第71話:冒険者新聞に対しての各種コメント
――コヴィスト王国、王城・貴賓室
騒乱から一か月、貴賓室に招かれたのは世界ギルドの幹部と冒険者記者たちだった。
以下、リシリティア女王の冒険者新聞に対してのコメント。
――カグツチ・ミナトへの依頼について
「これは全く我々王族の不徳の致すところに尽きる。ヴァルフに専横を許し対抗する手段がなく、冒険者に活路を設けたのは痛恨の極みであったが、結果的に我が国に多大な利益とかけがえのない友人を得ることが出来た」
――友人とはカグツチ・ミナトでいいのか
「無論だ、彼は我が国を救ってくれた英雄だ、無論カグツチだけではない、アマテラス3人全てが私にとってかけがえのない友人となったよ」
――報酬については
「ここでそれで全てを言う事は出来ないが、まず我がコヴィスト王国の永久市民権及び永久国賓待遇、没収したヴァルフの財産の中かから土地を一部無償譲与だ」
――土地の運用について
「自分の家を作ると言っていたが、細かいことは分からない、何より譲与したものだ、好きに使ってくれと言ったまでだ」
――コヴィスト王国が世界ギルドへの加盟を表明したがそれは報酬ではないのか
「報酬ではないよ、元より以前から検討していたことだ、我が国からクラスSが出ることを夢見ているよ」
――カグツチ・ミナトのコヴィスト王国を拠点の宣言について
「誤解を一つ解いておきたいが、ガクツチ・ミナトはあくまでもルザアット公国人であり、ルザアット公国のクラスSだ、あくまで活動拠点を我が国にするということだよ。故にルザアット公国とは良好な関係を築き上げたい、この件についてはルザアット公国に表敬訪問を行い、私の方から正式に説明する予定だ。現在ルザアット公国外務省と調整を進めている」
――暗黒街で多数の死者が出た
「これも不徳の致すところではあるが、その全てはワドルフが取り仕切っていて、あの時誰が何処にいたのかについて把握はしていなかった。だから死者が出た後に浄化作戦を開始したところが本音、それとワドルフ既に私の手で処刑し、さらし首にしてある。現在ワドルフの郎党達には尋問を進めている、いずれ責任を取らせるよ」
――カグツチ・ミナト、女王の責任は
「女王の責任は、暗黒街への壊滅とワドルフの処刑及び郎党への処断だ。壊滅についてはカグツチ・ミナトが担当してくれたのは見てのとおりだ」
――暗黒街の死者の身元確認があまり進んでいないように見えるが
「ご明察、暗黒街は元より我が国では違法だ、倫理に外れたこともしていた。まあいずれにしても今回の暗黒街の死者たちは自国民であれば「死刑または終身刑に値する犯罪者」であること、そして外国人であれば相手が母国でどんな身分だろうと「不法入国した犯罪者」だからな。最優先は秩序の安定、身元確認は特に重要視はしていないよ」
――カグツチ・ミナトの活動の再開なのか
「友人とは表現したが、全てを把握しているわけではない、また聞きで申し訳ないが、クォイラ嬢から「そうだ」とは聞いているが細かいところは分からない」
以下・アマテラス:クォイラ・アルスフェルドの冒険者新聞に対してのコメント
――カグツチ・ミナトが失踪した理由について
「既に何回も同じことを答えています。ノーコメントです」
――失踪中の冒険者活動について
「ノーコメント」
――コヴィスト王国の依頼を何故受けたのか
「ノーコメント」
――依頼内容は
「ノーコメント」
――報酬内容は
「女王のコメントのとおりです」
――暗黒街やスラムでの活動について
「ノーコメント」
――ワーニッツ・コルドランの確保
「今回の依頼を成功させるための計画の一部とだけ、既に世界ギルドに身柄は引き渡してあります」
――かなり凄惨な報復をしたが
「女王の発言のとおり、暗黒街の壊滅は女王が望んだことなので、見せしめには必要だと判断しました。おかげさまで誰も逆らおうとはせず、ワドルフの郎党達は抵抗することなく拘束に応じました」
――活動拠点を移したと聞いたが
「これも女王の言葉のとおり、カグツチを含めた我々アマテラス全員はルザアット公国人でありルザアット公国の冒険者であるということに変わりはありません。海外を拠点することなど一般民にもよくありますからさして珍しい事でもありません、活動再開というか、元よりアマテラスとカミムスビは活動を継続していた、そう理解してください」
――クラスSの活動再開について批判的な声もあるが
「お好きにどうぞ、発言は自由です」
――世界ギルドへの一方的な辞表を送り付けているが
「はっきり言ってしまえば我々アマテラスは別にクラスには拘りはありません。冒険ができるのならライセンスが剥奪されたとしても再び取得して活動すればいいだけの話ですし、それに拠点がコヴィスト王国であることにも拘りはありません」
――世界ギルドは復帰を認めるのか
「繰り返すとおりクラスに拘りはありません、別に職業としての冒険者としてのこだわりもありません、アマテラスはあくまで「楽しむため」のものですから」
――カグツチ・ミナトは現在何処にいるのか
「王国内にはいますけど、適当に散歩しているのでは?」
以下、世界ギルド幹部のコメント
――今回の依頼については世界ギルドは関知しているのか
「当然だ、世界ギルドを介さないとクラスSには依頼できない」
――内容については
「秘匿事項だ」
――今回の依頼の成果について
「世界ギルドの立場は変わらない。クラスSの功績として付加される、それだけだ、我々はコヴィスト王国の世界ギルドの加盟手続きの為に来ただけであって、今回の依頼については関与しない」
――カグツチの復帰を認めるのか
「認めるも何も、原則として冒険者ライセンスに必要なのは更新手続きのみ。カグツチが書いた辞表は届いているがにはなんの効力も無いから放置していただけだ。クラスSの活動について我々は「依頼は世界ギルドを窓口とすること」のみであり、その一つを守れば後は自由だ」
――アマテラスとコヴィスト王国が交わした契約:一部抜粋
・永久市民権
・永久国賓待遇
・カグツチの拠点となる豪邸を王族直轄地にして特権を認める。(治外法権の他、無条件入国等を付与)
・豪邸の建設費用については王国が負担する事。
・カグツチ等の所在地については、アマテラスからの指示がない場合は「在国中」を公式回答とすること
・その他、アマテラスの指示に従う事
・尚、国家運営についてアマテラスは権力を保持しない、よって、アマテラスの指示が国家運営と相反する場合は、女王と協議するが原則国家運営優先とする
――アマテラスの依頼を受けた理由
・ログ地帯は数十年で国が入れ替わる程に政情不安定地域であるが、その中でコヴィスト王国は強国に位置し長い歴史を持っている。同地帯で3か国しかない世界連盟の加盟国であり魔石の採掘権で中興国程度の国力を保持し安定している事。
・同国にとっての癌であるワドルフを排除した場合、そのままワドルフとしての立場にアマテラスが取って代わることが出来て、その影響を排除することができない事。
・リシリティアついては、王女時代より聡明で切れ者で柔軟であるという評価を得ているものの、ルザアット公国では把握していななかった。その中で女王就任の情報をクォイラが掴み、同国の外交について先んじて利用できると考えた事。
・決定打となったのは実際に女王の人柄を考えると割と外連味があり、アマテラスが目指す「全員でやりたい冒険だけを楽しくやる」という目的達成のため利用価値は高さであった。




