1-4 Dungeon Survey
19
「起きてください。」
「んにゃ……あ、ソリスか。」誰か叩き起されるようにされたので眠気を感じながら起きるとソリスが普段着に着替えて僕を起こしに来ていた。
「そうですよ......ふわぁ。あと寝てるの湧太だけですよ。」
「そっか……なんか早くないか?」
「私もそう思ったんですよ。珍しく普段起こす側のアリシアに起こされましたし。」ソリスはそういうと髪を掻きながら欠伸をした。
「なんでだ?」
「なんかアリシアが言うにはダンジョンに行きたいから早くダンジョン探索の枠が埋まる前にやろうよ!ってことらしいです。確かに優先権とってないから早く行かないと間に合いませんし、ルーナカミの登録もしないといけませんしね。」
「あぁ、そっか。ルーナカミの登録もまだだったな。」
「そうですよ。ふわぁ、とりあえず早く着替えておいてくださいね。」
「おう。わかった。」
「では、私はちょっと外に出てます。」ソリスはそういうと軽くあくびをし、外に出ていった。僕はそれを確認したあと着替え始め終わると外に出てソリスともう1回挨拶した。
「終わりましたね。」
「みんなは?」
「おっはよ!」僕がそう言った瞬間アリシアが後ろから思いっきり首を絞めるかのごとく抱きついてきた。痛いし背中柔らかいし地味に苦しいし力強いし……何だこの状態。天国なのか地獄なのかハッキリさせてくれ。
「おはよ〜。おうおう〜朝からスキンシップ豊富ですね〜。」
「ちょっ…苦しいからはよやめろよ。」
「ほら、やめた方がいいって言ってますよ。」
「ちぇ!」アリシアはそう言うと抱きつきをやめてくれた
。ふ〜。危なかった。どっかイカれるところだったぜ......
「ふ〜。……ところでルーナカミは?」
「あぁ、ナサールと一緒に洗面所行ってるよ。なんか見た目の年格好が同じぐらいだから気になるんだろうね。」
「確かにな。そういえばルーナカミの年齢って何歳なんだ?」
「服買いに行った時についでに聞いてみたけど9歳って言ってたよ。あと何ヶ月かで10歳だって。」
「じゃあほんとに見た目は同年齢ぐらいなんだな。」
「そだね〜。あ、来た!」
「あ、おはよ〜。」
「おっはよ〜。」ルーナカミが階段を駆け上がるとアリシアはそう言うと思いっきり抱っこした。ほんとに大好きなんだな。スキンシップ。
「うぉっ!……おっぱいおっき〜い!」
「えへへ〜。」
「ちょっと2人とも?」
「いや、双方共スキンシップ大好きなのか。」
「そうらしいね〜。」
「うん!ところでナサールは?」
「あぁ、ナサールはまだ髪結わいてるよ〜。あんだけ長いんだね〜。予想以上に長くてびっくりしたよ!」
「まぁ、最初の長さには驚くよな。」
「そうですよね。ところで2人の抱っこはいつまでやるんですか?」
「ん〜。喜んでるのもあるし別にこれぐらいの重さだったらあまり負担にもならないから朝ごはんぐらいまではこのまま抱っこするつもりだよ。ダンジョン向かう時はさすがにしないけどこっからギルド行くまではちょっとまだ保留って感じ〜。」
「パワフルだね〜。」
「そうなんだよ〜。」
「じゃあ、ナサール迎えに行くのも兼ねて下に降りましょうか。」
「そだね〜。」僕たちはそう言いながら下に降りていきまだ眠そうなナサールを迎えに行きその足で朝飯を食べギルド所に向かった。
「今日は一旦こっちか。」
「そうですね。登録しなきゃいけないですし。」
「あら。こんにちは。その子は新しい子ですか?」
「ん!そう!」
「では、登録しに行ってくださいね。」
「行ってくるね〜!」そのあと、僕たちはチンサンのところに行きルーナカミの背を測って貰った。身長は128cmとナサールよりちょっと小さい程度で9歳の後半の割には小さいと思った。まぁ、奴隷には余り食費も使いたくないだろうからあまり食べさせないだろうし、奴隷の家は貧乏であまりましな食事もないだろうし当たり前と言えば当たり前か。
「次は魔力を測りますね。」
「測り方分かります?」
「ううん。分からないよ。」
「じゃあ、教えますね。」チンとサンはそういうとルーナカミに魔力測定のやり方や魔法属性の測り方を教えた。
「それでは魔力を込めてください。」
「ほいほーい。」ルーナカミがそういうとビー玉がいきなり眩しく輝いた。なんか輝き方他の人とかなり違うな。
「全種類対応ですか……」
「かなり珍しいですね。」
「もしかして、これ、チート能力か?」
「まぁ、そこら辺は魔力測ってみないとわかりません。」
「では、魔力測定を同じようにやりますよ。」
「ほーい。行っくね〜!おぉ〜え!?」ルーナカミが魔力を込めると、水晶玉が白く輝き出したと思ったらパリンと大きな音を立てて割れてしまった。怪我とかないか心配になる割れ方したな。
「……はい。」
「割れましたか。」
「は?」
「どうすんの?」
「どうこと?」
「割れるってなんだよ……有り得んのかよ。」
「弁償ですかね……?どれぐらいお金かかりますか?」
「いえ。そこら辺は大丈夫です。」
「ちょっとヨーレ呼んでもいいですか?」
「なんで?」
「ヨーレもこの子と水晶玉割った人なんでどれぐらいか分かるんですよ。ちょっとまっててください。」チンはそういうとどっかに行ってしまい、サンは箒とちりとりで割れた破片の後始末をしていた。1分もしないうちにヨーレが「ほいほーい。お!?この子が割った子!?」と駆け寄ってきた。
「うん。ごめんね。」
「いいよいいよ〜。で、どんな感じに割れたの?」
「魔力を込めると白く輝きそのあと、見た通り何個かの破片に割れました。」
「結構早いタイミングで割れちゃったので恐らく直ぐにキャパオーバーしてしまったんでしょうね。」
「ふーん。でも、少し持ったんなら私よりかは大分少ないね。」
「え?」
「ただでさえ割れてるのにその上があるのか?」
「うん。私の場合置いた瞬間何個の破片にぶち割れたからね。そのまま力送った瞬間粉々に割れちゃったし。」
「なんでそこまで割れちゃったの?……」
「対応魔力の数倍の力持ってたからだね。今でも改良は続けられてるけどボクが使えば一瞬で粉々になっちゃうね。」
「そんなにあるんだ〜。えーとこれはどうすれば?」
「今のところは予備があるので大丈夫ですね。」
「変えのふたつめも道具召喚魔法で当日の昼ぐらいには届くので安心してください。」
「そうなんだね〜。」
「割れるって結構あるのか?」
「ヒビが入るってことを割れるに分類するなら数年に一回ぐらいですがありますね。一応毎年改良は重ねてるんですけどね。」
「うん。そうだね。ちなみにボクは毎年それの最高級ブランドを買ってるんだけど毎回ボクが持つだけで白く光ったりすぐヒビ入っちゃうしもちろん魔力込めるとすぐ割れちゃうね。ま、最高レベルの更に上越すやつに対応されても逆に心配になるけどさ。もちろん嬉しいは嬉しいけどそれとそれとは違う問題もあるし。私に合わせたらそれこそ世界の魔力測定の均衡がぶっ壊れるからそのままでいても大丈夫だし。」
「均衡がぶっ壊れる?」
「そそ。ボクってこの国ではトップクラスでダントツって感じだからね。だから対応すると大抵の人が大分下方修正食らっちゃうから対応しない方が助かるんだよ。」
「まぁ、確かに平均値ぶっ壊すよりかは未対応で我慢するのが1番ちょうどいいのかもな。」
「とりあえず、ヨーレさん。これなんて書けばいいんですか?」
「あぁ、割れたため計測不可能とでも書いてくれたらいいよ。上限突破してるってことが伝わればいいから。割引もそれで十二分に分かってくれるし。で、私一旦戻っていい?人待たせてるんだよね〜。」
「あぁ、はい。構いませんよ。」
「じゃ〜後でね〜。」
「ほーい。」
「また後で。」僕たちはそういいヨーレを見送った。そのあと、書き記し、「それでは、最後にレベル判定を行います。」と言って始めた。いつも通り慣れた手法で石版を持たせて説明し、またルーナカミが力を込めた。
「えーと。測れましたね。」
「はい。それでは行きます。攻撃Lvは174魔法Lvは200体力Lvは176ですね。総合Lvは180で、どれもかなり上ですね。特に魔法は上限そのままなので全部の魔法が使えることになってますね。」
「へ〜。良かったじゃん!」
「そうですね。しかも多分その魔力量なら無詠唱魔法も使える……これば教えがいが捗りますね……」ソリスはそういうとニヤリと怪しく笑った。なんか怖い......教育ママみたい。
「優しく頼むね。」
「そこら辺はご了解ですよ。」
「ま、結構当たりみたいなもんで助かったよ。 」
「だよな。」
「ね〜ね〜次のとこ行こ〜。」
「そうですね。では、次の部屋行きましょうか。」
「ありがとーねー。」
「はい。」
「ありがとうございました。」2人は頭を下げ僕たちはそれを見送るとべアンの部屋に行った。
「おはよ〜!」
「おはようございます。あれ?今日は誰かひきつれてますね。その子を登録しに来たんですか?」
「ん!そそ。」
「ということでお願いしますね。」
「分かりました。では、ここに自分の名前とか書いてくれませんか?」
「……」
「ん?どうかしました?」
「あ、えーと。」
「この子文盲で自分の名前以外書けないんだよ。」
「あら。」
「そうなの……。あまり勉強出来ないほど貧乏だったからね。」
「代筆ってできますか?」
「構いませんよ。」
「じゃあ、ルーナカミ、私が代わりに書いて大丈夫ですか?」
「うん。自分の名前以外はお願いね。」ルーナカミはそういうと自分の名前をぎこちなく書いた。そのあと、ソリスに代筆を任せて幾つか質問に答えさせて書き込んだ。そのあと拇印をまず、ルーナカミが押し、そのあと代筆証明として、ソリスが押した。
「はい。あ、そういえばさっきヨーレたちがここ横断してたんですけどなんかありました?」
「いや〜、魔力で水晶玉を割っちゃってさ。」
「水晶玉を?それは災難ですね。」
「まぁね。」
「怪我とかは大丈夫でした?」
「そこら辺はだいじょ〜ぶ!」
「なら良かったです。それでは、次の部屋どうぞ。」
「ほいほーい。」そのあとヨーレの部屋行き説明をしっかり受けた。
ヨーレ曰く、今回のルーナカミの年齢はまだ12歳に達してないので見習いになるらしい。まぁ、見習いになったとて何が変わるのかと言われたら何も変わらないのが正解らしいが大人の制度は色々難しいので分からないところで変わってたりすることもあるのだろう。
で、そのままギルドの任務は受けていいらしい。ヨーレが言うには最初の時はこういうチームができたよと通告するために必要なのだが追加メンバーは追加された人が単独で何かを買わない限りは平気なので大丈夫らしい。もちろん、ちゃんと注文するのを前提にだし、カードも翌々日ぐらいには発行されるのだが。
と、言うことで依頼を確認して今回はまだ余ってたダンジョン任務にした。余っててよかった。
「へ〜。昨日できたあそこのダンジョン行くんだ〜!」
「そだよ〜。」
「初心者ですけど行けますかね?」
「うん!気をつけることは敵の巣窟にこっちが生身で入ってるんだから通常任務よりもきついしかなり難しいけどさ〜。行けるか行けないかの単純な答えなら制限ないから行けるよ〜!」
「なら、良かったですね。」
「ん〜。」
「ちょっと不安な気もするがアタッカーもかなり強いし魔力量豊富な方もいるし、ヒーラーもいるし結構心強いな。」
「ん。頑張る。」
「私も私も!」
「OK!なら15000ルナシェスちゃんと支払ってね〜。支払わないやつに行く権利はないから〜。あ、それと、」ヨーレはそういうとメモ帳を取り出しソリスに渡してきた。
「メモ帳ですか。」
「そう!今回の場合新ダンジョンだからさ、中に何があるか分からないの!だから内部の状況をメモ帳に書き記して欲しいの! 」
「分かりました。それでは受け取りますね。」ソリスはそういうと15000ルナシェスを支払ってメモ帳を貰い確認の後、挨拶して、出発することにした。
「じゃあ、行く前に必要なものでも買い揃えますか。」
「そだね〜。食料と、食器それと麻袋も忘れずに〜。」
「麻袋?……ドロップ素材か?」
「そだね〜。それと何を倒したかがよくわかるための1素材を摂る為だね〜。」
「だとしたら、水筒も、買わないと、」
「どして?」
「魔獣には毒のある血を薄めて薬にしたりスライムの液体を使って洗剤を泡立てやすくしたりと液体でも色々使うことが多いからね。さすがに溶解液とかはなんも使う要素ないからとったりはしないけど。」
「あれ?水に溶かして肉柔らかくするのに使うんじゃないんですか?」
「それ、ガセ。確かに、柔らかくは、なるけど、溶解液には、大抵、体を麻痺させる、能力も、備わってるし、熱したり、薄めたり、しても残っちゃうから、無理だね。罠肉に、使える程度、だったはずだけど、多分それが、ガセとして、伝わったの原因かな?」
「あら、ガセなんですね。」
「ん。そ。とりあえずいこ。」
「そだね〜。」僕たちはそのあと食器や食材などを色々買い揃え矢の確認もしっかり行い、ダンジョンに出かけた。
「ここですよね。地下に階段もありますし。」
「そだね〜。お?」
「なんか出てきたな。」
「スライム?」
「そうみたいだね。」
「すぐ出て……帰ってったな。やっぱり明るいところは苦手なのかな。」
「そうかもしれませんね。さて、中に入っていきましょうか。」ソリスはそういうとダンジョンを下ってった。中は青白い光に包まれており、青い松明みたいなのが数個用意されていた。そしてやっぱり最初にスライムが何匹かいた。
「しゅわ。」
「しゅーわりん!」僕たちがじっと見てると、青いスライムが急に襲いかかってきた。
「危な……うおっ!」
「入口から戦闘ですか。」
「スライムってどう倒すんだ?そもそも打撃は通るのか?」
「ハンマーとかならともかく剣とかそういうのは通らない。ハンマーで全体ぶっ壊すか火で蒸発させるのが1番いい方法。」
「水をパンパンに入れて爆発させたりとかもあるんですけどね。あと凍らせたり。」
「そうか。ファイラスト!」僕はそれに答え火でスライムの体を燃やした。
「スライムの色ってなんかあるの?」
「得意魔法です。青い場合水魔法とかが得意であまり攻撃が通りにくかったりするんですよ!アイスドルン!アリシア!」
「どりゃ!次!」僕たちは色々なことをやりながらスライムを順繰りに倒して行き、倒した。……あれ?ルーナカミどこだ?と思ってたら何事もなく倒して戻ってきた。
「あれ?どしたの? 」
「いや、どこ行ってたの?」
「倒そうと追っかけてたらちょっと奥入り込んじゃっただけ。ちょっと時間かかったことは確かだけど倒せたから安心して!」
「そうか。ところで魔法使ったのか?」
「うん!昨日の夜ら辺にソリスから基本の魔法は教えてもらったからね。」
「はい。火魔法と水魔法、氷魔法と草魔法、岩魔法を各種数魔法ずつ覚えさせました。これからは魔力とかが沢山あることが言われましたので魔法の呪文を覚えないと行けませんね。文字の練習もありますしね。」
「え、えへへ。」ルーナカミは少し困った様に言った。やっぱりちょっと勉強とかしてこなかったから今そのツケが来ちゃってるのか。
「それにしても……中結構整備されてるんだね。。」
「そうですね。
「結構広いしね。」
「元からダンジョンってこんな感じなの〜?」
「いえ。ダンジョンにも色々ありますからね。まるっきりこの感じが続くのもあれば自然の洞窟のようになってるところもありますし。ただ元鉱山がダンジョンになったのなら今はこんな感じでも下の階層行くと洞窟のようになってしまうかも知れませんね。」
「鉱山がダンジョン……ね。ちょっとめんどくさいかも。」
「もしかしてダンジョンの中魔晶石に包まれてるんじゃない!?」
「可能性はありますね。魔晶石は地中にある魔力を吸い取って成長するので何百年もたってればそこら中魔晶石がありますかもね。」
「魔晶石か。採掘はできるのか?」
「できるとは思いますけど今回の目的はどちらかと言うとこのダンジョンを調べることなんですからそれは後でやりましょう。さて、先行きましょうか。」
「そ〜だね〜。行こか〜。」マレはそう言いながらクルクル回った。そのあと僕たちは10分15分中を進み看板と階段の前に立った。
「お〜。」
「まだ続くんだ!」
「結構下まで続いてるんだな。」
「看板もあるね〜。なんて書いてあるの?」
「かなり汚いから結構昔のものだね。」
「そうですね。文字かところどころかすれてますし、埃も1部被ってて見れませんね。えーととりあえず古語みたいな言葉なので補いながら言いますね。」
「了解〜。」
「えーとふ〜。この先、鉱山への入口、小規模の崩落が確認された場合、えーと、多分道から戻りなさい的なことでしょう。」
「まぁ、数百年も立ってりゃ崩落しそうな道も増えてるしちょっとはリスクを承知の上でやらないと行けないけどな。」
「それと、魔晶石は全部とると……とか色々書かれてますけどおそらく、こっから先は全部鉱山のルールだと思いますからね。見なくてもいいでしょう。さて、こっから鉱山、もっと言うと閉山してしまった鉱山ですのでさらに注意が必要です。昨日ペアンが言ってた通り、魔晶石が多くあると強い魔獣が生まれやすいので戦いが連続で続く可能性も多いですよ。気をつけてくださいね。」
「おkおk〜。」
「分かった。」
「いいよ〜。」
「ん。分かってる。」
「よっし〜!頑張ろっか〜。」
「では降りましょうか。」ソリスはそういうと階段に足をかけ降り始めた。僕たちもそれに着いてった階段の道は最初こそ整ってたがそのうち簡素な岩で作られた感じのやつになり、洞窟感が増してきた。
「ほっほっほ!おぉ〜!ここが第2階層か。」アリシアが先行して飛び降り楽しそうに言った。中はほんとに洞窟って感じで中に色んな色や大きさの魔晶石が光りながらチカチカしてた。眩しい......
「お〜。」
「洞窟感強いな。当たりか。光ってるのが魔晶石か?」
「そうですね。」
「少し、暖かい。魔力が流れてんのかな。」
「たしかに暖かい!なんかドクドクしてるし〜。」
「ドクドク……?あ、ほんとだ。生きてるみたいだな。」
「お、ほんとだホントだ!」
「面白いですね。」
「魔力入れるとどうなんだろ〜。そ〜れ。面白い面白い!どんどん暖かくなってくるよ!」ルーナカミがワクワクしたように言うとどんどん明るくなり始めた。さらにドクン!ドクン!とどんどん振動と音が大きくなり周りからもわかるレベルになった。楽しそうだけど大丈夫なのか?
「もっと〜!もっと〜!」
「ちょっと!どこまで魔力入れる気なんですか!?」
「え?入れられるまでだよ?」
「でももう割れそうだよ?すごい勢いで揺れてるし。」
「ルーナカミの魔力もすごい勢いで減ってると思うよ?」
「ん。」
「大丈夫大丈夫。自然回復レベルでやってるから〜。」
「え?つまりこんなに揺らしてるのに魔力は別に増減してないってこと?」
「そ、そ。何となく魔力の回復量自分わかるんだけどそれと同じぐらいの量を今送ってるの〜。ん〜。」
「どうしました?さすがに魔力量減り始めました?」
「いやさ。さすがに魔晶石割れないな〜と思って。」ルーナカミは不思議に思ったかのように言った。
「そりゃあそうだよ。」
「まぁ、さすがに自然の力が人に負けるわけがねーんだよな。」
「ま〜ま〜。」
「なら、どうする?行く?」
「うんん?ちょっと送る魔力増やしてみるね〜。行っくよ〜!どりゃ〜!」ルーナカミがさらに力を込めるかのように魔力を送り出すと今度は少しずつ魔晶石が膨らみ始めた。
「まずいですね。魔力過多起こしてます。」
「このままだと割れそうなんだけど大丈夫なの?」
「うん!手は暖かいままだし石はどんどん大きくなってるけど大丈夫!うおっ。」ルーナカミはそういうとごろりと転げた青いサッカーボール大の魔晶石を落ちる寸前に持ちながら言った。
「あ、取れた。」
「ちょっとずつ大きくなってるね〜。」
「そだね〜。」
「まだ魔力送り込んでるの?」
「まぁ、ちょっとね。」
「かなり重そうだけど平気なの?」
「見た目よりかは少し軽いよ?やっぱりずっしり重いけど。」
「そろそろ魔力あげるのをやめて見たらどうだ?」
「確かにもう出ちゃったもんね。魔力回復もあるしちょっとやめるかな〜。」ルーナカミはそういうと魔力を込めるのをやめた。程なく魔晶石は光るのをやめ、大きさもバレーボールより少し小さいレベルになった。元々はこれぐらいの大きさだったんだな。
「じゃあ、これどうする?」
「どうするって決めてなかったの?」
「なら戻しておきましょうよ。地脈と繋がっていると思うので魔力補給も兼ねて一旦地中に戻しちゃいましょう。」
「そだね〜。ほいっと。」
「じゃあ行こっか〜。」ルーナカミが魔晶石を元あった場所に戻したあと、アリシアはそういうと洞窟内を進み出した。僕たちもその後ろについて行き2 3百メートルぐらい歩いてると4つに別れてる道があった。
「お〜。」
「別れてますね。どの道に行ったらいいんでしょう……」
「確かだいたいダンジョンとかのやつだと行った道が大体敵まみれなんだけど……」
「それはちょっと避けたいね。」
「そうですね。ナサール。」
「何?探索して欲しいの?」
「そうです。ダメですか?」
「まぁ、いいけど……」
「ナサール探索もできるのか?」
「まぁ。多分呪文さえ知ってればルーナカミの方がもっと広く長く出来ると思うけど。……サーチリング。」ナサールはそういうと地面に手を付きブツブツ言った。
「……ん、えーと、はぁ、かったるいね。……終わったよ。」
「どうだった?」
「んとね。とりあえず戦闘準備しといて。」
「え?」
「お、おう。」
「わかりました。」
「ん〜。」
「いいけどなんで?」
「んとね。4方向全ての道に敵がいる。」
「マジかよ。」
「敵の内容は分かります?」
「1番左、多分スライム大量発生、その右、オークかゴブリン、その次巨大な虫系、多分蜘蛛。最後、蛇。オークと蜘蛛の道のみ後ろが繋がってるからスライムと蛇のところにはとにかく行かない方がいい。」
「う、うん。」
「なんで戦闘準備だ?」
「オークかゴブリンがこっち向かってきてる。多分あともう少しで戦闘になるから注意しといて。」
「わかった。こんな狭い部屋の中じゃあまり矢は使いにくいけどまぁ、火矢使っとけば大丈夫でしょ。ゴブリンもオークも火に弱いし。」
「そっか。オークとかって首切れば死ぬよな。」
「はい。力は強いですけど体の強度は人間と同じぐらいなのでそこまで強くはないですよ。」
「シッ……」
「ん?」
「いや、ほんとに近づいてきた。ゆっくり行こ。」
「ん。」僕たちはそれに合わせゆっくりと、近づきついに5,6体のゴブリンの集団に遭遇した。
「アイシャガ?」
「ドルブェ!」ゴブリン達はそういうと一斉に襲いかかってきた。
「まずはファイラスト!っとドリャ!あぶね。ふん!」
「ヴビェジャジャジャ。」
「笑い声気持ち悪いな。といくら言ってもこいつらじゃあまり気にしないか。おりゃ!」
「ジャッ!」その後、僕とゴブリンは熾烈な戦いを繰り広げた。背は少し大きくて力もあるため劣勢の時の方が多かったがやっぱり稚拙……あまり攻撃とかに知能が足らないから簡単に受け止められる……というかやけに遅く見えるな……もしかしてゾーンか?
「ドリャ!ホッ!」
「ふぅー。」
「今のうちだ。これでとどめだ〜!」
「ウジャグ!」僕はそういうとゴブリンの切りつけを避け腹に剣をぶっ刺した。ふ〜。倒せた倒せた。
「みんなは?」
「私は大丈夫。」
「私も倒しましたね。」
「ん。こっちも平気。」
「イテテ……ちょっと擦りむき傷つきはしたけど大丈夫。というかアリシア結局素手で殺したの?」
「うん。やっぱりこんなに狭いし近づくと弓矢を装備してる間に傷がつくからね。そんなことしてるならぶん殴ったりして倒した方が早いんだよ。」
「弓矢はまだ分かるけど殴打って……やっぱりアリシア力強いですね……」
「まぁ、弓矢を遠くまで引くために筋トレ頑張ったからね。ゴブリンぐらいなら1対1だとすると楽に勝てるし2対1でもギリギリ勝てるよ。オークになると1対1でもかなり厳しいけどね。」
「オークと互角なの?」
「まぁ、オークとゴブリンが半年ほど前に私の故郷、妖精の森に攻めてきたことがあったの。大体半年前かな?みんなは弓矢か魔法でどうにかしてたんだけど私は途中から殴打で倒していったからね。」
「なんで途中から殴打に入れ替わったんだ?」
「ん〜。最初こそ弓矢で戦ってたんだけどその後オークのせいで木から落ちちゃって肉弾戦になっちゃったの。何とか気絶させることはできたんだけど登るより先に殴打で攻めた方が早いと思ったから肉弾戦に移行したんだよ。」
「オークを倒すって……オークって片手の握力100キロはあるんだよ……それを倒せるって少なくともアリシア片手の握力100キロあるってことにならない?」
「ん。そうだよ!」
「わ〜。えへへ〜。力持ちだ〜。」
「だからルーナカミ抱っこした時に特にあまり重さとかを感じさせずに持ち上げたんだな。」
「そ。木に登るためにはやっぱり片手で自分の体重持ち上げないと行けないからね。」
「でも見た感じムキムキじゃないのはなんで〜。」
「なんか知らないけどエルフは筋肉見えにくいからね〜。見た目は痩せてるように見えてるけど本当はムッキムキだよ〜。」
「そうなんだな。」
「ところでいつまでゴブリンの首絞めてるんですか?」
「あぁ、さすがにもう死んだかな?いやさ。腹パンで意識失わせたあと金的やったんだけど一応念の為に首絞めてたの。死んでなかったら困るからね。」
「そうですか。」
「ところで……死体はどうすんだ?さっきのスライムは死ぬと消えていったけどこいつは残るし死んだら腐って酷い匂いになるぞ。」
「じゃあ答えは簡単だよ。耳切り取った後は燃やしちゃって骨と灰だけにすればいいんだよ。」
「それでいいのか?」
「まぁ、特に燃やしても変な匂いとかはしないし煙に毒性がある訳でもないからね。骨の形からしてみて人間を殺したとも見えないしそれが一番ちょうどいいかも。」
「それじゃあやっちゃいますか。」
「そだね〜。」
「わかった。行くぞ。」僕たちはそう言うと耳を回収し、
「「「「「ファイラスティア。」」」」」僕たちはそういうと火魔法で燃やした。かなり豪勢に燃えるな。
「フー。」
「さて、行きましょうか。」
「そだね〜!」
「まぁ、近くに可燃物がある訳じゃないしな。」
「行ここ〜。」
「お〜。」僕たちは特に問題もなく少し話しながら洞窟を20分くらいすすんだ。すると、十字の道がありそこをのっそりと6mぐらいと2m弱の水色スライム親子が渡っていた。デカ……
「で……でかくね?」
「まぁ、大人のスライムはここまで大型化することもありますし。」
「敵対化してこないね。」
「そっちとしてはデカすぎて私たちには見向きもしないんでしょう。」
「逆にこっちからすると助かる。」
「そだね〜。ここまで大きいと倒し方とかよく分からないし。」
「そもそもこの大きさ何年ぐらい生きてきたんだろ〜。」
「大体5 60年ほどでしょうか。スライムの平均寿命は100年ぐらいなので結構長生きですよね。さて、通り過ぎたので行きますか……って、まだ妻がいたんですね。」
「しゅわりん?」
「あ、」
「どうした……?って、おい……」
「ん?」
「どうしたのって、ねぇ。」僕たちは全員呆れたように言った。ソリスがちょっと早めに進んでしまったので両方とも止まることが出来ずソリスの前足がスライムに飲み込まれてしまった。
「よいしょっと。」
「ひゅーわりゆん」
「しゅわしゅ〜。」
「ヒュ〜らゆ〜!」
「おぉ〜。」
「どした?ルーナカミって、」ルーナカミの方を振り向くとルーナカミと同じぐらいの大きさのスライムがルーナカミとくっつきあっていた。大丈夫なのか?
「平気なの?」
「んー。魔力吸われてる感じはしなくも無いけどちょっと冷たいだけで別に平気〜。飲み込まれても大丈夫なくらいには平気だし〜。」
「友好的なんだな。」
「いや〜。恐らく魔力が多すぎるから友好的にしてるだけだと思うよ〜。」
「確かにそうかも。ちょっとずつ飲み込まれてるし。」
「あ、ほんとだ。」
「エヘ〜やわらかーい。冷た〜い。ウォッ……ホッ!」ルーナカミとスライムがくっつきあってると2体の距離はどんどん近づきついにスライムにルーナカミが飲み込まれてしまった。ルーナカミはすーっと軽く浮き上がりスライムの最上部から顔を出した。
「大丈夫なの?」
「だから平気だって〜。」
「でもスライムに飲み込まれてますよ……」
「うん!意外と中は涼しいし快適だよ?魔力もいい感じに吸い取ってくれるからなんかいい感じに生活送れそうだし。」
「いい感じとは……しかも生活って、一生ここで過ごすつもりかよ。」
「まぁ、まぁ。とりあえずスライム通ろうよ。」
「そうですね。スライム、ごめんさないね。」
「しゅーんわんわ。」
「言葉通じるんだ〜。」
「いえ、ただ、もしかしたら大体の動きが何を指してるのか分かってるのかもしれませんね。」
「へ〜。意外だね〜。」
「まぁ、もしかしたら似たような仕草があるだけかもしれないかもな。」
「かもね。さぁそろそろ行くよ〜。ルーナカミ〜。」
「え〜。わかった。ほっと。」ルーナカミはそういうとスライムとなんとなく意思疎通しながらスライムと分離した。
「じゃあーね〜。」
「通りますね。」
「ひじゅ〜ん。」
「しゅ〜わ〜。」
「ひしゅしゅら?しゅ〜ら。」僕たちとスライムは会釈というか挨拶を交わしながらそれぞれ進みたい方向に進んで行った。
「特になんともなくて良かったね。」
「まぁ、私は前足が、ルーナカミは全身が飲み込まれましたけど特に何事もなく終わりましたからね。」
「なんで戦いにもならずに終わったんだろ〜。」
「単純におなかいっぱいだったんじゃない?」
「それか魔晶石とかが近くにあったから餌替わりに取ろうとしてる間に来たからそれより魔晶石の魔脈を取った方が効率とかが良かったからとかじゃない?ま、どちらでもいいけど。」
「まぁ、特になんもなかったし良かったでしょ〜。いい感じに魔力吸ってくれたから体も軽くなったし。」
「体が軽く……?」
「ウン!魔力が多すぎるとなんか言葉には表しづらいけど重くなるんだよね。だから時折魔力排出した方がいいんだけど今回の場合スライムがそれになったって感じ〜。さっき魔法使って敵を倒したけどその魔力も結局すぐ回復しちゃったからさ。」
「回復量もえげつなければ魔力量もえげつないって事なのか。やっぱりそこはもはや人外レベルなんだな。」
「そ〜そ。クンクン……なんか変な匂いしない?」
「エ?」
「匂いってどんな匂い?」
「腐ったような匂いと焦げ臭い匂いが微かにするんだよね〜。」
「焦げ臭い匂い……火炎スライムとかの火炎系の敵ですかね。」
「僕にはなんも感じないぞ。その匂い。」
「ルーナカミみたいな獣人族の犬科は鼻がいいからね〜。」
「まぁ、そこら辺は動物の習性と酷似してるんだ。」
「私は猫なので体が柔らかいですし、ある程度高いところから落ちても大丈夫だし。」
「ウサギ科の場合は結構高所まで飛べるし速く走ることができるね。その代わりちっこいのが多いね。」
「そんな感じなんだな。」
「そうそう。あとちからもちで子供産んでなくても母乳が出ちゃうウシ科とか沢山寝るけど角生えてたりしてるヒツジ科とかね。めっちゃ足が速いウマ科もいるけどイヌ、ネコ、ウサギを除いた3つ以外は少ないね。特にウマ、ヒツジ、ウシ、はまだちょっといるけどネズミ、キツネ、タヌキとかの種族はホントのホントに少数だね。」
「そんな感じなんだな。」
「そ〜そ。」
「ルーナカミ、どこから匂いする?」
「道の先にいることは確かだね〜。」
「焦げ臭い匂いね〜。ナサ〜ル。」
「なに?」
「焦げ臭くて腐ったような匂いする魔獣いる〜?」
「ん〜。魔獣自体なら燃えてるゾンビ、ファイヤーゾンビとかサラマンディドランとかいるけど前者は前者で屍霊魔術師しか呼べないし、後者は魔晶石単体では生まれないからね。それ以外はあまり知らない。ソリスは何か知ってる?」
「いや……魔獣は知ってますけど魔獣大全とかは読んでないのである程度しか知らないんですよね。それがどんな匂いなのかはさらに分かりません。お手上げですよ。」
「そっか。大体燃えながら腐ってるんだったら死んでると思うから大丈夫そうなものなんだけどな。」
「まぁ、いつもならたしかにそうだなんだけど、ここダンジョンだからさ。魔界みたいなもんなんだよね〜。そして魔界には火女族っていう髪の毛や服のようなものが火で出来ている種族があるからね〜。ちょっと何があってもおかしくないよ。」
「なんでもありなんだ。」
「そ。ま、とりあえず戦闘準備しながら行こ。」
「そうですね。」
「ん〜。」
「どうしたの?」
「いや〜、別個体の可能性あるんじゃない?」
「別個体ってAの個体とBの個体がいてAが燃えてるBが腐ってるってこと?」
「まぁね。」
「だとするとAはイフリートドラゴン系列だとは思うけどBは腐ってないといけないんですけど……」
「腐ってる……と、う〜ん、マジックゾンビ?魔獣が腐って魔晶石の魔脈によって動かされてるってことなんだけど……あまり数は居ない。一番怪しいのはウィラナラブル・ランブェルかな?」
「ウィラナラブル・ランブェルかな?って……そのウィラナラブル・ランブェルってんなんだよ。」
「ウィラナラブル・ランブェルっていうのはでっかい犬みたいな動物、腐った肉を多く食べるから腐った肉のような匂いが体に染み付いてるの。」
「ふーん。腐った肉を食うと言うけど今のこの状況で言うと食料として腐った肉があまり出てこないから生きてる肉を食べるしかないから腐った肉はあまり食べないと思うけど……」
「だとすると腐った匂いがするやつは……ランナクスかな?」
「ランナクスね〜。確かにあれなら魔脈だけでも生まれるし変な匂いするよね。」
「ランナクスって?」
「3mぐらいの熊ぐらいのF級モンスター。理由は知らないけど腐った匂いから身体中から染み出してるの。」
「あぁ、それみたいな感じするな。」
「とりあえず行こか。」僕たちはそんなことを話しながら戦闘準備を始めた。
「……あれだね。」アリシアはそう言うと、2mぐらいはありそうな猫と熊を指した。アイツらがその匂いの正体なのか。
「イフリートドラゴンじゃなくて火猫ですか。狭いのに結構沢山いるのもあるから倒しづらいですね。」
「火猫は火魔法聞かないからね……氷魔法が1番友好的だね。」
「あと、特にランナクスは斬るのが効果的。魔力が詰まってる影響で大抵の魔力は吸収しちゃうから。」
「へ〜。それはいいこと聞いたな。」
「溶解液とかは大丈夫?」
「あるね。口には触れないで。死ぬよ。」
「死ぬって対処法はないの?」
「一応かかった所を切れば助かるけど切ったものは戻らないしかなり広範囲にかけてくるからね。あと、シールドなら一撃だけ防げる。結界でも3回までならまだいける。」
「結界……私、作れるの?」
「バリーティングという呪文を言えばできますね。ただ結界を貼ったあとは大きさとか位置とか色んなことを一気に想像して摘出しないといけないため忙しい頭で考えないといけません。なので子供頭にはかなり難しいと思いますね。」
「そっか。」
「私も一応できますよ。」
「ならお願いね!」
「分かりました、ただ魔法を使いまくるので間に合わない可能性もありますので唾は必ず避けて下さい。」
「了解。じゃあ行くよ。」
「あぁ。」
「うん!」
「おけおけ〜。」
「ん。」
「わかった!」僕たちはそう言うとじわじわ近づき一気に魔法で攻め始めた。
「グシャ〜!」
「ゴブドォ〜ン!」
「ファイラスティア!」
「アイスドロップ!」
「おりゃ!」
「ふん。」
「ロッカーズ!」僕たちは火猫やランナクスを切ったり殴ったり、魔法で攻撃を行った。開幕に溶解液が吐かれたがバリアでかわしランナクスを切った。魔力が中に入ってたりしてるせいなのか分からないが見た目の割に硬いものの、そこら辺はさすがラーマ鋼。思ったより重いものの簡単に切ることが出来た。
「湧太!危ない!」
「え?あ、」
「シールディア!」僕の後ろで火猫が火炎爪で攻撃してきたが何とかソリスが当たる寸前に防護魔法を作ってくれて何とか耐えることが出来た。その後、火猫の足に切れ込みをいれ一旦後ろに下がった。
「後ろに下がってくれてサンキュ!」そういうとアリシアは火猫の眼に向かって氷の矢を放ち体の動きを止めることに成功した。
「グラが!」
「ソリス。バリア。」
「分かりました。バリーティング。」
「サンキュ。」ナサールはそういうとバリアの中で力をため火猫に怒涛の蹴りを食らわした。痛そう。
「ナサール。」
「分かってる。アッパー。」ナサールはランナクスの猛攻を避け、ランナクスの顎に特大のアッパーを喰らわせた。2体とも大分今のでダメージを受け、ちょっとよろめいたが倒すことは出来なかった。
「やっぱり大きい分耐久値はかなりあるね。」
「かてぇしな。でも敵も着実と終わりに近づいてるな。」
「じゃああともう少しか。頑張ろ。」
「おう。」僕たちはそういうとさらに5分以闘いを繰り広げた。怪我を受けたら後衛に下がってマレに回復して貰いを繰り返し、何とか倒すことができた。
「シャオーン……」
「グアラッジョ〜……」
「……ふ〜。倒せたね。」
「あぁ。痛って……って、ちょっと怪我してたか。マレ。最後に頼むよ。」
「うん!ヒーリラル!」
「えーと確か火猫の皮って鞣して耐火革装備にするんですよね。」
「うん。私は使わなかったけどエルフの冒険者とかは火猫やサラマンディルの鱗とかを使ってることが多いよ。ちょっと色々あって金属系の鎧つけれないからね。」
「じゃあ、革装備のためにそぐか。ルーナカミ。ちょっとグロいが大丈夫か?」
「まぁ、ウサギとかの皮は剝いでた事があるから大丈夫だと思う。」
「そういえばランナスクはなんか役に立つのか?」
「うーん。魔力を通せる棒として使われることも多いけどどちらかと言うとなんにも使われないから倒した証拠だけ持ってってそれ以外は燃やした方がいいな〜。」
「そうですね。」
「わかった!」
「おk」
「うん!」僕たちはそういうとランナクスの足首の一部を切り取り、1時間弱解体作業を続けた。途中でスライムが来た時もあったがスライムは僕たちよりもランナクスに美味しさを感じたのか、三体でランナクスを食した。
「おい。スライム。何寄っかかってるんだ?」
「しゅわーん。」スライムは弄ぶかのように俺の体に寄りかかってきた。ふと左を見るとルーナカミが首までスライムに包まれながらやってるしアリシアも頭の上に30cmぐらいのスライムを乗せてた。なんなんだこの状況。
「ソリス。」
「なんですか?」
「何この状況。ルーナカミは飲み込まれるしアリシアは頭の上に乗せてるし。俺は俺で寄りかかられてるし。」
「乗せてるというか乗られたんだけどね。」
「まぁ、特に無害なんだし良くない。」
「そだね〜。私のやつなんて魔力吸われてすらいないからね。」
「じゃあこのまま続行するのか。」
「まぁ、興味が無くなればいつかはいなくなりますからね。」僕たちはそういいながら進めた。その後10分間は延々と肉を解体しスライムをひたすら無視してたさすがにここまで無視されるとスライムも興味をなくしたらしく右端ぐらいで永遠とまっていた。
「ふぅ。」
「終わったな。ルーナカミ。大丈夫だった?」
「まぁ、かなり長く飲まれてたけど吸われなかったからそこら辺は大丈夫。」
「スライムは……食べてる感じなんだな。」
「まぁ、スライムにとってはなんでも食べれるいいえさだからね。カチューシャ後でなおさないと。髪ズレちゃった。」アリシアはそう言うと一旦カチューシャを胸の中にしまった。
「じゃあ戻してから行きましょうか。」
「なぁ、今何分だ?」
「え?時間ですか?ダディワス。10時ちょっと前ですね。」
「そっか。まだ昼飯には早いか。」
「まぁ、今回については沢山運動してるんですから早めに昼飯にでもしとくのも悪くはないかもですね。さすがに10時ちょっと前は早すぎますが。」
「そだね〜。」
「ん。まだあまりお腹すいてないしね。」
「ならなんでもないや。忘れてくれ。」
「ん〜!わかった!」
「うん。……よし。直った。直った。じゃあ行こっか。」アリシアはカチューシャを直してすっと先に出て歩き出した。なので僕たちもその後ろについて行き歩き出した。歩き始めてからさらに20分ぐらい経つと死肉を食らってる1m半は余裕でありそうな蟻が道を塞いでいた……
「……蟻かよ。デカすぎねぇか?」
「魔界でも見ないサイズだね。ダンジョンにはこういう巨大化した昆虫が出ることが多いけど。」
「倒さないといけないの?」
「恐らくその可能性も高いですけど今食事中なのでゆっくり少し空いてるところを通り過ぎれば大丈夫だと思いますそっか。じゃあ私下通るわ。ホッ。よいしょ。」
「 じゃあ私は上でも。」ナサールとアリシアはそういうと上下から蟻を避けるようにした。上はともかく下は触れる可能性とかもあるしかなりリスキーだよ……よくバレなかったな。
「じゃあ私たちはしっぽ側でも通りますか。蟻酸吐かれたら終わりですけどシールド貼りながら行けば大丈夫ですので。」ソリスはそういうと、蟻のしっぽにシールドを貼り細くなってる蟻と壁の隙間をぬって進んだ。
「シャカカカカ……シャカカカカ……」
「何この音。」
「多分咀嚼音だと思います。」
「お〜い。早く行くよ〜。」
「待っててくれ 。」
「もうすぐだからね。」
「よいしょ。」
「ふ〜。」
「出れた出れた。アリシア。あの小ささをくぐりぬけるのよくできたな。」
「だってあのスキマ私だったら通れなさそうだったもん。下通った方が早かったし。ナサールみたいに天井近くまで飛べるわけではないし。」
「えへ。上方向に結構なスキマあったから行っちゃった。」
「とりあえずあんなでかい蟻と戦わなくて良くなったのはかなりいいな。昆虫結構ミリサイズでもかてぇし強いし力持ちだからこんなサイズだとかなりすごいことになりそう。」
「まぁ、実際巨大昆虫に襲われて数十人が死ぬこともありますからね。」
「じゃあ、早く行こうか。気づかれたらバレないようにしてきたのが台無しになっちゃう。」
「そうですね。」僕らはそう言いながら巨大蟻から離れた。そのあとすぐ、階段があり下ると、第三階層に突入した。
「ここが第三階層か……よいしょ。こんなにでかいのも魔晶石か。」
「そうですね。地面に横たわってる中ではかなり大きいですが見た感じ何個かのやつが繋がってる感じですけどね。」
「そうだね。ルーナカミ渡れる?」
「でんぐり返しすればできるよ。ホイ。」
「大丈夫そうだね。」
「そうだね。ホッ。」
「というか体柔らかくない?なんか変な感じのでんぐり返しした気がしたんだけど。」
「よくわかったね。私こんなこともできるからね。」ルーナカミはそういうとI字開脚をした。……おぉ、柔らかいな。
「柔らか!」
「まぁね!」
「長座体前屈ってどんぐらいなんだ。」
「長座体前屈?何それ?」ルーナカミがそう言ったので僕は実演をしながら説明した。
「なるほど。こういうこと?」ルーナカミはそういうと長座体前屈をしたがペトンと頭が地面に付き、完全に2つおりになっていた。人間の2つ折り……関節ぶっ壊れてそう。
「……柔らかさの範囲超えてない?」
「うん。そうだよな。」
「柔らかいと言っても手の指とつま先が着く程度かと思ってましたよ。柔らかさの度合いが桁違いですよ。」
「そうかな?」
「あぁ。」
「ん。普通そんなことしたら関節ぶっ壊れて折れるよ。」
「回復魔法とかいる?」
「いや。いらないよ〜。よいしょ。まぁ、こんなことも出来るんだし大抵の怪我はある程度受け流せるよ。落ちるとかは無理だけど腕の骨折とかならギリギリ関節で受け流せるし。だから安心して〜。」そう言うとルーナカミは背中を180度曲げてそのあと戻した。ほんとに柔らかいんだな。
「う、うん。」
「分かりました。」
「よーし。それじゃあ。行こっか。」
「そだね。」
「あぁ。」僕たちは喋りながらさらに先に進み、変な沼地帯が見えたところで止まった。
「なんだここ?毒沼か?」
「いや〜。よいしょ。ちょっとネバネバしてて臭いけど、オーディメンス・ウォメンター。毒って感じじゃないな。少なくとも飲まなければ大丈夫だと思う。」
「とはいえ結構深そうですね。見た感じボートもなければ木材とかもないですし、泳いでいくのが得策なんですかね。」
「足がつけば歩いていくこともできそうだな。」
「となると水着に着替えないとね〜。」
「そだね。」
「あぁ。って、アリシア!」
「ん?何?どした?」アリシアは上着を脱ぎ上半身素っ裸の状態で言った。いや、ここで脱ぐなよ!
「アリシア何脱いでんだよ。」
「嫌だって着替えるんでしょるだったら先ず裸にならないといけないじゃん?」アリシアはそう言いながらパンイチになり今そのパンツすら脱ごうとしていた。おいおい止めろ止めろ。
「それにしても今の今まで曲がり道だったんだからそこに隠れるとか色々あったじゃないですか!ダディワス。」ソリスはそう言うとアリシアの水着を投げ、曲がり角の方に押しやった。あ、これ、ソリス本気で怒らせちゃあヤバいやつだ。
「もう。恥ずかしくないのに。」
「そっちが恥ずかしくなくてもこっちが恥ずかしいんです!ちょっとみんな待っててくださいね。」
「あ、あぁ。」
「まさかあんなに節操ないとはね。まぁ、水着があれだからこの際裸でも余り変わらないと思うけど。」
「一応念の為だよ。」
「私は着替えるのかな?」
「天井高いし別にいーんじゃない?着替えなくても多分空飛んでけばいいんだし。」
「確かに。」僕たちがそういつてるとソリスが「やっとあそこで着替えてくれましたよ。私達も水着に着替えないと行けないんですし行きましょう。ダディワス。湧太。あなたもこれで水着に着替えておいてください。」
「了解。」僕たちはそういうとお互い離れて見えない位置に移り水着に着替えた。
「じゃあ、水の中に入っていきましょうか。」
「そだね〜。」
「いこいこ〜。」
「ん。」
「わかった!」
「そうだな。」
「よーし!出ぱ〜つ!」アリシアはそういうと水の中に入っていった。僕たちもそれに続くような形で水の中に入ってった。ちょっと粘性はあるけど別に汚いとかそういう感じでは無いな。匂いもあまりしないし。恐く地下水が溜まってるのだろう。
「かなり深いな。」
「そうだね。私でも腰まで浸かってるもん。ナサールとかルーナカミとかは途中で泳ぐ必要性があるかもね。」
「もう私は泳いでるよ? 」ルーナカミがそう言ったので後ろを向くと確かにルーナカミは犬かきをしていた。
「あ、ほんとだな。」
「私も、そろそろかな。」
「あまり水飲まない方がいいかもしれませんね。これでお腹壊しちゃったら大変ですし。」僕たちはそう話しながらさらに水底へ進んで行った。いちばん深いところではソリスもぽんぽんとジャンプしないと口より深いところに水が着いてしまい僕とアリシアも顔の間近まで迫るほどになってしまった。その状態で100mぐらい歩いてるとなんか体に違和感が生じるようになってきた。なんだろうこれ。まぁ上がって見たらわかるか。
「なんか体についてるような違和感あるんだが。」
「蛭じゃない?魔力を吸い取るのか血を吸い取るのかは分からないけどさ。上がったあと素早くとってヒーリラルかけたら大体大丈夫でしょ。」
「それも……そうですね。」
「そうなのか。蛭って寄生生物で病気の元じゃないのか?」
「ヒーリラルには多少の消毒効果もありますからね。ある程度の怪我は放置してもすぐヒーリラルかければ少なくとも破傷風にはなりませんよ。」
「そっか。なら大丈夫か。」僕たちはそのあとも歩き続けた、違和感は消えなかったが水深は少しづつ浅くなっていき腰らへんのところで長く続くようになってきた。腕に2匹蛭着いてるんだけど取った方がいいんだろうか。
「なぁ。マレ。」
「なぁに?」
「腕に蛭着いてるんだけどとる場合回復魔法かけてくれないか?そもそも今とってもいいのか?」
「足にもついてると思うから二度手間になるけどそれでも良ければいいと思うよ〜。」
「じゃあ、いいや。」
「ほいほ〜い。」
「今回の場合は範囲回復魔法の方が適切だと思いますね。」
「まぁ、多分全員ついてるからね。」そのあとも数分水の中に浸かり2 3分たってやっと上がることが出来た。みんな体のあちらこちらに蛭が着いており、ルーナカミにいたっては足首ぐらいに小さい魚まで引っ付いていた。何その魚……
「よいしょ。マレ。範囲回復魔法頼むわ〜。」
「うん。ラウンジェット=ヒーリラル。」マレがそういうと緑色の10mぐらいの魔法陣が僕たちの下に出来、なんかポカポカしてきた。そのあとみんなで蛭を剥がしたが血を吸い取るやつもいれば、魔力を吸い取るやつもいたので蛭にも色んなのがあるんだな。と思った。
「結構範囲回復魔法も効くんだな。怪我がすぐ治ってくよ。」
「まぁ、1人に重点してかける回復魔法よりかは多少回復量は落ちるけどね。それにしてもルーナカミ、なんの魚着いてるの〜。」
「魔力魚だと思いますね。餌の代わりに魔力を吸い取って生きる魚です。」
「やっぱり魔力が多いから岩と間違えて突っ込んで来たのかな〜。」
「その可能性は高そうですね。それかただ単にいつも他の魚に引っ付く習性があるのかは分かりませんけど。」
「それじゃあ。外してから行きましょうか。」僕たちはそれに従い一旦外したあと回復魔法で治るまで待ちその後出発した。
「うぉっ!よいしょ。」その数分後、突如アリシアが地中と言うか落とし穴に落ちたが、手を上に伸ばしてた影響で手が埋まってなかったのでまるで何事も無かったかのように落とし穴から上がった。へ〜。握力や腕力がある人ってこの状況になったとしても簡単に落とし穴から這い上がれる可能性あるんだな。今回の落とし穴かなり狭めでそれこそすっぽり入るような感じだったけど。
「大丈夫?」
「うん。……ちょっと胸から下の感覚が?って、うぉっと!」僕たちは落とし穴の中から出てくる烏賊の触腕みたいなやつに巻き付かれないように離れた。これって、所謂よくエロ漫画にある感覚遮断系列の落とし穴なのかな?でも、巻き付かるのに失敗したから襲ってきたのか。倒し方よく分からん……魔法そもそも効くのかな。
「ファイラスト!って……魔法吸収されたぞ?ぶちぎられた所も復活したし、きめぇよ。」
「魔力吸収耐性付きですか。」
「この場合どうすんの? 」
「本当なら逃げるのが得策なんだけど。」
「この場合道塞いでるから逃げることは出来ても進めないし。」
「あのさ。ルーナカミ。」
「なに?」
「うぉっと!ファイラスト!」
「火魔法で一気に根元まで燃やしてさ。ほっ!ふん!魔力の吸収するスピードをさらに上回して燃やすことってできる?」
「ん?わかった。用は吸収すら許されない速さで燃やせばいいんだよね!」
「そう!」
「よし!わかった!ファイランドディスティラル!」ルーナカミはそういうともはや天井にも届きそうな大きさの火球を放った!あまりにデカすぎるので大きくなってきてる間に後ろの方に逃げないと行けなくなっていた。
「ゲホゲホ……どうだ?」僕たちはものすごい煙が発生してる中聞いてみた。目が痛い。
「煙い……というかちょっと気持ち悪い…… 。」
「炎魔法もここまでやると狭いところでは使いづらいんですね。……ゲホゲホ。」ソリスが困った様子で言った。マレに至っては力無く降りてきてるし、大丈夫なのか?
「あ、マレ。平気?」
「ゼーゼー、ごめん。ちょっと燃える空気と煙まるまる吸い込んじゃってさ。ちょっと下の方で休まして。おねがーい!」
「うん。」
「ナサール。ちょっと燃えてるか確認してくれないかな?ちょっと全員気持ち悪くてなかなか行けないや。」
「うん。……えーとケホケホ。ほぼ燃えてるね。まだ少しは残ってるけど脳みそみたいな部位や触手とかの目に見える部位はとりあえずは全部燃えたみたい。さすがに私でもこんな変な魔獣の体の部位がどんな感じなのかも知らないんだけどね。あと、全部が全部燃やされたから罠の状況もこのモンスターの種類も分からないしなんも取れないね。」
「というか、もうこいつは魔獣じゃないぞ。」
「そうなの?」
「あぁ、同人誌という本の中でよくあるおちなんだが、感覚遮断系の穴があってな、これは大抵誰かの手によって作られたものなんだよ。だから、もはやこれは魔獣じゃなくて作られた罠だな。」
「そうなんだね。それにしても……やっぱり煙いわ。ちょっと待って。ウィンドォウス。これで少しはマシになるでしょ。」アリシアがそう言うと水色の魔法陣から心地よい風が吹き始め換気が始まった。何とか煙が薄まってきたな。
「す〜は〜。ふ〜。」
「ちょっとずつマシになってきましたね。」
「誰かさ。最後にマグマぶっかけて完全に機能静止しといてくれよ。」
「はい。分かりました。マグディング。」ソリスはそういうと近づいてマグマを排出してくれる魔法をかけて、固まらした。
「ちょっと気持ち悪いから体調治るまで待ちましょうか。」
「そうだね。 」
「う……うん。」
「マレ。もう喋らなくていいよ。本当に気持ち悪くて気絶しそうじゃん。」
「そうだな。」
「なんかごめんね。さすがにあそこまで火球大きくできるなんて思わなかったんだよ。」
「別にそれはいいよ。殺すならこれしか方法がなかったんだからね。」僕たちは10分20分途中から余り喋らなくなり換気を終わらすまで待った。
「マレ、もう大丈夫?」
「ふ〜。ふ〜。うん。かなりマシになったね。」
「そだね。」
「マレ大丈夫ですか?」
「うん。」
「じゃあ、そろそろ行くか?」
「そうだね〜。レッツゴー!」僕たちはアリシアにひきつられ、落とし穴を跨ぎ、また進み出した。そのあと5分ほど歩くと中ぐらいの部屋にたどり着いたのでここら辺で昼飯を摂ることにした。
「昼飯何にするの?」
「カレーですね。カレーにした方が量がありますし、流動性もありますからお腹にあまりたまらないですし色々大丈夫そうなので、それに決めました。」
「やった〜!」
「そうだな。……ってなんかスライム来たぞ。」
「そうですね。……多分匂いにつられてきたのでしょう。あっちから襲われない限りは気にしないで続けていきましょうか。」
「そうだね。ルーナカミが遊んでくれるのもあるし一体だけならどうにかなるしね。」
「ん。一緒にあ〜そぼ。」
「きりじゅわ〜。」そうやってルーナカミとスライムは遊びだし、その間にぐつぐつと煮込んだりして、カレーが完成した。
「できましたよ〜。……って、なんか人増えてません?」ソリスがそう言いながらルーナカミの隣にいる人外肌の女性を指さした。
「お、人?……そうだな。」
「そうだね。」
「ん〜。見た感じスライム人間かな〜。」
「肌の色……なんか違くない?」
「青いね。」
「あ、こんにちは。お邪魔しています。」145cmぐらいの超乳。透き通るような半透明の青い髪青い目青い肌でロングヘア。ちょっとダボッとした毛皮服を着てて、裸足の18歳ぐらいの女の子が何匹かのスライムと共にいた。
「あ、ほーい。」ルーナカミがスライムと遊びながら答えた。今回はあまり飲み込まれてないのかな。それとも見た時のたまたま?
「え……あ、うん。」
「こ、こんにちは。」
「うん。」
「は、……はぁ。こんにちは。」
「ん。」僕らは人間の色とは違う肌の色の超特殊な女の子に困惑しながら話した。
「えーと、カレーいる?」
「え?」
「確かにカレー5人と妖精1人にしてみたら少し量多いと思ってましたけど……そうですね。7人ならギリギリ大丈夫でしょうね。」
「ならいただきます。」スライムと同じ色の女の子はそういうと壁によりかかって座った。
「……名前はなんて言うの〜?」
「ルリです。元々人間だったんですけど400年前ぐらいにスライムに飲み込まれてしまい、同化した結果スライム人間になってしまいました。そっちの名前はなんですか?」
スライムの女の子は少し困ったような顔をしながら自己紹介をし僕たちもその後自己紹介をした。なるほど。この子はスライム娘って言うことなのか。
「それにしてもスライム人間か。」
「同化って言ってたね。どういうこと?」ルーナカミがスライムの中に飲み込まれながら言った。
「経緯から説明した方がいいですかね?」
「ん!」
「まぁ、どちらかと聞けば聞きたいですね。」
「ん〜。聞きたい。」
「人間なのに、400年、生きてる、理由も、分からないし、聞きたいかも。」
「あぁ、お願いしたいな。」
「では、話しますね。400年前、まだ人間だったんで12歳の頃でしょうか。その時はこのダンジョン一般公開されてて誰でも入って戯れたり挑んだりすることが出来たんですよ。私は大体そこの入口近くでいつも本を読んでいました。別に虐められてたって訳では無いんですけどダンジョン内部ってだいたい涼しいので本を読むのに最適なんですよね。強敵とかもスライム以外は第1階層からは生まれませんし、登れませんからね。たまにヘビとかが来ることもありましたけどその大きさのヘビぐらいなら下級ギルドでも楽々倒せますからね。大きさも1m以下が9割でしたし。」
「スライムは危険じゃないの?」
「危ない可能性はありますが食事とかが与えられていてこちらが敵意さえ向けなければ大丈夫でしたね。知能もあります。ちゃんとお買い物もできますし、伝えられれば仕事もできます。人間の言葉は話せませんし習うのにも時間がかかるのでジェスチャーで伝えた方が楽ですけどね。まぁ、そんなこともあって暮らしてたんですよ。」
「ダンジョン街だったんだね。」
「そうですね。話を戻しますと、本を読んで過ごしてた時にちょっと大地震が起こってしまいまして、ダンジョンに続く階段が埋まっちゃったんですよ。幸い私は膝を擦りむいただけで怪我はなかったんですけど閉じ込められてしまいまして。それでも何とか魔法とかを使って生きてたんですけどある時、寝てる間にスライムに飲み込まれてしまって。最初死ぬのか……と思いましたけど体の中にスライムが入っていったんですよ、??どういうことですか?と思ってると急に眠くなっていまして2度寝をして、起きたら、こんな姿、つまりスライム人間になってしまいました。そっからはもうスライムの時間軸なんですよね。スライム人間はどうやら50年で1歳歳をとるようでゆっくりと成長していますね。年齢は今の所人間換算で20歳頃です。」
「あれ?スライムの寿命100年弱じゃ……」
「そうですね。スライムの寿命は100年ほどです。伸びる理由は恐らく人間とスライムの遺伝子が結構混ぜあった結果だと思いますね。」
「そうなんだ。」
「スライム人間ってあんな感じのが続くとなりやすいの?」
「あ、ルーナカミのことですか?彼女はおそらく大丈夫だと思います。スライムもルーナカミも子供ですし。見た感じ魔力が大量にあると思いますので飲み込むよりも共存して生きた方が得になるとでも考えていたりしてるのでしょう。」
「知能はあるんだな。」
「ある程度のなら存在してます。人間のよりかは劣りますけど内容とどのお金で支払うかを教えれば3品ぐらいのお買い物ならさっきも言ってた通りできますよ。どこに思考機関あるのかは相変わらず分からないんですけどね。」
「いや、お前も頭まで半透明だからどこに脳あるか分からんぞ?」
「あ、そうでしたね。スライム人間になった時にそういう人間の臓器は目と口と歯と鼻を除き消えてしまったんですけど結構生きていけますね。食事するとぐちゃぐちゃになった食材が丸見えなんで普通に困るんですけどね。そこは服着れば解決です。」
「そうなんですね。さて、そろそろカレー作り終わったのでいまつぎますので食べていってください。」ソリスはそういうと木のお皿にカレーをつぎはじめた。その後、みんなでだべりながら昼飯を食べた。相変わらずルーナカミ飲み込まれてるな……。ルーナカミにとってはそれが一番ちょうどいいらしいんだけど飲み込まれた実例隣にいるんだから。まぁニコニコ楽しそうならそれでいいんだけと。そのままご飯を食べ終わり、このダンジョンの概要を聞くことにした。このダンジョンは8階層もあること(いや多いわ。)中には複数のボス戦があること(何個あるかは不明らしい。きっと下いくとボスにかち合うからだろう。)さらに下に何があるか、最終面の8階層に行ったあとどうなってるかは知らないこと、道中にはいっぱい敵がいるが大抵自分から仕掛けない限りは襲ってこないこと、特に最初のボスまでは私の姿に慣れてるからこっちから仕掛けないかお腹がすいてない限りは襲って来ないことを教えてくれた。
「サンキュー。」
「ありがとうございます。では、そろそろ行きましょうか。ルーナカミ?」
「ん?は〜い。」ルーナカミはぬら〜と大人のスライムからでてきた。大人のスライムは高さが3mぐらいで大きさも直径5 6mはあるため中に入ってるというよりかはコアとして体内に取り込まれてる感が強かったが全然そんなことはなく、自由に出入りできてるという感じだった。僕たちはそのあと挨拶してさらに先に行くことにした。そしてさらに4 5分歩くと魔晶石の凸凹もそうだがさらに鍾乳洞のようなところに入ってしまったため、さらに歩きづらいデコボコなところにでてきた。
「よいしょ。かなり歩きづらいな。ナサール。ルーナカミ。大丈夫か?」
「私は大丈夫だけどルーナカミはね……」
「よいしょ……それ。かなり登りづらいよ。段差も多いから力も込めづらいしジャンプしないといけないし。」
「肩車しようか?私でも膝より高いところに段差があるところ多いもんね。」
「うん、ちょっとお願いしょっかな。」
「分かった!じゃあそこにちょっととどまってて!」アリシアはそういうとほっとジャンプしたりしてルーナカミを軽々持ち上げて肩車をした。ソリスも大丈夫なんだろうか。ソリスにとっては自分の股と同じぐらいか自分のへそよりちょっとしたぐらいのところまであるもんな。
「ソリスも平気か?」
「まぁ、アリシアより一回り小さいけどルーナカミよりかは30cmほど高いですからね。ジャンプしないといけない場合もありますけど大丈夫ですよ。」
「そっか。あ、アリシア戻ってきた。」
「よし。行こっか。」
「ゴーゴー。」
「よいしよ。ちょっと待ってよ。高さは確かに大丈夫だけど私まだ小さいから歩くのに時間かかるのは変わらないんだから。」ナサールはちょっと大変そうにゆっくりとあるいていた。確かに歩きづらそう。
「持とうか?」
「え?」
「持てるのか?」
「うん。言ったじゃん。片手で100キロって、だから子供2人持ち上げるの余裕なんだよね。というか大人でも片手で1人、ソリスぐらいだったら片手で2人行けるよ。」
「いや、普通にバケモンなんよ。」
「そうかな?筋トレ続けただけなんだけどね。」
「次元が違うんですよ。」
「ん。力が弱い魔人でも250kg持てるんだけどその半分ぐらいあるじゃん。」
「そだよ〜。」
「力の格差やばいな。自分も両手で70-80はあるけどアリシア片手でそれこえてるからな。」
「まぁ、筋トレの成果だね。」
「そ。ま、つけたならいいや。持つ?」
「まぁ、歩く速さはどうにでもなるし。魔人の速さ活かしてもっと早く歩くこともできるし。だから大丈夫だよ。」
「ならいっか。ルーナカミ。鍾乳石に当たらないようにしとくけどそっちでも避けといて。」
「うん。」アリシアはそういうとルーナカミを肩車したまま何もしょってないかのように軽快に歩き出した。相変わらず道は異様に凸凹してるし、虫や小さい蛇が隙間から出てくるしで非常に歩きづらく薄暗いのもあって怖かったかがそのまま何事もなく第四階層にうつることが出来た。
「やっと鍾乳石ゾーンも終わりか……かなり歩き疲れたな。凸凹道も多かったし。」
「そうですね。」
「うん。」
「ルーナカミ?そろそろ降りる?」
「うん!おりる〜。じゃあ降りよっか。よいしょ。」アリシアはそういうと安全にルーナカミを下ろした。
「ありがと〜。」
「どういたしまして!それじゃあ行こっか。」アリシアはそういうと歩き出した。あと5階層、階層的にそろそろボスが出てきてもおかしくないんだけどな。というかダンジョンのボスって果たして複数いてもいいのか?1つあるだけでもこんな市街地にあるんだったら大変なことになりそうなんだけど……何だこの地響きは。だんだん大きくなってるし。
「何この音。」
「分かりませんけどちょっと道の端に避けてみましょうか。かなり大きなものが歩いてくるかもしれないので押しつぶされると大変ですし。」ソリスはそういうと道の端に避けながらそのまま歩き始めた。僕たちも避けながら進むと10-15mの大きさはある首長竜が悠々歩いてきた。
「で、でかい……」
「気づいてますね。これ。」
「でも、なんもしてこないね。」
「あるくだけでちょっと凶器になるからなんもしてこないってのは不明だけどね〜。」
「確かにね。」
「大きな足〜。」
「ルーナカミ!あまり近寄らないの!踏み潰されたらどうすんの!」
「え〜。」
「え〜じゃないですよ。自分の命の方が余程大事なんですからね。」
「そうだな。そろそろ終わるから早く行くか。」僕はそういうと早歩きをした。
「やっと終わった……って」早歩きで抜けた直後、僕たちは上から落ちてきた何体かのスライムに飲み込まれてしまった……全員何とか泳いでスライムから頭部を出すことには成功したがこの状況……どうすればいいんだろう。
「アリシア!マレ平気!?」
「平気だよ。アリシアも掴んだしソリスは!?」
「思ったより大丈夫ですけどこの状況は多分ダメですね。」
「多分ダメなら出ちゃえばいいんだよ。ほっ!このようにね。」ルーナカミは近くの壁を掴むとヌルッとスライムのからだから出てきた。
「シュワ?」
「あ、気づいたみたいだね〜。」
「あ、えーと、お邪魔しています。」
「えへへ。」
「よいしょ。簡単に出れた……」
「ほっ……ネバネバもついてないしなんかおかしな物体だな。」
「ほっ……こっちの方はちょっとネバネバしてるね〜。スライム1匹1匹においても材質違うのかな?」
「多分それ最初獲物だと思って取り込もうとした跡だと思うよ。多分中を見て人間だからなんかやめたんだろうね。あまり見た事ない異物だし。」
「そうなの?」
「ん〜。多分ね。だってこれまで入ったスライムネバネバしてないもん。ぷにぷにはしてたけどね。」
「じゃあ、そうだったんだ。」
「良かったな。食べられなくて。」
「うん。」
「ところで2人はまだ出ないんですか?」
「僕はもうすぐ出るよ。ルーナカミは?」
「私は行く時までには出とくから安心して。」
「そっか。ほっと……」僕はそういうとなんか出にくいが何とかスライムから抜け出せた。少しでも力込めるとすぐ埋まるから力込めにくいけど抜け出せてよかった。
「ルーナカミ〜。行くよ〜。」
「ほ〜い。よっ。じゃーね。」ルーナカミはスライムから出ると全員のスライムを通り道にしながらこっちの方に近づいてきた。かなり色んなスライムに触れたが大丈夫か?
「大丈夫だった?」
「ん!みんな結構平気だったよ!入った最初は驚いてたけどね。」
「そりゃそうだよ。飲み込むとか勝手に入ってくるのはまだ分かるけ勝手に入ってきてそして勝手に抜けてくんだから。」
「馴れ馴れしいにも程がありますよ。」
「そうかな?まぁ、早く行こ〜よ。もっと先の景色見ておきたいし。」ルーナカミはルンルン気分で先に進んでったので僕たちも慌てて出発した。そのあと3分ぐらい歩くとなんかガチャっていう変な音がした。何この音……罠のスイッチかな。
「何今の音。」
「なんか踏んだみたいですけど……ってなんか前後から岩出て来てますけど……なんですかあれは。」ソリスが言うと確かに前後から道幅も高さもびっちりな大きさの大岩がどんどんこっち側に迫ってきた。……やばい、これ、押しつぶされて圧死するやつだ……このままじゃ即死する罠だ。
「ど……どうすればいいの!?」
「ちょっとまってて……ほっ!」ナサールはそういうと全速力で走って岩を壊した。一瞬安心したが同じところからまた別の岩が出てきたためまた絶望に包まれた。ほんとあっという間にまた恐怖だった。
「復活すんの……かよ……」
「どうすんのこれ!?」
「さすがの私でも死んだらどうにも出来ないよ!」
「そうだ。結界は?」
「はれると思いますけどこういうのは握力勝負ですので恐らくすぐ潰されてしまうんですけど……」
「そっか。」
「これさ、多分両方一気に壊したら解決しないか?今片方は壊したんだけど復活したんだろ。だとしたら両方こわせば復活の手与えずに壊せないかな?」
「……ん。ちょっとやってみるよ。そんなこと、私でもできるかどうか分からないけどさ。」
「私たちはどうすれば?」
「横1列に集まっておいて、そのままだとぶつかられるよ。多分あの大きさだったらぶつかっただけでも死ぬからね。そのあとは、私に任せて。」
「わかった。」僕たちは横一列に並び最後に祈った。もう神々に祈るしかねーな。
「ふー。…………」ナサールは横向きになり岩が近くに来るのを待った。そのあと、岩が目前30cm以下に迫ってた時に「ん!」と両方にほぼ同タイミングで殴りを入れた。岩はその衝撃を受け止まり、数十個の破片にかち割れた。割れたことは嬉しかったがその代償としてナサールはぐったりと地面に頽れ、ダラダラと一気に滝のような汗をかき始めた。大丈夫か?
「ナサール!?」
「大丈夫ですか?」
「……ギリギリ。気絶はしてないけど、もう全力で殴ったから力全部出し切っちゃった。ちょっと休まないと何も出来ない。」ナサールはゆっくりとアリシアに寄り添うように姿勢を整えて休んだ。
「そりゃそうだよな。あんな大きな岩さっき壊したのと合わせて3つも壊したんだもん。しかも最初のは恐らく何個かって感じだけど今回はすごい細かいし両方一気に壊したし、とりあえず次の敵が来るまで回復をしっかりして休みな。マレ。疲労回復魔法はないのか?」
「疲労回復とか筋肉痛とかに関わる魔法はないよ。そういうのは風邪とかと一緒で治せないもん。」
「そうか。」
「はい。」
「よしよし。」僕たちはちょっと石をどかすとぐったりしてる2人の近くに座り、少し休憩した。
「……壊せましたか。よく生き残れましたね。」5分から10分そのまま休憩してると、壊したところから4人の様々な武器を持った同じような女の子が来た。
「……は?」
「……あなたは誰ですか?」
「私達は人造人間です。右からエー、ビー、シー、ディー、となります。」その女の子は武器を片手に持ち替えながら挨拶をした。その女の子は全員同じような見た目で160cmぐらいの巨乳。金髪をセミロングにしたのと黒い目。白いワイシャツの上に赤のジャンパースカートを合わせ、革靴をはいた18歳ぐらいの女の子だった。
「人造人間か。はじめましてだな。」
「えぇ。まぁ、馴れ初めはいらないとは思いますけどね。何しろこのあとすぐ戦いになるんですから。」
「数も妖精のぞいて5人だからちょうどいいぐらいですし。2人子供ですし。」
「戦い?」
「ちゅうことはボス戦かよ。しかもゴーレムとかならともかく人間の形をしたものと戦うって、相当いやなんだけどな。なんか心が折られるというか。」
「そこはしょうがないですよ。ナサール立てます?」
「何とか。休むことはできたから一応戦えることはできるけどね。」
「なんか人相手に戦うって罪悪感半端ないんだけど。」
「私もですよ。人造人間って死ぬんですか?」
「いえ。」
「そもそも私たちには死の概念すらありませんのでね。」
「老いるという概念もなければ死ぬという概念もないですしそういうことも起こらないです。ただけがだけはするので骨とか折られて移動が不可能になった時点で戦闘不能状態とします。あなた方も殺すまではしないのでそこら辺は安心しといてください。」
「お、おう。」
「わかった。」
「それではやりましょうか。アリシア。弓矢いります?」
「いや、この狭さなら弓矢使えないだろうし打撃で行くよ。」アリシアは指をポキポキさせて戦いに望んだ。僕たちも戦いに望むことにした。
「それでは、戦わせていただきます。」
「お、おう。」僕がそういうと、ディーは、いきなりぶんなぐりもう片方の手で片手斧を振り回してきた。僕は何とか避けたり剣で受け流したりしながら何とか懐に入り込めるようにタイミングを見計らっていた。入り込めたとしても剣で攻撃できるか微妙だし、もしもホムンクルスだとするとさっき言った骨折以外の怪我はすぐ治るんでは?……まぁ、やってみないと始まらないし、………………今だ!
「どりゃ!」
「ちっ。」ディーがお腹を抑えるとそこにはぽっかりと空いた穴があった。内部に血とか入ってないんだな……まぁ、そこにそんなにリアリティを求めてもらっちゃ困るんだけどな。さらに罪悪感強くなっちゃうし。
「……回復しないのか。」
「…しないというか、出来ないですね。そもそも私達は魔力もなければ魔法も使えませんし。ただ別に回復しなかったとはいえ体チョン切れたりしない限り特に体に影響もないですし。どうせ数日で治りますし。」
「そうなのか。人間とはかなり違うんだな。痛みはあるのか?」
「いいえ。一切痛みも感じないです。」ディーはそういうと斧を振り下ろした。僕は何とか避けたがその時にぐにゃっと危ない姿勢になって尻もちを着いたので、その後何度かの攻撃は完全に避け専門に成り下がった。
「やっと剣取れた……ほっ!」
「かなりやりますね。」
「そうか。ありがとな!」僕は立ち上がり剣と斧で戦いを重ねた。たまに腹を打つことはあってもそれが怪我に繋がることは少なくもし着いても穴が空くだけなのでもう腕か足を切って、戦闘不能状態にした方がなんか早そう。でも、腕とかに行こうとすると急に手が伸びて止まるんだよな。
「さすがにそこは止めるか。」
「そりゃ私だって腕や足が自分の体から離れるのは嫌ですからね。」
「何話しながら戦ってんのさ……」
「別にいいだろ。ナサールは倒したんだ。」
「そ。助太刀いる?」
「大丈夫だと思うな。今の所怪我はしてるけど回復かければいいレベルだし。マレ。回復お願い。」
「あいよ!ヒーリラル!」
「よし。」その後何分も剣と斧で戦いを続け、何とか右手を切ることができた。
「うぅ……。なんかごめんな。」
「いえ?構いませんよ。どんな傷も私たちは数日経てば治りますし体をみじん切りにしても5日経てば上半身が、7日経てば全身が元通りになります。なので謝ったり罪悪感を抱く必要はないですよ。それと、これ、片手斧なので両方切ったりしないと終わりませんよ。」
「そうなのか……。」僕はそそれでも少し苛まれながら、何とか戦いを続け、15分くらいかかってやっと、両手を切り落とすことが出来た。
「……やっと終わった。」
「あ、終わったんだ〜。」アリシアはエーを羽交いめにしてた。痛みは全く感じないが関節外すことぐらいならできるし、握力が強いため動けないから実質的に戦闘不能状態になってるのか。
「ルーナカミ。大丈夫?」
「あ、うん。ありがとねナサール。私の握力じゃ、どうも怪我させたりできないしそもそもこんなに人間の形したものを攻撃する気持ちがどうしても湧かなくて。」
「分かりますよ。結局私もこうしちゃいましたし。」ソリスはそういうとシーの方を指さした。シーは足は完全に土に埋まっているし手は棘の蔦でがんじがらめにしてるしで行動不能状態にしてた。そっか……いくら力あっても可動域に制限をかければ動けない……こんな方法もあったのか。
「なんで抜けないんですか!」
「実は両方に逆結界貼ってるんですよ。」
「逆結界をはれば外に出ることが不可能となりますので私が使うことの出来ない拘束魔法と同じような役割ができるんですよ。特に土にかけると出ることは不可能となります。木の場合は普通の結界を貼ることで防護になり内部を保護してくれますから同じようなことが出来ます。」
「そうなのか。器用なもんだな。」
「魔法をひたすら駆使すれば大抵の魔法は別の魔法に置き換えることが出来ますので。私は使える範囲の魔法は全部覚えて使う性分なので。」へ〜。そうか。博識であるソリスが出来る戦術なのか。
「そうなのか。」
「じゃあこれで全員行動不能になりましたね。」
「これは行動不能でいいの?私が離したらすぐにでも動けると思うんだけど。一応関節は全部外してるけど関節はさ、痛み感じてなかったりしたらすぐに治っちゃうじゃん。」
「あ、関節あんのね。ないかと思った。」
「まぁ、関節外れたなら私は戦闘不能状態と認めますよ。少なくとも付け直すまでは戦闘不能状態ですからね。」
「そっか。」
「じゃあこれにて私達の勝利?」
「まぁ、そうですよ。」
「それなら倒したってことで終わりますか。ありがとうございました。」僕たちはその後体を離し戦いを終わらした。
「じゃあ。」
「ちょっと待っててくださいね。」ソリスは思い出したかのようにダディワスからノートを取りだし。数十分間色んなことを書き続けた。途中スライムが来て戯れついてきたことはあるが別に気にせず描き続けていった。
「なに書いてるんですか?」
「ダンジョンの中をひたすら書いてるんです。記録した方がいいと言われたの今更思い出しましたからですからね。内部のスライムのほとんどに毒性も敵性もなく温厚なのは少し驚きますが書いていけばある程度はわかってくれるはずですからね。」
「かなり楽しそうだね。」
「まぁ、書くことは好きなので楽しくなるのは分かりまよね。」
「まぁね〜。」
「ところでなんで空飛んでる中性的な敵がいるの?」
「あぁこの子?空クラゲという魔獣で空飛ぶスライムだよ。触ると毒が発生するから触らない方がいいよ。」
「あ、うん。スライム今撫でてるからね。」
「見た目は可愛いんだけどな。周囲の魔力に反応してるかは分からないけど発光してるし。」
「でもそれ触ると最悪人が死にますからね……触ると赤い色の液体が出るんですけどそれに触ると体がかぶれて火傷のような跡ができます。さらにそのまま長時間触ると穴が開きますからね。」
「じゃあ、触らない方がいいし、よけれるなら避けた方がいいよね〜。」
「そうですね。一応後ろから来ないように壁に寄りかかりながら書いていきますか。」ソリスはその後30分少々永遠と書き進め、「おわりました。」とだけ言って伸びをした。その頃には全員普通に戦闘できる状態に戻ったが1度倒されたため攻撃はしないことが暗黙の了解みたいになっていた。
「おわった?」
「はい。長々と書いてごめんなさいね。」
「いいよ。」
「それじゃ行こか。」
「お、そだな。」
「ん。」
「行こ行こ〜!」僕たちは人造人間に挨拶してさらに先に向かった。
その後5分くらい歩くと第5階層にたどり着くことが出来た。
「あ、きたきた〜!」階層に降り立った直後天井付近から女性の声が聞こえ始めた。何だこの声……誰の声だ?
「え?どっから聞こえてくるの?」
「上ですかね。」
「でも上に誰も居ないよ!」
「というか声が聞こえてくる方向からなにも見えてこないな。というか、僕たち以外に誰もいないし。」
「テレパシーかな?」
「だれなの?」
「あ、ボクの声自身は上から聞こえてるけどボク自身は下にいるよ〜。紛らわしくてごめんね〜。」
「下……?」
「下ってどこだ?」
「第9階層だね。第8階層のさらに奥にあるよ。」
「さらに奥があるの?」
「あるけどボスとか敵とかいなくてさ、ボーナスステージみたいなもんなんだよ。俗に言う宝箱部屋だよ。そこにボクはいる訳。と、言っても精霊だから別にこんなところにいても大丈夫なんだけどね。」
「精霊……」
「つまり第9階層にはお前がいて、で、お前は精霊なのか。」
「そうそう。」
「名前は?」
「キン!よろしくね!」
「あぁ、よろしくな。」
「そっちの名前は?」
「姿見えてるの?」
「うん!こっちからしか見えてないけどね!」
「じゃあ、自己紹介しますか……。私はソリス。このチームのリーダーで獣人族です。」ソリスが言ったあとみんなで自己紹介をした。
「よろしくね!あ、そろそろかな?」
「そろそろってな〜に?」
「これはさ、ボクの声を精霊力で通してるのがあってさ、ちょっと時間に限度があるの。第5階層に向かう距離はちょっと遠いから声を伝えるのにも大きい精霊力が必要になるから自動的に時間が短くなっちゃうんだよね〜。次に話せるのは多分ボクがいる第9階層になりそう!なので伝えとくね!ここにはあと2つボスがいるの!内容は言わないけどね。いる場所は6階層と8階層だよ〜。」
「ほいほーい。」
「なんか忙しいね。」
「まぁ、時間制限があるなら仕方ないだろ。」
「じゃーねー」
「バイバ〜イ」
「うん!じゃあーねー!」そういうと声は聞こえなくなった。本当に忙しかったな……。
「それじゃ行こうか。あと4階層だけだもんね!」
「そうですね。頑張って行きましょうか。」
「そうだな。」
「うん!」
「そだね。」
「うんうん。」僕たちはその後ゆっくりと進み続けた。途中スライムが前から通ってきたが何事もなく通り過ぎていったりしながら進んでった。
「ん……」
「どしたの?ソリス?」
「なんか小さな声が聞こえるんですよね。蛇のようなシャーシャーという小さな声が。おそらくかなり大きい種類の蛇でしょう。戦闘に入る可能性が高いので気をつけてください。」
「あ、うん。」
「蛇か……毒とかありそうで怖いんだよな。」
「確かにこういう系のダンジョンにも毒ある蛇は現れるからね。かなり気をつけたい部分もある。」
「その場合涎とかと噛みつきに気をつければいいのかな?」
「蛇だからね。しっぽも気をつけないといけないかも。」
「……なんか、地を這う音聞こえてきたな……」僕が言った直後、長さ十数m、高さ2m強の真っ黒い蛇が現れた……デケェ……天井も10m近くあったけどそれでも狭そうなレベルでデケェ……
「ジャー!」
「なんだこれ!?」
「ブロウクボアですか……先に行っておきます。これ、倒すのは諦めてください。」
「ファイラスト!」アリシアが負けず火を放つと蛇革に見事に吸収された……ナサールと僕も剣や殴打でどうにかしたが革はまるで鉄のように固く攻撃が微塵も通らなかった。……倒すのこりゃ確かに諦めるやつだ……。
「どうする?」
「急いでにげましょ……って、どくろ巻かれてるじゃないですか。」
「嘘だろ?ナサール。どうにか出来ないか?」
「あの硬さに、あの重さだと、ぶっ飛ばすことも、出来ないからね。一旦、捕まって、解放されてから、逃げた方がいい。」
「瞬間移動の呪文とかないの?」
「あるけど先の方が分かってないと窒息死しちゃうし離れないとまた巻き付かれるしって……あ〜あ。」そうとやかく言ってるうちに蛇に巻き付かれてしまった……俺から時計回りにアリシア、ナサール、ルーナカミソリスだった。きついから隣の胸が当たってるけどそれどころじゃない……
「さて、どうするの?」
「逃げるためにどうするかってことだよね。」
「というかマレは捕まらないのな。」
「まぁ、上の方飛んでいたからね。それに小さいし、ちょっとの隙間で抜けられるんだよ。でも、ちゃんとついて行くから安心して。」
「おう。」
「う〜ん。逃げるためにだよね。」
「まぁ、まず解かれた瞬間に逆方向に全力疾走するのは当然として。」
「まぁ、それとソリス。あとルーナカミ。」
「なんですか?」
「ん?」
「爆発魔法あるだろ?」
「ありますね。」
「それで天井爆発して落盤さしてくれるか?」
「落盤……ですか。上の方に迷惑かかりませんかね……」
「この際しょうがないと思うよ。それに今までは縦に行ってたってのあったけどこの階層横方向に行くことが多いからね。多分上には影響ないと思うよ。それがあるとしても小規模の道の落盤が起こるかどうかだと思うよ。」
「そっか……」
「落盤が終わってさ、もしも蛇がまだ生き残ってたらどうすんの?」
「そこは……」
「ねぇ。」
「そこは、ちょっと私にさ、策があるんだよ。だから、もし、そんなふうな、状況になったら、ちょっと、従って、貰えない?」
「あ、嗚呼。了解だ。」
「私たちはどうすれば?」
「全力疾走して私の言うことに従って。」
「了解。」
「うん!」
「とりあえずソリス、ダディワスから剣出して。」
「あ、はい。分かりました。ソリスはダディワスから剣出して僕に渡してきた。何するんだろう。
「これであとは待つだけか。人事を尽くして天命を待つとかいうけど流石に不安だな。」
「まぁ、この後は神にでも祈って結果を待つか来世でも人間として生きれるように祈るかしかないと思いますよ。」
「私、精霊信じてるんだけど」
「こっち、無神教……」
「まぁ、どっちでもいいですよ。」そのあとは五分ぐらい待っていると蛇の家のような巣のような場所に辿り着いた。ここから逃げるのか。蛇もいっぱいいるし怖い。
「いい。行くよ。」
「おう」
「行こ!」解かれた瞬間、僕たちは出口に全力疾走した!蛇は家族と思わしきものと共にものすごい勢いで向かってきたため両者とも全力疾走だった。お願い……逃げきれてくれ。
「……いまだ!ソリス!ルーナカミ!」
「はい。」
「うん!」
「「エクスプローダー!!」」2人が天井に爆発を起こすと土雪崩が起き見事落盤した。子供や妻の方は死んだようだが主の方はまだ生きていて追ってきたため、まだ全力疾走していた。 なんで落盤直撃してまだ生きてるんだ!?
「次だね。湧太。ちょっと剣借りてもいい?」
「あ、うん。いいぞ。」
「じゃあ……行ってくる。」ナサールはそういうと蛇の口の中に入っていった。……え?
「え……」
「グワジャ〜!」ナサールが口の中にはいったちょっとあとに蛇が叫んで気絶し血の泡を噴いて亡くなった……。え?何が起きたの?
「……ナサール?大丈夫?」
「…………んぁ。っと。イテテって……」ナサールはヌターと口から出てきた。身体中血まみれだったが右腕がバッサリ切れていて血がドバドバ出てきていた。
「ヒーリラリイング!」
「なんで口の中入ったんですか!?」
「まさか自分から口の中に入るとは思ってなかったよ。」
「これがナサールの言ってなかった作戦ってこれか。剣貸した時にはまさか入るとは思ってなかったから驚いたぜ。」
「その肩の怪我大丈夫なの?めちゃくちゃ大きい傷になってるんだけど。」
「なんとか。なんで言わなかったのかについては、言ってたら確実に反対されるからね……蛇の口の中入っちゃうなんて」
「まぁ、確かに口の中に入るなんて反対食らうな。」
「なんで口の中入ろうと思ったの?」
「どんな動物でも口の中はたいてい柔らかいものだし、そこに血管とかが集中してるもんだから急所になりやすいし、そこなら簡単に切る事も出来ると思った。まぁ、こっちも代わりに傷負っちゃったんだけど、まぁ、生きてるんだからいいでしょ。」
「生きてるって……かなりナサールの顔青ざめてますよ。」
「それに中々血止まってくれないし。」
「やっぱり毒あったのかな?」
「あったとしたら止血防止毒かな?」
「……かもね。かなり色どす黒くなってるし。」
「ほんとだ。」
「というか、魔人って血の色はどんな色なんだ?」
「紫色だね。かなり濃いまででは無いけど。ちょっと濃い紫色だよ。ただ今回の場合はほぼ真っ黒だから蛇の毒で変色してるんだろうね。」
「そうなのか。」
「ん。まぁ、治るなら、別にいいよ。それよりもさ、私に集まるのはいいんだけど後ろのブロウクボアさ、結構素材が豊富にあるんだよ。」
「そうなの?」
「はい……。まず、怪我をしないように歯を抜くと槍や剣に使われますし、鱗は集めて盾や革鎧に使われます。さらに肉は粉にして色んなやつと混ぜて薬に使われることが多いですね。」
「そんなに使われるんだ……流石に毒そのものは使われないよね。」
「……新鮮に取れる魔界では、実は色んなやつと混ぜて魔法薬として使われることがあるんだよね。たしか使われるのは止血薬だったはず。」
「止血薬……真逆じゃん。」
「まぁ、真逆だね。」
「それと。これさ。止血防止毒が結構強くて魔力の回復が中々通らないんだけど。」
「た〜しかにずっと回復してるのに治らないね。じゃあ私もやっちゃう?」
「確かに、これやれる人数全員がやった方がいいと思う。」
「じゃあ私も!ヒーリラリール!」
「ヒーリラリール!」
「……ヒーリラリール。」ナサール、ルーナカミ、マレの3人は一斉に回復魔法をかけた。流石に複数の回復魔法の方が毒の強さより上のようで徐々に怪我が治っていった。
「よかった……もう頭クラクラしてたから気絶するかと思ったよ……。」
「ほんとにギリギリだったんだね。」
「ん……」
「回復もやっぱり複数個一斉にかけた方が治るの早くなるんだな。」
「まぁ、魔力が集まると回復魔法の効果が着きやすいですからね。」その後僕たちはナサールの傷が完全に治るまで待ち、その後立ち上がって素材集めを始めた。まず最初は手袋を付けみんなで鱗を剥がしては袋に詰め、剥がしては詰めを繰り返し、蛇を丸裸にした。その後歯を抜いて、素材集めを終わらした。肉は扱いが難しいため、焼くことにして、一旦連れていかれた道を戻ることにした。……確か多分Y字路の右の方に連れていかれたから左に行けばいいはず……。
「あったあった。こっちか。」
「そだね〜。」
「流石にここには敵とかいませんよね……」
「流石にスライムしかのこってないと思うな。」
「そうだね。スライムは階層跨げるからいる可能性あるけどゴブリンとかオークとかは階層跨げないから淘汰されるんじゃない?」
「そうだな。」僕たちはそう言いながら曲がりさらに先の方に進んだ。確かにスライムとコウモリ、それと強い毒のせいか空クラゲぐらいしか生きてなく安定して通り抜けることが出来た。そして2回目のボス戦がある第6階層に入ることにした。
「……あ、なんか違う匂いする。」第6階層に降り立った直後ルーナカミが鼻をクンクンさせながら言った。
「え?違う匂い?」
「うん。微妙に鉄臭いというか錆臭いというかそんな匂いがする。こっから嗅げるってことは相当大きいね。」
「相当大きい……メタルスライムの可能性はないのか?」
「メタルスライム……?」
「鉱物スライムなら、岩系のスライムとして存在してますが金属が主成分のスライムはないですね。」
「となると……不死人が作った金属型人工人間かな?」
「あぁ。それが一番いいですね。」
「確かにそう思うのが1番いいね〜。」
「あれ?不死人いなくない……?」
「そういえばそうだな。つまり、不死人が一緒にいる可能性がやっぱり高いのか?その場合不死の人と戦うんだよな……」
「あ、不死人には明確な倒し方あるよ!精霊魔法でビームを1発打てば浄化されて成仏することが出来るんだよ!」
「でもそれって魔力がたくさんないと出来ないんですよ。」
「そこは私に任せて!魔力私たくさんあるんでしょ?なら使うしかないじゃん!」
「確かにルーナカミの魔力なら精霊砲弾もはなてますね。」
「でもそれめちゃくちゃ魔力使うんじゃない?」
「たしかにルーナカミでも3発が限界だと思いますね。それに精魔法は結構長めの詠唱が必要になりますのでね。」
「そんなに魔力使うのか。それに詠唱も。」
「まぁ、アリシアでも1発も打てないほどで、1発でも打てたらかなり魔力多めと言われてるんですので、そこはしょうがないですよ。」
「そっか。」
「まぁ、行って敵の情報見た方が早いと思いますよ。」
「そうだね!いこいこ!」アリシアとソリスがイチャイチャしながら先に進んだので僕たちも先に進むことにした。
「おぉ、何この地面……。」何分か進んできた頃、急に足が沈みまるでトランポリンのように足が跳ねる地帯に突入した。
「柔らかい……」
「トランポリンみたいだな。下見た感じスライムでは無いな。」
「この場合踏まれたから怒り出すモンスターがありそうなんですけど特に怒ってくるモンスターとかいませんね……。普通に地形異常なんですかね?」
「さぁ。汁とかでてないから空クラゲとかじゃないし、ただ少し歩きづらいかな?」
「そうだな。もしかしてこれが鉱物スライムか?」
「あ〜可能性だけはありそうだね〜。スライムが長く伸びてる可能性はあるね。」
「でも、その割には飲み込まれないしスライムも起きてきませんし。」
「たしかにそういえばそうだね。よいしょ。あ、ここで終わりみたい。」
「そこか。まぁ、ここはダンジョンの地殻異常と考えておくのがいちばんちょうどいいだろうな。魔力が豊富で魔晶石もこんなに沢山あるなら色んなこと、こんなに変な地表も有り得んだろ。」
「ほっ。そうですね。」
「楽しかった?これ?」
「うん!」
「楽しいってよりかは頭がハテナになってたよ。だって地表が急にボヨンボヨン飛び跳ねるような感じになったもん。」僕たちは全員同じように硬い地面に着地することが出来た。本当に変な土地だな。
「ソリス。」
「なんですか?」
「これさ、第6階層、地表がバネのように弾むから足元注意なところあり。と書いてくれないか?」
「あぁそうですね。確かに書かないといけませんね。」
「まぁ、足元転びそうになるからね!」
「正体は相変わらず不明だけどね〜。ほっ。お、確かに柔らかいね〜」
「なにやってんの……と思ったらただ単にマレ降りてただけだったのね。 」
「ん!」
「あるけるんだな。てっきり脚力退化して歩けないと思ったよ。」
「一応最近は飛んでばっかだけどこっちに入る前は農業とかで足結構使ってたからね。」
「そうそう。確かにマレの地元花とか沢山咲いてたし植えてたし、野菜とかも結構育ててたもんね。」
「ん!まぁ、重いから収穫はドワーフに任せたり小さいものを育てたりしてたけどね。」
「まぁ、人間のサイズの野菜は妖精のサイズにしては大きいもんね。」
「そこはまぁ、人間の10分の1サイズの大きさならしょうがないよな。」
「ん!」マレはそういうとそこら中をぴょーんぴょーんと飛び回った。
「よし。書き終わりましたよ。」
「お〜?終わったの?」
「はい。」
「ならいこっか。」
「ん。マレ、行くよ。」
「ほ〜い。よっと。柔らかかった〜。」マレがそういうと飛んで僕たちの近くに戻って来たのでそのままさらに先に進むことにした。途中三叉路とかの分かれ道もあったがずっとルーナカミは金物の匂いがするらしいのでそこが正規ルートだと思いひたすらルーナカミの匂いについて行った。そうして15-20分は経っただろうか。金物の匂い以上になんか形容し難いものの匂いが漂ってきた。魔力の匂いってこんな感じなのかな……。今まで微塵も嗅いだことがない匂いだから普通に言いづらい。
「かなり匂い強くなってきたね。」
「うん。なんか魔力臭いですし。」
「やっぱりこれ魔力の匂いなんだな。」
「うん。」
「嗅げる機会は少ないけどね!」
「あ、きちゃね。」遂に僕たちは部屋の前の木のドアに辿りついた。ここが匂いの原因。そしてボスの部屋か……
「ついに来ましたね。」
「準備してから行きましょうか。剣は持ちましたね。アリシア。弓矢いります?」
「ん〜。正直いってダンジョンに弓矢は不利なんだね。予め予想はしてたけど初めて知ったよ。今回ももし金属型人工人間だとするなら魔力攻撃の方が有効打だし不死人だとするならそれこそ、精霊魔法によるビーム以外は足止めにしかならないんだよね。だから今回も弓矢はいらないね。」
「分かりました。」
「魔力は……まぁ余り敵にもあわなかったしみな十分か。ソリス。剣に火を纏わせる魔法ってないのか?」
「ファイヤラーソードですね。アイシタシーソードで氷を纏わせることも出来ます。」
「わかった。ありがとな。」
「あ、そうそう。できるだけ長期戦用の範囲回復魔法を沢山使いたいから戦う時以外はできるだけ固まっててくれない?」
「おう。わかった。」
「は〜い。」
「では行きましょうか。」
「ん〜!」
「ん。行こ。」
「うん!」僕たちはそう言いながらドアを開けた。中にはロープを被った骸骨とアイアンゴーレムがいた。やっぱりあの匂いってこれか……
「ほぅ。まさかここまでたどり着くとはな。褒めてやろう。」
「まぁ、ありがとうございます。」
「もっと先に行きたいから更に下に行くけどね!」
「なら、試さしてもらうぞ。不死人と金属型人工人間の力とくと見るがよい!」不死人はアイアンゴーレムの体に触りながら嘲笑った。するとアイアンゴーレムの胸の中にある赤い玉が光だし、うごぉぉ…………と動き始めた。
デケェ……6mはあるんじゃないか?
「いきますよ!ファイラスト!」
「シルディア。」不死人がそういうとゴーレムの周りにシールドが貼られ、火魔法を防いだ。そっか……最初はアンデッドから倒さないといけないのか。
「ちっ。こっちは私がやる。引き付けてるから頼むよ。」
「うご〜!」
「ほっ!分かりました。」ソリスがそういうとナサールは不死人に向かって殴りをかました。不死人は「ほぅ。結構楽しめるじゃねぇか。」と面白そうにいった。ナサールの打撃に耐えるって相当だな……かなり力的にも強そう。
「いまの内に倒しちゃお!」アリシアはそう言いながら近づき火魔法を浴びせた。そのあとも氷魔法や岩魔法、火魔法で攻めたが魔法も余りきかないらしく重い一撃をかましてきた。これ一撃でも食らったら骨折とかじゃ済まないぞ……。
「ファイヤラーソード!」僕はそういうと炎を纏った剣でアイアンゴーレムを切ろうとしたがやっぱり鋼鉄製。固くて斬ることが出来ずちょっととけたようなあとが着いただけだった。これ長期戦の予感がする。
「ファイラスト!」
「アイスボール!サンディル!」
「ロックブラスト!」
「うごぉ!」
「魔法も軽く魔法保護がかかってますねこれ。一旦強い魔力で剥がさないと魔法が届かないですね。」
「そうなの?」
「はい。ルーナカミ。ファイラスティアソンでそういうのを引っぺがしてくれませんか?」
「わかった。ファイラスティアソン!」ルーナカミはそう言うと、数mはある大きな火球を放ちアイアンゴーレムにぶち当たらせた。それは、ゴーレムにほとんど吸収されたが少しは影響あったらしくちょっと溶けていた。
「よし。今です!少し経つとまた魔力によって軽いバリアが貼られてさっきみたいになりますので短期決戦で済ませちゃいますよ!」
「OK。いくよ!ファイラスト!」
「ファイヤラーソード!どりゃ!」
「ロックブラスト!」僕たちは魔法保護が剥がれたところに集中攻撃をした。思った以上に貼り直しが早く10秒ほどでまた効かなくなったがルーナカミの豪快すぎる魔法保護ひっぺ剥がしによりもう1回同じこと繰り返すとちょっと凹んだり、溶けたりした。……もとがかなり硬いな。これは倒すのに苦労しそう。
「ナサール!」
「なに?」
「そっちは平気ですか?」
「ん。まぁ、強いっちゃ強いけどどうにか戦えてる。ただ私精霊魔法使えないから倒すことは不可能なんだよね。もし、骨が折れたとしても直ぐに治っちゃうし結局はジリ貧になっちゃうね。」
「そっか〜。ほっ。ルーナカミ!?」
「アイブレイク!どした?」
「魔力私がいいって言うまで私にくれない?」
「ん。なら、ちょっと任せたよ!」
「わかりました。」
「おう!」ルーナカミとアリシアはそういうと何かの準備を始めた。何してるんだろう。精霊魔法みたいなもんかな?でもあれ、魔力足りないんじゃ……あ、だからルーナカミに魔力補充頼んだわけね。そのあと、何分か避けながら攻撃を繰り返しアリシアとルーナカミの方に注意を向かせないようにした。
「これぐらいで足りると思う!」
「うん。わかった。」
「ナサール。」アリシアはナサールの方に近づきボソボソ会話を続けた。
「いてて……。やっぱ過剰魔力はデメリットだな〜。ソリス!シールド貼って!」
「シルディア・ウォール!あまり無理はしないでくださいね!」
「もちろん!さて、えーと、『我が天に降りなすは主天なる精霊、この世を全てを作りあげたスピリタス王。また、それに対する子分の皆々様よ。願いがあるので聞いてくれないだろうか。我はエルフのアリシア=オルフェサルド……』」アリシアは単語というよりかは長ったらしい文章の方の魔法詠唱を始めた。その間アリシアとルーナカミを守り切ればいいのか。自分の意思で動いてないゴーレムはともかく、不死人は自分の意思で自由に動けるからな……ナサールはともかく僕たちは盲目魔法ぐらいでしか不死人を止める手段がないからな……しかも眼窩があるだけで、目がないから盲目魔法が効くことすら分からないし……。まぁ、試してみるしかないのだろう。
そう思いながら3分以上なんとかアリシアを敵から遠ざけた。途中不死人がそれに気づいたがルーナカミの手は自由なためシルディアで守ってくれた。
「……よし。ナサール!」
「ん。」ナサールはそういうと不死人を投げ空中に浮かばせるようにした。
「ルーナカミ!」
「マジカル・ヴァンティング!」
「よし。スピリチュアビーム!」ルーナカミが魔法で不死人ん空中に抑えアリシアが最後にそういうと、うっすらと小さな幼女が見え、緑色のビームが不死人に向かって照射された。不死人は「グハァ!」と叫びながら壁に叩きつけられ、白く光って消えた。ゴーレムもそれによって、一瞬だけ動きが止まったが、自己保存の方がかかったのか目が赤く光だし今までより強く、速く動き始めた。
「まずいですね。もう1回外さないといけないのに魔法保護も強くかかってしまうと思いますからさらに強い魔法で外さないといけません。」
「じゃあ、私が、ぶん殴ってどうにかするよ。」
「ああいや、多分そういうのは魔法保護で軽くシルディアがかかってると思うから並の暴力じゃ守られて終わりだろう。実際、火の剣で攻撃した時跳ね返されたもん。」
「なら、やっぱりルーナカミの魔力で強引に外すしかないか。」
「そうだね。」
「あ、あの。多分私も半分切ったと思うから何度もはうてないよ。」
「わかった。ところでアリシアは?」
「こっち〜。魔力使いすぎて動けなくなっちゃった〜。だからさ。守ってくれない?」
「……はぁ。わかりました。ほっと!皆さん。行きますよ!」
「「「うん!」」」僕たちはそのあと、魔法で剥がしたところに殴ったり、火の剣で切ったりして何とか動きを止めようとした。特におそらく真ん中の魔晶石を取り除けば動きは止まるだろうと思い、そこを重点的に攻撃しようとしたが、そこはかなり強いバリアと防衛本能がかけられており、何とかその分厚いバリアを剥がして攻撃しようとしても手によって跳ね返されるばかりで取り除くことは不可能に近かった。
「ちっ。ならまず手を切断してからどうにかしようか。」
「そうだな。」
「ええ。そうですね。そっちの方が魔晶石取り除きやすいかと思いますよ。」
「じゃあ、ファイラスティアソン!」ルーナカミはそういい一旦腕の魔力バリアを剥ぎ取りそこに攻撃を仕掛けた。
「ソリス。火纏わして!」
「わかりました!ファイヤーウォール!」
「よし。少し待ったら氷魔法で一気に冷却するぞ。……あ今だ!アイサイヤーウォール!」ソリスと僕がそうやって脆くした後ナサールの打撃によってさらに脆くしたがやっぱり元がだいぶ硬いから少し脆くしたぐらいだと結局効果はないんだよな。まぁ、こいつの動き大雑把だから攻撃避けてるうちに岩にぶち当たって折れるだろ。と思ってると思った通り攻撃を避けた時に思いっきり手を壁にぶつけ手がボロボロと取れてきた。
「うわぁ!」
「とれましたね。」
「あぁ。金属は熱されたあと急速に冷やされると強度が落ちるんだ。」
「そうなんだね〜。じゃあ同じ要領で左の腕も取っちゃおうか。」
「あぁ。ルーナカミ。そういうので魔力外すのも頼むな。」僕達はそういったあと、同じことを繰り返して両腕を取り払った。
「よし。アリシア。大丈夫?」
「うん。もう動けるだけの魔力は回復したよ!まだ魔法は打てないけどね。」
「じゃあ登って魔晶石取って!」
「え?被れるんだけどまぁ、いいや。ちょっと触るだけだったらかぶれはしないし。分かった!」
「こっちはどうする?」
「あとはビームに気をつけるだけだな。装備されてるか分からないけど。一応こっちに惹き付けておこうか」僕たちはそう言いながら登ってるアリシアに危害を与えないようにした。アリシアは最初は取ろうとしたが途中で諦め「がっちりハマってるからルーナカミが強引に魔力送ってオーバーヒート起こして割った方がいいよ。」といった。
「そっか。でもさすがに私の今の魔力じゃ無理じゃない?ほっと。」
「危ないですね。そうでした。まだ足による踏みつけが残ってましたからね。」
「試して見なきゃ分からないよ。一旦やってみたら?」
「かもね。じゃあよろしく!」ルーナカミがそういうとアリシアは投げてルーナカミをお腹付近にくっつかした。
「いくよ〜!魔力全放射!」ルーナカミがそういうと最初こそは一気に活発的になり、ビームや踏みつけが多発したが15秒から30秒経つとオーバーヒートを起こしたかのように機能停止した。……おわったか……?
「終わった……?一応ルーナカミ離れて!」
「うん!」ルーナカミがダッシュして、僕たちも壁に接着した瞬間ゴーレムがドカン!と大爆発してしまった。ルーナカミ距離近かったけど大丈夫か?
「……ゲホゲホッ。みんな大丈夫?」
「足が痛いけど痛いということは足そのものは取れてないから骨折だけだと思う…。うん。見た感じ足は燃えたり取れたりしてないね。ヒーリラリ!」ルーナカミは膝を擦りながら言った。折れたのは気の毒だけど何とか生きてしかもすぐ治るならまぁ、命が無いよりかはマシか。
「耳キーンとするけどそれ以外は平気かな。」
「あぁ。マレも聞けるってことは大丈夫だな。」
「ちょっと煙かったけどね。」
「わたしも大丈夫。」
「こっちも爆風によって壁に叩きつけられましたが怪我は擦り傷だけですね。思ったより大丈夫ですが一応回復魔法かけといてください。」
「OK〜。ヒーリラル。」
「と、なると今怪我してるのは擦り傷をしてるソリスと両足が折れてるルーナカミだけか。」
「いや、左足の方が痛み激しいから多分骨折れてるの左足だけだと思うよ。それに今はもう回復魔法かけてるから数分も経てば治ると思うし。」
「そっか〜。」
「なら安心か。」
「そだね〜。でももう一度爆発したら流石に命が危ないからさ〜運んで?」
「分かったよ。よいしょ。」アリシアはそういうとルーナカミをお姫様抱っこして運んでった。
「確かに片方は変な方向に折れ曲がってますね。今はもうお姫様抱っこのおかげで向き自体は治りましたけど」
「まぁ、その内ちゃんと立てるようになるからそこは安心してよ。」
「わかった!追加の回復魔法はいる?」
「いや。その気になればもっと強い回復魔法かけられるし大丈夫。足の骨が外にはみ出てるわけでもなさそうだしね。」
「そっか〜。」
「それにしてもなんで人造人間爆発したんだろう……。主人消えても動き続けたし。」
「そういうようにプログラムみたいなもんでも組んどいたんだろう。自爆プログラムが発動した理由もおそらく最後に一矢報いたかったんだろうし。それを考えてみれば当然のことだよ。個人的にはなんで骨だけになってる人がいる方が不思議なんだけどな。」
「それはさ。悪魔精霊に肉体を貰う代わりに不死にしてもらうことが出来るんだからだよ〜。不死とは言われてるけどだからといって不老って訳では無いからね。途中で肉体そのものが腐って溶け落ちたんだろうね。」
「なるほどな〜。その肉体も悪魔に食われて無くなったから骨しか残ってないわけか。」
「そうだね!まぁ、それも今回の精霊ビームによって消えてしまった訳なんだけどね。」
「それにしても魔力過多になって大丈夫か?」
「体が浮腫むような感じとともに体がちょっと重くなったのとなんか吐き気のような変な感触があったけどさビームを放った時に魔力を完全に無くしてしまったからさ。もう大丈夫って感じだよ。」
「それに今は魔法使えないものの動ける段階にはありますしね。」
「そそ!多分あと10分経てば初級魔法ぐらいなら打てると思うよ。」
「それにしても魔力を完全消費すると動けなくなるんだな。」
「まぁ、さっきのナサールのように魔力を完全消費するためには一気に力を放出する必要がありますからそのせいで動けなくなることはよくありますよ。ただ色々な魔力を使った末に魔力がなくなった場合は一気に放出してるわけではないので動くことが出来ます。100から0にすると動けなくなるだけで1から0とかの場合は難なく動けますし、寧ろ急に0になる魔法は大抵の場合打たないんですから。」
「そ〜そ。今回の精霊魔法はともかく普通の爆炎魔法とか火炎魔法とかは魔力以上の魔法を放とうとすると失敗して放てないし、その場合こんなふうに他人に魔力貰わないと放てない仕様になってるから大丈夫。私も実力とかは分かってるからこういう風にでもならない限りは精霊遣いにでもならない限りはやらないと思うから大丈夫。」
「精霊遣い?」
「精霊遣いは精霊と契約することによって精霊と共に魔法などを行う人間やエルフ等のことをさしますね。精霊は多大な魔力を持っていて且つ精霊遣いになるとその魔力を遣うことも出来るから魔力の量がそれこそ桁違いに増えるんですよ。量はおそらくルーナカミの等倍から数倍以上、なので浄化魔法、さっきのビームですね。それを何発も放てますし、もっと高度な魔法が使えたりしますので。」
「へ〜。精霊遣いって誰でもなれるのか?」
「いや?精霊魔法使える人じゃないと資格にすら入れないし他の契約魔法とかと違ってかなり厳しいルールや修行が必要になるからね。魔法使いも同じような感じで修行を積む必要があるんだけど流石に精霊遣いよりかは辛くないから契約魔法界では最高レベルだと言われてるよ。国内でも魔法使いは様々な試験を受けて合格しないといけない影響でちょっと少なめの1万人ぐらいになってるけど精霊遣いは数百から二千数十人程度と言われてるし、なった場合両方とも申請が必要だからね。」
「数そんなに居ないんだな。この国の母数がどれだけいるのかは知らないけど。」
「この国の人口ですか?大1.5億人弱です。正確な人口はちょっと忘れちゃいました。」
「なんの、話し、してるのか、あまり分からないや。」
「そだね〜。」マレとルーナカミはニコニコ笑いながら言っていたが全く分からないし興味も薄いルー中身と違ってナサールはちょっと興味があるようで熱心に聞いていた。その後もちょっと色んな話をしながら休憩をし、ちょっと魔力をある程度まで回復させたのとルーナカミの怪我が治ったのを気に、第7階層に進むことにし立ち上がって進んだが鍵付きのドアがこの部屋の出口を塞いでおりどうすればいいんだろう……と悩んだ。
「鍵は……もちろん空いてませんよね。」
「どうする?これぐらいの大きさなら、ぶん殴って壊すこともできるけど?」
「まず、なんでも殴ればどうにかなるというその考え改めような。」
「まず、鍵探して見つからなかったら壊すなり考えよっか。」
「そだね〜。」
「んー。それにしてもどこにあるんだろ?」
「こういう場合大抵はゴーレムの中に入ってるから探せば見つかるんじゃないか?」
「あぁ、そうかもですね。一応確認してみましょうか。」僕らはそう言いながらゴーレムのところに戻って5分くらいでかぶれてしまうアリシアを除き、ゴーレムの中から鍵を探した。ガサゴソ探してもなかったが頭部を逆さにしてみると鍵が溶接されていたためソリスに溶接されてるところを溶かしてもらい鍵をさし、第7階層に降り立った。
「よいしょ。うわぁ!」アリシアが階段の先頭を進んでいたがアリシアが降り立とうとすると急にアリシアが攻撃を受け後ろに倒れ込んだ。何事?
「メタルスライムですね。」
「ぴゅかがわん!」メタルスライムは独特な鳴き声をしながら戦闘を歩いていたアリシアに突っ込んで来ていた。
「ごぼ!……ファイラスト!」
「大丈夫?」
「かなり重いよ。攻撃。今は気絶しなかったけどもう少し強い勢いで突っ込んでたら骨折れちゃうし。回復魔法はいらないかな。さっき言った通り骨は折れたわけじゃないし。」
「スライムなのに好戦的でしかも一撃も重いのか……」
「さっきと同じ方法で試してみますか。ファイヤーウォール!……アイサイヤーウォール!」ソリスがそういうとスライムが燃え、そして凍った。スライムは最初は凍ったまま止まってたがバリン!と氷を割り突進してきた。こいつもしかしてスライムだから液体なのも相まってこういう温度差には強いのか。となると何が弱いんだこいつ。
「この敵にはさっきのやつは効かないんですね。」
「あぁ。液体なのが影響してるのかもな。とりあえずこれどんなのが効くんだ?蒸発か?」
「それもいいとは思うけど多分普通のスライムより蒸発点も高いと思うんだよね。その分流体性は少ないから殴るなどの殴打系が効くんじゃない?」
「そっか。なら僕とナサールが主体になるわけか。」
「多分ね。あとは岩魔法とか氷をぶつける魔法とかをぶつけても効果的かも。」
「OK。なら行くよ!」僕たちはアリシアの後に続いて攻撃を始めた。新たな敵で且つスライムなのに強いし硬いためかなり戦いにくかったが一体しか出てこなかったってのもありかなりこっちの方が有利なことになっていた。それにしてもスライムなのに強いとはどういうことなんだろう。まぁ、弱いのがセオリーっちゃセオリーだけどメタルスライムはその範疇じゃなくてめちゃくちゃ硬いが代わりに経験値がもらえる感じの敵だからな。経験値の概念がないこの世界ではただただ硬いスライムになりそう。そのあとも打撃を繰り返してた意外と素早さがあって、攻撃は避けられた。剣とかで攻撃はしたけど微妙に剣で切ったぐらいだとでろんと切ったところから戻ってきてたので意味がなかった。
「あまり攻撃きかないなこいつ」
「私が殴ればいいんじゃない?」
「あぁ、確かに。あと寸前で氷魔法ぶつけるのもいいかな?寸前ならすぐにぶち当たるから避けれる可能性も少ないだろうし。」
「そうですね。」僕たちはそのあとも攻撃し続けて最終的に空を飛んだ時に岩魔法と氷魔法で一気にべチョ!と飛ばして息を止めることが出来た。
「メタルスライム討伐完了!」
「さすがに今回は馴れ馴れしくなかったからな。スライムの割に結構固くて強かったし。」
「メタルスライムはそんなもんですよ。」
「魔力吸収はできるの?」
「そもそも、体の中に取り込めないから、魔力を吸うことも出来ないんじゃない?」
「そうですね。その代わり攻撃で人とか獲物殺した後でばくん!と食べるんじゃないんですかね?」
「あぁ。そういう感じの食べ方するのか。」
「もうスライムとは違う生き方してると考えた方がいいんだね〜!」
「そだね〜!」
「多分中にも入れないしメタルスライムの方にはすぐに攻撃した方がいいってことね〜。わかった!」
「というかスライムも普通はるんるんで内部に取り込まれていくもんじゃないと僕は思うんだけどな。普通は戦うなり逃げるなりすると思うんだけどな。」
「まぁ、それを言うなら剥いでた時にスライムに半分ぐらい飲み込まれながら何事もなくやってた自分たちも充分おかしいんですけどね。」
「そだね〜。」
「まぁ、そう考えてみるとそうなるのか。」
「まぁ、スライムが安心なのは途中でルーナカミが中に入ったってのもあるしね。」
「ん。スルーできるってのは魔力の点からみても時間の観点からしてみてもいいからね。」
「そういえば今何時なの?」
「ダディワス。あぁ、17時25分ぐらいですね。」
「じゃあ第9階層に着いたら夕飯とでもするか〜。」
「そうですね。後2階層、頑張って行きますか。」
「そだね〜。」
「ん。」
「あぁ。そうだな。」
「ん〜!」僕たちはそのあともダンジョンの中を進んでった。途中空クラゲの大群があり、なんとか姿勢をめいっぱい低くして通り過ぎたあと、謎の穴のみちに着いた。
「なにここ?」
「崩落後の穴ですね。どうやらここを通らないとつけないらしいです。」
「通れるかな?これ。」
「俺とナサールとルーナカミとマレは行けるとしてさソリスとアリシア通れるか?特にアリシア。」
「私はこの大きさなら通れないこともないですね。」
「私もギリギリ大丈夫かな?道かなり狭いことには変わりないけどみんな匍匐前進していけば大丈夫なんじゃない?」
「かもね〜。」
「順番どうする?」
「ナサール。私の後ろに来てくれない?一応内部で更に道が狭くなった場合突っかかるかもしれないからさ。その時に私を先に送り出してくれない?」
「ん。わかった。」
「じゃあ、俺最初かな?女子の尻見ながら進むのはちょっと気まずいからな。」
「わかりました。」
「じゃあ、湧太、マレ、ルーナカミ、私、アリシア、ナサールで行きましょうか。」
「そたね〜!じゃあ入っちゃおうか!」
「ああぁ。なら俺からだな。」僕はそういうと穴の中に入り進んでった。思ったよりかなり狭いな。閉所恐怖症とかじゃなくて良かったな。そのあともどんどん中に進んでは1人、また1人と入って行き、そのまま進んで言った。この後も狭くなるかも知らない場合もしかしたら途中で詰まるかも。そのまま前に何分か進むとやっとのことさで出口に辿り着くことがてきたが最後の出口に行く道がほんとに狭くなったので僕らは多少強引に出て、アリシアは寸前でナサールの手を使って穴から出た。
「よいしょ。出れた。ナサールありがとね。」
「うん。ちょっと寸前で詰まったのは面白かったけどね。」
「まぁ、アリシアの場合あるところが出っ張ってますからね。」
「うん!アリシアおっばい大きいもんね〜!」
「しかもかなり柔らかいしね〜!」
「そ〜そ〜!」
「おい。せっかくソリスそれ言うの避けてたのにそう言うなよ。」
「しょうがないですよ。」
「はぁ。」
「え〜。いいじゃん!別にやな訳じゃないんだし!」
「こっちが困る……まぁいいや。そっちが別にコンプレックス持ってるわけじゃないならな。」
「うん!もっとおっきくなってもいいと思うよ!」
「まぁ、なら別にいいですよ。ほら、さっさと行きますよ。」
「は〜い。」その後僕たちは先に進み始めた。
「……ねぇ。なにあのスライム。」ルーナカミは一本道の逆方向からペチョ、ペチョと進んでくる何体かの黄緑色のスライムをさしてそう言った。木属性のスライムにしては薄いし、なんか禍々しい色してるし。
「あぁ、あれは毒スライムですね。飲み込まれた場合消化毒と共に神経毒が内部に入ってくるので決して飲み込まれてはいけませんよ。」
「は〜い。」
「あっちから襲ってくる可能性は無いのか?」
「あるかもしれませんが、ここまで近づいてる場合もう気づいてるのでそれなのに攻めてこないならもうこっちをなんも思ってないのでそのまま行ってもいいと思いますね。とりあえずこっちから攻めないでこのまま進んでいきましょう。」
「なら安心だね!」
「進もっか〜。」
「ん。」
「じゃ〜ね〜!」僕たちは毒スライムを見ながら先に進んでった。そのあともまた別のスライムが上から来たがなんとかよけながら進んでった。
「グルルル……」さらに先に進むと真っ黒い2mぐらいの犬のようなモンスター数匹が攻めてきた。さすがにそろそろ敵が多くなってきたか。階層も深くなってきたし。
「バウ!」
「ウー、ギャン!」犬は僕たちに見事に敵対し泡吹きそうな勢いで泣くと噛み付くように突進してきた。
「あぶないな、ファイラスト!」
「ウギャウ!」火魔法を放つと犬の体の一部は火傷したみたいになっていた。どうやら軽微と言っては軽微だけど他の魔獣と違ってちゃんと魔法もきくらしい。これだけでかなり倒しやすくなるな。出来れば剣も通ってくれると嬉しいんだけどさすがそんなうまくいけるわけないか。
「こいつなんだ?」
「魔犬ですね。魔法にも打撃にもある程度耐性はありますがまぁ、今までのヤツに比べたら倒すのは簡単となってます。外の方でも結構出ていき下級ギルドにはこれの群れを倒す任務も存在してますね。」
「オーケーならすぐ倒しちゃお!」
「うん!」
「わかった。」
「おぉ。」僕たちはそういうと直ぐに魔犬に向かって攻撃を始めた。まず剣で切ろうとし突っ走ったが犬にすぐ引っかかれかけたので剣でそれを止めた。その後剣でそれを押しのけ切って、足に傷をおわした。
「ふ〜。思ったより簡単に怪我負わせられるな。」
「そうですね。ファイラスト!」
「アイシスト!」その後も剣や魔法で傷つけ、残りはあと1匹になった。なら、そろそろ行けるか。
「じゃあ俺行くぞ。」
「分かりました。」
「ファイラスソード。」僕はそういうと突進しに行ったが剣攻撃をすると一緒に引っ掻き攻撃を受けてしまいお腹にでっかい傷が出来てしまった。あ、なんか遠くなって……
――――――――――――――――――――――――――――
「ヒーリラリルン!」意識を失った直後、マレと思わしき人の回復魔法によって何とか意識だけは取り戻した。
「マレ、湧太は?」
「大丈夫。意識はうっすらあるみたい。」
「そ、なら良かった。」
「ファイラスティア!」
「う!」
「アルベンニードル!」もうあんまり何も見えないなか、声だけが聞こえながらなんとか犬を倒したみたいでぼやけながらもアリシア達が近づいてきた。
「なにやってんの。」
「大丈夫なの!?」
「生きてはいますけど、かなり、傷ついてますね。」
「お〜い。聞こえる?」
「あ……あ。」
「お腹の傷多分残っちゃうね。」
「そこはしょうがないでしょ。」
「そもそもこんな深い傷残して、内蔵飛び出てない方が奇跡なんですから。」
「そっか。ん?あれ、大腸じゃない?」
「あ、確かに、切られてたって訳か、まぁ、あれぐらいなら治してるうちに復活するでしょ。」
「むしろ大腸だからお腹スッキリするかもね。」
「そういう問題じゃないと思うよ。治るまでとはいえ一部の臓器ないんだから、ルーナカミ、ヒーリラリルかけてやって。」
「うん!ヒーリラリル!」あ、何とか痛みが引いてきた……。
「あ、ありがとな。ケホケホ。」
「あぁまだダメ。多分肺か胃の中に血溜まってるからね。治っても暫くは喋っちゃダメ。血逆流するよ。」
「そ、そうなのか。」確かになんかお腹に溜まってる感触あるな。まぁ、肺ならともかく胃な特に大丈夫だろう。
「あ、立ち上がるのもダメ!まだ怪我治ってないんだから!ちょっとまってて。」
「あぁ。」僕はそのまま数分間待ち、よいしょっと立ち上がった。あぁ、頭クラっとする。まだ血足りてないのかな?
「大丈夫?」
「かなり頭クラっとする以外は大丈夫。多分貧血と似たような状況になってるな。」
「そりゃそうだもん。だって結構血出てたからね。仰向けに倒されたのもあってあまり服にはかかってないけど服穴空いたからとりあえず上だけでも着替えて明日新しい服でも買いといたら?」
「そうするわ。ソリス。別の服くれない?」
「分かりました。ダディワス。」ソリスはそう言いながらダディワスから服を出してくれた。自分はちょっとキョロキョロした後、魔犬の後ろに隠れて着替えた。道まだ直線が続いていたから見えない場所を探すのにちょっと苦労した。うわぁ……横向きに2つのでっかい切れた跡があるじゃん……。よく死ななかったな。回復魔法さまさまだよ。
「……着替え終わりましたか?」
「あぁ、終わったぞ。」僕はそう言うと着替え終わった姿を見せた。腹の傷も隠れたし。ちょっとお腹まだ痛いけどまぁ、これぐらいなら大丈夫だろう。多分内臓系よりかは筋肉再生系の痛みだと思うし。
「いけます?」
「あぁ、大丈夫だ。まだちょっと痛いけど多分もう神経系の痛みだからそこは安心してくれ。」
「ほんと?一応かけてみるね。ヒーリラル。あ、たしかに治ってるね。」
「じゃあ耳切り取っていこっか。」僕らはその後、耳を切り取り、また歩いて第7階層を進み始めた。途中スライムと空クラゲの大群が漂ってたがちょっとスライムの中に入ることで事なきを得た。その後10分15分歩くと行き止まりだったがちょっと段差のある穴があったので落ちてみた。……なんか下に柔らかいのがあるな。かなり暗いし、何ここ?
「何ここ?」
「とりあえず明かりつけま……なんか絡みついてきましたんですけど……」
「ウォ。」
「なんなの〜これ〜?」
「なんか、ねとねとする。」
「ちょっと明かりつけるね!ライティア!」眩しい光が辺りを照らしたので周りを見回してみると蔓が僕たちの体にどんどん巻きついてきた。僕らはどうやら意志を持って動く植物に絡みつかれたみたい。
「これかなり強いよ!中々引きちぎろうとしても引きちぎれない!むしろ尚更強く絡みついてくるよ〜!」
「ほんとこれ厄介ですね。ナサールどうにかできますか?」
「お願い!」
「ちょ!息苦しい!」
「流石に植物姦はこっちもやだからね。そ〜れ!」ナサールは気だるそうにそう言うと力を込めてそれをブチって剥がし僕たち蔓も剥がしてくれた。
「よしならこっからは簡単だね!植物系は任せて!こいつの弱点は火じゃなくて……サンディラス!」
アリシアがそう言うと雷が発生し蔓の体のようなものを燃やした。
「あ、火よりも雷なのか。」
「火魔法は何故か防いじゃうんですよね。でも雷の方はそのバリアみたいなものを貫通してくれるので弱点になるんです。あ、でも雷は剣に纏えませんしあなたには使えないので諦めてください。」
「わかった。剣で切るのはダメか?」
「硬いからね。少なくとも力がないと無理。」
「サンディラス!これ倒しても根をどうにかしない限りまた同じのが数日で生えちゃうよ!」
「どうすればいいの〜?」
「なら今後のために根ごと燃やせばいいだけか、頭の脳みたいなやつどうにかすれば燃えたりするんだよな。」
「おそらく、あと剣は切るよりも突き刺す方がこの場合は効果的かと思います。」
「ならやってやろうじゃないか。」
「うん!」
「ん。そだね。」僕たちはその後その植物に向かって戦いを始めた。幸いにも触手のような蔓植物の攻撃ははたくと絡みつくしかないため単調な攻撃しかできずそのため簡単に攻撃を避けることが出来た。
「サンディラス!」
「サンディランス!!」アリシアは雷の槍のようなものを出すと蔓に向かってぶっ刺した。雷魔法そんな使い方することができるんだ。アリシアは少し痺れたように手をふったが蔓は喚くように蠢き燃えて消えた。どうやらこいつがいわゆる大黒柱というか主柱らしく動かなくなった。これで根をぶっ壊せば終わりか。
「じゃあ私土掘るね!」ルーナカミは近くによるとものすごい勢いで土掘りを始めた。ものの10秒も掛からずにグルンとルーナカミは自分が掘った穴に向かって落ちてしまった。頭打ったりしてないか?
「大丈夫?」
「うん!頭ちょっと打っちゃったけど今ん所は大丈夫だし高さも低いから多分平気だと思うよ〜それより、あったよ〜ただもっと深いところにあるらしいからもっと掘るね〜!」ルーナカミはそう言うとさらに深く掘り進め、1分近く経つと掘るのをやめて「おわった〜!」と言った。しかしめっちゃ深く掘り進めたため頭が全く見えなかった。
「おう。もう降りてもいいのか?」
「うん!大丈夫だよ!」ルーナカミがそう言ったのでとりあえアリシアが降り代わりにルーナカミが登った。
「これか。根。」
「そうだね!」
「じゃあ付くか。アリシア。終わったらすぐに雷の槍刺してくれないか?」
「うん!」
「じゃあ行くぞ!ドリャ!」僕はそういうと剣で突き刺した。さらにアリシアが雷の槍で突き刺すと根はブチ切れ、自然消滅した。
「倒れたな。」
「そだね〜!じゃあ登ろっか〜。」アリシアはそう言うと崖に手をかけてよいしょ。っと一気に登った。僕も何とか登り、また道を進み始めた。
「結局この穴なんだったんだろうね〜。罠の割には穴広いし〜。」
「落盤後ですかね?」
「その可能性いちばん高いかもな。こんな奥まで道続いてる理由はわからんけど。」
「もしかして上の地形が硬すぎるから下に逃げたとか〜。」
「それかもね。」
「まぁ、道があるし進めればいいや!精霊さん待ってるもんね!」
「ふふ!まぁ、そう考えれば確かにそうですね。もっと下に行きましょうか!」その後も僕たちはさらに先に進み、ついにラスボスが居る第8階層にたどり着くことが出来た。ここにラスボスがいるのか……果たしてどんなボスがまちかまえているのだろう……第8階層はおりてすぐに鉄の重々しいドアがあり、さすがボスの雰囲気を醸し出していた。
「いいですか?」
「うん!」
「いいよ〜!」
「あぁ。」
「ん。」
「いいよ〜!」
「じゃあ、って、あれ?開きませんね。あ、これ、魔力ドアになってますね。恐らく。」
「魔力ドア?」
「魔力をある一定の場所に一定以上込めると解錠されるんです。恐らく魔力を餌にして食べる魔獣をここに封じ込めるためにこのドアを建てたんでしょう。大抵の魔獣は魔法を使えませんし魔力をあるところに込めることができないため、よく封印するために使われるんですよ。」
「そうなんだ。じゃあ、魔力込めないとね。」
「そうですね……どこにこめればいいんでしょう。あ、なるほど、このドアそのものが大きな魔法陣になっているんですか。じゃあ真ん中に魔力をこめればいいんですね。」ソリスはそう言うと真ん中に魔力をこめ始めた。すると、ゆっくりとドア内の魔法陣が少しづつ明かるさをまし、赤く光ると「ギギ……」というかなり重い音がしゆっくりとドアが空いた。中には2体の鬼のようなオークのような青い人型の魔獣がいた。デカイな……大きさも数メートルはある……今は寝てるとはいえ近く通ったら絶対起きるし力もものすごそう……
「まずいですね。」
「ん。」
「なにがまずいの?」
「かなり強そうなのは分かるけどね〜」
「その強さが段違いなんですよ。」
「まぁ、見ただけで強そうなのは分かるけど大丈夫なんじゃない?」
「いや、多分私と同じか私以上に強い。動きはちょっと緩慢だけどその分さ、力が真面目に強い。こいつ2体を相手にするのは多分総力つぎ込んでも難しいかも。」
「まじ?」
「ん。」
「じゃあ全力でやろうか。」
「そうですね。」
「厳しいのは百も承知だよ。その上で挑んだんだろ。」
「う〜ん!」
「うん!」
「はぁ、わかった。」ナサールは頭をぽりぽりかくと力を込めた。僕たちも力を入れて近くによると案の定目を覚ました。顔が下向いてたので気づかなかったが片方サイクロプスじゃねぇーか。道理で強いとか言ってるわけか。伝承では人食うし鬼より力強いらしいもんな。
「キュガゴ!」
「ギャオ〜!」近づいてると鬼とサイクロプスはほぼ同時に目覚め、薙ぎ払い攻撃を行った。腕や手だけでもm単位で大きく、避けるだけで精一杯だった。つぇぇよ。地面めくりあがっているし。
「これ魔法は効くのかな?」
「ファイラスティア!かなり耐性はあるけど少しは効いているらしいですね。」
「こっちには魔法は効かないけど、打撃は少しは効きそう
。だから、私と湧太はサイクロプス、アリシア、ソリス、ルーナカミは鬼をお願い。」ナサールは一瞬で状況を把握すると素早く振り分けた。アリシア筋力めっちゃある、寧ろ俺よりあるのに魔法要員なのか。まぁ、攻魔どっちでも行けます系のエルフだと思うし。
「うん!」
「わかりました。」
「あ、あぁ。微力でも手伝うぜ。」
「ん。マレは回復ね。」
「分かった!」
「じゃあ、行くよ!」アリシアがそういうと、ナサールに言われた通り二手に別れた。ナサールはともかく自分は当たったら一発ゲームオーバーだからそこら辺気をつけていかないと、
「ぐぎゃあ!」
「ファイヤラーソード!」僕は攻撃をなんとかよけ、左足を火の剣で切った。かなり硬いし、魔法が効きにくいのもあって攻撃は通りにくかったがさすがに鋼よりかは柔らかくなっており、何とか斬ることが出来た。相変わらずかてぇよ。魔獣の肌、骨みたい。
「グゴォフ!」
「避けて。上。」
「あぁ。」僕が避けると上から大きな手がバ〜ン!とものすごい大きな音がなりながら落ちてきた。アブねぇ。もう少しで死ぬところだった。足もすごい勢いで治ってきてるし。
「ふん。」ナサールはその手に向かって蹴りを入れ姿勢を少しでも崩そうとしたがバランス感覚もバツグンらしく何事もなく前よりに立った。こいつかなり厳しいな。バランス感覚もバツグンで、しかも足を切り取ってバランスを崩したくても、傷つかすのも大変な上にその傷すらすぐに治ってしまうという優れものだからその間に更に傷を悪化させるのも大変という代物。絶対長期戦になるよ。これ。
「どうする?」
「一旦二手に別れてどっちにも興味向けて逸らさせるのが1番だけどどっちか怪我をしちゃうとぶっ殺されるまで殴られるだけだと思うからな……」
「ん。私でも、避けて!……ふ〜。話を戻して、私でも、逆向きに殴らないと相殺が出来ないから多分直に殴られたら終わりだと思う。だからやるとしたら一緒に殴ったりするのが1番いいね。ほら行くよ!」
「うん!」 僕とナサールはそういうと一緒に走り出し、その後も攻撃を進めたがやっぱり決定打にかけていた。
「じれったいな。ナサール。身体強化魔法ってないのか?」
「あるけどさ、めっちゃ後遺症残るよ。」
「そうなのか?」
「うん。とりあえず話しながら闘おう。さっきみたいになったら困る。マレ。一応着いてきて。」
「あ、うん!」マレはそういうと近づいてきたので一緒に戦うことになった。
「ファイヤラシーソード!で、話すとは?」
「左。」
「うわぁ!危ないな!もう!」
「しょうがないよ。ほら、ナサール。剣を思いっきり蹴れ。」
「え、あ、うん。」
「うぎゃあ!!!」
「よし。これで更に深く傷つけることが出来たな。で、話ってなんだ?」
「マレ。話して、筋力増強魔法の後遺症を。その内に惹き付けておく。」
「うん。」
「あぁ。気をつけろよ。」
「うん!」
「じゃあ、説明するね!筋力増強魔法は確かに存在するし一時的に力や持久力が上がるんだけど欠陥が大きくて、ちょっとかけただけでも筋肉痛が起きちゃうし、そのラインを超えると、筋肉が麻痺して動かなくなっちゃったり最悪壊死しちゃうからさ。あまりオススメしないんだよ。だからちょっと諦めて。」
「あぁ。わかった。」僕はそういうと、また戦いに戻った。確かに壊死や筋肉麻痺は怖いからほんと緊急事態以外でしか使われないんだろう。そのあとも5 6分戦ったがやっぱり強かったので倒せなく、寧ろ、ナサールが気づかないと死ぬぐらいにはキツかった。あっちの3人よく生きてるな……と思ったらシールドで機動力の遅さを補っているのか。よくやってんな〜。
「よそみしないでよ。油断が死に直結する可能性さえあるんだからさ。」
「まじか……まぁ、確かに一発で地面抉られたり捲られたりしてるもんな。ファイヤラシーソード!そろそろ魔力切れそうだからあまり魔力も使えねーな。」
「まぁ、元々魔力は余り効かない感じだったから良かったでしょ。あ、」
「シルディアソン!」マレが急にやったと思うと上から落ちてくる殴りをマレのシールドが止めてくれた。ありがとうと思って後ろを振り向くとアリシアが吹っ飛ばされておりそれどころじゃないと思ってしまった。
「いい。行くよ。」
「アリシアは。」
「多分マレがどうにかしてくれるでしょ。あんなの気にしてたら次は自分がやられるよ。ほら、」
「わかったよ。」僕らはその後も10分近く戦った。流石にそう何度も傷つけたりすると治癒能力が落ちてきたのか傷が見えるようになってきたが何回か防げず死にかけたことがあった。特にナサールはすぐ復活したものの掴まれてぶん投げられたので恐怖を感じた。
「ごわぁ〜!」
「はぁ……そろそろか。」
「うん。惹き付けるからその間に臍にその剣ぶっ刺して置いて。」
「うん。分かった。」ぼくがそう言うと、ナサールは「じゃあ、」と言い走り始めた。上手くヘイトをこっちに向かせないように気をつけながらナサールは離れそのうちに僕は懐に近づき全力疾走の勢いと腕の勢いで何とか突き刺した。なんで臍なのとは思ったらちょうどそこが弱点だったらしくグギャアオゴ!と叫んで動かなくなった。死んだのかと思うと体から急になにかが臍の中から出てきた。なんだこれ。
「なにこれ。」
「多分鍵の半分。それよりあっちはよ倒すよいい?」
「あぁ、大丈夫か!?」
「何とかね!」
「倒すことは出来そうですね。ファイラスティア!トライアングルガン!」
「サンディラス!エターナルブリザーディー!」アリシアたちはそれこそ魔法の雨を振らせまくってた。魔力を感じれる人であればほんと魔力でむせかえりそうだな。トライアングルガンなんて見た事ない魔法使って3色の弾丸みたいなのだしまくってるし。ほんとにもうすぐ倒すことができそうだな。
「どうする?」
「あの中に入ったらさ、恐らく魔法の大洪水に巻き込まれて被弾しちゃうからさ。もし行くとしても被弾しないように後ろから攻めていこうかな?」
「あぁ。それが一番いいな。魔法を使った場合でも穴は開けることが出来ないし上からぷかぁと浮いてくるでもしない限りは鍵が出て来れないからね。その時は剣でも借りてぶっ刺すよ。」
「分かったよ。借りる時にはちゃんと言えよな。」
「分かった。」その後、3人の魔法の雨を見ながら入るタイミングを見限った。
「グリーサ・タンドリル!」
「行きます!ファイラスティアソン!」
「サンディラシィー!引火して!」ルーナカミが蔓魔法で鬼に蔓が巻き付き、そこに大きな火がついて燃えてさらに雷で引火範囲をさらに広げて鬼の体を燃やした。
「ギャアグワォウガゴギャ……」
「おぉ〜。すごい燃え方してる……」
「何この燃やし方。」
「こんなに燃えるなんてね〜。」
「どうしてこんな最強技使わなかったんだ? 」
「こんなにすごい連鎖反応起こすとは思ってなかったんだよ!」
「おそらく、雷が蔓に触れて物凄い魔法反応起こして燃えた鬼の肉にさらに引火して内部まで燃やされたんでしょうね。」
「そうだね。」
「魔法ってこんなに因果反応起こすんだな。2回ぐらいだったら色んなゲームで体験済みだけど3回も連続して起こるとは思わなかったよ。」
「ところでこれ、鍵取れるの?」
「鍵?」
「あぁ。この敵は体内に鍵が入ってるんだよ。こっちのやつは立方体の不思議な箱だな。火を消せばもしかして浮かんでくるかもしれないな。一旦凍らせてみるか。」
「そうだね。」
「じゃあ、私いくね!エターナルブリザーディー!」ルーナカミが体全体を凍らせ一旦火を消したあと氷を溶かした。鍵は、浮いてこず、肉がぐちゃあとぼろほろに崩れた後に球形の珠となって地面に転がっていた。
「これが鍵なんですか。」
「そだね。」
「こっちは珠、こっちは、立方体、どうやって使うの?」
「まぁ、見れば使い方分かるでしょ?」
「そうだな。」
「とりあえず、行こいこ〜!」
「ゴーゴー!」
「そだね!早く行こ!」
「ちょっと待ってください!」僕らはそう言いながら鍵のような物体をもちドアのところに向かったドアには立方体を入れるような穴と丸い半球の穴が空いてる長細い土台があった。そこに立方体と珠をいれ、珠に魔力を込めると魔法陣が光だし、ゴゴゴ……という大きな音を鳴らしながらドアが開いた。ドアの向こうには階段があり、そこを下ると恐らく、ボーナスゾーンである第9階層に着くのだろう。
「じゃあいくね!」アリシアはそう言いながら最後の階段をダッシュで下ってった。戦闘が終わったというのに元気だな〜。
と思いながらそれに歩きでついて行くとその階段はいつもより長く、また、下に行けば行くほど明るく、魔石も多くなってきておりさらに蔓植物や苔植物がどんどん多くなってきており、最終的にはほぼ草原みたいな感じになっていた。その下には125cmぐらいの巨乳、緑色の肌で緑色のボブと緑色の目。胸の真ん中部分が空いたヌーブラのような形で特にお腹が丸々見えるデザインの上着と緑色のパンツを履き、裸足の12歳ぐらいの女の子がいた。なんか服が葉っぱの塊っぽいな。木の精霊か?なんかでっかい切り株の上に座ってるし、肌緑色だし。
「あ、やっと会えた〜!」その子はそう言うとアリシアに抱きついてきた。この子がキン?
「こんにちは!」
「あなたがキンですか?」
「そう!ボクはキン!この地下魔木の精霊!まぁ、今はちょっと育ちすぎちゃったから色々あって切り株になってるんだけどボク自身はここにいることにしてるんだよ〜。あとから芽とかも生えて来ると思うしね〜。」キンはアリシアに抱きつきながら言った。その後、僕達は宜しくといった。自己紹介はさっきやったしいいよな。
「あ、そうそう!ね〜ね〜。この中で1番多い魔力持ってる子って誰?」
「魔力〜?ならルーナカミだね!」
「あぁ、何しろダントツの魔力とってたもんな。」
「うん!私だよ!」
「でも、そんなの聞いてさ、どうすんの?」
「それはね!ちょっと説明するとさ〜。私たちの階級の精霊は自然の魔力をあまり精霊力に還元することが出来なくってさ〜。ちょっと普通の精霊より階級低いんだよね〜。それでさ、人の魔力を精霊力に還元するんだけどあの大地震以来中々人間来なくってさ〜。だ、か、ら、さ!魔力貰うね!」キンはそう言うとルーナカミをギュッと抱きしめた。すると、黄緑色にキンとルーナカミが光りだし、黄緑色の螢のような光がゆっくりとキンに入っていった。
「ルーナカミ大丈夫か?」
「うん!魔力はじんわり取られてるけど魔力いっぱいあるから大丈夫!それとさ、なんかキンちゃんのおっぱい段々大っきくなってない?」
「あ、分かってきちゃった!?」
「どういうことだ?」
「えーとね、ボクこの姿が本体じゃないんだよね。この姿はいわば精霊力を節約するための仮の姿。精霊力を取り戻すと本来の姿に戻るの。まぁ、私の場合この天井とか木の高さとかが小さいとか色々あって背はほとんど伸びずおっパイだけがどんどん大っきくなってくんだけどね!だからそのうちルーナカミちゃんの上半身を飲み込んじゃうかも! 」
「そこまで!?」
「ちょっと大きすぎませんかね?」
「まぁ、おっパイの大きさは大っきくても小さくてもいいからね〜。」
「まぁ、元の姿に戻るんだったらいいでしょ。」
「うん!」
「窒息させないようにな。」
「うん!」そのあともキンはどんどん胸を大きくしながらルーナカミと抱きついていた。確かにどんどん胸は膨らみ続けそれが好きなルーナカミはその胸にすぽっと入り込んで行った。その後もどんどん大きくなっていき、最終的にルーナカミの上半身を覆い尽くした時点で止まった。髪も足首まで伸びており、背もルーナカミと同じぐらいになった。いや、胸でかすぎだろ。
「ほっ。魔力ありがとう!おかげで元の姿に戻れたよ。おっとっと、さすがにこんなに大きくなるとおっぱいの重さがものすごいことになってるからバランス保ちにくいね!ちょっと転んだら、立ち上がるのに苦労しちゃうかも!」キンはルーナカミを飲み込んだまま手をブンブン振っていた。まぁ、見ただけで胸の方が体より重そうだもん。そのあとはヨイショと切り株の上にルーナカミと一緒に座った。ルーナカミは相変わらず上半身飲み込まれてるけど大丈夫なのか?
「柔らか〜い。膝まで覆ってるしね〜。」
「魔力大丈夫なのか?」
「うん。吸い取られてほとんど無くなっちゃったけどすぐ魔力回復出来るからね〜。ちょっと待ってたら多分魔力は全回復出来ると思うよ!」
「なら大丈夫か。」
「おっぱいもまだルーナカミの口覆って窒息させるほど成長してないからね〜!」
「そうですね。帰る時はちゃんと帰るとして、夕飯にでもしますか。」
「そだね〜!」
「ん。ルーナカミも作るから手伝って。」
「ヨイショ!わかった!」ルーナカミはそう言うとキンの胸から出てきた。その後、鶏肉を焼き、塩を振りかけて、鳥の丸焼きを作り、飯盒炊爨を作った。
「よし!ちゃんと作れたよ!」
「キンも食べる?3つ作ったからちょっと多いんだよね〜。」
「いや、ボク食事取らないからいらないんだよね〜。ボクはさ、精霊力を餌として生きてるからさ。生きるのに魔力や精霊力が必要な代わりに食べ物を食べなくても生きることができるんだよね〜。だから代わりに食べてやって。ここまでの探検で魔力や体力を使ったと思うし、多めにご飯食べてよ。」
「あ、分かりました。」
「じゃあ食べるか。多かったりしたら僕に言ってくれ。全部食べるから。」
「私も。」
「うん!」
「じゃあ。」
「そうですね。食べるとしますか。」
「おいしそ〜。」
「「「「「「いただきま〜す!」」」」」」僕たちはその後いい感じに夕飯を食べてった。途中ソリスがおなかいっぱいになったのでアリシアとナサールと僕で残りを食べ尽くした。
「ご馳走様。」
「ご馳走様でした。」
「お粗末様でした。」
「そういえば、どうやって地上に戻るんだ?」
「あぁ。私の精霊魔法で上空にテレポートするからそこら辺は安心して!」
「なるほどな。」
「器用なものだね。」
「分かりました。」
「あ〜。そういえばソリス〜。」
「そうでしたね。キンさん。ノートに記録してもいいですか?」
「いいよ〜!可愛く書いてね〜!」
「絵は苦手なんで、書くとしても文章ですね。」ソリスはそう言いながらノートに記載していた。その後、また、ルーナカミがキンの谷間に入りここの昔を聞くことにした。
「えーとね〜。ボクが生まれたのは約2500年ほど前かな?ボクが生まれた頃にはもう人間が魔鉱石の鉱脈を見つけてくれていてさ〜、もうホリホリしまくってたの!その時に緑色の女の子が急に現れたから何事かと思ってみんなびっくりしちゃったみたい!まぁ、その後500年以上いや、1000年近くかな?魔鉱石ホリホリしてたからよくその人たちと話したりしてたんだけど途中で地震起きてからは何故か全く来なくなっちゃって〜。その内、木が大きくなりすぎたから、しょうがないから切株にして、まだ生きてるって感じかな?」キンはそう言いながらニコニコ笑った。いや、こいつ2000年以上生きてんのかよ。化け物だな。その後も色々話し込み雑談を楽しんだ。
「じゃあ、そろそろ出る?」
「そうしますかね?今、9時ぐらいですから今行って色々話しながら帰るのもいいですね。」
「報告は?」
「明日にしても良くな〜い?」
「そだね〜。」
「それに、もう、閉まってると思う。」
「そうですね。確かギルドは朝八時から夜八時まで営業なので多分この時間はもう店の中を綺麗にしたりして受付とかそう言うものは終了してると思いますからね。」
「そっか。なら明日でもいっか。」
「ん〜!」
「それならでよっか!ルーナカミ?」
「ん〜?なに〜?」
「そろそろ上行きますよ。」
「あ。は〜い。それじゃ〜またね〜。」
「ん〜。ボクはいつでもここにいるからねじゃあ上に送るね!ちょっと固まってくれない?」キンがそう言ったので僕たちは肩が当たるぐらいの所まで近づいた。そして、最後にキンが「上へ!地上へ!運べ!」と言われると眩いばかりの光に包まれ、ウトナよりちょっと離れた所へワープした。等直線運動みたいなもんでもしたのかな....
「……あそこがウトナですね。」
「ちょっと離れちゃったね!」
「まあ、色々歩き通したからな。疲れたし、足が鉛のように重いぜ。」
「じゃあ、向かお。」
「う〜ん。」
「あと少し。宿に帰るまでが任務だからね!」僕たちはその後星が綺麗とかを話しながら宿に帰り早めに寝た。
疲れたし今日はよく寝られそう……
20 ?????ver.
『これから定例会議を始める。』はぁ、何とか間に合いました。定刻より少しでも遅刻するとバス様お怒りになりますからね……気が抜けませんよ。
「まず、聚落襲撃の結果を。頼むぞ。コントラ。」
「はい。まず、1つの聚落襲撃に失敗したことをお詫びさせていただきます。ただ、残り一つの襲撃には成功したのでお許しください。まず、サルシントのウザサルベ襲撃。こちら、失敗しました。理由としてはギルド隊が襲撃を阻止したためです。なので、一旦痛めつけておくのが最適でしょう。それとカルーベのアルベリタ襲撃、こちらは一応ギルドの駆けつけてくる前に村人を襲撃することに成功しました。新聞によると死者の数は2桁を数え怪我をしたものも沢山生まれたらしいです。大成功までとは言いませんけどかなり成功したのではないでしょうか。」
「なるほど。」
「……でして、そのウザサルベを殺した人の町は。」
「まだ分かりません。テノール。調べるの頼めるかしら。」
「お任せ下さい。微小な魔力からどの街出身か、当ててみましょう。」
「それとテル、ミン。新しいモンスター調達と人間の苗床の様子は順調かしら。」
「ん!実験体ABC共にオークの子を産んでるよ!喉潰したから声も出ないし肢体切ったから動かないしね。ただまだ表情を動かせるようなのと洗脳とかはまた沈んでないようでさ泣いてたりするんだよね〜。どうにか出来ないかな〜?」
「それ以外のモンスター調達も順調に進んでるよ〜。
「うむ。ならそのまま続けてください。あと、そういう表情系のは後で確認するので見せてくださいね。」
「それでは、この後見つけ次第予定を立て、その町を滅ぼすとしよう。」
『あぁ。』
「ではこれで定例会議を終了とする。」ふ〜。やっと終わりました。リンも向かってますし。私も寝てしまいますか。ふわぁ〜。
これにて1章終わりです。こっから亀投稿になりますがご了承ください