神様のはなし
人々は、ある日神様にお願いしました。
「どうかこの地をきれいにしてください」
神様は答えません。
人々はお願いしました。
「神様、私の宝を差し上げます。だからどうか大地をきれいにしてください」
神様はそれでも答えません。
人々はさらにお願いしました。
「神様かみさま、私の娘を捧げます、だからどうか大地をきれいにしてください」
神様は遠い目を向け、人々から目をそらしました。
人々は、互いに言い争いをはじめました。
神様が大地をきれいにしないのは、態度がよくなかったからだ。
宝が気に入らなかったからだ。
はたまた、娘が美しくなかったからだと。
そうして言い争いをするうちに、大地はどんどん黒く染まっていきました。
どうしたものかと皆考えあぐねていると、一人の老人が
「神様はむかし歌がお好きだったはず」と話し出しました。
人々は集まり、神様の前で歌を歌い始めました。
舞を舞いながら、皆で集まり何日何日も歌い続けました。
すると今まで黙っていた神様が
「うるさいくてかなわない」とついに対話をしてくれるようになったのです。
その日から、神様は人びとと約束をしました。
「皆が仲良く大地を汚さないよう努力し続けるなら、私はこの地をずっときれいにし続けよう」