表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスS冒険者なんて辞めてやる! ~やりなおしの元世界最高位冒険者の異色冒険譚~  作者: GIYANA
冒険者として生きることは夢ではなく現実であること
88/99

第88話:新しい旅たちへ



 キコ王国は、古代遺跡が有名、王国建国以前に存在した複数の遺跡は、その成り立ちから滅びまで一切の謎に包まれている。


 古代遺跡に興味があるルアは観光目的で入国、古代ロマンに想いを馳せながら遺跡巡りを楽しんでいた時だった。


――「ちょっといいかい?」


 そんな声をかけられて振り向いた先に立っていた人物を見て、ルアは立ち尽くしてしまった。


(うわぁ、綺麗な人……)


 身長は190センチぐらい、空の色の蒼髪が地面につきそうなぐらい長く髪と同じ色の瞳をした美女、そこらのモデルが裸足で逃げ出しそうなプロポーションは、怖い魅力を引き出していた。


「…………」


 見惚れてしているルアに彼女はくすっと笑うと。


――「突然で怖がらせてしまったかな、1人で寂しかったものでね、どうやら私と同じ外国人観光客のようだから一緒に回りたいと思ったんだよ」


 と声をかけられルアは二つ返事で了承「今思えばナンパされて、引っかかったんですかね~」と言いながら続ける。


 その後、2人で色々な所を観光したものの、ルアは遺跡よりも彼女の神ががった美貌に見惚れ過ぎてどこを見て回ったか全然覚えていなかったそう、自分たちの周りの観光客も男女関係なく注目を集め、何故か連れの自分が誇らしいと思ってしまうぐらい。


 まるで初恋の人と歩くような感じで、終始浮かれていたそうだ。


 その道中で話の中で名前を聞いたけど、聞いたことがないような言語でよく覚えられなかったそうだ。


 そんなデートの中、少しお腹が減ったと2人で食事をしている時に、突然その声は響いた。



「現時刻より、緊急非常事態宣言を発令する! 我々の指示に従え!!」



 怒声に似た口調、気が付いたら王国軍の小隊が武器を持ち、辺りを警戒していた。


「キコ王国民は自宅で待機! 観光客はそれぞれの国の領事館に行け! 領事館の無い国の者は公民館へ行け! 質問は受け付けない!!」


 と一方的に告げて、戸惑う国民たちを「散れ散れ!」と一方的に追い立てている。


 一見して一方的で横暴に見えるが……。



 顔面蒼白な軍人の必死な様子に、徐々にただ事ではないことを察する。



「…………」


 会話も忘れて雰囲気に飲まれていたが。


(え?)


 ふと、視線を彼女に移すと、、、。



 何故か、目の前の彼女は嬉しそうな表情をしていた。



 どうしたのと話しかけようとした時だった。


「大丈夫?」


 といきなり男2人組が話しかけてきたことで遮られる。


「横暴だよね~、俺達ああいうの許せなくてさ」

「女の子2人だと不安でしょ?」


「…………」


 ルアは呆気にとられる、明らかに下心丸見えの男達だった。


 こんな時にと言い返そうとした時だった。


「悪いが君たちは、こう、はっきり言ってしまえば不味そうだな」


 と返したのは彼女だった。


 それを「乗ってくれた」と解釈したのか彼女に肩に手を回す。


「絶対に美味いって、なんなら食べてみなよ!」


 という言葉に、彼女はふむと頷くと。


「そうか、なら言葉に甘えるとしよう」



 という言葉と共に、男2人は上下から潰れて「線」になったと思ったら、それぞれ一口サイズの立方体となり、彼女の掌にコロンと転がる。



 その女はポイっとそれを口の中に放り込む。


「……ほう、これは意外、不味いと思ったのだが、存外に美味だな。いや、先ほどの発言は取り消そう、いい男だったのか」


「…………」


 目の前で起きた出来事。


 ルアは特に何も感じないことに自分でも不思議だった、いや、どんな感情を持っていけばいいのかわからなかったのが正しいのか。


 ただ、何となく人知を超えた存在なんだなぁとぼんやりと考えていたから、ああ、やっぱりそうだったんだなぁと他人事のように思っていた。


「さて、あの様子を見ると軍も把握したようだし、おそらく冒険者が来るだろう。いや、1人興味がある冒険者がいてね、そいつが派遣されてくることを願おう」


 とすっと立ち上がる、相変わらず高身長に神がかった美貌に見とれてしまう、二人死んで食べられている姿を目の前で見たくせに、随分とのんきだなと思ったそうだ。


「じゃあね、ルア、また会う事があるかは分からないが、楽しかったよ」


 と軽く握手をして、ほんの少しだけ気を逸らした瞬間。



 既に彼女はいなかった。





 その後、観光客である自分は、軍にルザアット公国の領事館へ強制連行後、押し込められてしまった。


 そこで初めて、領事館職員よりドラゴンの襲来が告げられ、更に軍と同じような顔面蒼白な職員は告げる。




――そのドラゴンは個体名αである可能性が高い




 α。



 人類は歴史上、何度もドラゴンの襲来を受け蹂躙されてきた。


 その中でαは特殊、いや「異常行動」と表現すればいいのか。


 αは魔族を率いて人類に攻めてきて、わずか1年で当時の国家を全て滅ぼして、全人類を家畜の立場にまで落とした。


 その際、αが魔族に出した指示は一つ。


――「何をしてもいいが人類が自分が定めた一定数以下にならないようにすること」


 それのみで、本人は食料としての人類を捕食するのみで、観察だけしていたらしい。


 彼女の統治とも呼べないような統治は200年続いた。


 その間の出来事は、当時の人類が後世の為と命がけで残した書物のみで伝えられるだけだが、家畜としての人類史の記録は凄惨極まるものだった。


 そんな統治は彼女の「まあ、満足したかな」という言葉と共に魔族を率いて姿を消すことで突然の終わりを告げる。


 だが当然魔族にとっては天国をいきなり奪われる形で、反乱に近い反発があったそうだが、αは反発した魔族全員を問答無用で粛清し、人類は解放される。


 解放された人類は喜んだのもつかの間、再び領土をめぐって戦争が発生し群雄割拠の戦国時代に突入する。


 結果、家畜としての200年の歴史は、皮肉にもドラゴン対策の為に国力をより増強させ人類は強くなることが出来、魔族にも対抗できるようになった。


 だが、その対抗できる力は未だドラゴンに遠く及ばない現実を突きつけられている。


「…………」


 その時の領事館内はパニックになることもなく、不自然なほどに静まり返っていたそうだ。


 歴史書でのみ伝えられていたα。


 それが来襲したという現実感がない。


(多分、あの女の人の事だろうな)


 ルアは領事館職員の説明を聞いて、確証はないけど何故か確信があった。


 思えば、あの男達がナンパしてこなかったら、自分はどうなっていたんだろう。


 ドラゴンは人間が好物であることは知っている。そして食というのは何も食べるだけではない、見た目も楽しむものだ。


 私に声をかけてきたのは、私が美味しそうに見えて、まずは見て楽しんだのかもしれない。



 そんな折、ルザアット公国よりアマテラスの派遣が告げられる。



 アマテラス。知っている、現在セシルに続く公国ナンバー2の称される冒険者であるカグツチ・ミナトが率いるクランで、数は4人と少数だが全員が一騎当千の兵。


 史上最速でクラスAに昇格して、ひょっとしたら公国に2人目のクラスSが誕生するかもしれない存在であったこと。



 そしてドラゴン討伐を成しえれば間違いなくクラスSに昇格するだろうということだった。





 ここでルアは一度話し終える。


「……そうか」


「とはいっても姿形も、来襲状況も魔族も来ていたとか情報が錯綜していて、ひょっとしたらドラゴンではなかったかもしれませんが」


「その事を他の人には?」


「まさか、家族以外ではギリアンさんが初めてです」


「なら、それを徹底しな、その情報を欲しがる奴は山ほどいる、だからヒュレンでも言わない方がいいぞ」


「わかりました」


「やっと合点がいったよ、ルザアット公国に拘った理由。そのドラゴン討伐をして、キコ王国だけではなく世界を救ったカグツチに憧れて、彼がいるルザアット公国でやりたいってことか」


「それでですね、その後、興奮気味に領事館の人が来たんです。カグツチ・ミナトによりドラゴン討伐がなされたと」


「え? え?」


「だから言ったじゃないですか、私がルザアット公国で冒険者をやりたいと言った理由、まだ半分ですよ」


「あ、ああ、そうだった……か?」


 なんだ、続くのか? まあいいけど。


「そして、アマテラスの人達が領事館に来るってなって、皆沸き返っていたんです」


 そして現れたアマテラスの4人。


 世界最強と称される冒険者カグツチ・ミナト、4人のその時の姿が威風堂々としてて忘れられないという。


(ちょっとまった)←カグツチ


 あ、すみません、回想中、シリアスな空気の中、ごめんなさい。


 そうだ、思い出した、ルアの言ったとおりドラゴン討伐した後、手続きの為に領事館に寄ったんだった。


 世界ギルドと本国への報告とか、色々と手続きを終えて、手配した飛行船が来たから一旦帰国しようとした時。


「その時、キコ王国の王様が来たんです」


 そう! 王様が来たの!! お礼と見送りがしたいとかで!! サプライズ的な感じで!!


 や、やばい!! 確かあのとき俺は!!


「へーそうなんだルアが憧れる気持ち分かるなぁなるほどなぁ王様直々とは凄いねってブルブル寒くなってきたからそろそろ入ろうかさあ行こうか」


 とグイグイとルアを引っ張って早口で纏めようとしたが、ビクともしない!


「その時、王様がきいたんです「この4人でそれだけの事が出来る秘訣はあるのか」と」


 そんな俺の言う事をまるで聞こえていないかのようにルアは話し続けている。


「ああ、あのあの! ルアさん!! ちょっと俺の話を聞いて!!」


「そうしたらカグツチさん、こんなこと言ったんです」




――「我々の間にはチームプレーなどという都合のよい言い訳は存在しません、あるとすればスタンドプレーから生じるチームワークだけです」




(ヒギャアアアア!!!!)


「カッコよかったなぁ」


 そう、そうなのよ!!


 あの時、王様にそんなこと聞かれてさ。


 気が付いたら周りからめっちゃ注目されて、、。



(なんか名言言わないといけない!!)



 とか何故か滅茶苦茶テンパってしまって、前にも書いたとおり、こういう時の融通が死ぬ程きかなくて。



 だからパクっちゃったんだよーー!!(ノД`)・゜・。



 んで、俺の言葉にやたら王様は感動していた、いや、俺も滅茶苦茶カッコいいと思ったんだけども!!


 しかし本当に、まるで成長していない……俺!!


(って、更に思い出してきたぞ! そうだ! ルア!!)


「その時、実は一度、カグツチさんと話したことあるんです、本人は全く覚えていないんですけど」


(そう! そこ!!)


 そう、王様に別れを告げた時、立ち去り際に女の子に呼び止められたんだ、そしてこんなことを聞かれた。


――「カグツチさん、冒険者にとって、一番大事な事はなんですか?」


 そう!! よりにもよって王様の次が若い女の子!!


 そう聞かれた俺は。



(これはカッコイイこと言わないといけない!!)



 と再び謎に滅茶苦茶テンパって、そして、何回も言っているけど、死ぬ程融通も機転も聞かなくて。


「カグツチさんは、こんなこと言ってたんです」


「ちょちょちょちょちょちょ!!!!!」




――「いついかなる時でも、俺を信じて疑わない仲間への信頼、それこそ俺が、今まで築き上げてきた財産の全てだよ」




(アゲエエエエエ!!!!)


 だってさ! 荒巻課長カッコいいじゃん!! 徐々に年が荒巻課長に近づき、部下を持つ身になって! この器のデカさと! この器のデカい上司になれない自分に気づいたりするんだよ!!(魂の叫び)


「どうしました?」


「グフッ、ゲフッ、そう、そうだね、し、痺れるぐらいカッコイイ人の言葉だね、ボクは、そう思うね」


「そして、トライアウトの時にもらった言葉も私の中では大事なんですよ」


「へ、へー」


 とヘロヘロの俺をまるで気にせずルアはおもむろに端末を取り出すと。


「という訳でここにその時の動画があるんですよ」


「えええええ!!!!???? なんで!!??」


「ディンパファルラさんから、記念にどうぞって」


(あ、あの野郎!!!!)


「一緒に聞きましょうよ」


「ちょ、ちょ、ちょ!!」


 ポチッ


――「俺はからは一つだけ、憧れるのを(以下略)」


(観自在菩薩、行深般若般波羅蜜多時……)


「はぁ、良い言葉ですよね~」


「そうですネ、さすがですネ、クラスSあるネ」


「もう一度聞きましょうよ」


「待ってぇ!!!」


 ポチッ。


――「俺はから一つだけ、憧れるのを(以下略)」


究竟涅槃(くうぎょうねはん) 三世諸仏(さんぜしょぶつ) 依般若波羅蜜多故(えはんにゃはらみったこ)

得阿耨多羅三藐三菩提(とくあのくたらさんみゃくさんぼだい) )



「本当にいい言葉です」


「はぁ、はぁ、そ、そうね(ゲッソリ)」


「もう一度聞きましょう」


「ちょっと待った!!」


「なんですか?」


「もういいんじゃないかな! ほら言っていたじゃない!? 貴方の憧れの冒険者が憧れるのを辞めないとって!」


 ポチッ


――「俺からは一つだけ、憧れるのを(以下略)」



得阿耨多羅三藐三菩提(とくあのくたらさんみゃくさんぼだい) 故知般若波羅蜜多(こちはんにゃはらみった)

是大神呪(ぜだいじんしゅ) 是大明呪(ぜだいみょうしゅ) 是無上呪(ぜむじょうしゅ) 是無等等呪(ぜむとうどうしゅ)

能除一切苦(のうじょいっさいく) 真実不虚(しんじつふこ) 故説般若波羅蜜多呪(こせつはんにゃはらみったしゅ)

即説呪日(そくせつしゅわつ)



「あのー、「カグツチ」さん」


「羯諦! 羯諦! 波羅羯諦! ってなに!?」


「終わってますよ」


「へ!? よ、よし!」


 すっ ←手に再生ボタンに手をかけようとしている。


 ガシッ ←カグツチがルアの手を抑える。


「どうしました?」


「ル、ルア、きき、気分を害さないで欲しいんだけどさ、あ、あれパクリっぽくない?」


「え?」


「うんうん、俺にはわかるんだよね、顔もよく見ると白目剥いて泡吹いて震えているし、どっかから持ってきた感あるし、というわけで、そろそろ戻ろうか、ほら、一緒にいて噂を立てられると恥ずかしいし、なんつって、ってちょっと待った!」



「君それ知っているでしょ! パクリだって!!」



「そうですね、本人が言っていたので、えっと、カグツチさんの祖国の球技で世界の頂点を取った人でしたっけ」


「…………」


「…………」


 おおぅ、女って、こう、カマかけするよね。


「あーーーーーーーーーーーーーー」←カグツチ


「どうしました「ギリアン」さん?」


「ルア、その、割と真面目な話で」


「分かってます、口の堅さには自信があります。憧れの人に嫌われたくないですから」


「ってさ、一番最初のキコ王国での話、ドラゴンと遭遇した件じゃなくて、領事館の話なんだけど」


「あ、はい、お三方と一緒に遊んだ時に領事館の話したんです、その時にティンパファルラさんから「あのセリフもパクッてるから」と言われて」


(あいつ! 次会ったら絶対オッパイ揉んでやる!! つーか一緒に遊ぶって!! 仲いいな!!)


「(ノД`)シクシク、た、ただルア、一個だけ、説教いいか? マジなやつ」


「はい」



「ルアに才能があるのは本当だ、だが実力があるからクラスが上がるとか、そんな簡単な話じゃない。俺が失踪したり、コヴィスト王国での依頼を受けたのが、そのわずらわしさからなんだよ」



「はい、それは皆さんが言っていました「何処か滅茶苦茶繊細なんだよ」って」


「……余計な事を」


「そんな訳でギリアンさん」


「ん?」



「色々とありがとうございました、新しいクランで頑張ります!」




――数日後・ギルド・ジョーギリアン




(´・ω・`)ショボン ←爺様達+ホヴァン


 ギルド内はどんよりと空気が漂っている。


 まあ分かる、冒険者としても腕が立ち、アイドル的存在でもあったからなぁ、俺もやっぱり寂しい。



「俺の嫁」

「息子の嫁」

「おっぱい」

「あし」

「妾」



「「「「「でもいい子だったなぁ~」」」」」


 物凄いがっかりしている。


「まあでもしょうがないですよ、一番下とはいえクラスAの傘下クランなんて普通は採用されませんからね」


(ノД`)シクシク ←爺様達+ホヴァン


(まあ、でも頑張んな、上位を目指すのは大変……)


( ゜д゜)ハッ! ←商会長さん


「し、し、しまったあああぁぁ!!!」


 と地面をドンドン叩いて嘆き始めた。


「ど、どうしたんです?」


「温泉!」


 温泉って……。


「「「「「( ゜д゜)ハッ!」」」」」←他の爺様達、ホヴァン、カグツチ。


「「「「「あああーー!!!」」」」」


 そうだった、忘れてた。


 繰り返し述べているが爺様達のクランは、冒険者クランとしては珍しく前衛の戦闘職が足りない状態だった。



 そんな中、立ちあがったのが温泉補完計画。



 まず爺様達のクラン内で現在進めている計画が、簡単に言うとゼカナ商会で必要な仕事をクエストの名目で斡旋し、冒険者活動とするものだ。


 色々と計画を練る中で、目的地の一つに近くに温泉があり温泉旅館があるのだが、商会長さん曰く、その宿は自分の系列らしくて、風呂等の構造は理解しておりつまり。



――風呂覗きができるのだ!!



 その宿屋はそれなりに高いから全員で泊まれば普通に赤字になる、だがそれを心の利益で補完するから温泉補完計画。


 つまり一言でいうとルアを冒険にかこつけた温泉旅行に誘うというものだ!


 もはや冒険でもなければクエストでもないだろというツッコミは受け付けないが、みんなウキウキで計画していた。


 だけどルアの事は、みんな心配していて移籍の際は商会長さんにも相談し情報を共有して、ありがたいことに移籍に全員が賛成。だから気持ち的にその計画どころではなく、すっかり忘れていたのだ。



「しまったぁ、せめてその後にすれば」

「ルアちゃんの大事な時期だったからつい」

「夢の温泉クエスト……」



 はぁ、でも、、。



 湯あがりの女って色気あるよね。



「「「「「ウヒヒ」」」」」←ルアの入浴シーンを思い浮かべている



「あははー、覗いたら潰しますよ~」←ルア



「「「「「ギャアアア!!! びっくりした!!!」」」」」



「ってえええ!!??」


 と全員が注目した先にルアが立っていた。


「ど、どうした、なんか忘れ物?」


「いいえ、ここでクエストをやりにきました」


「クエストって……」


 まず甲ギルドに所属している冒険者が乙ギルドでクエストを受注することは規定上何ら問題は無い。


 ただそれは契約に反しない限りという但し書きがつく。


 所属ギルドとの契約。


 冒険者は契約が命、その契約内容も全然違う。


 それを語り始めるとキリがないけど、一般的に有力ギルドになればなるほど縛りは多くなる。


 俺が聞いた中でびっくりしたのが「クラン長の許可なしに他ギルドの冒険者と会う事を禁止する」とかあったな、それでどうやって冒険者やるんだとか思ったけど。


 だから一番下とはいえクラスAの傘下がそんなことを認めるのか。


 そんな疑問についてルアは回答してくれた。


 ヒュレンは、ルーテが率いるクランを頂点(カテゴリー1)としてカテゴリー5まで区分けしているそうで、カテゴリー内でも複数のクランがあり、更にクラン内でもしのぎを削って上を目指しているらしい。


 んでルアが所属しているのがカテゴリー5、このレベルクランだと冒険だけでは食べていけないらしい。中にはアルバイトをしている人も居たり、それこそ公共クエストで糊口をしのいでいる冒険者もいるそう。


 だから一刻も早くカテゴリーを上げなければならないが、その為にはGM、あのアマテラスに暴言を吐いたあの秘書が務めており、彼女の査定で決まるらしい。


 その査定の中で下位カテゴリーは「クラン外の冒険活動実績」が大事らしく、それもアルバイトや公共クエストだけだとパフォーマンスもあげられないと見なされ解雇されるそうな。


(随分と理不尽な待遇だけど、大手クランの最下位クランの待遇って割とどこも似たような感じだと聞くよな)


 説明を終えたルアは商会長さんに話しかける。


「商会長さん、クエストについてなんですけど」


「え!? えっと、その、い、いや、そそ、その、温泉クエストは~、洒落で~」


「クリコの花の採取クエストなんですが、失敗してしまいましたけど大丈夫だったんですか?」


「え!? そっち!? あ、ああ、そういえば、話していなかったね! えっと結論から言えば大丈夫だ!」


「そうなんですか?」


「クラスBの魔族が出現したわけだからな、クエストは失敗とはいえ、ルアちゃんが懸念しているような信用は失っていないよ。というかむしろ花屋が心配していたし、それどころか今日まであそこら辺一帯は封鎖されていて、やっと今日限定解除となったよ」


「ならチャンスですね」


「……え?」


「クリコの花の収穫時期でありながら、ずっと封鎖されている。限定解除ということは危険性は完全排除されていないという判断、つまりゼカナ都市の冒険者だと二の足踏む状況、今は相当クリコの花の価値が上がっているってことですよね?」


「そ、そのとおりだが」


「なら、早速行きましょう」


「ええ!!??」


「ギリアンさん」


「へ、へい!」


「同行をお願いできますか?」


「も、もちろん」


「当然に短く簡単な道で行きましょう」


 テキパキと準備を進めるルア。


 呆気にとられる男性陣。


 襲われたんだよな、割と洒落にならない状況だったんだよな。


 この子は、、、、。



「なあ、ルアちゃん、一度でいいから息子に会ってくれんかね?」

「ぬ、抜け駆けはずるぞ! いいかいルアちゃん、俺は理解がある方でな、冒険者はずっと続けなさい、思う存分に、その上でいずれは若女将に」

「ルアちゃん、何かあった時に夫側の実家が太いって人生に有利で」

「ルアちゃん、俺は君の全てを許す、だから妾にならないか(キリッ!)」

「ちょっとまったー! 俺! 俺が守るよルアちゃん!」←ホヴァン



 こんな感じにすっかり我が男性陣はルアの虜になったようだ。



 いやはや、これはこれは頼もしい。



 ふむ、となれば。




「なら準備ができ次第みんなで出発しましょう。ルアの戦闘能力はクラスD中位、私とホヴァンも行きます、商会長さん達も参加しましょう、上位の魔物と対峙するチャンス! 皆で収穫して一儲けして、改めて打ち上げをしましょう!」



:おしまい




:::一口メモ:::


 クラン名はシダ、絶世の美貌を持ち数多の男性を破滅に導いてきた女神様の名前。


:クラン長・テドン(商会長さん)

 所謂ビジネスホテルを展開し若者の旅行者たちから絶大な本気を誇る一方、温泉都市に高級志向の宿を経営している。

 遅くに出来た娘がおり溺愛してる、実は恐妻家。


:料理屋・シプラー

 ゼカナ都市の表通りに拠点を構える、値段はお高めで少し贅沢をしたい時の御用達の店となっており地元VIPの接待用の店として確立している。

 息子がおり「ああいうしっかりした子が息子の嫁になれば」と思っている。

 娘もおり、先日孫が生まれた。


:冒険用具屋さん・サラット

  冒険者用の武器防具雑貨等を取り扱う、安くて質の良い商品は都市役所冒険課に限らず冒険者たちの御用達。今回の件で影響を受けない程、カグツチも当然利用している。

 ちなみに初級のバフ・デバフ魔法が使える。

 息子がおり「商才があるルアが息子の嫁に来てくれないかなぁ」と思っている。


:不動産屋さん・キキイド

 表通りで店を構える、不動産仲介業を生業として地元密着型ゼカナ都市全般を得意としている。

 息子と娘がおり「度胸があるルアが息子の嫁に来てくれないかなぁ」と思っている。






野球に全然興味ない人もいると思うので、カグツチがテンパった挙句、パクった大谷の台詞がコレ。


https://www.youtube.com/watch?v=MEg7uQgO3-w



アニメに全然興味がない人もいると思うので、カグツチがテンパった挙句、パクった荒巻課長の名言がコレ。


https://www.youtube.com/shorts/HK0bw8YNTLM


 後はおまけでルア篇は一応一区切りつきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ