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第23話:嗚呼、三馬鹿トリオは今日も行く・後篇



――ぼったくり店



「おい! この店で一番高い酒全部持ってこい!! 気が利かねーーーな!!」


 とホヴァンは店員に怒鳴りつける。


 ちなみに酒が強くて、味には拘らずとにかく飲むが好きなのがホヴァンだ。


 そんな俺は。


「あ、お兄さん、とりあえずこの一番高い奴から三つ持ってきて♪」


 と酒を持ってきた店員に注文する。


「お、おまたせしました」


「もぐもぐ、美味い! まさか美味いとは思わなかった!」


「スイスイス~ダラダッタ♪ スラスラスイスイスーーーイ!!!」


 と大声で歌いまくるホヴァン。


「そ、その、お客さん、その、あんまり騒ぐのは」


「ああ!!!??? うるせぇぞ!!! 俺は客だぞ!! 好きにさせろや!!!」


「その、他のお客さんの迷惑に」


「よしわかった!!!」


 とツカツカと他の客に向かって大声を出す。


「確かにうるさくしてすまなかったな!! おわびだ!! みんな思う存分飲んで騒いでくれ!! 全部俺の奢りだ!!」


「な!」


「という訳で店員!! 会計全部こっちにまわせ!! 分かったな!?」


「い、いやぁ、その」


「あん? 金の心配してんのか!! 俺は馬で大勝してな!! ここがぼったくりじゃきゃ全部払えるぜ!!!」


 とわざとでかい声を出して、店員の顔が引きつる。


「あ? なに、その顔? ぼったくりなの? この店ぼったくりなの?」


「ま、まさかぁ」


 と店員の後ろで強面たちが何やら連絡を取る素振りを見せている。よきよき。


(こういうことをやらせるとホヴァンは美味いよなぁ)


 まあ半分以上は酔っぱらって天然ぽいが、さて、俺の仕事は。


「会計は俺らが持つ、だから逃げな、ここはマフィアが後ろ盾のぼったくりだぜ」


 と客に絡むふりして忠告する。


「は、はい!」


 何となく察していた客は、そのまま逃げるように帰宅準備をして、逃がさないとして店員が立ちはだかるが。


「っと、だから言っただろ? 俺らが会計持つから、ね?」


 と店員に肩を組む形で絡み、適当な事を言いつつ逃がし続け、客は俺達だけになる。



 一時間後。



「ヤーレンソーランソーラン♪ ひゃっほい!!」


 とホヴァンは、酒をラッパ飲みしながら、半裸で踊り狂っている。


「あ、店員さん、このメニューで持ち帰りできる奴全部包んでね」


 俺は食料を注文する。


「お、おきゃくさま」


 と出入口やら後ろやらで明らかな強面で固めている状態で顔を引きつらせながら話しかけてくる。


「ん? なに?」


「へ、閉店のお時間でございます」


「はいはい、おいくら万円ですか?」


「き、き、金貨3枚でございます」


「はああぁぁぁぁ!!??」


 と俺じゃなくてホヴァンが絡んできた。


「ざけんな!! ぼったくりじゃねえか!! おい!!!」


 とターゲットのマフィアを指さす。


「お前マフィアだな?」


「あ、ああ?」


「ああじゃねえよ!! 知ってんだぞ!! ここがぼったくりって!! マフィアってのは、あれだ!! 弱きを助け強きをくじくのが発祥なんだろう!?」


「ぐっ」


「えっと! ギリアン! なんつーんだっけ、お前の国の言葉で、お前のところの国のマフィアが掲げてるやつ! なんか、似たような言葉で! にんぽー、にんじん、ほら!」 


「任侠」


「そう! ニンキョウだ! お前らにはそれが無いのか! って任侠ってなんだ!?」


「面目を立て、義理を重んじ、弱きを助け強きをくじく生き様の事だよん」


「え!!?? お前の国のマフィアってそうなの!!??」


「なわけねーだろ、今は家族騙って金を騙し取ることに心血注いでいるよ、大幹部って呼ばれている奴らは全員それで成り上がってる」


「より最悪じゃねえか!! おい!! お前らそれでいいのか、このチンピラが!!」


 酔っぱらって、訳が分からない状態で絡んでいる。


「~」←笑いを堪えているガクツチ


「お、おい、てめえ」


 と俺なら絡みやすしと思ったのか、胸ぐらをつかまれるが。


「ああああーーー!!! 俺のダチに何しやがる!! 憲兵さん!! けんぺーーさーーーん!!!」


 と半裸で服を頭に巻き付けた状態のホヴァンがドアを開放して思いっきり叫んだところで。


「これはこれは、善良な市民の、ぶふっ、ど、どうしました?」


 と笑いを堪えきれていないルード率いる憲兵が現れた。


 ここでやっと察するマフィア達。


「て、てめえ」


「けんぺーーーさん!! アイツらが俺のダチンコに!! ボーリョク振るわれた!!!」


「それはいけませんね、さて、被害者さん、どうします?」


「やっちゃってください」


「よし!! お前ら全員逮捕だ!!」


 と憲兵隊全員が戦闘態勢に入るが。


「嵌めやがったなぁ!!!」


 とマフィアがせめてもの意地とホヴァンに殴りかかる。



 そしてカウンターの形で「ジャイアン流めり込みパンチ」がドカっと炸裂する。



 マフィアはそのまま吹っ飛んで凄まじい音で壁にあたり失神した。


「…………」


 空気が凍り付く。


 ホヴァンは、クラスD冒険者であり、戦闘職。


 だから喧嘩は滅茶苦茶強い。


「やったるわい!!!」


 と何故かホヴァンが音頭を取り大乱闘が始まった。



――そんなこんなで。



 酒瓶はほとんどが全部割れて、椅子やら机やらは全部ひっくり返った状況。


「ぐ、あ」


 と大けがを負って憲兵に連行されるマフィア含めたぼったくり店員。


「グガー! グガー!」


 と床で大いびきで眠るホヴァン。


「ぶふっ、なあ、ギリアン」


 とルードが話しかける。


「分かってる、連れて帰るよ、まったくコイツは」


 まあでも、なんか憎めない、だからこそ故郷が困っていると聞いて助けたんだけどな。


「こいつらぶち込んだら、俺も遊びに行くぜ」


「おうさ、なあルード憲兵少尉殿」


「なんだね?」


「ここにある酒とか食い物とか」


「どうせ、ろくでもない金で買ったものだ、それは「副報酬」として認めよう」


「よっしゃ!」


 と一件落着したのであった。



――そして次の日



「まったく、あの、甲斐性無しは」


 と大家さんは愚痴りながら、ガクツチのギルドに向かって歩いている。


 婦人会での旅行を終えてお土産を買ってきてくれたのだ。


(思えば妙な縁で店子にしたもんだ)


 ガクツチのギルドは、元は使っていない倉庫だった。


 いや、倉庫というよりも死んだ父親の元秘密基地らしく居住設備も整ったものだった。


 なんてガキな事をと思ったものの、そのまま受け継ぐ羽目になった。


 人に貸すことも考えたが、裏通りなんてあまり治安が良くないから真っ当な借り手なんてつかないし、たまに掃除に行くぐらいで持てあましていたのだ。



 そんな折、掃除に入った時に、勝手に中に入って休んでいたのが出会いだった。



「このルンペンが!! 勝手に入るの犯罪だよ!! さあ憲兵に突き出してやる!!」


 といった時、ガクツチはこういった。


「お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いします!! ここ追い出されたら行くところないんですよーーーー(´;ω;`)ウゥゥ」


 と拝み倒されるとは思わなかった。そして結局店子として貸すとは思わなかった。


 理由を付けるとすれば、あまりにも必死で懇願されたこと、そしておそらく、嘘つきではないのでないか、なんて思った事、理由を付けるとすればこんな感じか。


 家賃はどうするんだと聞いたところ、冒険者で稼ぐとのことだった。


 冒険者か、なんというか物好きの集団というイメージがあるが、とりあえずは真っ当な道で稼ぐと言ってきた。


 良いギルドが無いかと言ってきたので、町会仲間であるギルド・ドードを紹介、冒険者となった。


 真っ当と言えど、身一つで金を稼ぐのは大変だというのは、何処も一緒、大丈夫かと思い聞いてみたらドード曰く「割と腕が立つのではないか」との評だった。


 そして幾度の滞納を挟みながらも、細々と家賃は支払い続け、クラスDに昇格したら独立して事務所まで開いてしまった。当然閑古鳥が鳴いているけど。


 まあでも、嫌いじゃないか、ああいう馬鹿は。


「邪魔するよ」


 とギルドのドアを開けた時だった。


「うわ、酒くさ!」


 と中に入った先の、居住スペースで。



「「「ZZZZZ」」」



 と3人がギルドの床で雑魚寝をしていた。



「…………」




「この三馬鹿トリオが」



おしまい




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