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The Guild of Different world~異世界のギルド~   作者: AJツッキー
5章 war
20/21

5-4 War The Fall

26

敗戦を喫してから半年以上が経過した。半年は結構たった。暑い夏から涼しい秋、そして肌寒い冬へと変わり、いつの間にか年すら変わっていた。衣装も半袖から長袖、また、簡単な鎧のようなものを着る人も増えてきた。外の景色も大分変わりいつしか紅葉もおわり、雪もつもるようになった。ソリス曰く、「クリス王国の方はもっと雪降ってると思います。」らしい。

半年と言うと、結構歳が上がる人も多く、ルーナカミは秋の初めごろに10歳になり、ナサールは夏の時には274歳に、マレは初雪が降る寸前に162歳に、年が変わる頃にはソリスも17歳になった。ナサールとマレは長寿なので一歳一歳の変化はほとんどなかったのだが、ルーナカミは人間と同じ感じの歳取りなので背も少し伸び、体の至る所が丸く、柔らかくなったような気がした。実際、胸が結構大きくなったのは僕にもはっきりみてとれた。アリシアも背が少し伸び、目線がほぼ同じ、ヒールを含めたら俺の方が少し低くなった。元がでかいので分かりにくいが胸の方も大きくなったらしい。ソリスは歳をとったものの、第二次成長はもうほぼ終わってますからね〜。と言っており、実際身長は変化ほぼなしだった。自分もどこかで誕生日迎えたはずだが、生憎ここの世界とあっちの世界では暦が違う上に(こっちの自転周期はほぼ同じだが公転周期は450日もあるし、ひと月も41日×10ヶ月と40日がひと月だ)そもそも恐らく召喚された日がこっちの世界状の誕生日となるのでお祝いはなかった。

自分は戦争の間、ナサールとソリスに簡単な魔語や戦争中に使う魔語を教えて貰ったので簡単な魔語なら話せるようになり、理解できるようにもなってきた。英語以上に難解な言葉が多いからなかなか難しいけど今後のためだもんな。

戦争はほとんど勝ちながら進んでゆき北部から大きく回り込むような形で街を少しづつ占領し、今は王都ナクペシアの目の前に鎮座していた。

街の保護は基本的にキラ教かギルドが行い、ノピリ教や雑多軍、多国籍軍は基本的にただ一緒に攻めるだけだった。色々なことはあったが、何とか内部分裂までの壊滅的状況までは陥ることなくここまで来ることが出来た。王都まで来ることはできたものの、王都はただでさえ人口50万、兵士5万の大量の兵士、包囲して1ヶ月近く経ち、その間に何回か攻めたりはしたものの、かなり強固な壁と敵なため、中々攻めることは出来なかった。それで思いついた方法はこの包囲を味方につけ、兵糧攻めを行い弱化させ、ついでに内部分裂もはかりそれで戦力を大きく削ぎ落とすことだった。こっちは今まで占領してきた街を行き来すればある程度の兵站は確保できるのに対し、あっちは包囲のせいで兵站も出来ず、街のご飯も確保できず更に王女様の演説により、じわじわと王都は陥落に近づいていった。

今の状態は、北部は女王と王女が睨み合っておりまだ比較的強固だが王女の演説によりその強固さも崩れ始めている状態。

東部は一部の町民や兵が逃げたりするなど士気が低下。町民によると内部では徐々に崩壊していき、餓死が出て来たらしい。

南部はこちら側も包囲が他のところに比べて薄いため放置気味。

西部はちょっといざこざが起きた時に瓦礫などが飛び散った影響で攻めることも守ることも逃げることも困難になっていた。

今、別働隊の一部が地下水路を通る道を探しているらしい。なので一旦はそれ待ちってところだと思う。

なので待ってると、昼頃。ギルド軍の上司から「伝令。地下水路の入口が見つかった。今晩、王都を落とす。」と言われた。ちゃんと落とせるのだろうか。

27

夕方、ルーナカミはもう寝ており、街中には王女の演説が聞こえていた。

「妾とて、餓死者をこれ以上増やしたい訳ではない。投降したら、丁重に扱う。ご飯も3食だす。」

「えぇ。兵站ですが。保存食になりますがある程度のご飯は確保できます。残りは一旦クリス王国から持ってくれば大丈夫です。」

「拷問もしない、特に町民の場合は今までとほとんど変わらぬ態度で接し、今までとほとんど変わらぬ暮らしを約束しよう。」

「我らも精一杯の保護は約束する。なので、投降をした方がいいぞ。」

「我らは、いかなる時があろうと投降せぬ!」

「そうだ!」そのような感じのが数時間続いた。その間に別の部隊が火を多めに使って兵の士気や数を尚更多くして怖がらせていった。この二部隊が気を逸らしてる間に、何も無い西側の方で魔法を沢山使える方がルーナカミ含めて準備していた。光魔法や聖魔法、精魔法やレーザーを使えるものが固まって一気に壁を壊そうとしているらしい。更に一部は地下水路から攻め、内側から壊そうとしているらしい。僕らはその間でひたすら待機をしていた。

「ドゴーン!!!!」待機していると西側の方からすごい大きな音が聞こえた。見てみるとレーザーが放たれた影響で西側の壁が壊れていた。一部の家も削れていたが偶然人はいなかったのか、はたまた人ごと焼き消えたのか人の姿は見えなかった。

「西側の壁崩壊!西側を全力で守りつくせ!」

「今じゃ!今こそ悪名だかき魔属の国を処罰せよ!」

「進め!建物と一般人はなるべく保護せよ!」

「我らも続け!」そのあと僕らは一旦西側から進み中に入っていった。初めての市街地戦ということでみんな緊張しながら中に入っていった。中には空に向かって真っ赤な照明弾を放つものもおり、戦争ならではの過激戦がそこにはあった。僕らは押しやりながら一直線に進んでいた。西側には兵士はなかったとはいえ、あそこまで大きなレーザー光線を放つとその後に敵は集まり防御層を形成するため、窪みながらもその防御層を崩しながら進むしか無かった。

緋刀美も呼び出して戦いながら数十分、防御層を突破し僕ら含め一部の軍(大体1000人弱)は街中に入っていった。街中にも少しの兵士は存在していたが、流石に戦闘の意思は低く投降を促すと素直に従うものが多かった。

ラル(命令形)マカヴィ(助ける)!」声がしたのでそっちの方を見ると家のドアが開いており、そこから、子供を抱いた悪魔族の女性が出てきた。年齢的に……親子かな?

「ラル、ナルカル(落ち着く)ヤー(否定)ヴィーラ(推定形)キアラ(殺す)。」

ラーヤ(ごはん)!ラーヤ!」なるほど……殺すつもりはなくとも、それよりも先にご飯か、確かにここひと月包囲してたもんな。

ハルア(分かった)疑問形(ナカサ)ルーイ(立てる)。」僕はそのあとその人に手を差し伸べた。その人はよろよろと立ち上がった。その後多少話しながら僕は子供を抱っこして一旦元々の道を逆走した。

「捕虜の場所ってどこだ?」

「もう少し右側ですよ。」

「ありがとう。」そのあと捕虜の方まで子供を抱いて移動した。

「どうした……?」捕虜の方には多数の魔属の人たちがいてご飯を食べてたりしていた。

「この人も投降してきた民間人なんですけど……」

「分かった。まずご飯だな。もう大丈夫だ。あとはやっておく。」

「分かりました。」僕はそのあともう1回街の中に戻って行った。幸いこの後は特に何も無く街中を進むことが出来た。

それにしても……本当になんも変わってないな。人の暮らしも魔属の暮らしも本当に変わらない。差別をするのは間違っているよな。

「ほうほう。よく内部まで入り込めたなー。」端っこの方を進んで数分。ナサールと途中から合流していて走っていたが1人の悪魔族が空の上から降りてきた。背は180cmくらいの巨乳。黒い髪を肩までにしたのと茶色い目と悪魔のしっぽ。黒いニットの長袖と広がってない方のスカートに龍の鱗のような金色の腕輪を合わせ、ハイヒールを履いた20歳くらいの女性だった。肩幅広いしえらく筋肉質だな。

「げっ。」

「おや。ナサールじゃないか!」

「知ってるのか?」

「ん。彼女の名前は、マルカート。コンモートっていたでしょ?」

「……【暴食】だっけ?」僕はそう言った。確か東の大きな街ナッシャアには【嫉妬】の部下のマリンコリアが、北東の街ニキピルには【憤怒】の部下のフリオーソが、北の街カザバッチには【怠惰】の部下のレントがいたし、そういうことか。

「そう。その人の……部下。」

「おや、部下とは軽いですな。私はコンモート様に魂を売ったんだ。下僕(しもべ)とよんでくれ。」

「じゃあ……下僕。」

「そうなのか。」

「ここは、私に任せてもらってもいい?因縁あるし。」

「あぁ。」

「おや、歳若い女に任せていいのか?」

「色々役割があってね。こういう力ものは私担当なの。悪魔・解放ディアブル・リベライション。」

「そうか。まぁ、私もあなたと戦いたかったところではあるからなぁ。いい腹ごしらえにはなるだろ。悪魔・解放。」マルカートがそう言うと悪魔のしっぽが消え、代わりに金色の竜のしっぽに変わった。おお〜。かっこいいなぁ。そう言ってる場合じゃないと思うけど。

「早く。」

「分かった。」僕はそのあと走っていった。もう近くには王城が見えており、やっと終わるのか……っていう気持ちになっていた。半年以上も戦争やってて嫌なことになること多かったけどやっと終わるのか。そう思いながら城の中に入口から入ってった。城の中は微かなあかりしかなく、そこに更に先陣を切った数人の人がいた。布の色的に近衛軍かな?

「誰だ!?……ってギルドの人か。入れ。」

「はい。中はどんな状態ですか?」

「俺らも入り始めたばっかりだからな。よく分からん。何分かあとには王女様も入る予定だから危険な通路とかは排除しておいた方がいいんだけどな。」

「王女か。大丈夫かな。女王とかち合わせながら進まないといけないと思うんだけど。」

「まぁ、王女様も精鋭だし、いざとなれば精鋭で守りながらいく。大丈夫だろ。」

「そうか。」そのあとかなり待ってると白馬に乗って長槍を持った王女があわられた。

「おや、そなたもいたのか。」ミラル王女は馬から降りながらいった。

「あぁ。何とかここまで行くことが出来た。女王と戦ったのか。」

「そうだぞ。モルディーナの方は確保することは出来たがアモーディスは戦った末モルディーナを確保する時にどうか行ってもうて……まぁこの広い戦場の中ならどこかにまだいるじゃろう。」

「そうか。なら中に入っておこう。」

「あぁ。人とか、罠とかは大丈夫かの?」

「それが……まだ入って間もないから中の捜索まだ済んでないものでして。なのでまだ罠を探してる最中なので危険だと思います。」

「そうか。まぁ。お主らのうち1人は回復魔法使えるじゃろ。」

「私が。」

「私は防御魔法も使えます。」

「なら大丈夫じゃな。守りながら先に進ませてもらうとするわい。」ミラル王女はそう言うと先に進んでいった。僕らもそのあとをついていたがおかしいほどに誰も見当たらなかった。

「ここは……食堂じゃのう。廊下に囲まれるようにできておるのか。」

「ここは執務室と簡単な応接間ですかね。書類なども揃ってます。」

「ふむ。国内のことは大抵これを見れば分かりそうかの。」

「ここは……メイドの当直室か?殺風景だな。」

「大体そんなもんじゃろ。」僕らはそう言いながら数々の部屋をめぐった。

数分後。1階の探索が終わり2階の階段上がってすぐのバルコニーの方に目を配ると1人の白髪のスーツを着た魔人族の男が僕らに背を向け、外を見ながらお茶を飲んでいた。

「なんじゃあれは?」

「さあ。」

「武器は持ってないけど……少し不安ですね。」

「そうじゃのう。ちょいと防御魔法かけてくれんか。話に行ってくる。」

「大丈夫でしょうか。」

「まぁ、ここまで来てまだ何かを飲んでおるということは敵対意思は少ないと思われる。それに、防御魔法をかけてくれれば、少なくとも一撃は生き残れる。」

「……分かりました。シルディア・パーソンカル。」従者の1人がそう言うとミラル王女の体に透明の膜のようなものができた。

「それじゃあ。」ミラル王女はそう言って中に入ってった。僕もついて行った。

「おや、そなたは。」

「ミラル王女じゃ。お主は。」

(わたくし)ですか?私はただのしがない老執事でございます。名を覚える必要はありません。」

「そうか。ここで何をしている。」

「崩れゆく、国をみながら、お茶を飲んでいるところです。」

「なんでここにいるのじゃ?」

「ここが1番、地面に近い階層で見た目もよろしいからです。」

「ほかの執事やメイドはどうした?」

「女王様が先にどこかへ逃がしました。私は最後まで見送りますと言って拒否しましたが。」

「心意気は見事じゃの。」

「それはありがとうございます。あなた方はどうしてここに?ここには私以外に人はいませんよ。」

「王都として、城の陥落というのは絶望感を与えるものだからな。それに、書類とかがあれば、今後の国政にも役立つからなぁ。……そうじゃ。」

「どうかしました?」

「お主らも、くるか?」

「?どういうことでしょう。」

「そなたがおれば、これまでの国政をそのまま引き継げる。書類もわかりやすいし、その他にも色々役立つこともあろう。そなたも、いつか妾の国が滅亡する時に同じことが出来る。それに、女王の1人はもう確保しておる。女王に会うのも、悪くはないじゃろ。」

「それは利点なのか?」

「……ふふ。敵国なのに面白いことを言うのですね。分かりました。そのお誘い乗ってやりましょう。ただ1つ。よろしいですか?」

「かまわん。」

「紅茶。まだ1杯残ってるんです。これを飲んでから、捕虜になりますのでしばしお待ちをしてください。」

「分かった。ゆっくり飲め。」王女がそう言うと老執事はゆっくりとお茶を飲み干した。そのあと、自ら手錠でもかけられたように腕を合わせて立ち上がった。

「いえ。敵対の意思がないなら、手錠はかけません。」

「では、そなたら、頼んだぞ。」

「かしこまりました。行きましょうか。」

「えぇ。」そう言うと老執事は2人の兵士に連れられてどこかに行った。

「さて、もうちょい探すかの。」そのあと僕らは王城の中をひたすら探索した。2階はさっきのバルコニーに加え、いくつかの部屋があった。

「ここは……寝室かのう。衣服も残ってる……。デザインは良さげじゃの。」

「おもちゃが置いてありますね。」

「まぁ、見た目年齢は同じくらいじゃったし。」

「こっちは……書斎ですかね。こっちの方が重要な書類入ってます。」

「そうだな……古そう。」

「こっちは……客室か?ベットもあるけど先程の部屋に比べたら豪華さは無いし。」

「お風呂は2階から入るんですね。」

「次は3階か。」僕らはそのように3階も探索した。3階には同じようなバルコニー、会議室、見張り部屋や簡易的な図書館などがあり、見張り部屋には武器も置いてあった。

「ふむ。あとは誰にすますかじゃな。まぁ、数日は妾も泊まるじゃろ。」

「あとは……中庭かな。」僕はバルコニーから中庭を見回した。近くには通路で大きな小屋が三つありそのうち1つからは動物の声がないていた。

「1つは厩舎で大丈夫ですかね。」

「そのようじゃの。」

「となるとおそらく倉庫と図書館か。」

「確か3階の書斎の方に鍵があったはずです。」

「探索の前に旗を掲げましょう。」

「そうじゃな。4階もあるし。」僕はらそのあと4階に行った。4階には小さい通路とハシゴのみが置いており、そこを昇ってみると様々な色の布があった。

「さて、敗北の色は白じゃったはず。ちょいと手伝うてくれんか?」

「はっ! 」兵士が何人かそういいながら出ていき、旗をロープで下に下ろして外した。

「この旗はどうしますか?」

「まぁこのまま残しといてもよろしいじゃろう。」そういいながらミラル王女は旗を新たに結びつけてロープを引っ張りあげた。

「私がやります。」

「いや、妾がやることが、この戦争の終わりを告げる合図になろう。」そういいながらミラル王女は旗を1番上まで引き上げた。

「よし。そなたはもう帰って良いぞ。」ミラル王女がそう言ったので僕は残りの人に挨拶をし、戻って行った。外は、絶望と歓喜が満ちていた。

「終わりだ……殺される。」と自らの首を()ねようとする男とそれを止める老夫婦。

「やっと開放される……。」と叫ぶキラ教。

死体に唾を吐くノピリ教。

現実を受け止められないのか戦いをやめない者など様々な人がいた。

「……」王都の端の方に30分くらい歩くと、魔属の死体に花を手向けてるギルド軍の悪魔族の方がいた。見たことはあるな……。捕虜部隊の方で見て、背が高く片目が刀の傷によって大きく傷ついていたからかなり覚えているが会話を交わしたことはなかった。

「……」

「……よう。」僕は挨拶をした。悪魔も目を合わせたがその目は怖かった。

「……ん。なんだよ。」

「いや、魔属でも花を手向ける習慣あるんだなって。」

「わりぃかよ。」

「いや、へーと思っただけだ。」

「ふん。」

「……知ってる人か?」

「いや、昔あった人でもなければ、戦ったことでもない。ただこの街にいたってだけで、同じ血を引いてたってだけで、俺にとっちゃ――まあ、知り合いと同じだよ。それだからこそ、同じ種族として、花を手向けない訳にはいかなかった。」

「そうか。」

「だからって何か変わんのかって言われりゃ、変わらねぇけどな。せめて誰かひとりくらい、最後に花くらい置いてやってもバチは当たらねぇだろ。」その男の声は力がなかった。怒ってもないし、泣いてもない。ただ、まっすぐだった。

僕はその花を見ながらしゃがんで拝んだ。

「分かるな。その気持ち。僕も同じことをしてたかもしれない。僕は、魔属か、人か、そういう判断はしないからな。」

「そうか。」その男は少しだけ口の端をゆがめた。笑ったのか、呆れたのか、判別できない表情だった。

「……そういう奴ばっかじゃねぇけどな、お前ら人間。」

「そっちもだろ。でもそういうのは変えていかないと思ってる。」

「あぁ。その通りだ。」

「……じゃあ僕は仲間探しに行ってくる。」

「そうか。仲間ってのは。」

「ギルドなんでな。もちろん、魔属もいる。」

「そうか。」僕はそのあと、その白い花をみながら、ナサールやアリシアを探しに行った。幸い全員すぐ見つかり、ナサールが医務室で珍しく回復魔法受けてるのにはびっくりしたが「マルカート相打ちになるレベルで強かった……何とか倒せたけど体も色々限界になっちゃった。」と言っていたのでまぁ、それほど強かったのだろう。捕虜部屋には手錠のかけられた女王の片割れと、マルカートが捕まっていた。残りの部下は戦場でその場で殺されてるのか、それとも逃げおおせたのか捕虜にはならなかったからまだマシな方なのかな。というかもう片方は……いないのかな。

28

王都陥落からひと月が経過した。

壊した壁や壊れた1部の家はみんなで立て直し見た目はほぼ元通りに治すことが出来た。

死体も墓地に埋めることが出来、包囲もとけ見かけ上は今までと変わらぬ生活をできるようになった。

だが、それは見た目上という話、食料などや元々の王都の機能などは戻すことは出来たものの住民はまだ不安に満ちていた。商人や職人も少しずつ戻ってきたがまだ、地方都市程の活気は戻っていなかった。一部の商人もまだ戻ってないらしい。

まぁ、それはそうだ。いくらなんでも昨日の敵は今日の友達になるわけが無い。しかも長期間人とほぼあっておらず、会ったとしてもその時代的にノピリ教大正義時代だから人間に恐怖心を抱くのは当たり前のことだよな。魔属の人たちは占領軍のことを不安と恐怖と希望が入り交じった状態で見ていた。

その不安と恐怖のせいで、夜は治安が悪くなり、一部の期間深夜外出が禁止になってしまうこともあった。魔属の方もタダではいかず、何度も大きなデモが発生し、それを止めるのにもかなり時間がかかった。

それと陥落してから数日はノピリ教徒の「生かす価値なんてあるわけない!贖罪のために全員殺すべきだ。」という過激な意見とギルド軍達の「その贖罪とやらを繰り返してたら一生戦争なんて終わらない。あいつらはただ戦争に巻き込まれただけの可哀想なものだ。」という意見がぶつかり合い、一触即発の事が何回も起こったが王女に反発していけるほどノピリ教も強く出れる訳ではなく、治まっていった。

王城には未だ陥落を示す白旗が掲げられており、内部の掃除や修復はあらかた終わった。今のところは暫定的にミラル王女が王として君臨し、戦争が完全に終わったらアンドルザー国王が君臨するらしい。国の放棄とかはあの老執事が色々教えてくれているのだろう。

王都が陥落したあと、何日が経つと攻めてない都市の首長のような魔属が何人か、元王都の方に現れた。その者は降伏を申し出る方がほとんどでミラル王女もそれを受け入れ、続々とこの仮国の範囲は広がっていった。1ヶ月後には陥落・降伏してないのは北西にあるシャイターン城とはまた違うミュジケールの本城、ミュジケール城のみだった。(そもそもシャイターン城は数ヶ月前にもぬけの殻になってる所を占領したしな。)

捕まった元女王によると、ミュジケール城は9階建ての城で1-7階が、部下である七つの大罪(下から色欲、暴食、強欲、怠惰、憤怒、嫉妬、傲慢)の階層。8階が拷問や人体実験などの部屋。9階がバスなどが住まう主の部屋になっているらしい。

元女王は、魔王候補ということもあり、ノピリ教が一際殺すとか言っており、勇者がわざわざ捕虜部屋まで来て、僕もそれをみたが、アルバートというギルド軍の長が「わりぃがここは戦う場所じゃねぇんだ。殺し合いなら他所でやってくれ。」とあらげながら言ったのでどうにか治まった。

元女王は、魔王候補なのでどうして魔王候補になったのか聞いてみたが「魔王候補になると力強くなるからなぁ。それ目当てにバスにお願いして魔王候補になったのじゃ。正直すごい痛かったし苦しかったから、おすすめは出来ないぞ。」と答えてくれた。魔王の紋が目ん玉についてるのは痛くないのか、視界に影響は及ぼさないのかと気になったので色々聞いてみたが視界には特に影響はなく、目ん玉についてるが痛くは無い。2人についているのは2人で一緒に受けたかららしい。

そして、議論の結果、ミュジケール城はいわゆる城下町がなく、城しかない状態なので最後の最後として、精鋭及び希望兵少数がミュジケール城を攻めることになった。それと、ノピリ教は様々なことをやらかしたので一旦帰らせるらしい。まぁ、ひとつの村を壊滅させたし残当かな。

そして希望者を募り、また精鋭を集めミュジケール城を陥落させる為の特殊軍を200弱作り上げた。僕らも色々因縁があるので挙手し認めてくれたので参加することになった。ぶっ倒してやる。

29

歩いて10日程が経過してミュジケール城についた。ミュジケール城……9階建てと聞いていたとおり大きいな……遠くからでもはっきり見える。そしてこれが最後の戦いになるのか……気合い入れないとな。いつの間にか僕らは先頭になり後ろに行った方がいいんじゃないかとは言ったがウトナから来たし、なんかすごい因縁あるってアリシアが話してたらしくてそれも含めて、会ったこともあると聞いたらしいし1番前にいてもまあ、大丈夫だろうとなった。

「では、これからミュジケール城に入る!中は厳しい戦いが予想されるが!みんな心してすすめ!」アルバートの声と共に進み、ドアの前にたった。

「壊していいんだよね。」

「かまわん。これは挨拶ではない。戦いである。」

「なら、」ナサールとアリシアはそう言うとドアを蹴破った。城の中はゆったりとした霧が広がっており中は夕方と夜が入り交じるような空が上に見えており、薔薇(バラ)のような妖艶な匂いがそこら中からまっていた。

「ここは……?」

「いい匂い。」

「甘ったるい香りだな。」

「なんか見えるな。」

「人影?」城に入ると人影のようなものはさらに現実身が増しロリ超乳の女性が何人か出てきた。うぉっ。H……ってなんで?

「ふむ。」

「おっぱいおっきい!」

「おっぱい?こっちは背の高い男だよ?」

「こっちもそうですね。」入ってきてると何人も違う女性、男性が見えると言ってるのが聞こえた。話を総括して、ナサールや魔人族数人と話して、これは「【色欲】が見せる幻覚。」ということに落ち着いた。

「幻覚か〜……」

「……おい!」ゆっくり、ゆっくりとそのうちの1人の男性がどこかに歩いて向かっていった。

「お!い!」何度も声をかけて肩を叩いたりしたがその男はゆっくり、ゆっくりとその人影の方向にあるいてった。そのあと何度も声をかけたがその人は虚ろな目をしたままはぐれて、パッと上半身が消えた。

「え?」

「ヒーリラ……」

「ダメです。息はもうしてないですし……たすかりません。」

「……。」

「ひぇ……」

「取り憑かれて意識とか持ってかれると……幻覚に食べられるのか。」

「そういう……罠か。」

「欲望。」

「こうなるなら……近づかないようにしような。」

「あ……あぁ。」そのあとはその幻覚に惑わされないように進んでいった。ただこの匂いに催淫効果が含まれてるのか、それとも幻覚の姿が麗しいのか、これに引っかかる人も多く引っかかった味方はふらーっと引かれてどこかが食われて1人、また1人と倒れていた。回復魔法を使う間もなく、ばくんとくわれて死んでゆくからそこに置いていくしか無かった。自分やルーナカミも何度ゆっくり吸い込まれかれたか分からない。ナサールに引き止められたりアリシアに殴られてはっと目を覚まされたりしながら進んでいた。幸いというかなんというか、ここには敵という敵はほとんど居なくてただひたすら夕方と夜の惑わさと、淫らな幻覚にひたすら持ってかれないように進むだけだった。

「それにしても……道が長いなぁ……」

「ここが幻覚の世界なら、城なのに長いというのも、恐らく感覚でいじっているんだろう。」

「少なくとも入った時の大きさと今の大きさが違いますからね……。」

「おい。」

「は……っ!」そのあとも持ってかれないように歩いて10分弱。夜霧が少し濃くなると天蓋のあるベットの上に【色欲】のアルペジオが座っていた。

「うふふ。あら、意外と大勢で来たのね。」アルペジオはベットの上に座りながらいった。確かに何人か食われたとはいえ、元が200人弱だし城の中に入るのには多すぎるだろう。

「お呼ばれとかでないんでな。今回は。」

「お前が……この階層の主か?」

「いかにも。私はミュジケールの【色欲】(ルクスリア)。アルペジオ。」

「そうか。我は精鋭軍!この城を滅ぼしに来た。」

「人間が?この城を?笑えますわね。まぁ、でも乗ってはあげますよ。」アルペジオはそう言うとベットから立ち上がった。

「来るよ。悪魔・解放。」

「悪魔・解放。」アルペジオがそう言うとアルペジオの頭から角が生えてきた。ナサールも解放しお互い緊迫した状況下になった。

「さぁ!かかってきなさい!」そう言われたので僕らは何人か進んでった。魔族が何人かいたがさすがの魔族でも悪魔・解放の力には逆らえず何人も吹き飛んだ。僕ら人間は魔法で応戦するしかなかったが、魔法でやろうとしても、まず人数が多すぎて横一列に並べる人数が5人くらいしかなく、それに凄腕の魔法使いを並べて魔法を放ってもアルペジオに無視されるか、当たったとしても軽傷を与えるのがギリギリで厳しい戦いだった。

「マジカルティック・アソブリュート!」

「ん!」

「ほうほうほう!やることはやってますが追いついてないですね。」

「針鼠!」僕は何とか隙をついて針鼠を発動させたが移動距離が激しい影響で、焦点を合わせられず、呼吸による吸い込みが間に合わないママやってしまったので、首からちょっと離れたところにとげとげをうかすだけだった。それでもその位置はあながちハズレじゃなかったようで一部の棘はアルペジオに刺さった。

「いった!ほうほう!傷を与えたのには賞賛を与えましょう。ならお礼に、こちらからはいい夢だけ見さして上げます!」

「まずいかも。」

「【夜想曲(ノクターン)】」アルペジオがそう言うとスーッと意識が遠のいた。目を覚ますと誰もいない、なんも無い部屋に1人置き去りにされていた。ピンク色のモヤに包まれているから何も見えない。そう思いながら刀を握ってるとロリ超乳の女子が後ろから抱きついてきた。……?幻覚の割には実体がありすぎる。

「けほんけほん。」煙い……息はまだできるが吸い込むと咳をしてしまうな……。それになんか目がチカチカしてきた。

「ね〜ね〜。寝ちゃおーよ!」

「そ〜そ!」いつの間にか同じ見た目の女性が何人か現れていた。まずいな……。それにこの甘いような霧……気分悪くなってきたし毒か……。抜け出せる方法も分からんしとりあえず刀だけは持っていけたし切りながら霧の中進んでいくしかないか。

「ね〜ね!」そう思うと僕は何とか後ろにへばりついてる子を剥がし刀で胸を深く刺した血は流れずポンと煙のように消えていった。これなら罪悪感とかないな……。毒が回る前にどうにかしないと……。そう思いながら僕は近寄る女子を斬り裂いた。斬る感触はあるものの、血などは流れなかったからまだ楽だな。そう思いながら切り裂いて行くと、霧が緩くなり始め引いていった。ゆっくり周りを見回すとかなりの人が寝ながら時たま叫んでいた。一部の人は目を覚ましておりアルペジオも目をつぶって呻いていた。

「……何があった?」

「みんな、さっきの【夜想曲】で寝ちゃって。淫夢の幻覚二惑わされながら一部の人が目覚めた。って感じ。私は特にそういうの無かったから先に目覚めて、今【子守唄】(ララバイ)で悲鳴与えてる。」

「【子守唄】ってなんだっけ?」

「なんか、強制革命やったあと手に入った能力。何が起きてるのかは正直私も分からない。ん……そうなの?恐らくだけど悪魔の方からの能力説明来た。え?そうなの?」

「どんなの?」

「これまでに受けてきた全てのトラウマ要素をぶつけてゴリっとメンタルを潰して殺すらしい。」

「眠らせたように殺すから、ララバイなのか。」

「そだね。ただ、メンタルに打ち勝てる人は普通に殺されずに済むらしい。どっちに転ぶか……ね。」ナサールはそう言いながらアルペジオを見た。何度か血反吐を吐いたものの何とか目が覚めてしまった。

「はぁ……はぁ……精神攻撃でここまでやるなんて……さすがバス様の機械で強制的に悪魔化しただけの事はありますね。」

「そりゃ……攫われたからね。感謝はしてない。寧ろ、私は無理矢理やらされたから怒ってる。だから、今回は、殺すね。」

「かかって来るなら、おいでなさい。欲に塗れた小さきものよ。そしてその後ろを歩くみんなも、ここで倒れるのよ! 」アルペジオはそう言いながら襲いかかってきた。

「セイグリット・ビーム!」後ろから数人の声と共にビームが流れてきた。それを僕とナサールと一部の人は何とか避けることが出来、ちゃんとアルペジオにあたり、半身近くの体が斜めに消し飛んだ。

「お……の……の……れ。」アルペジオは辛うじて残った口と喉でそう言ったあと倒れ込んだ。

「……やったか?」

「……多分」

「なんか喋ってたけど……」

「どけ。」アルバートはそう言うと黒剣でアルペジオの首を刎ねた。

「念の為だ。」

「今のビーム、びっくりした。ありがとう。」

「いえ。早めに幻覚から逃げたらあなたがそいつを苦しませてくれたんでその間に溜めることが出来ました。ありがとうございます。」

「いえ。」

「それにしてもすごい威力だな。」

「何度も打つことはできませんが、1度打った時の威力は半端ないですよ。」

「そしたら、登ってくか。」そのあと僕らは階段を登ってった。色欲の次は……

30

階段を登るとお菓子の世界がそこには広がっていた。チョコの川とそれにかかるクッキーの橋、飴の実がなる光沢のある木、そしてわたあめみたいな雲など、お菓子のふしぎの世界が広がっていた。

「おぉ〜!美味しそ!いただきます!」ルーナカミはそう言うと飴のなる木から飴をむしって食べた。おいおい……食べて大丈夫か?と思ってるとルーナカミはその飴をペってしたあとびっくりしたかのように座り込んだ。

「う〜。痺れるし辛いよ〜!」やっぱりか〜。

「ダメですよ。敵のもの勝手に食べたらどんなことが起こるのか分かりませんから。」

「立てる?」

「舌が痺れてるだけだから立てはするよ。よいしょ。」ルーナカミはそう言うと立ち上がって戻ってきた。

「う〜まだ舌がビリビリするよ。」

「正直それだけで良かったような気がするな。相手のことだから食べた瞬間猛毒で死んでもおかしくないからなぁ。」

「量が少なかったからすんだかもしれないなぁ。幸運だと思っておけ。」

「分かった。」

「それにしても……ここはなんだ?」

「お菓子の国みたいだな。」

「恐らく【暴食】のフロアかな?」

「そうみたいですね。」

「甘い匂い自体はしてるけどさすがにこれに毒とかはないか〜。」

「なぁ。」

「ん?なんです?」

「魔属でもこんなことできるのは少数派だろ?」

「ん。」

「私も初めて見た。」

「それにしても……なんかすごい腹減ってきた。」

「おらもだ。」兵のうち何人かは腹を抑えた。確かに自分もお腹減ってきたな……。

「変だな……朝ごはんは城に着く前に食べたのに。」

「罠とは言えど食べ物はここにいくらでもあるからね。お腹空かず効果とかあってもおかしくない。」

「結局気をつけるのはさっきの階層と同じか。」

「変に引き付けていくのがないだけさっきの階層よりはまだいい方か。」

「そうだな。気をつけていこうか。」そう話しながら僕らは進んで行き、チョコレートの川とクッキーの橋に差し掛かった。ちょっと川の前に大きな滝があるから橋にかかってるんだけど大丈夫なんだろうか。

「この川大丈夫なんでしょうか?」

「ちょっとあそこの枝むしって確かめるか〜。」僕らのうちの一人はそう言うと近くの木から枝をむしってきた。

「これ、飴だな。」

「へぇ。木まで飴なのか。」その後そいつは川にその枝を付けた枝は「ジュー」って音がしてドロドロに溶けた。

「うわあ、」

「じゃあこれ少し浴びるだけでもだめじゃないですか。」

「そうだな。……シールド魔法貼れるやついるか?」

「うん。」

「わたしも!」

「はーい。」その後盾魔法が使えるものは端っこから橋に大きな盾魔法を全員で貼った。

「これで何とか通れますかね。」

「あぁ。一応地面に落ちてるものにも溶ける効果あるかもしれないから気をつけておけ。」

「あまり長時間は貼れないものですから早く渡ってくださいね。」

「ん。」そのあと僕らは早歩きをしながら橋を渡って行った。長いから渡るのには時間かかるな。そう思いながら渡そのあとシールド貼ったヤツらも渡って事なきを得た。その後グミのようなカラスなどの変なものを見たものの、とくに襲われることもなく進んでいけた。そうして10分弱は進んだだろうか。ルーナカミの舌は相変わらずビリビリしてるようだが、特に体に影響、腕が動かないとか呼吸が苦しいとかはなく、それだけで済み、僕らは皿ごと食べてそうな感じで食べているコンモートが座っているゼリー状の椅子の前に立った。

「ん?なに?食事でもほしいの?」

「違うな。」

「お前を、殺しに来た。お前は誰だ。」

「ふーん。うちは【暴食】(グーラ)のコンモートだよ。」コンモートはそう言うとリンゴをまるまる1個口に入れた。顎外れそうな食い方しとるな。

「ね〜。聞いてもいい?」

「なんだ。」

「王都の方にマルカート送ったんだけどさ〜。帰ってこないの。どうしたの?」

「あぁ。」

「あの子なら、女王と共に捕虜となっている。」

「へぇ〜。捕まえたんだ!」

「なんとかね。」

「お。ナサール。その姿は……悪魔?」

「ん。だから、全力で行く。」

「ちぇー。まだお腹すいてるのに。じゃあ、せめて、食材にならないようにがんばってね〜!いっくよ!悪魔・解放!」コンモートはそう言うと牙や爪が尖り、肌の方に更に2本の角が生えてきた。角の数多いな。まぁ、そういうのならいいとは思うのだが。

「さぁ、楽しい祭りの始まりだ!祭りには食事が付き物!」コンモートはそう言うとものすごい勢いで走りながら1人、1人ずつ食べていった。それを何とか魔人族がとめたり魔法で傷を与えたりしたがさすがに幹部なこともあり、すごい強かった。

「お〜いし〜い!やっぱりお菓子もいいけどお肉もいいよね〜。」

「セイグリット・ライト!」

「精霊よ!我に力を与え給え!スピリットレーザー!」アリシアと魔法使いのうちの一人がレーザーを放った。しかしそれはコンモートに全て食い尽くされてしまった。え〜。あれって食べるものなの?

「ゲップ。レーザーはあまり美味しくないね。」

「やっぱり食べてきますよね。」

「あの小さな体のどこに入るんだか知らないがかなり脅威だな。少し引き付けてくれないか?アリシア。ナサール。」

「了解!精霊魔法に。」

「任せて。」その後主に2人がコンモートを足止めしてる間に僕は刀を気体にさせた。そんだけ食いたいなら食わせてやるよ。刀の味をな。

「2人にとめられるとはね!先に肉いっぱいあって美味しそうだし金髪の方から食べてあげる!いっくよ〜!輪舞曲(ロンド)!」その瞬間、一気に皿が勝手に周囲を飛び回り、2人をおしのけながら当たりをぐるぐる回り始めた。何人の人が食われるスピードが早くなったな。皿で首を切られる者もいたし自分も左手が切れたが、……何とか大丈夫だ。位置はもうできた。悪いがなんでも食べてもらうぞ。

「出来る?」

「あぁ。堰き止め・改。」僕がそう言った瞬間、コンモートは一気に悶絶し、口をパクパク動かした。皿も落ち死体と共に地面に落ちて割れた。

「からの……毬栗!」その後僕は針鼠よりも針を細かく、多くさして絶命をした。鉄の一部が首の外でてるしちょっとやりすぎたか……。まぁ、堰き止めで苦しみながら死ぬよりはまだマシだろう。その後まだ生きてて怪我も少ないもの達を回復してもらい軽めの昼ごはんを食べたあと下に降りていった。毒っぽいが美味しそうな食べ物に囲まれながら毒じゃないが別に美味しくないものを食べるのは変な感じしたが、まぁ、毒で倒れるよりはマシだろう。

31

階段を登り、第3階層につくと、そこには1面金と銀でできた通路が広がっていた。おそらく大理石でできている彫像、そこら中に落ちてる金銀財宝に床や壁まで金や銀と、一見すると中々に趣味の悪い、でも豪勢だということは分かる部屋だった。

「なんだここは?」

「【強欲】の部屋だな。」

「あかりがそこら中に反射して眩しい。」

「チカチカするよー。」

「じゃあ行くぞ。」そのあと僕らは進んだ。

「なぁ。」

「なんだ?」

「なんで少しも目行かないんだ。金銀財宝に。」

「だってまあ、見たけどこれここのお金だからな。俺らの国じゃ使えないし。」

「ここまで来たら罠ってわかるもんだしなぁ。さすがにこのお金が私の国のお金だとしても、取らないな。」

「今回は特に引かれることもないしね!」

「そうか。まぁ、罠に引かれて死ぬよりはマシだな。」

「そうだ!」

「結構暴食の人に殺されちゃったからなぁ。」そのあと僕らは10分程度あるき、金でできた真っ赤な椅子に座ってるアレグロの元にたどり着いた。

「ほう。ここに来たということは2人は倒してきたのか。褒めてやろう。」

「それはどうも。」

「お前が強欲か。」

「いかにも、我こそが【強欲】(アヴァリティア)のアレグロだ。奪えるものは奪う。お前らの命も、未来も例外ではない。さぁ!我の命を奪いたくば!かかってこい!お前ら全員でな!悪魔・解放!【狂想曲】(カプリッチオ)!」アレグロがそう言うと目が蛇のようになり、酒瓶やコイン等と同時に攻めてきた。コイン1枚でも腕がえぐれ、酒瓶での破片で重症を負う程だった。床が軋んだりえぐれたりするほどの速さだからどうしようもない。一旦緋刀美出すか。アリシアもその間にアルダンテ出してるし。

「了解!状況は察した。」

「頼むぞ。」

「はいはい。」その後僕らは精霊魔法やレーザーなどを使って何とか抗っていった。正直飛び道具と一緒に攻めていくのは疲れるがさっきのコンモートよりは食べようとしてないだけマシだな。ちゃんと打撃も効いてくれるし。

「クハハハ!面白い!人とこんなにも楽しく戦えるのは久しぶりの事だぞ!!」

「ライターランサー!」アレグロとアルバートの2人はそう言いながら激しく戦った。確かに全身に強化魔法をかけてるとはいえ、最高強化されてる魔属に押されはしてるものの戦えているのは凄かった。

「早くしてくれ!俺にだって時間が残ってるわけではない!」

「分かっている!」ふと後ろを見ていると魔法陣を発動させようとしていたので僕はちょっと導線に立つのをやめた。

「行くぞ!クロニクル・マジカルード!」後ろの人がそう言うと真っ赤な砂のような何かを放った。それは当たるとアレグロの体を上からえぐり殺した。

「何とかいけたな。」アルバートはそう言うと殺した人の背中をバンと強く叩いた。

「魔力の総開放にはさすがに敵いませんでしたね。」

「そうだな。」そのあと僕らは誰かがお金を拾おうとしたのを止めながら下の階層にいった。

32

上の階層に行くとゆっくりとした空気が流れていた。なにもなく、風すらほとんど吹いておらず、殺風景というよりは虚無の空間に包まれていた。

「何ここ……」

「さっきの部屋とは何もかも違いますね。」

「そうだな……。」

「なんか眠くなってきた……。ふわぁ……。」ルーナカミはそう言うとアリシアの肩に寄りかかった。ルーナカミこういうの敏感だよな。子供っぽいというか。

「おっと。ルーナカミ。大丈夫?」

「ふわぁ...ほんと眠いや。」ルーナカミはそう言うとアリシアの背中に抱きついた。アリシアはしょうがないなぁと言いながらおんぶしてルーナカミを眠らせた。

「これ……【怠惰】か。」

「全てが、ゆっくり、眠るように動いているな。」

「だから眠いというわけか。」

「これ、そのものが罠。入っても、全てがゆっくりと動くから眠気を誘うのか。」

「となるとルーナカミは起きなくて大丈夫なのか?」

「まぁ、眠らせてゆっくりと命を奪い取る感じだと思うし、そこまでに移動すれば大丈夫だと思う。」

「早く行こうか。」

「うん!」そのあと僕らはこのゆっくりとしたこの階層を歩いた。歩こうとしてもゆっくりとした階層。道までもがまどろみ、どこかへ飛んでいっちゃいそうなほどゆっくりとした虚無の世界観。ゆっくりと歩くしかなかった。

壁や空というもの全てが虚無。何も無かったので、特に被害もなかったが、入ればいるほど眠くなる場所だった。そこを歩いて20分、白いベットの上で寝てるラルゴがそこにいた。

「ここが……この部屋の主か?」

「あぁ。見たことある。」

「名前は?」

【怠惰】(アチェーディア)のラルゴだ。」

「寝てるな。」

「……ふわぁ〜。」みんなが見てるとラルゴがゆっくりと起きてきた。

「……ナサール?……だれ?」

「倒しに来た。」

「……そう。……私はどうでもいいの。眠れればこの国の行方も、この城も。ただ、」そう言ってると気温が下がり、虚無の世界に雪が降り出した。かなり寒いな……。

「私の眠りを妨げるものは容赦しない。悪魔・解放。」ラルゴがそう言うと髪は雪のような白髪に代わり、スンとした雰囲気が広がっていた。こいつ、雪女か?

「あまり起きたくないから、最初からやるね。【即興曲】(アンプロンプテュ)。おやすみ……」ラルゴがそう言うと僕たちは孤独で真っ暗な、雪のみが降りしきる空間に閉じ込められた。どこだここ……と思ってると地面がズブズブと沈みだした。ここ、底なし沼かよ……どうしよう!もがくのは間違いというのはどっかで見たことあるけどそこから先は覚えてないしそもそも……抜け出せたとて地面はあるのか?とりあえず、浮くか……ゆっくり浮いてれば、どうにかなるかもしれない。そう思いながら僕は泥の中で刀を支えにしながらボーッと待っていた。誰でもいいから助けてくれるかな。まぁ、全員こうなってるなら溺れて死ぬ人も多いだろうし大変だな。そのまま数分浮いてるとやけにごつい腕が伸びてきたので何とか掴むとひっぱりあげてくれた。

「そりゃ!」

「あぁー!」

「どうだ。」

「起きました……。」

「次だ!」アルバートはそう言うと次の人に向かっていった。ほとんどの人は眠っており、起きているのはルーナカミと抱っこしていたアリシア他数人だけだった。ラルゴは欠伸をしながら避けていた。

「みんな、起きるの早いよ……。」

「私は負けて途中から寝ちゃっただけだし。起きた時には驚いたけど。」

「私はルーナカミを床にたたきつけないようにしたら立ったまま寝ちゃって。雪と沼の世界に行った時はどうなるかと思ったけどルーナカミがいてくれて助かった。」

「俺は雪のような世だったからな。沈みこまないようにしたらどうにかなったわ。」

「そう。」

「とにかく、眠りたいなら、永遠の眠りにつかしてあげようか。」

「そだね!」

「ん。」その後僕らは人を叩き起しながら刀や、精霊魔法と

ラルゴの凍らせ、睡眠させる魔法で戦った。有効打こそないものの徐々に相手も削られていった。特に雪女なだけあって、俊敏な火魔法は特に効果的な感じだった。

「ファイラスティアソン!」

「ファイアーマジカル!」火属性の魔素と火の魔法の2つで攻めあげ顔を焼いて目を潰した。

「見えない……」

「【子守唄】」目が見えない間にナサールが眠らせた。

「ありがとうな!」そのあと別の1人が、剣で首を叩き切りラルゴを殺した。雪はゆっくりと降るのをやめていた。

「さて、行くか。」そのあと僕らはそれを眺めながら下に降りていった。

33

階段を登っていると先程のひんやりした空気からすごい暑そうな空気に変わった。そのままのぼると、今度はマグマと火山と火の粉が舞い散る熱っついところに辿り着いた。あっついな〜。

「さっきまで寒かったのにこの気温差やばいな。」

「城の中に火山……変な感じだな。」

「まぁ、お菓子の国よりは普通な感じかな。」そのあと僕らはその火山の地を歩き出した。そうしてみるとどこかからぶん!と拳が飛びだしてきたので何とか避けた。その後歩いていると、火山のゾーンは終わり、今度は黒い土の上に戦場らしく死体が死ぬほど置かれてるところに着いた。アルバートを含め何人の人が、生きてるのか確認したがそもそものが幻覚だった。その後見ていると奥の方からゆっくりと、人が来た。それは顔は見えなかったが数等は全くと同じだった。

「対決か……みんな、いくぞ!」そのあと僕らは戦った。なんか……こいつ、自分と似てるな。と思いながら戦っていた。

「……。……!」数分間戦ってきたが急に敵が持っている刀を液体にしてきた。あ……。わかったかも。

「こいつ。もしかして……自分か?」

「そうだな。姿形、正確、共に自分と同じだ。恐らく戦闘態勢も。心してかかれ!」

『ヤー!』その後僕らも十数分戦った。見た目や、戦闘体験が同じだとしても、運で勝ちか負けか決まり、自分は何とか影の方を殺すことが出来た。こうして見ると……かなりやられてるな……何とかチームメイトは生きてるけどその他は色々死んでるし。

残った人で進むしかないか……

「かなり減ったね。」

「そうだな……残ってる人は50人もいないか?」

「そうですね。」

「ん。」

「怖くなってきた。」

「残った人よ!あつまれ!」そのあと僕らは残った人で集まった。

「いいか!人数こそ減ったが戦況は変わらぬ!寧ろ、ここまで生き残ったものは更なる精鋭であろう。下級ギルドだろうと、上級ギルドだろうとそれは変わらぬ!絶対に生き残り!この城を陥落せよ!」

『やー!』そのあと僕らはさらに奥に進んだ。すると奥の方に鉄の真っ赤な椅子に座ってるアラルガントがいた。

「ほう。この階層を突破したというのか。愚かな割にようやるぞ!さぁ!次は俺との勝負だ!」

「俺は、今、全身全霊を持って倒す!」

「俺の名は【憤怒】(イラ)のアラルガンド!かかってこい!それがお前の正義ならな!悪魔・解放!」アラルガンドがそう言うと頭の方から黒いツノが生えてきた。

「あぁ!パイシクル・スドロンディック!ここは俺に任せろ!」そのあとアルバートとアラルガンドの2人が激しく戦った。殴り合い、蹴り合った。

「ほうほうやるな!」

「ありがとよ。ところで……お前は話が出来そうだな。どうして憤怒している。七つの大罪の、憤怒となっているのもあるかもだがそれとは明らかに違う。どこか別の怒りがあると思われる。」

「そうだ。俺は子供の頃、人共によって酷い迫害にあった。というかここの人たちは全員そうだ。お前の正義と俺の正義は違う!お前らは魔属を悪だと思ってる!」

「それは違う!」

「あぁ?どういうことだ?」

「後ろを見てみろ。」そう言うとアルバートは僕らの方を指さした。そうだ。

「……ほう?魔属がいるではないか。」

「そうだ。俺らの部隊の名はギルド。数百年前から、クリス王国で、活動している一部隊だ。そこでは誰もが平等に救ったり、救われたりしている。」

「救う?魔属を切ったその手でか?」

「そうだ。確かに俺は今回の戦で多くの魔属を切った。しかしそれ以上に多くの魔属を救ってきた。多くの魔属を捕虜として捕え行かしてくるみちをとった。そいつ生きた土地が戦争の航路にいる場合、捕虜を解放してきた場合もあった。」

「それでも貴様が殺した魔属も!貴様以外が殺した魔属もそれが怒りとなり!我々のようなものが生まれる!」

「そうだ。ただ、俺はそれを変える。」

「変える?どうやって、全員殺すというのか?」

「違う。魔属を平等にして、殺す難易度を高くする。今までは殺しても罪に問われなかったり、あっても軽傷だったりと、殺す難易度は低かった。それにノピリ教は魔属を悪で殺したり、暴力をすべき存在とされていた。しかし。それはおかしい。それは変えないといけない。我々は、魔属の平等もめざしているんだ。」

「そうか。それはいいことだな。俺は憤怒として、怒っていた。この状況など全てをだ。だがそれならこの俺のような者も生まれなくて良いのかもしれぬな。」

「……だからこそ、国を滅ぼすような、お前らのようなものは、倒さなきゃいけない。」

「そうか!なら、俺は誠心誠意を持ってお前を殺す!」その後2人は死力を尽くして戦い。なんとかアルバートがアラルガントを斬り殺した。

「はぁ。……はぁ。やったぞ!」

「……お疲れ様でした。」そのあと僕らはアルバートと話して、意識を整えて上の階段に登っていった。あと2人だからなぁ。次も頑張るか。

34

階段を上ると歪んだ鏡が、複数置いてある部屋になっていた。壁が歪んだ鏡になっており、目が疲れそうな部屋になっていた。なるべく奥の方見た方が良さそうだな。床は濃い紫色が混じった黒色で構成されており床の一部が苦しむ人の顔のような感じになっていた。心霊現象としてはあまりに人の顔っぽいんだが……なんだ?

「おぉー!おかしい見た目になってる!」ルーナカミはそう言いながら鏡のところに立った。確かに変な見た目しとるな……

「恨めしい……恨めしい……」どこかからBGMのように小さく声が流れてきた。なんだろうな……と思いながら中に入ってると地面がぐにゃぐにゃと動きだし誰かの足を掴んで中に引きずり込もうとした。

「あ……!」

「ちょっと!」何人かの魔属が引っ張ってなんとかその人は助けられた。捕まった足には手が着いていた。その手は人の形に似ているが、色は真っ黒であり、おどろおどろしく所々ドロっとしたかのような雫状になっており、痩せこけていて血管の浮き上がった手でありとてもじゃないが綺麗とか言えるようなものではなかった。

「うわぁ……」

「手が痛々しいな。」その後その手を壊した。

「この階層は……嫉妬か。今の足には気をつけないと飲み込まれて……恐らくこのブロックの一部にされるぞ。気をつけろ。」そのあと僕らは足元に気をつけながら進んで行った。何人か飲み込まれてしまい、飲み込まれかけたのは何人か助けたが数人は助けることが出来ず飲み込まれてブロックの人になってしまった。悲鳴上げてたような顔してたのはこれに取り込まれたからか……。そのあと僕らは更に奥に進み、真っ黒でごつい椅子に座っているピアノのところに着いた。

「来たの?……そう。」

「あぁ。」

「私は【嫉妬】(インヴィーディア)……ピアノ。」

「そうか。お前を殺す。」

「なら、何もかも、母親も、父親も、姉も人間に殺された苦しみと、醜い顔の嫉妬を覚えさして殺してあげる。思い知って、死ね。悪魔・解放。」ピアノがそう言うと後ろの方からコウモリのような羽が生え牙が生えた。吸血鬼か?こいつ。

「こいつと戦ったことあるだろ。」

「うん。」

「教えてくれ。こいつ、オーラが違う。」

「力がめっちゃ強い。ウトナの街もこの子による被害がいちばん大きかった。」

「分かった。」

「殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す…………!!!!」ピアノはそう言うとそこら中を飛び回って空間を切り裂いた。シルディアは貼ってくれたがそのシルディアごと貫通する勢いで切り裂きたった一撃で数人を殺した。

「とりゃ!」

「おんどりゃ!」

「光剣よ!我に力を!」2人の魔人と1人の光り輝く剣を持った少女がピアノを襲い何度か追撃したものの、ピアノは無から無詠唱で黒い魔玉を投げ1人を呪殺した。なんだその玉……恐ろしいな。

「ふん!一旦私がせき止める。その間になんとかやって!」

「大丈夫か。」

「わかんない。ルーナカミ!それとそこのお兄さん!」

「おう!魔術だな!」

「了解!」

「全力でいくよ!」その後3人以外は後ろに下がりそれらを見送った。

「コンパーシエット・ファイヤー・ボール!」

「クアトロマジカル!」

「どりゃ!」3人は4色の魔法玉や、光の玉、炎球などを使って戦った。そして、その間にナサールが殴り地道にダメージを与え続けた。

「許さない……。あなたも!お前も!私が全て、貰ったものをうばっていく!許さない!【哀歌】(ラメント)!」ピアノがそう言うと一体全てがこい紫色の人間の呪いのような感じのものに包まれた。それは1人ずつ飲み込み、シールドを貼ってないものは食われて骨すら残らず消された……。やばいなこれ。

『シルディア・サークルエス!』盾魔法が使えるものは盾魔法で人1人1人をおおった。これで大丈夫なものの、呪いに持ち上げられて地面に叩きつけられた。いった……シールドといえども内部の衝撃に耐えてくれるわけではないからな……骨折はしてないだけまだマシか。

「これ、止めないとやばいかも……【子守唄】!」ナサールがそう叫ぶとピアノはゆっくりと倒れた。だが、哀歌はとまらず、暴走しているのか更にそれは強く、多くなった。シールドごと食われたり、助かってもシールドが壊されたりされた。

「暴走してる……」

「こうなったら精霊使うね!ちょっと守っててくれない? 」アリシアはそう言うとシールドの中から出ていき、跪いて弓を構え出した。

「……分かった。」ナサールがそう言うと早速呪いが襲いかかったので代わりにシールド共に生贄となって下にたたきつけられた。さすがにナサールでも骨折したのか右手の方を押さえていた。

「精霊よ!我に……魔を除するほどの力を!筋力、精霊力、魔力、それら全てを、今、この弦にかける!スピリチュイント・アロー!」アリシアがそう言うと空の弓の弦に光の矢が現れそれを引くとピアノの体を貫き殺した。体の半分以上は精霊の力なのか、矢そのものの力なのか。吹き飛んでいた。

「どひゃー。いつもは単純な詠唱しかしてなかったけどたまには長めの詠唱もやるべきだね!」

「それじゃあ最後行くか……」

「アリシア……立てる?」

「うん。ギリギリ立てるくらいの魔力は残しといたよ。よいしょ……じゃあ行こうか。」そのあと僕らは怪我をおったものに回復魔法をかけ、第7階層に向けて昇っていった。残っているのは一つだけか……

35

階段を上ると跪いて蹲っている人の影がずっと続いており、先の方に玉座がある部屋に到着した。空気が重い……今にも押しつぶされそうだ……。

「何をやっておる。頭を垂れて蹲え。」スドンと響くフォルテの大きな声に僕らは自然といわれたままにすることしか出来なかった。何もかも……重すぎる。空気も、声も、

「お前らはどこから来た?何が目的だ?」

「お前を殺しに来た。」アルバートはそう言うと立ち上がった。

「ほう。俺をか。ここまで来たということは、もちろん下の人は殺してきたんだろうな。」

「もちろん。犠牲は多かったものの、なんとか殺すことが出来た。」

「当然のことだな。驚きはせぬ。さぁ、かかってこい。俺の名は【傲慢】(スペルヴィア)のフォルテ。殺してやる。」階段を下って、フォルテがナサールの方を一瞥した。

「ほう?安定したのか?」

「うん。」

「分かる。分かるぞ。その力の練り上げ。俺には敵わないが、子供とは思えない力だ。今からでも遅くない。こちら側につかないか?」

「……何言ってんの。やるわけないでしょ。私は、助けられた。なら、共に倒すのみ!」ナサールはそう言うとフォルテに蹴りを入れた。フォルテは両手で何とかとめたがドン!という皮膚と皮膚が当たる音とは思えない音が鳴った。

「そうか。なら、お前も殺す。かかってこい。悪魔・解放。」そのあと僕らはフォルテと戦い始めた。

「足切りをしてやる。これすらかなわないものは、痛みもなく殺してやろう。ダーニエスト。」フォルテはそう言うと黒いグツグツとしたボールを複数投げた。シールドで何とか防いだものや避けたものが多かったが当たったものは黒炎による爆発に巻き込まれて死んでしまった。数人が死んだがもう10数人しかいない……怖いな。

「ほう。人間も残るのか。よかろう。攻撃を受けよう。」

「クアトロマジカル!」

「アインテンバル・ニードル!」

「精霊よ!光を授けよ!光を浴びせよ!」

「手裏剣!」

「エクスプロージョン!」僕らはフォルテに全力で攻撃を続けたがフォルテはなんともない顔で立っていた。

「少しは痛いがまだまだだな。」そのあとフォルテは走りながら攻撃を仕掛けようとしたが何とかナサールが止めた。

「ほう?分からんものだな。差別された種族に対して守るのか。」

「差別した人と、助けてくれた人は別。いじめる人はいても私は助けてくれた人に尽くすことを選んだ。」

「面白いことを言うな。よかろう。その心意気は受け取った。なら、その選択ごと潰してやる。」

「やってみろ。」ナサールとフォルテはそのまま光速に近い速度なのかなんなのか分からないが残像も見えにくい速度で戦った。それに付随するような形で僕らは魔法を打ってたりして手伝いを重ねていたものの、やはりナサールでも地味に苦戦しており、大量の魔法で手助けして何とか互角に持っていくことが出来る程度だった。裏でさっきの人またためてるけど

「強いな。」

「あっそ。」その後も戦い何とか押し込み始めることが出来た。

「行っくぞ!」

『ライトネルレーザー!』数人の魔法が使える人は何とか集まり全力で光魔法のレーザーを放った。さすがに避けることは出来なく下半身が焼き消えており、上半身も右半分は腕ごと吹き飛んでいた。終わったのか?

「ふむ……。まさか殺られるとはな。」倒れたフォルテはそこら中から血を出しながら言った。生きて……いるのか?それで?

「生きてるのか……」

「あぁ。死ぬのは分かるが、まだ意識をうしなうことは叶わなかったらしいな。驚いたぞ。裏で途中からコソコソやっていたのは見えていたがこいつが強くて無理だった。……認めよう。俺の負けだ。ただ、俺に勝っても上にはバス様やコントラ様がいる。果たして勝てるのか?」

「分からない。」

「ただ、やるしかないだろ。」

「これで戦を終わらせるために。」

「そうか。」その後僕らはフォルテが死ぬのを見送った。もう僕らのチームとアルバートだけだな……。行きは200人弱いたのに……。このまま八階層から先を進めるかどうかは分からないし行くしかないか。

36

階段を上ると、これまでの様々な幻覚のような世界観とは違い、良くも悪くも普通の城、中世のよくある城の内部にたどり着いた。

「思ったより普通だな。」

「むしろ今までが不思議すぎる空間だったんだよ!」

「それもそうですね……。」

「あぁ。そうだな。 」

「城の内部か。ちょっと確認したいことがあるから見ながら行っても構わんか?」

「ええ。」その後アルバートは城の内部の部屋を何個か確認しだした。中は様々な部屋があり料理ができそうな部屋から拷問ができそうな部屋まで多種多様な部屋が拡がっていた。

「本当に色々あるな。」

「ガーゴイルっぽい置物もあるにはあるけど動きもしないねー。」

「普通の置物なんだろう……。騎士鎧もそうだよな。」僕らはそういいながらその騎士鎧のところを歩いた。こいつらが動いたら終わりだな……

「そういえばなんで観察してるの?」ルーナカミがアルバートの周りを走りながらいった。随分と楽しそうにしてるな。

「もしもこの城が損傷せずに終わったら新しい人が済むかもしれないのでな。それの調査だ。」

「住めるのか?幻覚はどうするんだ。部屋の主たち殺しても戻らなかったじゃないか。」

「まぁ、城の主殺したら……戻るんじゃないのか?」

「大抵の魔法はそうですもんね。」そのあと僕らはどんどん先に進んで行った。色んな部屋があったが特に何事もなく歩くこと5分ほど、テルとミン。ヴァイオとリンという2組の兄弟姉妹がいた。

「あ!」

「きたの?」

「噂に聞いた通りだな。兄妹と双子の姉妹。確か名前はヴァイオとリン。テルとミンとか。」

「ちぇ。しょうがないか。リン、テル、ミン勝負だ。」

「はい!」

「ほうーい!」

『悪魔・解放!』4人はそう言うとそれぞれのものに変わった。テルとミンは背が一回り小さくなり、ヴァイオとリンは元々吸血鬼ぽかったのが悪魔のしっぽが生えてきた。髪も赤みが混じってきたしいい感じだな。

「行くよ!」

『うん!』そのあと僕らは精霊を2体召喚し、それに備えた。

「防護!全てを守れ!攻撃にそなえろ!」そして盾魔法を仕込み攻撃に備えた。

「血飛沫!」ヴァイオはそう言うと走ってかかと落としをした。シールドでなんとか防いだがグオン!というきしむような音が聞こえたのでヤバいと思った。その後僕らは何度も剣をふるい、魔法を使ったり守ったりした。僕も刀でテルと戦った。この前よりは強くなったけどそれでもつよいな……と思いながら戦ってると一瞬だけ隙が見えたのでそこから何とか胸を突き刺した!行けたか?

「……いったー!」テルはプンプンみたいな感じで刀を抜いた。え?心臓突き刺した筈だぞ……。

「こいつ……死なない……」

「あぁ?ああ、そいつか。当たり前だ。」ヴァイオはそう言うと何故か止まった。説明でもしてくれるのか?

「待っとけ。襲いはしねぇよ。説明をしてやる。そいつはな。元々死んでるんだよ。」ヴァイオはそう言うとテルの頭をポンと叩いた。死んでる?

「どういうこと?」

「そのまんま通りだ。こいつは、ゾンビなんだ。」え?ゾンビ?こっちからは生きてるようにしか見えないけど。

「少し昔の話をしよう。

それは、バス様が900歳――人間に換算すれば十八歳の頃のことだった。

街を歩いていたバス様は、ある日、一組の双子の赤ん坊を拾った。捨てられていたその子らには名前すらなく、聞けば、父親は彼らが生まれる前に戦で命を落とし、母親も出産後に産褥熱で亡くなってしまったという。引き取り手も現れず、ただ悲しみに包まれたまま取り残された双子だった。

バス様は彼らに名を与えた。姉をグレンカ、妹をピューレルと呼ぶことにした。

双子はバス様の庇護のもと、世間からは妹分として育てられ、健やかに成長していった――あの出来事が起こるまでは。

五百年前、バス様の暮らす土地に、人間の軍勢が攻め寄せた。第五次魔界侵攻である。

人間は、魔属をただ信仰の名の下に殺すためだけに、魔界へと刃を向けた。

何とか撃退には成功したが、街は炎に包まれ、無数の命が奪われた。

その犠牲者の中には、グレンカとピューレルもいた。家に戻ったバス様が見たのは、無惨に命を奪われた二人の姿だった。

怒りは憎悪へと変わり、バス様は誓った。――必ず、人間どもに復讐する。

そして生き返りの禁術を探し求め、生贄と引き換えに、二人を意識を保ったままのゾンビとして蘇らせた。

仲間を集め、彼らを惨殺した人間と、その国を必ず滅ぼす。そう決意したのだった。

これが、2人がゾンビとなった理由と、バス様がミュジケールを創立した由来だ。」

「お前らもそうなのか?」

「程度の差こそあれ、皆がそうだ。

僕ら二人だって、親を殺されている。

コントラ様は、バス様の前の恋人を殺され、自身も凌辱の限りを尽くされた。殴られ、爪を剥がされ、熱した鉄で焼かれ、骨を折られ、それでもなお、生きたまま辱められた。

テノールは、愛する娘が人間のせいで四肢を切り落とされ、声すら出せぬ躯にされた。

他にも数えきれないほど多くの魔属たちが、家を焼かれ、家族を奪われ、耳や舌を切り取られ、井戸に突き落とされ、毒を盛られ――ありとあらゆる仕打ちを受けた末、このミュジケールへと流れ着いた。

だからこそ、憎しみも恨みも、積もりに積もっていった。

そして、数百年かけて戦争に至らせるまで意識を集中させ、ようやく――元の国を潰せる時が来たと、そう思ったのに……。」ヴァイオはそう言うと窓を眺めて呆れたような目をした。そんな都合があったのか……確かに戦争や差別はいけないこと、本来は起こってはいけないことだ。でも現実はそうじゃない。自己中、復讐、様々な理由で、戦争は起こってしまう。そして、それがまた新たな戦争を産んでしまう。それの繰り返しが……今を産んだのか。

「なるほど……」

「お前らも、被害者だったのか。」

「そうだ。そしてそなたがギルドであろうと、それは変わらぬ。ノピリ教とやらがある限り、第2、第3のミュジケールが生まれるぞ。」

「それはそうだ。この戦が終わったとて、差別はまだ残る。寧ろ、敵の魔属に愛する人を殺されたなどで増える可能性すらある。……でも、今回の戦争で魔属と関わった人は一気に増えた。ノピリ教の中には助けられたからか、これまでの事、ノピリ教の宗教が本当に正しかったのか疑う人も増えてきた。もちろん、それで差別が無くなる訳ではない。ただ、数百年、数千年、数万年、いくらでも時間をかけて、なんとか、今の前提を変えるしかない。」

「そうか。差別を無くすというのは同じでも、そのやり方は違うのだな。なら、やはり!殺すしかあるまい!」

「仕方ない!なら全力で受け付ける!」そのあと僕らはまた死力を尽くして戦った。 魔法をはじめ、刀や精霊などで戦った。テルとミンはゾンビの都合上どうやって倒せばいいか分からずそういうことにも詳しいソリスに任せ僕とアリシアとルーナカミはリンに、アルバートとナサールはヴァイオに、ソリスと緋刀美とアルダンテがテルとミンに任せることになった。

「やるか……」その後僕らは攻撃を続けた。

「スターマジック!きらめけ!」

「放て!鉄の花!」

「矢よ!つんざけ!」その後も攻撃を続けたがなかなか敵も強く怪我はするものの死ぬまでは行かなかった

「そちらも中々。少々本気を出さしてもらうよ。血に踊れ。幻想曲(ファンタジア)!」リンがそう言うと突然当たりが揺らめき出し、幻想的な青い月が空を覆う世界に閉じ込められた。

「今までの部屋は私が作った。七つの大罪の名前を参考に、意見を聞きながら。ここでは、私がルールだ。」その後僕らは戦うために魔法を使ったが軌道がねじ曲げられた。お前がルール、重力も、物理法則も全てが変わるのか……

「それじゃあ今度はこっちが行かせてもらうわ!」ヴァイオがそう言うと僕らは浮かび出し壁の方に磔にされた。痛い痛い重い重い!息が苦しい……

「さぁ!苦しめ!絶望を思い知らさしてやるわ!」ヴァイオはそういいながら攻撃を仕掛けてきた。動こうにも壁に押し付けられている影響で全く動けず殴られるだけしか無かった……

「や!」殴られたままで終わるわけにはおかず、ルーナカミは無詠唱魔法で濃い青い火の魔法をかけ燃やした。青い火はかなり温度が高く魔法練度も高かったらしいのか粘土も高く中々消えなかった。

「あづい!あづい!ぎゃあ!」

「……ハァ。ハァ……。今のうち!」

「火よ!魔を溶かせ!」

「粉塵爆発!」僕らはそう言いながらリンに超高温の火を浴びせた。リンは体が火で燃え盛ったが水魔法などを発することは出来ず燃え盛ったまま死んで行った。この世界もボロボロとくずれ、元の世界に戻って行った。

「妹!」

「今!子守唄!」ナサールはそう言うとヴァイオを悪夢で眠らせた。アルバートはそれをみて光の剣でヴァイオを突き刺し殺した。

「……わかりました。これ、聖魔法でなければ殺せませんね。」ソリスはそう言いながらテルとミンを見た。確かに普通の人間ならもう致命傷になりうるレベルの怪我を両方ともおい、特にテルの方は片目が眼窩から外れてたがケロりとした表情でやっていた。これ、ホラーだな。

「殺しちゃったか!」

「なら!こっちだってお返しだね!いっくよ!」

「「鎮魂歌(レクイエム)!」」2人はそう言うとぴょんと飛び上がり手を繋いで叫んだ。すると奥の方から悪霊のようなものが現れ、俺らの体にとてつもない不快感を与えて去っていった。すっごい気持ち悪い。オエー。思わず吐いてしまったが吐瀉物(としゃぶつ)の中には黒い(おり)や血なども混じっていた。なんだ今の……ゲボ。これ、通り過ぎたらすごい気持ち悪くなる追加効果つきだ。

「なにこれ……」

「通らせちゃダメなやつだね。」

「シャイニング・セイント!」アルバートがそう言って何とかその霊のようなものを消した。気持ち悪い気持ちは消えないけど何とか立ち上がれるようにはなったな……。何人か同じように吐いてる人もいるし。あと、精霊は消えてるな……ぶち当たって対消滅でもしたのか?そのはいた人にテルがぶん殴りかけてたし。シールドが守ってくれてよかった……。

「……酷い目にあった。」

「気持ち悪い。」

「魂まで出てきそうなほど吐き気が凄かったよ〜。」その後集まって唱え終わったテルとミンを見た。

「あれーもう復活したの?」

「やっぱりかなり傷ついてると上手くいかないね〜。」そのあと僕らはアルバートを一旦テルミン姉妹から遠ざけた。

「俺がやる。ちょっと待ってろ。」

「うん!」

「分かった。」そう言われたため僕らはそれに従いひたすらアルバートをテルミン姉妹から遠ざけた。溜めが必要だからな。分かるぞ。

「行くぞ!ライトネス・セイントレーザー!」アルバートがそういい人の大きさくらいあるサイズのレーザーを放った。それはテルミン姉妹二人に直撃し、跡形もなく、肺すら残らなく消え去った。

「プハー!どっと疲れが出た。」アルバートはそう言いながらダディワスから何かのポーションを爆飲みした。恐らく魔力そのものが入っているのだろう。

「まだ腹がぐちょぐちょしてるんだが……」

「回復魔法一応かけて貰えない?」

「分かった!」マレはそう言いながら回復魔法を放ってくれた。あの、霊みたいなのなんだったのか?

「あの霊なんだ?」

「通り過ぎた時に少しあの霊の思い出見ちゃったんだけど……怨霊というものですらまだ生ぬるいほど辛い苦しみが襲いかかってきた。多分それが肉体に影響及ぼしちゃったんだと思う。」

「なるほどな。」

「なら仕方ないか。色々問題もあったらしいしな。」

「そうだな。特に今回のもノピリ教とか、惨殺とか、そういうのが色々混ざりあって酷いことなってるからな。あいつらの言いたいことも分かる。ノピリ教も色々あったし、殺された魔属も山ほどいる。それに対して恨みを積みあげるとかも分かる。ただ、それは表面的な解決にしか至らない。勿論、許す必要は無い。ただ、敵をただ、全員を敵と見るのをやめることから始めるんだ。ギルドは人間やエルフ、魔族など様々な種族が一緒にチームとなって暮らしてる。そのように、少しずつ仲良くしてくれればいいのだ。」

「まぁまぁ。」

「そういえば精霊は?」

「消えちゃったね。」

「そうだな。……よんでみるか。」僕はそのあと緋刀美を呼び出したがなんもこなかった。あれ?

「ちょっとアルダンテ呼んでもらえるか?」

「うん。来れよ!アルダンテ!」アリシアがそう言うとアルダンテの顔がうっすく浮かんできた。

「ごめんね。無理……これ以上出れない。」

「どうしたの?」

「変なのと当たっちゃって蒸発しちゃった。私は強い方だからギリギリこうやってできたけど緋刀美は弱い方だからしばらく召喚はできないと思って。私も実質召喚しても戦う相手にはならないと思って。まぁ、精霊魔法自体は使えるから安心して!」そのあとアルダンテは泡のように消えてった。それならしょうがないか。そのあと僕らはなだめて階段を登って最終階層についた。最終階層は広間がありそこでバスがコントラを侍らせながら葉巻を吸っていた。テノールは……どこだ。

「ここまで来たのか。」

「そうだ。」

「テノールは?」

「あいつは首を吊って死んでしまった。恐らく戦争に負けると思ったのだろう。」

「あの道具テノールが作ったものですからね。自分の道具が失敗した挙句陥落寸前までに追い込まれたら自殺してしまうのも分からなくは無いですよ。」

「そうなんだ。」

「頭はいいから。テノール。」ナサールはそう言うと構えた。バスもそれを構え、「それでは、始めようか。」と言った。

「ん。」

「ここでお前らを倒してもこの状況ではいつか倒されてしまう。降参しても殺されるだろう。それなら、本気で戦った方がまだいいだろう。行くぞ!悪魔・解放!」バスがそう言うとただでさえ2m後半ぐらいあるバスの身長が3m後半、天井に頭が着きそうなほど大きくなった。服もその伸縮に耐えきれずほとんどのところが破かれていた。でけー……

「お前、巨人族か?」

「そうだ。コントラ。」

「わかりました。最後まで付き合います。悪魔・解放。」そう言うとコントラの後ろから幽霊のような白いボールのようなものが出てきた。こいつは妖人族との悪魔なのか。これがラストの戦い。最後だからすごい気をつけないと行けないな。

「かかってこい!」

「いくぞ!」

『あぁ!』僕らはそう言うと一斉に魔法や剣で攻撃した!的が大きいから攻撃も当たりやすいがただの殴りでも威力は高く殴っただけで床が崩れひび割れた。

「うがぁ!」

「強い……というかこいつ知能少し下がってないか?」

「かもですね。」でもコントラのもの音立てずに爆速で攻撃を仕掛けてくるからバスの的の大きさと違って攻撃を当てることが激ムズだった。

「光の矢よ!さされ!」

「ライトニング・アロー!」

「セイント・バンドル!向かえ!」そのあとも僕らは光魔法や剣で戦ったがやっぱり強いな。最後だからって手もあるけどマレの回復が追いつかないこともあった。実際自分も何回も腹を殴られて吹き飛ばされて気絶に陥ったこともあった。

「は!」

「今動いちゃダメだよー。まだ骨は折れてるからね。」

「はいはい。手裏剣!ファイラスト!」僕はそのあと動きもせずに攻撃を重ねた。目に攻撃を当てれば少し頻度は落ちるだろうがいくら的が大きいとてコントラでその的を狙う事を阻害されちゃあ余り当たらなかった。

「アリシア。何とかできないか?目に当てれば何とか行けるはず。」

「わかった!」アリシアはそう言うと弓の形を構えた。

「さぁ、行くよ!2つの精霊の矢よ!放て!」アリシアがそう言うと精霊の矢が伸び、バスの目に勢いよく突き刺さった!バスは悶え、暴れたがやはり、命中率は落ちていた。唯一の問題はゆかが崩れ落ちそうなところくらいだ。至る所かベコベコに凹んでおりいつ崩れてもおかしくなかった。崩れたら9階層をそのまま落ちることになるから心配でしかないんだよな。

「うがぁ!いたい!いたいぞ!」

「バス様!落ち着いてください!」

「……バスに目を奪われてていいの?」ナサールはそう言いながらなだめようとコントラに蹴りを浴びせた。コントラは一旦ナサールに任せるか。

「はい!回復終わり!もう動いていいよ。」

「ありがとな。」僕はそのあとみんなに合流してバスの方に攻撃を重ねた。やたらめったらに攻撃をするので当たる機会こそ減ったが当たったらかなりの速さで吹っ飛ばされるからな。できるだけそういうのはなるべく避けながら攻撃したいので僕らは結局遠いところから攻めるしか無かった。

「エクスプロージョン!」

「サンディラソン!」

「精なる光よ!放て!」

「侮るな!(めしい)たとて力の差は歴然なり!喰らえ!狂詩曲(ラプソディ)!全てよ!狂え。」バスがそう言うと全てか歪み、赤い霧に包まれ、目がチカチカしておかしくなりそう……。おちつけ……おちつけ……。

「あが……ガ、」

「う……ウガァ。」

「ふ〜。ダメ。」そうして耐えているとルーナカミが突っ込んできた。おっとっと。

「ふ〜!ふ〜!」そう言いながらルーナカミは引っ掻いたりしてきた。正気が無くなってるのか?爪は切られてるからあまり痛くは無いものの犬歯があるなら噛まれたら嫌だな。犬なら犬歯も尖ってるだろうし。

「落ち着けなぁ。」

「ぎゃあ!ガウガウ!」ルーナカミはじたばたしながら色々喚いてた。一旦……抱きしめたら戻るかな。おちつけ……おちつけ。よいしょ。

「う〜!ガァ!ギャア!」ルーナカミを抱きしめながら自分もチカチカに耐えていた。バスは殴ってこないのはいいけど……

「ウォターメント・サンディル!」魔法の声が聞こえながら僕は赤い霧の中ルーナカミを押さえていた。そのまま数分たまにまだ続いて居たバスの攻撃を何とか避けながらルーナカミを抱っこした。ルーナカミも噛んで腕から血がにじみでた時もあったけど、何とか落ち着き今は気絶したように眠っていた。赤い霧もすーっと薄くなってきたしこの霧が悪さしてるのかな。霧が消えるとコントラとナサールが戦っている点は変わらなかったがバスは矢が消えぐちゃぐちゃになった目が見えていた。まだ血も止まらんし……死にかけなのかな。

「バス様。しっかりしてくださいませ。」

「……すまん。」

「そろそろか。マレ。ルーナカミを頼む。」

「うん!」

「おい!そいつ大丈夫か?」

「まぁ、平気だろ。」そのあと僕らは何分も戦った。コントラもかなり傷つき、ナサールも結構顔にアザを作っていた。

「そろそろ終わらせますよ!」

「わかった!」

「おう!」そのあと僕らはバスに狙いを定めた。

「精霊よ!光の棒を放て!」

「サンデイミメットビーム!」

「刀よ!空へとべ! 」

「焼けつけ!火魔素!」僕ら4人はそう言いそれぞれの合体をバスにぶつけた。バスは軽く吹っ飛びながら倒れて死んだ。やっとか……

「バス様!」

「安心して……直ぐに同じ場所に送ってあげる!」ナサールはそう言いながら更に重撃を重ねた。そしてナサールはコントラを吹っ飛ばして城に何度も穴を開ける勢いでやった。数分もそれを続けるとコントラはいつしか血の泡を吹いて死んでしまった。…………終わりか。

「終わりか?」

「そのようだな。」アルバートはそう言いながらコントラの脈を確認した。バスも死んだから元の姿に戻っているし、城も穴が空いているし、ところどころが崩れているし……よく生き残ったなぁ……。

「じゃあ、帰るか。」

「その前に、多分このままだと人が死にすぎておそらく負け戦だと思われる。バスの首を狩って持って帰らないといけないだろう。」

「じゃあ、やるか。」そのあと僕はアルバートに刀を渡し首を切断した。そのあとボロボロで崩れちゃいかんから早めに降りるぞって話をし、9階層から1階層に直通で降りれる隠し階段で降りた。ルーナカミは降りた時にはまだ寝てたので無理やり起こして一緒に帰った。これで……長い長い戦争の終焉か。最終的に勝ちで終わったのはいいとはいえこっちも多分結構な被害食らっただろうし、ダーヴェラゴザンヂのこの後とかは一体どうなるんだろうな。

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