したとおり、このクランは「道楽と冒険ビジネスの両立」を主眼として置いている。


 例えば「冒険雑貨屋で回復薬が欲しい、よって材料の採取を依頼したい」となった場合に、今まではギルドに依頼していたのだが、それを自己完結で出来ないかというものだ。


 尚クエストのメンバーとしては、ホヴァンも人数に加えられている。何気に商会長さんはホヴァンを買っているそう。


 さて、このビジネスの第一弾としてはクランの初級レベルのデバフ・バフ魔法使いであり冒険者雑貨屋を経営しているサラットさんが主役となる。


 冒険者雑貨屋。


 俺もホヴァンも含めた全てのゼカナ都市冒険者の御用達の店、より良い品をより安くで繁盛している店だ。


 以前にルアと一泊二日の道程で使った寝袋や簡易食料は全部そこで買ったものなのだ。


 繰り返すとおり各種魔法使いは稀少だ、1人もいないクランの方が圧倒的に多い。


 だからそれを補うのが雑貨屋なのだ。


 ただの雑貨と侮るなかれ、技術は日々進歩し、質も大分向上してきたのだ。


 んで、今回は、まずは一番の売れ筋である基本中の基本、回復薬、ポーションを自己完結できないかを検討してみたのだ。


 ポーション。


 説明不要で回復薬として認知されているのだからゲームは偉大なり、効果は怪我及び毒の治療。


 怪我及び毒による影響。


 それこそゲームではHPが1でもあれば精々ステータス画面の色が変わるだけでパフォーマンスが落ちることなく動けるが、実際はそうはいかない。


 負傷も骨折みたいな重傷ではなくても、捻挫だって致命的にあることがあるし、毒を持った植物や動物だって普遍的に存在する。


 例えば小さな毛虫だって刺されれば体中に発疹が出たり熱が出たりするのだ。


 もちろんポーションは軽傷前提だが、その治療に使えるポーションの存在は必須だ。


 結論として両立可能だと判断、改めてサラット(雑貨屋)さんがポーションのレシピを広げる。


「この目的地の周囲で一通り揃う、ただ魔物こそクラスEが上限だが、とにかく数が多い。ギリアンさん、道程はどれぐらいかかる?」


「我々7人が挑むのなら前日入りして、一日クエストに使いたいというのが本音です」


「ふむとなると」


 とサラットさんが色々と経費を計算している。


 経費。


 何かをするにあたりお金がかかるのは当然だ。


 今回の冒険の経費をざっくりと計算するだけでも、


 人件費・俺・ホヴァン・ルア

 宿代・全員で7人分

 道程・温泉宿を拠点に当該場所への交通費及び簡易食料代


がかかる。


 もちろんこれは簡単な一例だ。


 報酬査定方法も色々とある、インセンティブやら何やらもあるし、道中にトラブルがあったり、戦闘は避けられないのなら、戦闘に必要な物資及び必要と想定される物資等の経費、荷物の持ち運び方法、どの程度採取すれば黒字が達成できるか、報酬の分配、報酬の渡す方法、副報酬についてどうするかと、語り始めると細かくキリがないので機会があったら述べるとして。


 これを見れば俺とルアが結んだ契約が滅茶苦茶単純化しているのかがわかるだろう。


 その試算書を全員で読むとテドンさんが声をかけてきた。


「ギリアンさん、クエストの難易度認定はいつになるか、後はどれぐらいになりそうかい?」


「世界ギルドの支部の審査申請して、一日あれば結果が戻ってきますね、ランクはおそらく宿泊道程を見込んで上でのEだと思います」


 当たり前の話だがギルドにクエストのランク認定及び報酬認定はさせない。例えば脅しをかけて不当に安くしたり高くしたりとかの不正を防ぐためだ。


「わかった、サラット、今回の冒険についての宿泊費以外の経費報告書を頼む」


「ああ、数日待ってくれ」


「後、ギリアンさん」


「なんでしょう」


「ギリアンさんには荷物持ちに専念してほしい、前衛はおそらくルアちゃんとホヴァンさんでなんとかなる、ギリアンさんは帰りに備えて中衛で休憩に専念してほしい」


「わかりました」


 そう、ホヴァンは器用なタイプじゃないから前衛に専念、俺がポーター(荷物持ち)を兼ねる予定だ。


 ポーター。


 少し解説しておこう、ポーターは中衛職に分類されるが冒険には重要な役割を果たす。


 例えばだ、武器防具をもって魔物燃やすための魔石やら、はぎ取った素材やら、食料やら何やら全部持って歩くことを想像してほしい。


 疲労困憊状態で魔物が出現した時どうなるかは語るまでもない。


「いや、それにしても」


 サラットさんが感心する視線の先に、、。



 いつもの2メートル四方のリュックがあった。



「これは良い物だ、丈夫でたくさん入る、だが相当な重さになる。ギリアンさんには帰りの体力を残しておかなければならないからな」


 そう、このリュック、色々と役に立つんだよなぁ。


 公共クエストでも例えばルアとやったゴブリン100体のコアとか燃やすための魔石とか、武器も防具も雑貨もなんでも入る。


 最初は「男だから荷物持ち」なんて無茶苦茶な理屈で当てつけようにクォイラが用意した不自然にデカい奴だったが、これほど役に立つとは思わなかった、人生万事塞翁が馬ってな。


 実はテドンさんは、俺、ここでいうギリアンの「ポーター」としての腕前が何気に評価されてきてんだよな。


 ちなみにポーターも一流ともなるとナビもこなすようになり、ゴルフのキャディみたいな立位置だ、これでクラスAの冒険者もいる。


 臨時で一緒に冒険した事があるが、凄かったなぁ。


 と考えているとサラット(冒険雑貨屋)さんが話しかけてくる


「それにしてもギリアンさんのリュックは、何処で作っていて何処で売ってるんだい? 値が張りそうだが、小さいサイズなら売れるかもれん」


「……さあ、貰い物なので、ちょっと」


「そうか、それは残念、それと馬車はどうする?」


 ここでシプラー(料理屋)さんが手を上げる。


「馬車は、今度食料運搬用で使っていた馬車を新調してな、古くなって使わなくなったのがあるからそれを使おう。ボロイがまだまだ丈夫だ。ただ運搬用だから御者台以外人が乗れる仕様じゃないが」


 とここで手を上げるのがキキイド(不動産屋)さんだ。


「改良工事については業者に伝手がある、割安でやってくれるぞ、馬はどうする?」


「馬についてはリースの方がいいだろう、御者台には交代でいけば」


 と色々と話し合う。


 うんうん、まあ、こうやって色々やるのが楽しいんだよなぁ。


 久しぶりに、アマテラスで自由に冒険したくなってきた。



 そして真面目な計画から、、、。



「さてと、皆の衆……」




「男の浪漫を始めようか(ドヤァ)」




 の言葉の元、第二次温泉補完計画が発動する。




 風呂上がりの女、ウヒヒ。




 とキャピキャピしている俺達。




 今回はとってもいい旅になりそうだなぁ。




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