第75話:冒険者学校、トライアウトへのぞむもの・前篇
冒険者学校。
文字どおり冒険者を養成する学校で世界中に設置されている。
とはいえ、冒険者になるためには別に入る必要はない。
俺はもちろんアマテラスのメンバーだったり、ホヴァンだって、ゼカナ都市の顔役であるクラスCのピグだって冒険者学校なんて出ていない。
前に触れたが、この世界で冒険者になるためにはギルドに行き、ギルドマスターから許可を貰い、ペーパー試験をクリアすれば誰でもライセンスを貰える。
つまりこの世界での冒険者学校は元の世界で例えると職業育成の専門学校という位置づけだ。
この冒険者学校のシステムをざっくりと説明すると。
戦闘職等の各部門で生徒を募集し、入学者は生徒専用の冒険者ギルドに入学と同時に冒険者ギルドに登録、冒険者ライセンスを取得する。
授業は、大きく分かれて共通科目と専門科目の二つ、それぞれで講師(冒険者等)が教官として、クランを組ませてレベルに合わせてクエストに挑戦させ経験と実力向上を図る。
滅茶苦茶簡単に言うとこんな感じ。
とはいえ現実は、卒業しても大半が冒険者辞めて、昇格してもクラスDが精々だったりとかだったりする上に、授業料も割と高額、だから「集金システム」「冒険者じゃなくてお客様」なんて揶揄されたりする。
だから冒険者学校に行かなくても必要ないって声もあるけど、メリットは割とあって、実は難儀するクランの仲間集めとか、冒険者としての適性を見極めるとか、横の繋がりを得たりとか色々ある。
まあ、冒険は慈善ではなくビジネスなので世知辛い話ではあるが。
その冒険者学校がノバルティス財閥運営となれば話が違ってくる。
ノバルティス財閥。
世界を股にかけるコングロマリット、冒険者ビジネスにも力を入れており、公国首都に冒険者学校を設立運営している。
とはいえ基本システムは他の冒険者学校と変わりはないし、授業料も他の学校に比べて高額。
であるにもかかわらず希望者が多数押し寄せ、ビジネスとしては大成功をおさめている。
それは何故か。
ノバルティス冒険者学校の生徒達は全員、ルザアット公国の世界的冒険者から直々審査会、つまりトライアウトを受けることができるからだ。
ここでいう世界的冒険者とはクラスA以上を指す。
ルザアット公国はその世界的冒険者を6人擁する冒険者大国でもあり、審査委員長は、ノバルティス財閥総裁の御曹司の1人であり世界最高峰のクラスS冒険者、セシル・ノバルティスが務めている。
つまりクラスS主催のトライアウト。
その権利を金で買う事が出来て結果成り上がった冒険者も多く大成功をおさめ、今ではノバルティス冒険者学校は公国ナンバー1としての立場を得た。
――ノバルティス冒険者学校・卒業式(審査会)会場
「…………」
集められた卒業生たちは審査会を前にして緊張している。
その卒業生達を見る目。
その目は用意された審査員席にルザアット公国に在籍するクラスA冒険者4人のうち3人のものだ。
クラスAは最高位ではないが「クラスSではない」というだけで、ほとんどの世界ギルド加盟国では国家の頂点冒険者に君臨し、貴族としての爵位を与えられている者も多く、それだけで「勢力」とされる一騎当千の兵。
その審査会場には三人が率いる三つのクラン旗が掲げられている。
クラスAのクラン旗は掲げるだけで世界中の有力冒険者たちを震え上がり退けることができる程の威力を持つ。
だがこの場では彼らですらも露払い。
だからこそクラスAの冒険者たちのクラン旗は一段低く掲げられている。
「「「…………」」」
クラスAの彼らもまた審査会を前に緊張しているのだ。
【皆様、大変ながらくお待たせしました、クラスSが到着しました】
進行役の一言に全員の緊張感が跳ね上がる。
その言葉に合わせてゆっくりとエンブレムが刻印されたクラン旗が掲げられる。
クラスAの3人が立ちあがり掲揚する。
クラン名、ジーズ。
それは古代神話で最高神を殺した戦神の名。
桁外れの強さとそして美貌に恵まれ、多数の女神との浮名を流した男神ジーズ。
エンブレムはジーズの愛用の武器である神の戦槍イエヌル。
その男神は傲岸不遜の字を得、その現代に蘇ったジーズと化身と称される男。
その男が現れた時。
女冒険者たちは言葉に出さずとも寵愛を得る為、目に艶を灯し。
男冒険者たちは、嫉妬に彩るも諦めの色を灯す。
男の名前はクラスS、セシル・ノバルティス。
男でも女でも言葉にならないどよめきがこの場を支配する。
クラスS冒険者を間近で見ることすら普通の冒険者では一生に一度あるかないかだ。
だがまだ終わらない。
ルザアット公国にはジーズと同じ高さに掲げられることを許された唯一の存在がいる。
そのクラン旗に刻印されしは大きく羽を広げた三本足の鳥。
その名は八咫烏、通称厄災の鳥。
通称名の方が有名になった鳥の羽ばたきは、その羽ばたきと共に幾多の命を刈り取り、破滅へと導いてきた。
そのクラン旗が卒業生達にもたらすもの。
それは死への恐怖。
全ての命に備わる死への恐怖。
ドラゴンを前に人になす術はない絶対的な死をもたらす人類の天敵種、そのドラゴンを討伐した存在は即ち、ドラゴンを超える絶対的な死に他ならない。
クラン名アマテラス。
その名はクラスS、カグツチ・ミナト。
●
2人は並んで一段高い玉座に座る。
足を組み少し不機嫌気味に空を見つめるセシル。
両肘を両ひざに乗せ卒業生たちを見つるカグツチ。
対照的と称される冒険者はその座り方も対照的だ。
「クラスSが並び立つ姿を拝めるなんてな」
「これだけでも価値がある」
と感嘆する卒業生達。
「セシル様、絶対に私は貴方の下へ」
「この日為に頑張ってきたんだから」
そんな女冒険者たちの声に気が付いたかのように、視線を送るセシル。
「あぁ! 私を見ているのよ!」
「いいえ、私に目をかけてくださるのよ!」
一方のカグツチに対しては。
「あれが、厄災の鳥、羽ばたきその風で数々の人の命を刈り取る」
「ドラゴン討伐、つまり俺達の普段生きているのカグツチの功績ってことだ」
その男冒険者たちの声にこれもまた気が付いたかのか。
ニヤリと嗤う。
「っ!! おい下手に目線をやるな、殺されるぞ!!」
「し、心臓を掴まれたかと思った! おっかねえ!」
「くそっ! 何がおかしいんだ! 何を考えてやがるんだ! ちくしょう! 震えが止まらねぇ!!」
クラスSの深淵を知ることはできない。
その認識を佇まいだけで植え付ける次元を超えし者、クラスSの2人。
そのカグツチは、、、。
(いやぁ、今回も女性冒険者のレベル高いなぁ、いいオッパイに足に尻に( ̄ー ̄)ウヒヒ、、、っとと、間違えてはいけないよね、真面目なイベントだからね、テヘペロ☆、顔だけはシリアスにしないとね、それと待っててください大家さん、約束どおり、本日中にはちゃんと家賃を払いますから)
続く




