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第59話:バレバレなんだよ、喧嘩売ってんの


 金級闘士。


 暗黒街ではVIPとして仲間入りができる。マフィアで言えば上級幹部と対等、大頭目、副頭目に続く地位。


 暗黒街では大頭目副頭目しか立ち入れない場所を除き自由に出入りすることができる。


「2人とも来い」


 キーの案内の元、俺達は歩いている。


 幾重にも重ねられた警備設備を抜けた先に目的地はあった。


「ここから先は、大頭目と副頭目のみ、そして立ち入りを許可された人物しか入れねえ。俺は許可されていない、だからここで待つが、分かっているだろうな? 粗相があった場合、俺はお前を容赦なく処断しなければならないってこと」


「分かっているよ、恥をかかせないようにするさ」


「けっ」





 通された先、副頭目は5人いた、男3人、女は2人いるのか。ワーニッツの姿もある。


 そして中央に陣取るは、、、。



 ここの大頭目でありコヴィスト王国の宰相ワドルフだ。



 暴力。


 少し触れたが近代国家では「国家が暴力を独占する」という形式で運営している。


 だがコヴィスト王国は違う、王族が持つ暴力と宰相が持つ暴力が二つ存在する。


 そして現在宰相の方の持つ暴力が上、だからこそ宰相の専横を許し、王族は手出しができない状況となっている。


 その暴力装置が暗黒街とは繰り返し述べたとおりだが、その規模は周辺の一国家に相当するの利益を生んでいる。


「てめぇがネホバとお付きのメーバルか」


 おっとこっちに注目しないとなと、副頭目の1人が俺達睨みつける。


「ネホバ・キッドだ、改めてよろしく、興行主さん」


「まずは勝利おめでとう、金級闘士となれば、金も女だって思いのままだ。ただ一つだけ覚えておけよ。金級は確かに待遇はVIPだけが、俺達に飼われているってことだ、つまり幹部としては常に「二級」ってことだよ」


「肝に銘じるよ」


「それと金級闘士の順位は俺達じゃなくて、客の投票によって最下位が確定する。そうすれば降格戦だからな」


「そうなのか? まあ悪いがここの金級闘士たちのレベルを考えれば俺に降格の投票が入るとは考えられないがな」


「はっ! まあ自信家は嫌いじゃないぜ、それと金級昇格にあたり暗黒街の中枢の居住権やら特権があるから後でキーに確認しろ」


「わかった、有効活用させていただく」


「さて、今回はお前の顔見せと、聞いていると思うが望みを一つ叶える、言ってみろ」


「…………」


 ここでメーバルの視線を感じる、大丈夫だよ、お前の望みだ。



「娼婦」



「……はぁ?」


「いや、ここにきて女を抱いてない」


「?? 銀級なら十分な報酬を得ている筈だろ? 娼館だって普通に通える筈、それに金級で活躍すれば、そこら辺の娼婦なんて」


「お気に入りの娼婦がいてね、そして俺は嫉妬深い。そのお気に入りの娼婦を俺専用にして欲しいって話だよ」


 一瞬副頭目は呆けたが。


「ははっ!! なるほど!! 惚れた女がいたから頑張っていたわけか!! 戦うには理由が大事だ!!」


「そのとおり、その為に頑張っていたんだよ」


「わかった、ただし、その娼婦が例えば俺達のお気に入りだったりすると叶えられない、暗黒街じゃ俺達が絶対だ、まず名前を言え」


「ユモナって分かるか?」


「……あ、ああ、なるほど、アイツか、運がいいな、確かにアイツは高級娼婦だが、俺を含めた大幹部の手つきってわけじゃない、いいだろう、お前専属の娼婦にしてやるよ」


「感謝する、これからも暗黒街に尽くし、精進するよ」


 と部屋を後にした。





 ネホバが立ち去った後、副頭目は大頭目を見ながら発言する。


「別に普通という感じだったな、ワーニッツに喧嘩を売るからどれほどまでと思ったんだが、どうだ?」


 ここでワーニッツに注目が集まる。


「凄腕ってことは確かかな」


 というワーニッツの言葉に全員が驚くが。


「冒険者としての実力的にはクラスBってところだね」


 ワーニッツがあっけらかんと言い放ち、その言葉に「俺と比べれば大したことは無い」という意味を含ませたことを理解する。


「そうか、ならばいい、さて、アマテラスが潜り込んでいる件についてだ、現在も失踪状況に至っているカグツチ・ミナトについて、まだ何の情報も無いが、入国しているのは確実だと言っていいだろう」


 王族のアマテラスへの依頼。


 ワドルフは当然にルデエルが王族復権について冒険者に対して活路を求め、ルザアット公国に行き、その依頼が成功した事は知っている。


 アマテラスのメンバー3人がこれ見よがしに集結しており自分を失脚させるために活動を開始しているのももちろん知っている。


 そして自分の悪事については既に把握されているだろう。


 だがそれは大した問題ではない、政治的な問題ならどうにでもなる。王族の暴力装置は恐れずに足らずだったが、、、。


 だからこそカグツチの件だ。



 キコ王国においてのドラゴン討伐。



 この功績によりここら辺一帯の周辺諸国では、冒険者と言えばカグツチ・ミナトだ。


 ドラゴン来訪時、キコ王国はコヴィスト王国の近隣諸国の一つであるから当然に他人事ではなく国家の非常事態宣言を出した。


 だが結果、コヴィスト王国に被害は無かった、何故なら繰り返すとおりアマテラスがドラゴンを討伐したからである。


 ドラゴン。


 前にも触れたが人類にとっての天敵種、その姿は所謂ファンタジー世界の翼にかぎ爪の定番的なものだが、人の姿になる事も出来て。


 それは人知を超えた美貌を持つ男女だという。


 その生態は不明、人が観測できるドラゴンは、人しか食さず腹が減った時のみ人界に訪れ、腹を満たせば帰っていく姿のみ。


 ただそれは、善良なドラゴンの場合だ。


 人と同じ善良もいれば害悪なドラゴンもいる。


 その害悪のドラゴンが認められたのは人類史において過去2体のみ。




 その2体が引き起こした全てが当時の人類文明を後退させるほどの被害をもたらした。




 かろうじて残っている記録から読み解くそれは、子供が靴爆弾と称してアリの群れを潰すような虐殺。


 そしてキコ王国に現れたのはその害悪となるドラゴン、後に確保され個体名αと名付けられたドラゴンだった、



 カグツチは、それをタイマンで倒し無力化して確保したという。



 この功績は当初から懐疑的な声も多く、功績認定してもいいか大問題となった。


 だがクラスS1名他有力冒険者が討伐を目撃しており、署名付きで報告書を世界ギルドに提出し、審査に審査を重ねた上で事実として認定、カグツチはクラスSと昇格した。



 だがここで不思議な点があり、天敵の討伐資料は何よりも貴重であるため、本来であれば閲覧制限はかけても広く認知されるべきものだが、何故か秘匿され自由な閲覧はクラスS本人と各国首脳クラス、世界ギルドのトップ層しか閲覧することができない。



 だから様々な憶測が流れているが、、、。


「実際のところ、カグツチの実力はどうだワーニッツ」


 ワドルフが問いかける。


 ワーニッツは、少し考えるとこういった。



「結論から言うとドラゴン単独討伐はデマだというの通説だよ」



「デマ? 待て、それは」


「話を最後まで聞きなよ、俺は功績が嘘だとは一言も言っていないぜ」


「?」


「ドラゴンが現れた、キコ王国に被害は出ていない。そして世界ギルドが功績を認定した。これが全て事実だという上で、単独討伐がデマだということだよ」


「具体的に言えワーニッツ」


「倒すとは何も物理的には限らないという意味だ」


「?」



「つまり交渉して、手を引かせ、確保された」



「な!? 本当なのか!? ならば何を差し出したんだ!?」


「さあ? 何を差し出したんだろうねぇ、考えたくもないけど、高位冒険者達の間じゃ、カグツチはドラゴンと何かを取引したと考えるのが通説だよ」


「…………」


 全員が黙る。


 ここで再びワドルフが再び発言する。


「なれば、これは朗報ともいえるだろう」


「へぇ」


「アマテラスに対しての交渉の余地が残されているという事だ。その件と、いざという時にこちら側に引き込むか。それとアマテラスが暴力装置として動き出した時に対処するべく進めていく、引き続き情報収集を続けろ」


 というワドルフの締めの一言で、副頭目の何人かを引き連れて部屋を後にした。





 その会議の後、暗黒街を1人で歩くワーニッツ、、、。



(バレバレなんだよなぁ、ネホバいや、カグツチ・ミナト、いや、あれはワザとだよなぁ、俺にバレることも、だから喧嘩を売ってるってことだよね?)



 と歪に笑い、すれ違ったマフィアの構成員たちは震えあがるのであった。





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