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第43話:アマテラス再生篇・助けたのか?


――



 発見日時は今朝、路地に横たわる形で発見された。つまり俺が追っ払った後すぐに殺されたってことだ。


 死因は、全員延髄から脳を突き刺す形での即死。


 犯行の目撃情報は無し、聞き込みを実施したところ、争うような声は無かったという。


 ただ俺とチンピラ3人組が揉めていたことは俺の大声で気になった人が複数人目撃しており、殺されたのはあの直後ということもあってそれが逮捕の決め手となった。


「以上だ、現状手掛かりは無しだよ、とういうか、むしろお前がチンピラ共に派手にボコられたという証言が複数あったが、大丈夫か?」


「素人の暴力だからな、位置をずらせば軽い打撲程度だよ」


「そうか、軽い打撲程度なら何より」


 とルードはニヤリと笑う。


「お前、まさか」


「てなわけで、今回もよろしく頼みますよ、クラスD冒険者殿、この事件に対しての犯人に対する有力な情報若しくは犯人の確保をね」


「……何かあるのか?」


「きな臭いじゃないか、お前だって感じている筈だぜ」


「殺され方が普通じゃない、か」


「そうだ、延髄から脳を一突き、どう考えても普通じゃない」


 殺人。


 少し生々しい話になるがご容赦願いたい。


 創作における人が人を殺すときの描写はほぼ全てがファンタジーだ。あんなに綺麗に人は殺せない。


 例えばだ、刃物で一突きで殺す、という描写だが実はこれもファンタジーだ。


 刃物で一突きとはあくまで偶発的結果で得られるに過ぎない、大抵は「めった刺し」が正しい。


 ニュースを思い出して欲しい、刺殺された時にニュースは「全身を十数か所刺されて死亡」という報道を多くしている筈だ。


 んでなんでめった刺しかというと答えは簡単、一介で致命傷を与えることができないことと、相手から反撃を食らうからだ。


 更に今回相手はチンピラと言えど相手は複数、それを全て同じ殺し方でその殺し方が尋常じゃないとなると、、、。


「色々見えてくるよな? お前に向いている案件だと思うが」


「向いているかねぇ、とはいえ、本当にクラスDに任せていいのか?」


「クラスDは「お前がクラスDだから」って話だよ。それに過程はどうでもいいさ。冒険者が有力な情報を手に入れて、俺達は捕まえればいいさ、えーっと、お前の言葉で安楽椅子の名探偵だったか?」


「そういう使い方はしねえよ」


「ギリアンよ、さて、どうする?」


「断ったらどうなるんだ?」


「特に何も、どの道、事情聴取が目的の拘束だからな、それが終われば晴れて釈放、まあ別ルートを当たるさ」


「(その別ルートが本命臭いな)報酬額を聞こう」


「前払いでクラスD中位の報酬、成功報酬でプラス同額、当然経費は別」


「かなりいい条件だな」


「そりゃあチンピラとはいえ3人も殺されているからな」


「いいだろう、受けるよ」


「感謝するよ」


「じゃあ早速質問、チンピラのバックにマフィアが絡んだ抗争とかはないのか?」


「その線についてはとっくに調べてあるよ、結論は抗争にあらず。まあ信用度は半分といったところだがな、まあマフィア絡みなら一件落着なんだよ、マフィアがガキやチンピラを使うのは常とう手段だし、カタギに迷惑が掛からないのなら、どうでもいいさ」


 あ、そうだ、そういえば。


「あのチンピラ3人が絡んでいた奴がいたってのは知っているか?」


「絡んでいた? どんな感じに?」


「カツアゲ」


「……いや、知らないが」


「元より俺がもめてたのは、そいつを助けようとしたんだよ」


「なるほど、時間稼ぎの為にボコられたのか、どんなやつだった?」


「それが帽子を目深にかぶっていて、多分若い男の子だとは思うが、それ以外が分からない、小柄で細身、まあ一見して喧嘩は弱そうに見えた」


「喧嘩が弱そうなやつをカツアゲか、チンピラと考えればおかしくはないと思うが、、、、何か気になるのか?」


「気になる、まあ外れの可能性もあるがな」


「……いや、お前の勘は頼りになる、まあ情報は逐一提供するよ、早速有力情報の匂いがする、さて契約書作ってくるから、ちょっと待ってろ」


 といったところで別の憲兵が入ってきた。


「失礼しますルード少尉」


「どうした?」


「その、今拘束されているジョー・ギリアンに面会希望者が来ていますが」


「面会希望? だってさ、どうするよ」


「面会って言っても、契約書にサインした時点で釈放だろ? それまで待ってもらってよ」


「それが、どうしても今でなければならないそうで」


「ふーん、まあ、別にいいけど、ならお願いします」


 と憲兵がいったん外して、すぐに一緒に戻ってきて、最初はホヴァンかなと思ったが、、。



 現れたのは、ティンパファルラだった。



 ファルは俺を見た瞬間。


「アハハハ! 捕まってる!! 本当に捕まっている!! アハハハハ!!! カッコいいよ!! あーあー、ギリアンさん、罪名は下着ドロですか!? 痴漢ですか!? アハハハハハ!!」


「あれ? お前、ティンパファルラ教授と知り合いなの?」


「全然知らない人です、お巡りさんコイツです、つまみ出してください」



――取調室



「本当にいいんですか、ティンパファルラ教授」


 取調室でルードがファルに問いかける。あの後、契約書にサインというところでファルが協力を名乗り出たのだ。


「元教授だよ、大学は辞めてきた、一介のクラスBの冒険者に戻ったよ」


「分かりました、ティンパファルラさん、協力はありがたいのですが、正直クラスBを雇える程の予算は用意できないのが本音でして」


「金では動かない主義なんだよ、ボクの事は知っているだろ?」


「もちろん存じております、クラスS冒険者、ガクツチ・ミナト率いるアマテラスのメンバー」


「そのとおり、金では動かない、というよりもボクは好奇心で動く主義、単純に今回の案件に興味を惹かれたのさ、報酬はここにいるギリアンだけで結構」


「……ティンパファルラさんはギリアンとはどんな関係なんです?」


「パシリ、ごほん、奴隷、ごほん、ヒモ、、、、、助手、というか友人だよ」


(#^ω^)ピキピキ ←あえて無言のガクツチ


「友人、、、」


 ふーん、と興味深そうに頷いている。


「ルード憲兵少尉、ボクが参加すると不都合があるかい?」


「不都合どころか大助かりです、それではこれが捜査資料です」


 と手渡された事件記録。


 ファルはパラパラと読み進めていくと。


「ん」


 と言ってルードに返した。


「? もういいんですか?」


「全部覚えた」


「流石賢人会」


「さて、ギリアン帰ろうか」


「え?」


「捜査会議という奴だよ、一度やってみたくてね、いいかい少尉?」


「はい、よろしく頼みます」


「あ、そうだ、それとルード憲兵少尉」


「なんです?」


「ボクの事はファルでいいよ、親しい人はそう呼ぶ、ギリアンとは仲がいいみたいだし、色々と世話になっているみたいだからね、敬語も結構」


「……わかった、ファル、俺の事もルードでいいよ」


 と敬礼して、その場を後にしたのであった。




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