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The Guild of Different world~異世界のギルド~   作者: AJツッキー
5章 war
18/21

5-2 war Over the Mountain

8

……は?

「戦争……!?」

「まさか、私のせい?」

「いや、さすがにないかと。ありました。理由は、恐らく領土拡大かと思われる。これなら私たちのせいではないですね。」

「いくらなんでも人一人のために国と戦なんてしないと思うからな……。なんか後ろかなり騒がしくなってきたな。」そう思いながら後ろを振り向くと後ろを軍隊用の馬車が何台も通って行った。

「あれ?アリシア?」

「お久しぶりです。」

「お〜!ラーミラス!」アリシアはそう言うとラーミラスとハイタッチをした。

「最近見かけなかったけどどこいってたんだ?」

「ちょっと色々あってね〜!」

「ところで……」

「あぁ。戦争ですよね。」

「いや、ナサール。髪切ったか?」

「あ、うん。ちょっと邪魔になってきたから。」

「ポニーテールも意外と似合うものですね。」

「ありがとう……」

「ところでさ。」

「あぁ。ダーヴェラゴザンヂとじゃろ?早速西側では侵攻されてるらしいじゃのう。」

「不安だね。」

「あたし達もでるらしいよ。」

「え?そうなのか?」

「うん。今回は、私たちギルドも、希望者はギルド軍として参加するのじゃ。」

「へ〜。」

「俺たちはもう参加することは話し合って決めたから王都行ってくるぜ!」

「それじゃあ。」

「またね〜!」アリシアがそう言うとラーミラスたちは馬車を探し始めた。

「……どうします?」

「戦争参加だよね。」

「ん〜。」

「まぁ、参加した方がいいんじゃないか?」

「ん。私もそう思う。」

「それなら一旦ギルドに行こっか。」そのあと僕らはギルド所に行った。ギルド所には今まで見た事ないほどの行列ができていた。

「はーい!軍に参加したい場合は右の列並んでください!」

「それ以外の場合は左の列並んでください。」前の方からベアルとサンの声が聞こえたので僕らはとりあえず左に並んだ。

「あれ?アリシアじゃん!」

「シャルロッティア!」

「あなたも軍参加するんですか?」

「いや、相談したんだけどママとパパにダメって言われちゃってさ〜。とりあえず買い物に行ってるところ。」

「そうか。行ってらっしゃいな。」

「うん!」シャルロッティアはそう言いながらどっかへ走っていった。そのあと暑さに耐えながら30分くらい並び、中に入っていった。

「戦争に参加する場合は2階に行ってください。普通の依頼を受けたい場合は1階に貼ってありますのでどうぞ。」その看板を見て気づいたが、やっぱり軍隊に参加する人の方が多いんだな。

「あら、おはようございます。軍隊への参加ですね。」

「うん。久しぶり。ペアル。」

「久しぶりです。えーと、申し訳ないんですが人間相当年齢16歳未満の場合は保護者および本人に許可が必要でして……。こちらの紙にサインしてくれますか?」

「わかりまし……そういえば2人の保護者……決めてませんでしたね。ルーナカミは……まぁ、奴隷としての所有主である私でいいとして……」

「ナサールは誰にする?」

「え?……なら、アリシアで。」

「了解!」そのあとアリシア、ソリス、ルーナカミ、ナサールの4人は戦争参加許可証を書いて拇印を押していった。

「それでは戦争参加ですね。こちらの戦争参加証にサインをして王都に向かってください。残りは王都の人が説明とかをしてくれるはずですのでそれに従ってください。頑張ってください。」

「ありがとう!」

「あ、王都に向かう馬車は、」

「大増便していると思いますよ。自分で探してください。生憎、こっちも全員を運ぶだけの馬車は持ってないんです。」

「分かりました。」その後僕らはそれを持ち王都に向かった。戦争か……人殺すの……やだな。

9

ウトナから1日、王都に行くことになったが、これまで2回は行ったことあるのだがこれまでの2回はチラホラ同方向に行くのが少しずつあったという程度なのだが今回は、列をなすほど様々な馬車が王都に向かっていった。……やっぱり異常だな。戦争は色々変えてしまうのか。王都につくと、今までの王都とはかなり違う形相を呈していた。まず、いつもはこの時間、朝から昼くらいの間には賑やかに屋店が開店しているものだったが、今は違った。今の王都は道幅全てが馬車や軍隊などで覆い尽くされており、馬車に乗っていくよりも、歩いていった方が早くなりそうなほど詰まっていた。

「すごい人が詰まっているね!」

「あぁ、一旦ギルド本部行ってどうしたらいいのか聞いてみるか。」そのあとゆっくり王都のギルド本部に向かっていった。

「ありがとうございました。」馬車にお金を支払い降りていくとやはり、ウトナよりは多い人数の人が働いていたのか列をなしていた人数はウトナより控えめだった。

「戦争に参加したい人は戦争参加証を持って3列に並んでください!ギルドカードが必要なのでできる限り迅速に済ませたい方は並んでる間に準備を済ませといてください!」そう大声が聞こえたので僕たちは準備を済ませ中に入った。

「はい。初めまして。戦争参加ですね。証明書は書いてますか?」

「はい。こちらです。あとこれがギルドカードです。」

「……はい。確認が取れました。それでは、この緑のリストバンドをつけて右側から街の外に出てください。そこで緑のリストバンドつけている方がいると思います。また、この、ギルド紋章の旗を掲げている人もいます。そこに並んでください。周りには、様々な色のリストバンドつけている方がいるので、別れたりしないように注意してください。兵站は確保されてると思いますので、ご飯の準備はある程度は大丈夫です。それより寝袋とかの睡眠用グッズの方が大事となりますのでお願いします。それと、隊列があります。魔人の方は先端に行ってください。エルフのような弓部隊は遠距離からなので後ろの方に配置すると言われてますのでお願いします。」ギルドの長のような人からそう言われながら黄緑色で金糸で模様は盾左上には金色の上に白い羽、右上には真紅の上に黒い角、左下には水色の上にクロスした両腕、右下には白の上に黒い猫、盾の両方にはクロスしている剣がある紋章がゆわれているリストバンドを渡してきた。これかなり数ありそうだな。ちょっと手は混んでるけど。

「ありがとうございます。手繋いで行きますよ。特に3人は小さいんですから、マレは空飛んだり誰かの体に座ったりしてください。」

「はーい!」

「ん。」そう言いながらソリスはナサールと、アリシアはルーナカミと、手を繋ぎ、途中で寝袋などの睡眠グッズを買い、街の外に出た。そこには白地にイスラエルみたいな感じで一個大きな六芒星が書かれている旗や薄い金色に真っ白な十字架が書かれている旗、それにさっき言ったリストバンドと同じような旗に青地に銀色の矢が四方に伸びており、その矢の根元を銀色の輪っかが覆っているデザインの旗や、深紅に金色の獅子の旗がかかっていた。やっぱり人数もすごいな。各旗の周りに数万から数十万人は集まっている。旗もかなり遠くにあるぞ。見渡す限り、人と軍旗だな。王都の真後ろにあるのにこんなにいて大丈夫か?

「ギルド軍はこちらです!」

「ノピリ軍はこちら!」

「キラ軍はここだ!」

「ここは近衛軍!多種族軍は左どなりですぞ!」声もあちらこちらで聞こえ、ナサールは手をぎゅっと握っていた。

「どうしたの?ちょっといたいんだけど。」並んだ後アリシアはそういった。

「……あ、ごめん。ちょっと、人多すぎて、緊張しちゃって。」

「大丈夫。」

「ところで……もう進軍始まっているのか?」

「いえ、……ですが、この状況だとおそらく明日には始まるかと。」

「ここから先は、長いよ。」

「そーなの?」

「まぁ、基本は徒歩ですから。」

「げっ、徒歩かよ。」

「足疲れそう……。」

「まぁ、ある程度は覚悟が要りますよ。少なくともここから1週間は歩きっぱなしです。」

「えっ……」1週間も……歩きっぱなし?

「そんなに……」

「え〜。」

「きつそう。」

「まぁ、しょうがないですよ。まずは……ちゃんと並びますか。」

「じゃあ、ヌンチャク出して。」

「あ、そういえば魔属は1番前だったね。」

「ん。」

「じゃあ、いっちゃうんだ。」

「死ぬなよ。」

「分かってる。進軍やめて自由時間になったりしたら戻ってくることもあると思うから。ソリス。ありがとう。」

「いってらっしゃい!」

「ん。」そう言うとナサールはポニーテールをなびかせて前の方へ走っていった。その後アリシアは弓を持って後衛に留まり結局4人だけが残された。

「で、どうしましょうか。」

「まぁ、とりあえず座って過ごすか。本とか持ってきてんだろ?」

「まぁ、何冊かですけど。」

「それ見て過ごそうぜ。」

「ん!」

「読まして〜!」そのあと僕らは結構、夜まで本を読んですごした。そのあと、軍隊から夕飯が支給されて寝た。風呂はシャワーのようなものが2日に一回程度と川で洗うのがあるらしい。

10

翌朝、寝袋から起きると朝飯が支給された。そのあと、軍隊から8時には王様の演説があるから、その後に出発すると伝えられた。

「了解しました。」僕はそう言いながら朝飯を食べた。朝飯は乾燥したパサパサの小さなパン10数個をクッキーみたいに食べた。

「王様の演説か。」

「士気を高めるようにですかね?」

「多分そうじゃない?」

「どんな話するんだろうね。」そのあと少し待つと王様用の馬車が走っていくのを目撃した。そろそろ演説か。

「あぁー。あ。」そういう王様の声が聞こえた。マイク魔法でなんか声大きくしてるのかな。姿は見えないものの、声は聞こえる。

「武器を掲げよ。旗を建てよ。我の国を汝らに捧げる。

今まで国を守ってきた騎士たちよ。

ギルドの勇士たちよ。

信仰を重んずるノピリの者たちよ。

平等の摂理を説くキラの使徒たちよ。

この国の存亡を聞きつけ、参加してくれた様々な種族からの援軍よ。

ここにいる汝らは、(こころざし)や、信念は違くとも、今日この日、この王の元に集った同じ『軍』である。

我らが掲げる旗は一つ。

それは「王の旗」ではなく、誰か一人の神の旗でもない。

これは、すべての民の命を守る“人の旗”だ。

信仰の違いはあろう。

種の違いはあろう。

かつて血を流した種族同士すら、ここに肩を並べている。

だが聞け──それを忘れろとは言わぬ。忘れぬままで、並び立て。

ノピリよ、お前たちが語るのは「運命への誓い」だ。

キラよ、お前たちが信じるのは「共に光る光」だ。

ならば今、その誓いを、この命を共に光として示せ。

ギルドの者たちよ。

汝らは金のために剣を振るうと世は嗤う。

だが我は知る。

金を超えた義があることを、お前たちは最もよく知っている。

異国の兵よ。

お前たちは祖国の旗の下ではない。

この地を守るために来た。

その勇気を、我が王冠の誇りとしよう。

魔属よ。

長らく人々の誤解と恐怖に晒されてきたお前たち。

だが剣を交える相手は、お前たちではない。

滅ぼすべきは、混沌と破壊を喜ぶ者共だ。

それは、魔属であっても、魔属よりも恐ろしいものだ。

我らの前に立つ敵は一つだ。

その名は“絶望”だ。

種も信仰も飲み込む、不条理なる暴力だ。

ならば我らもまた、一つとならねばならぬ。

お前たちを指揮する将たちは、ただ命令を下す者ではない。

彼らはこの王の目であり、耳であり、そして心だ。

従え。ただし、誇りを忘れるな。

敵がどれほどの数であろうとも、我らの意志は屈せぬ。

なぜなら、我らは王都に集ったのではない。

「希望」に集ったのだ。

進め。

剣を取れ。

お前たちすべてに、王は剣を捧げる。

──すべての命を、生きて王都へ戻すために。」その声が終わると共に、そこらじゅうから感嘆の声が聞こえた。

「静まれぇい!

この声が聞こえておるか!

前の者も、後ろの者も、異国から来た者も――聞け!

儂が誰であるか、もう分かっておろう!

儂は第一王女! アンドルザー王の娘にして、

このクリス王国を継ぐ者、ミラルじゃ!

だが今日は、王家の血筋などどうでもよい!

この戦において、儂は――ただ1人の一人の戦士じゃ!!

王女などと崇めるな。守るな。囲むな。

なんのために騎士団に入って訓練を受けたと思っとる。

儂は最前線を駆ける。貴様らのすぐ隣で槍を振るう!

逃げる者がいれば、後ろから突く。

進む者がいれば、先に立って斬り払う!

この戦は儂らのものじゃ!

ギルドも、騎士も、宗教も、異国も、種族も、関係ない!

今だけは、一つの軍として動くとき!

敵は強い。魔属との戦いに、儂はまだ未熟。

ただ、それはお主らも同じじゃろう?

ならば行くのじゃ、恐れずに。

知るために、勝つために、守るために。

ここで踏み出せぬ者に、何が正義を語れるのじゃ!

儂は生きて帰るぞ。名を刻むぞ。

儂を信じる者よ! 剣を取れ! 盾を上げよ!

儂とともに、生き延びて勝ち取れ!

そして覚えておけ!

この戦の最後に、

王女と並んで生き残った者の名は――英雄と呼ばれるのじゃ!」

行くぞ、兵よ!!

死を恐れるな、ただ進め!

儂がその先に、槍を掲げておる!!」王女の演説が終わると一拍置いて驚きと喜びのような叫びがそこらじゅうから巻き起こった。王女も参加するのか……。

「すごいことなってきましたね。」

「あぁ。本気度が感じられるな。」

「王女参加ってそれほどすごいの?」

「国家の命を預けられてるのとほぼ変わらないからね〜。」

「まぁ、そうだよな。」

『ぜんたーい!立て!……進め!』軍の先頭から聞こえたので立ちあがり進み始めた。戦争の開始か……

10

歩いてはや10日、西部の都市、ウルフェンの方に到達した。ちょうど戦線かそこにあったらしくここで停滞した。前の方から聞いたところによるとウルフェンの周りを2万から3万の魔属軍が囲っているらしい。恐らく、取ろうとしているのだろうらしい。なんでもここは中型の都市ではかなり西側に位置してるため、拠点にしたいとの事。聞いた感じでは街は敵軍に囲まれてはいるものの、城壁が分厚いおかげで耐えてるらしい。最初こそはチームごとに固まっていたが、夜などでいつの間にか隊列はバラけ、ソリスたちはちょっと後ろに行っており人の過密さも相まって夜はともかく、昼に会うことはほとんど不可能になってしまった。

「どうするんだ?」

「その方法を今軍長達が考えてるところだ。座って少し待っていろ。」

「分かった。」そのあと僕らは結構待った。その後兵士たちが来た。

「陽動作戦だ。まず精鋭部隊と魔属、それと王女を合わせたやつを一部南方向から攻める。それの少しあとにお前らがせっかく空いてやった穴を蝕むように突撃させるんだ。」

「ふーん……。王女が別動隊として動くのは大丈夫なのか?あと、魔属の敵と味方って区別つくのか?」

「そこら辺は大丈夫だ。王女も力はある方だしな。それと、今回の魔属には分かるようにちょっと細工を施してる。まぁ、傷とかじゃないし一生落ちない何かとかでもないから安心しろ。」

「そうか……。ちなみにどうやって細工したんだ?」

「普通に薄い絵の具で顔にランダムなマーク、花とかハートとか書いただけだが……水で洗えば落ちることは確認済みだし。顔がやだって人は腕とかになってるし。」

「ふーん……まぁ、それならいいか。」そのあと僕らは少し小高い丘で待った。その間にも敵軍が包囲しているのは変わっていなかった。距離は……大体数百メートル程か。

「そろそろ第一軍が行く。また、弓隊が結構近くまで来て射撃するから気をつけろ。」

「分かった。」その後銅鑼のような音が鳴り響き合戦が始まった。その瞬間いつの間にか隣に迫ってきていた弓部隊が射撃を開始し、そのあと、一部の部隊が狭ぜまと槍みたいな形で走り出した。

「あれが攻めはじめた。」そのあと僕らは攻める様子を見た。先端でぐちゃあってなり始めてるけど何とかまだ持ってるな。

「今のうちにこちらも攻め込む。用意せよ!敵は殺しても殺さなくても構わん!」大声が聞こえたのでこちらも準備をした。刀から緋刀美を呼び出し今のことを説明した。

「なるほど。了解した。敵は峰打ちでよろしいかの?」

「まぁ、……捕虜にするのと殺すのってどっちがいいんだろうか。まぁ、余裕があるかどうかで判断してくれ。何人も捕虜にする余裕が無いなら……気絶さした後そのままにしといてくれ。そんな手間かけられるほど難しい場合は……殺しても構わん。ただしそれは最終手段のようなものとしてくれ。」

「了解した。」その後僕らは突っ込んだ。人が多すぎてよく分からないけど……王女たちの第一軍はまだ無事なようなのでそれに雪崩込む感じで進んで行った。

「どおりゃ!」

「せい!」

「しねぇ!」そこらじゅうで剣を振るう音や吹き飛ばされる音が聞こえながら突っ込んで行った。みんな生きてるかな。姿が見えないのが怖いな。そう思いながら突っ込んでいると自分もひとりの悪魔の男性に出会った。

「ほうほう。よく軍を突撃させ、ここまで壊すことができたな。」

「まぁ、そちらからせめて来たからこっちも全力で返すことくらいはするだろうよ。」

「そうか。それでは、お相手さしていただく。私の名前は魔属軍軍曹、ユダナク=ヤブライカ2世である。お相手さして、いただきます。」

「……あぁ。僕は東川湧太。手合わせ願います。」それぞれがそう挨拶を終え、戦いに入った。肉弾戦で殴ってきたがそれを何とか抑え峰打ちで殺さないように戦った。力つえぇな。

「……お前、殺さないようにしてるか?」

「ま、まぁ、捕虜としてとらえた方がマシだと思うからな。」

「グハハハ!……何を言っておる。人間のお前に、魔属である私が殺されるわけなかろう。力も、技術も足りておらぬ。なら、せめて全力でかかってこい!」

「……ならさせてもらうぞ。」そのあと僕は魔法と刀を使って全力で戦った。しかし、力は負けているので怪我はともかく、どちらかというとこちらの方が不利になっていた。

「ほう。液体になる刀か、珍しい逸品をお持ちだな。」

「色々あってな。持つことが出来た。」その後も長時間戦った。針鼠も使おうと思ったがまず、気体にさして扱う必要があるというのに、そうしようとすると、ユダナクが襲いかかってくるから操る暇がない……。これ……やるか。

「ほれ、どうした。かかってくるが良い!」

「ならさしてもらうぞ!」俺はそのあとジリジリ近づき、そしてお腹をさせる距離まで近づき、さした。その瞬間ぶん殴られ刀ごと吹っ飛ばされたが更にそのあと上空から弓が降ってきて頭を突き刺した。……死んじゃったか。戦争は殺し、殺されるものと思っていたからしょうがないとはいえ……やっぱり罪悪感があるな。ご冥福をお祈りします。

その後もどんどん奥に入り込んでいった。何人か戦ったがやっぱり、殺すのは罪悪感があるため、悪魔の体力に乗っかるような形で気絶させるような感じにした。少なくとも殺すよりはマシなはず。

「あ!湧太!」

「お?キラトじゃねぇか。ということはメルアニアとかプオラートとかもいるのか?」

「あぁ。2人とも戦争参加だ。というか全員だな。メルアニアは小規模とはいえ貴族のお子さんだし、プオラートは14歳でまだ小さいから最初は参加しない方向だったんだけどな。ちょうど色々あって地元に帰っている間に戦争が起こったからちょうど許可取って王都に行って合流してきたところだ。お前はどうしてこんな所に?」

「こっちもナサールの地元にいったりして色々あってな。戻ってきたら戦争起こったからウトナから王都行ってきたところだ。」

「そうか。」

「そうだったらお前も頑張れな!」その後キラトは翼をはためかせてどこかへ行った。その後も戦い、戦局もゆっくりと外側を蝕み、魔属軍を少しずつ街の外に追いやることが出来ていた。やはり人物の多さは正義なのか?そう思いながら戦った。何度も骨折したりしながらそこら辺に漂っている妖精に有難く回復してもらい、進んで行った。

「は?」突然、目の前にシャボン玉が浮かんでいた。その下には死体が転がっていたので何とかシャボン玉を避けたがなんだあれ?そして死体、気持ち悪い……ウェプ。

「ドゴォン!」シャボン玉が地面についた瞬間地面が少しえぐれるレベルでの爆発が起きた。……これがこの死体たちの原因か。確かにえぐれてるし……死体だけじゃなくて腕や足も飛んでるし。

「シャーボン玉とんだー。屋根までとんだー。屋根までとんで。壊れて消えた。」どこかからシャボン玉の歌詞が聞こえてきたので聞こえてきた方向を向くと、周囲にシャボン玉を纏わせている少女の鬼がいた。こいつか?

「……お前か?あのシャボン玉。」

「そうといったらどうする?戦うのか?背中を見せるのか?」

「まだ……決めてないが。こんなに沢山の味方を殺したのには腹立つな。」

「そうかそうか。どちらにせよ。出会った時点でうぬもそこに散らばってる肉と同じになるのじゃよ。」そう言うとシャボン玉がこっちに向かってきた。それを避けるとやっぱり爆発したのでこいつで間違いないようだな。それにしても……こいつには勝てる気がしないな……いけて大怪我で何とか生き長らえるか、死ぬかのどっちかだな。

「どうした?怖いか?少女に怖気付いてるのか?」

「……まぁ、そうだな。」

「あははは!そうか!怖いか!なら死ね!戦う意思も無いものに生きる価値などないわ!」そう言うとその鬼はシャボン玉を何個も何個も投げつけてきた。その度に爆発音がなり後ろから死体の爆発による血が飛んでいった。これ……逃げれるか?突っ込むしかないと思うけど……突っ込んでも近くで爆発起こされて死にそう。周りに助けを呼べる人もいないし。

「はは!面白い!面白いぞ!逃げ回る人を見るのはやはり、面白いのう。」こいつ、人を完全におもちゃとして見てる。早くどこかへ逃げないと……シャボン玉か。やる方向とすれば……

「鎧!」僕はそう言うとシャボン玉の比較的大きめなひとつを刀の液体で覆って固体にした。幸いにも、爆発はせず地面に転がったのでそれをなげつけその間に逃げようとした。実際当たり、顔の一部がえぐれた。……今のうちに。

「……ほう。面白い金属をもってるな。」メキメキすごい勢いで回復し、離れることは出来たものの、逃げることは出来なかった。回復能力……人喰い鬼レベルだな。まぁ、鬼だから多少は当たり前の事なんだけど。

「だがな?シャボン玉は、わしが爆発させることが出来る。1度ならともかく、2度目が通用すると思うかね?」そう言いながら鬼は目の前でシャボン玉を破裂させた。その後何とか避けながら耐えた。そろそろ限界が近いな……。

「これで終わりじゃ!」そう言って投げつけようとした瞬間巨大な斧がその鬼に向かって振り下ろされた。鬼はずりやぁ……と足からしたが切り落とされた。

「プオラート!?」その斧の持ち主はかなり日焼けしたプオラートだった。さすがに遠心力には勝てなかったのかかなりよろけていたが、それでもなんとか体勢を立て直した。

「……ん。よいしょ。なんか、戦ってて苦労してたから来た。死んだ?」

「いや、人喰い鬼と同じだとするとまだ死んでないな。」

「ほう。お前、ダークエルフの子か?」鬼は足をゆっくり回復させながら言った。

「……そうなのか?」

「……うん。そう。」プオラートはそう言うと舌打ちをしながら首を切り落とした。その瞬間爆発し両方とも吹き飛んだ。俺は擦り傷で済んだけど……プオラートは僕より近くで浴びたけど大丈夫なのか?

「プオラート!」

「いった……。」プオラートはそう言いながら右腕をさすった。途中に石が埋まっていたのか、大きな切り傷ができていた。

「大丈夫か?」

「う……うん。」そのあと僕は大声を出して妖精に気づいてもらい回復魔法をかけてもらった。それにしても……ダークエルフって?

「で、ダークエルフって?」

「ん。ちょっと前にお姉ちゃんの誕生日あったから家に帰ってたの。その時にあんたもギルドに入るほど大きくなったんだから大事な話をする。とママから言われて、それで、私がダークエルフとエルフのハーフであることを聞かされたんだよね。」

「ダークエルフって……?」

「うん。まず、ダークエルフっていうのは、ゴブリンに改造されたエルフの子供のことなの。肌が結構日焼けしたかのように黒くて、力が強くて、背が小さい。あと、私ほどじゃないけど胸も大きくなるらしい。仲間のエルフからは、その奇妙な生まれとかからの違いで結構差別されるから引っ越したり、隠したりすることが多いの。」

「そうなのか。お前はどう思ったんだ?」

「うーん。別にね。この力がダークエルフの方の力が強く出た影響もあったらしいけど私は別にママがダークエルフとしても、構わないし、それで友達たちの反応がどう変わるとかもないしね。」

「プオラートはエルフの村住んでないのか?」

「うん。ここから、ちょっと北東側にある村にチームメイト全員が一緒に住んでた。」

「そうか。」

「ん。それじゃあ。」

「おぉ。」そう言うとプオラートは去っていった。さらにその後、じわじわ後退させていき、いつの間にかかなり日が傾いていた。

「ドンドン!退却せよ!退却せよ!」そう音が聞こえると、魔属達は一気に踵を帰し、逃げ始めた。退却という声がこっち側にも聞こえたので僕らは追うのをやめた。逃げるならそのまま逃げた方が助かるしな。そのあと退却していく敵軍を横目に見ながら街を覆いかこんでいた。死者は……こっちも多めだな。魔属の死体もあるにはあるけど。

「なあ、死体はどうするんだ?」

「上から指示が出るまで待機だな。まぁ、この手のヤツはまずは死にかけのやつをどうにかして、死んでるやつは味方はとりあえず誰なのか分かるようにするのが筋だ。」

「敵は?」

「まぁ、土葬だな。というか味方も確認したら多分土葬……いや、キラ教だけは主と同じ方法でやるのがいいとされるから火葬か?まぁ、されるな。1週間は駆り出されると思うぞ。」

「そうか。」

「とりあえず、虫の息の敵味方含め、生きてる者がいたら確実に保護しろ。死体処理はそれからだ。」

「分かった。」僕らはそのあと、生きてる人を探した。最初は一人もいないと思ってたが、意外と生きてる人も多く、また、戦が終わり、安心したのか味方が死んだ事実に気づいたのか泣いてる人もいた。そういえば……ソリス達は無事なんだろうか。怖くなってきた。死んでないだろうな。

「おーい!ソリス!ナサール!マレ!ルーナカミ!アリシア!」僕はそうたまに呼びながら生きてるものを見つけると近場の妖精に回復可能かを聞いた。その内に上の方針が決まったみたいで兵士が僕の前に来た。

「方針決まったぞ。布の色とギルドの場合は体のどこかにあるスタンプで判別しろ。スタンプがわからない場合は布の色で判別しろ。味方の人、味方の魔族、敵の魔族で一旦分ける。チームメイトの場合は近くに埋める場合もあるが、まあ、この多さだ。穴を3つに分けてそこに土葬が懸命だろう。」

「埋める場所は?」

「ここから5キロ離れた所に山からなる墓地がある。町長さんに許可とって埋めてもらってもいいという許可が出た。」

「分かった。」そのあと僕らは死者を何個かに分けた。ノピリ教からも「今回に限っては異教徒と共に埋められるのも許そう。」と言われたので、単純に身元を分からすために布で分けていった。

「お!湧太!」アリシアがブンブン手を振りながらこっちに向かってきた。久しぶりに見たから分からなかったけど、やっぱりこの夏の暑さも相まってかなり日焼けしてるな。

「お!アリシアか生きててよかった。」

「まあ、私は後ろの方から弓矢でチクチク打ってただけだからね!前線にいってたそっちの方が大変だったんじゃない?」

「うん。まぁ、人の死体をいっぱいみた。正直、一つだけでおなかいっぱいなものを死ぬほど見た。」

「そうだね〜。私もここまで死体見てきたしな〜。」

「ソリスたちはみたか?」

「いや?特に見てないな。」

「そうか。なら探すから。あんたも探しといてくれ。」

「OK!」そのあと僕らはまた別れて探した。

「あ!ルーナカミ!」

「お……あ!良かった〜!」そう言うとルーナカミは抱きついた。

「何があったんだ?」

「ん〜と、鬼に追いかけ回されてたんだよ。魔法でどうにかしようとしてもすぐ復活しちゃうからさー!途中でなんか能力で遠く浮かばせられたし。怖かったよ!」

「どうして生きてられたんだ?」

「分からない!なんか強い光与えたら消えちゃった!」

「そうか、まぁ、怪我なくて良かったよ。」

「ん。ソリス達は?」

「アリシアは見つかったけどソリス達は分からないな。」

「生き残りに襲われたくないから一緒にいてもいい。」

「あぁ。」ルーナカミが手を繋いで甘えるなんて相当だな。いつもはアリシアに抱きついてばっかりなのに。そう思いながら探した。程なくしてマレが死にかけのものを回復さしてるのを見つけた。

「こいつって……布ないよな。」

「ん。いわゆる捕虜だね。まぁ、生きてるならとらえた方がいいと思ってさ、回復してるところ。」

「それもそうか。」

「大丈夫なの?」

「息はしてるんだけど気絶してるからね〜。少なくとも目が覚めるまではおそわれることはないしね〜。」

「そうか。ナサールは?」

「見かけたよ。ただ見かけたのが10分くらい前で死にかけの怪我したものを運んでる状態だったからね。今もまだ同じようにやってるのかな?」

「さぁな。」

「ん〜。もしもいたとしても……死体とかが山積みになってるから私は行かない方がいいよね。」

「そうだな。」

「まあ、生きてるってことはわかったんだし戻ってくるまで待つか。」

「そだね〜!」そのあと僕らは一旦列の方に戻って言った。僕らはそのあとみんなの列に戻った。ナサールも死者を運びながら戻ってきており、全員生き残っているのを確認した。ナサール顔になんか……塗られてるな。さっき言われてたやつか?

「どうだった?」

「……結構辛かった。先陣走っていったけど周りの目キツかったし、敵も王女様囲んでんの分かってるから血迷ったようにこっち迫ってくるし大変だった。」

「そうか。」

「ところで……顔のそれ何?」

「あ、これ?敵と間違われないようにつけた薄い絵の具。」

「大丈夫なんですか?痛みとかないんですか?」

「うん。筆で塗られたけど、特に痛くなかったし、顔を念入りに洗えば落ちるし。敵と間違われて襲われるよりは全然いいよ。」

「そうか。」

「ん。雨の時には落ちちゃうけど。まぁ、その時はまた別の考えるんじゃない?」

「まぁ、この国はほとんど雨降らないからな。」

「それもそうですね。」

「それにしても……殺されなくて良かったね!」

「うん。怪我も妖精たちに直してもらったりしたし。」

「でも、出来ればあまり血溜まりのところ立ちたくないな。」

「まぁ、それはわかるよ。特に子供のお前にはな。」

「どうする?この後ウトナに戻って戦争参加しないって手もあるけど。」

「あぁ。正直、戦争ってのはこの血みどろの戦いがずっと続く、子供には正直、きついことばっかりだ。」

「いや〜。どうせこのまま参加した方がいいと思うし、参加しとくよ。」

「そうか。」

「いいんですか?」

「もしもきつくなったら直ぐにいってね。後衛に下げてもらうとかしてくれると思うから。」

「うん。」そのあと僕らは固まって夕飯などを食べシャワーを浴びた。ナサールの絵の具もたしかにちゃんと取れてるな。明日からどうするんだろう。捕虜とかのお世話とかも入るのかな。

11 Military General Temporary Meeting Room

ウルフェン包囲網解放戦が終わったあと、軍隊総合臨時会議室にて

天幕の布地を通して黄昏の陽光が淡く差し込む。戦の興奮が冷めきらぬ空気の中、各軍の代表たちが仮設長机を囲んでいた。周囲では兵らの喧騒が聞こえ、死者や傷病者の搬送が断続的に行われている。

ウルフェン包囲網解放戦――それは決して完全な勝利ではなかった。だが包囲が破られたことで、各軍は次なる行動を決定すべく会議を開いたのだった。 

「……勝った。しかし、辛勝である。包囲網は解放され、撤退したが、まだ終わってはおらぬ。」口火を切ったのはノピリ教軍のゼクスシア=イワンヌ大将。数百年前から連綿と続くノピリ教の信者であり、先祖は魔界戦争で大将を務めたこともある。ゼクスシアもかなりの戦い好きであり、今代勇者に武術を教えたりしており、既に人間なのに数人、10数人の魔人を聖魔法などを用いて殺めた。

「そうだな。死者を墓に埋め、怪我をおったものを速やかに治し、かかった呪いを剥がしてこそ、この戦は終わったといえる。」ため息混じりに呟いたのはギルド軍の軍長、ロクアル=アルシオスギルド総長。25年前、カリスマ的ギルドのCrimsonNightのリーダーを務めており、現在でもこのチーム含め2グループしかいない、隔離クラスであるSS級ギルドに所属していた。その腕前を買われ、40代という速さでギルド総長に就任した。

「それじゃあまず、各軍の死者、戦闘不能者の総計から進めていこうか。」司会者ルビート=カインツァ。近衛軍の一軍であるが、父親が大商人故に、全ての軍に対して顔が広く、そのため、進行を楽に進められると思い、全軍が共に司会者に決めた。

「こちらノピリ教軍、5万人のうち、4000人が死亡、500人が足を切り取られるなどして戦闘不能。また、500人ほどが捕虜になったかと。」

「キラ教軍4万人のうち、3500人が死亡しました。戦闘不能に関してはまだ探している最中のため不明ですが500人以上1000人以下なのは確かです。捕虜も数百人ほどいると思われます。」キラ教軍、隊長エリアーヌ=ナンツ。法王の兄弟で、剣の腕に長けていたため、軍隊に入り、准尉まで昇格、そしてそれをつかって、キラ教軍隊の隊長にまで上り詰めた。

「ギルド軍6万、4000人が死亡、1000人が戦闘不能。1000人ほどが行方不明故に、おそらく捕虜になってるかと。」

「近衛軍8万、4000人死亡、500人戦闘不能。捕虜にされた数はおそらく数百人未満かと思われます。」近衛軍隊長アルバート=アームストロング。16歳で入隊、現在は流石に隠居したが、先々代勇者とライバル関係にあり、共にしのぎを削った。そのため、少将にまで上り詰め、隊長に就任した。

「雑多軍2万人、2300人死亡、700人戦闘不能です。それと捕虜が100人ほどです。」雑多軍、ルバート=ノイタス。雑多軍は国の様々なところから集まったため、隊長という概念が存在しなく、今回のも伝聞係として集まった。

「了解した。では、次は捕虜の扱いですな。」

「我らは可能な限り生存者を保護し、捕虜として適切に保護をしております。既に話せる人の場合は、強制力は弱いものの、尋問にも取り組もうとしてます。」

「俺らも同じだ。何分、俺らの仲間には魔属もいる。捕虜にも気を使いながら尋問を行う準備をすすめている最中--」その瞬間だった。

「貴様!それでもこの国を守る仲間か!」机を叩き、立ち上がったのはゼクスシア。その顔は怒りに震え、歪んでいた。

「悪いが。さっきも言った通り、俺らの仲間には魔属も大勢いる。あんたの信仰は知っているし、それを今から破れとは言わないがそれをここに持ち込むな。」

「だまれ!異端者!貴様らは人を無下にしている!卑しい種族と共に寝食を過ごし、先祖の魂を地獄に葬っている!我らは、もう10頭の魔属を浄化した!」

「お前らが言うその浄化とやらは命の冒瀆(ぼうとく)に過ぎぬ!」さすがの魔属の命の軽視に、ロクアスも怒声を発した。

「何が命の冒瀆だ?さき落としたものなんぞ、死んで当然に決まっておろう。それに、貴様らだって魔属を殺してたじゃないか。」

「それは敵なす関係上跳ね除けるために殺すしか無かったからである!投降した者を傷つけるような扱いはこれからの戦いに、必ず不幸を持ち込むぞ!捕虜の者には手を出せかさぬのが俺らの方針だと言うのに捕虜になる寸前でお前らに殺された魔属だって目の前で見た!」

「それで良いのだ!それでこそ神からの罰なのだ!」

「人の人種によって扱いを変える神が最高神だと言うなら!貴様らの信仰こそ紛い物(まがいもの)にすぎぬ!」

「なぬ!」お互いがお互いを睨みつけ、一触即発の状態になった。

「やめなされ!2人とも!」エリアーヌが2人を止めるように大声で話した……

「我ら信じ合う道は違えど、同じ陣営で殺し合うわけにはいきません。神の御名を用いて剣を交えるなど、最も愚かなことです」……がどうやら逆効果だったようだ。

「黙れ、愚か者!貴様らキラ教は、“慈悲”の名の下に魔と手を取り合う異端者だ!貴様らこそ真の異端よ!」エリアーヌは顔色を変えず、沈黙で返したが、今すぐに剣を交えた決闘が行われても不思議じゃないほどの緊張感に包まれていた。

「――貴様ら、それでも王のもとに集った(つわもの)か。」呆れるような声で立ち上がったのはアルバート。

「貴様ら、この場は王命による軍議の場。そして貴様らは志は違えど、王命に従い、ここに集められた。もし、それでも戦いたいなら勝手にしろ。ただ、もしも戦うなら我々は貴様らを殺人の罪で捕らえる。」静かな、それでも強い声に、全員黙るしか無かった。

夕日は沈みだし、空は群青に染っていく。戦の火は消えども、星のあかりのように人の火はまだ、静かに燃えていた。

12Yuuta.ver

 ウルフェン包囲網解放戦が終わってから五日後。僕らは死骸を運び、捕虜を性別別に、分けてそれぞれを活かしていた。と言っても人口10万人くらいの街に、25万人の軍が入れるわけもないので、王女も貴族も、全員野宿していた。魔属の中にも様々な人がいて、ちゃんとこっちの言語をしゃべれる人や訛ってたり逆にほぼこっちの言葉を喋らなかったりとあった。魔語しか話せない人は、それがわかる人に任せて、僕らは多少なりともこっちの言葉話せる人と話しながらゆっくり親交を深めて行くことにした。

「おい。コナルア。食え。」僕はそう言うとコナルアという1人の悪魔族の男と話した。回復魔法が効いてるから体は大丈夫だけど問題はその後なんだよな。

「やだ!毒!ある!」コナルアはそう言うと首を振った。魔属だから毒あってもあまり感じない気がするんだけどな。あと、こいつは単語しか知らないのか、カタコトみたいな喋り方をしてた。

「ないって。朝の方もなかっただろ?」

「朝ない!夜ある!」

「いやないよ。なら僕だって一緒に食べるか?まだご飯食べてないし。」

「しろ!」

「わかったわかった。ちょっと待ってな。」そう言うと僕は夕飯をついでに貰い、となりで一口だけ魔属のご飯を食べた。こうでもしないと安心出来ないのか。

「ほら、これで毒無いだろ。」

「チッ。」コナルアはそう言うとやっとご飯を食べてくれた。尋問はどんな感じなんだろうか。

「なぁ、尋問はどんな感じなんだ?」

「話、ない。」

「話さないってことか。」

「ん。知らない。」

「知らない?何がだ。」

「作戦。上。私、会う、ない。」

「なるほどな。」おそらく上兵と会う機会が下っ端だからないって事なのか。

「あ、一、分かる。話した。」

「ほんとか?」

「ん。」

「まぁ、言ってみろ。」

「女、王、いる。」

「女王ってことか?」

「ん。戦い、参加。そっち、同じ。」……というかこっちも王女様が参加していること下っ端にまで割れてるんだな。まぁ、あんな最前線突っ走ればいやでもわかるか。

「そうか。」そのあと僕とコナルアはご飯を共に食べ風呂にはいらせる担当に渡した。

「お、ナサール。」

「あ。こんばんは。」

「おう。そっちの方はどうだ?確か、クリス語が喋れない人の捕虜してたんだよな。」

「ん。ちょっと疲れた。気性荒い人多くて、逃げようとしている人多くて、捕まえたりする必要があったりしたから、それで疲れた。」

「おつかれ。」

「ん。ソリスもいたけどちょっとそこで殴られちゃって今、回復魔法の手当受けてる。幸い、顔には無かったから安心して。」

「おう……分かった。」

「ん。それじゃあ。」ナサールはそう言うと去ってくれた。そのあと外側に行くと、アリシアがなんか背の高い女性と話してた。アリシアもかなり高い方だと思うけど……アリシアのミドルヒール合わせた高さよりも一回り大きいな180cmはありそう。

「よう。アリシア。この人は誰だ?」

「あ〜!紹介するな!湧太!こいつはキャシー!隣村のライバルさ!」アリシア男話に戻ってるな。

「キャシーだ。よろしくな。」185cmくらいの貧乳。金髪を肩までのかなり高い位置で結んだポニテールとつり目な青い目。上半身を鎧でおろい、下半身は革で作られたホットパンツを履いている16歳くらいの女性はそう言いながら握手を促してきた。でっか……そして、思ったより中性よりな感じしてる。声で何となく女性とわかったが黙っていたら背の高さと相まって男性に見えなくも無さそう。

「よろしく。ところで……ライバルって?」

「あ、そうそう。私の村と隣のキャシーの村では年に一回交流会も込めた大会が開催されるの。そのうちの弓矢の射的部門があるんだけど。7歳の時から抜かれたり抜いたりしながら切磋琢磨してたライバルなんだよ。」

「今年はこっちは近衛軍に所属することになったし、アリシアはギルドだっけ?に所属したから多分未参加なんだけどな。」

「そうそう。」

「というかアリシア……なんで男の話し方してるんだ?」

「え?言ったよな。子供の時の話し方に戻る時があるって。ついつい懐かしくてな〜。」

「怒ってる時には戻る時化されていたからまた怒ってるかと思ったよ。」

「違うわ!」

「それにしても大きいな。あの両極端コンビよりは小さいけどかなりの大きさがあるよ。」

「ほんとだよな〜。また伸びた?」

「まぁ、少しな。」

「いいな〜。」

「いや、アリシアだってかなり背の高い方だぜ?あとここまで大きいと男物の服しかなくてな。正直困るぜ。それに……アリシアはこいつだってたっぷりあるじゃねーか!」キティーはそう言うとアリシアのおっぱいを揉み出した。

「いや〜。相変わらずこっちもおっきいな〜。俺は背の代わりに胸の方は全く大きくならなかったからな。羨ましいぜ。」

「じゃあ僕はこれで。」僕はそう言うと去った。そういうのは……二人でやってもらった方が助かるだろう。

「うん!また色々話そうな!」

「おぉ!じゃあな。」

その後ウロウロしてると医療室についた。そこにはソリスと寝てるルーナカミがいた。そういえばルーナカミ今日魔力熱出てたんだよな。

「おう。ソリス。大丈夫か?」

「あ、湧太。ナサールから聞いたんですか?」

「あぁ、ちょっとな。大丈夫か?」

「えぇ。幸い、脱走犯は今ちょっとお仕置されてます。私は……大丈夫らしいです。」

「ルーナカミはどうだ?今日酷く寝込んでいたらしいし心配だな。」

「寝ちゃいましたね。熱は……下がってますので明日になれば治ってるかと。」

「よかったよかった。マレは?」

「今別のケガ人治してますね。私と違ってかなり重めのケガおっちゃった人の治療してるのでまだかなり時間はかかるかと。」

「そうか。」そのあと僕らは去りながらウロウロした。確か王女が昨日演説で言ってたけど、今日から明後日の間に北からイザベラ王国の軍5万と南からヴァンデルヒ王国5万がなる他国軍が来るらしい。となるとかなりの多さの構成軍になるな。下っ端の僕が心配することでは無いと思うけどこの構成軍の多さ……色々大変なことになってそう。まあ、頑張るしかないか。

13

翌日、昼ごはんを食べていると大きなドラの音が鳴った。

「イザベラ国軍。到来〜!」そういう大きな音が鳴ったので整列して待っていると奥の方から濃い群青色に銀色の龍が書かれ、その上に星、下に剣が書かれている軍旗が現れた。あれがおそらくイザベラ軍なのだろう。

「おう!久しぶりじゃのう。」スピーカー魔法で王女と男の声が聞こえた。

「おう。お前も参加してるのか。王女なのに大丈夫なのか?」

「まあ、良い経験になるじゃろう。それより、みんなが待っておる。早う演説せい。みんな待っておるぞ。」

「おう。わかった。」男はそう言うと少し黙った。

「我は再び、先祖のようにこの地に降りたてられた。

私の名はアンドロニク=マハーリン。北のイザベラ国より、軍を率いてこの地に参った者である。

この声は、多くの者にとっては見えぬ者の言葉であろう。

多くの者にとっては、姿も知らない、初めて聞いた声であろう

だがどうか耳を傾けてほしい。姿は霞んでも、我らの心は隠してはおらぬ。

我らが掲げる旗は、血の色ではなく、誓いの色である。

数百年前、イザベラの祖たる者がこのクリスの王に膝を折り、そして、名を与えられ、国として生きる許しを得た。

それゆえ、我らはこの王国を“遠き隣人”ではなく、“古き家族”と思う。

今日ここに集う、ノピリ教軍の盾持つ者たちよ。キラ教軍の矛振る者たちよ。ギルドに連なる百の剣と、民の手に握られた十の槍、そして近衛の誇り高き者たちよ。

皆がこの地を守る者であることに、我らは敬意を捧げる。

我が軍は、この国の歴史の全てを知っているわけではない。

だが、かつてこの地で交わされた誓いを忘れたことはない。

それが、我らがこの戦に応じ、南へと歩を進めた理由である。

異なる土地に生まれ、祈りを捧げようとも、守るべきものの重さは変わらない。

この地で流れる涙も、北で流れるそれも、痛みは等しく胸に刻まれる。

戦の前に、名乗る者が一人は必要であろう。

それが私であってよかった。

なぜなら、この名は他国のものではなく、もとはこの地の古き響きでもあるからだ。

我の先祖は、イザベラ初代国王と共に、この国を守り通した者でもあった。

だから、先祖と同じくこの地を、この国を守るために踏めたことを喜ばしく思う。

どうか、見知らぬ顔の列の中に、かつての誓いのかけらを見出してほしい。

我らは命じてここにあるのではなく、志あってここにある。

そのことだけを、今は胸に留めてほしい。

我が軍は、列を乱さず進む。

混じることなく、しかし離れることなく、隣に並び立つ。

剣を交えるのは敵のみ。背にあるものは、信じるに足る。

恐れることはない。

今日この日、我らは“共にあった”と、歴史に書き残すに足る歩みを始めるのだから。

――アンドロニク=マハーリン、此処に在り。」そのあと拍手が響いた。イザベラ軍の方からはヤーー!!という野太い声が聞こえたので、結構いい感じになった。その後少したって夕飯の前頃。南、つまりは後ろの方から、砂色の背景に上から赤い太陽、黒い鷲のような鳥、青いクロスした槍が書いてある旗を持った大軍がきた。なんだ?

「ヴァンデルヒ王国の御成!」後ろの方から大声で声が聞こえたので後ろを向いた。

「おう!久しいな!」

「おう!楽しくやっていたかの?」

「そうだな!ところで、演説はもうしていいのか?」

「おう。そのあと会議もあるから早めに頼むぞ。」

「分かった。」

「――我らは、遠き南よりここへ至った。

この声を届けるのは、ヴァンデルヒ王国軍を預かる者。名は……いずれ知れるだろう。

今は名よりも意志を。姿よりも、声の真を知っていただきたい。

ここはクリス王国。数多の時を越えて続く王の御座と、人々の暮らしの地。

その土に、今、私たちは他国の軍靴をもって立っている。

だが、その意味を誤ってはならない。

これは侵略ではない。干渉でもない。

――これは、応えである。

かの王国から求められた誓いに、我が王は応じた。

それは、盟約の証であり、尊重の証であり、親への恩返しでもあり、何より、心を預けた者たちへの応答でもある。

王家同士のことをあれこれ語るつもりはない。

ただ――この国に、大切な未来を託そうとしている者が、我が国にもいるということを、少しだけ胸に留めていただければ、ありがたい。

ここに集う、ノピリの義に生きる者たちよ。キラの教えを胸にする者たちよ。商いと誓いに生きるギルドの戦士たちよ。

そして、家族を想い武器を手にした民たち、誇り高き近衛たちよ。

我らは南に生まれ、風土も言葉も異なる者だ。

だが、それでも――「守る」という意志に、国境はない。

たとえ祈る言葉が違えども、戦場に立つ者の眼差しに、偽りはないと信じている。

我らヴァンデルヒの軍は、礼を重んじる。列を乱さぬ。

この地の命令に従い、必要とされる場所に、必要とされるだけの力を差し出す。

前に出ようとは思わぬ。だが、退こうとも思わぬ。

この戦の先に、何が残るかは分からない。

だが、今日この場に立つことで、我らの意思は語り終えたと信じたい。

この地に花が戻る日が来た時、我らの足跡が――誰かの記憶にあれば、それでよい。

ただそのために、剣を抜く。それだけだ。

……風が変わる。時は動いている。

ならば、共に進もう。語らずとも、歩幅を合わせて。

この戦場に立つすべての者へ――ヴァンデルヒ王国、此処に在り。―――」その後、拍手が聞こえ、僕らも拍手をした。この後どうなるんだろう。

14 Military General Temporary Meeting Room

深夜、軍隊総合臨時会議室の一室には、各勢力の代表者たちが顔をそろえていた。時はすでに深夜を回り、月の光が外から差し込んでいる。

ルビートは白地の地図を前に、低く落ち着いた声で口を開いた。

「……さて、魔属軍は西方へ完全に撤退した。監視部隊の報告によれば、彼らは山脈を越えて国境付近に再集結しているという。今夜の議題は一つ。――我々はそのまま国境を越え、魔国を陥落させるべきかどうかだ。各位、意見を」

最初に錫杖からなる鈴音を鳴らして立ち上がったのは、ノピリ教軍を束ねるゼクスシア大将であった。

「話は簡単だ。奴らは悪だ。人の言葉を使い、人の形をしていようとも、その本性は異なる。人の世界に居場所などない。陥落など甘い。情けなどいらぬ。全員、殺すべきだ。あの山脈の先で息をしている限り、再び剣を取り戻す時が来る。聖典は言っている――汝、魔を許すな、と。戦の本懐を果たすべき時だ。」

周囲に一瞬沈黙が走った。また、ロクシアが立ち上がろうとしたが、エリアーヌが優しく静止した。反応を返したのは、キラ教の高司祭エリアーヌであった。

「確かに、彼らは我らを襲った。多くの命を奪ったことも事実です。しかし、それは憎しみに根差す連鎖に過ぎないとも思えます。もし、今後の侵攻の意思がないのなら、今ここで矛を収める選択もあるべきです。こちらから滅ぼすことが、我々の正義になるでしょうか? それがキラの導きとは、私は思えません。」

対照的な信仰者たちの言葉を受け、近衛軍隊長アルバートは冷静に声を発した。

「正義とは時に、冷酷でなければならぬ。私は、敵を皆殺しにするような愚行には断固として反対だ。だが、彼らが再び兵を挙げぬという保証はない。今ここで火種を断たねば、十年後、二十年後の子らがまた同じ血を流すことになる。陥落は、必要な決断だと私は考える。」

ギルド代表のロクシアは、長く吐息をついてから、言葉を選ぶように口を開いた。

「私たちギルドとしちゃあ、民間人や従属していただけの魔属が守られるなら、本拠地への侵攻には賛成する。ただし……完全な陥落、つまり魔国を解体するような策は、私個人としては現実的とは思えないな。戦力が過密になれば、それだけ支配も統治も乱れる。可能な限りの保護が条件になるだろう。それに……仲間の魔属を見てると、とても全員殺すような案には納得できない。」

ゼクスシアの堪えるような姿勢があったが、近衛軍の一瞥で、事なきを得た。

その隣で静かに腕を組んでいた雑多軍のルバートは、ゆっくりと首を振った。

「悪いが……今回は聞かせてくれ。おれたちの軍には、それぞれの人や種族の思惑も混じってる。まだ意見もまばらでとてもじゃないが発信できるものではない。だが、この話を無視する気はない。」

多国籍軍からは二人の将が肩を並べて発言した。アンドロニクが口を開いた。

「我らの国もまた、ダーヴェラゴザンヂの襲撃を受けた過去がある。ここで奴らの牙を折っておかなければ、次に矛先が向くのは我らかもしれん。陥落には賛成だ。」

続けて、やや口調の荒いジャバリもそれに頷いた。

「この地の戦いに協力したのは、ただの恩義だけではない。我々もまた、同じ脅威に晒されている。断ち切るべきだ、この連鎖を。山脈を越え、彼らの根城にまで手を伸ばす時だろう。それが例え、重い犠牲がつくものだとしてもな。」

再び全員の視線がルビートに集まった。彼は静かに頷く。

「……意見は出揃ったようですな。王様へ最終決定と今回の意見の全文をまとめた書を届け、許可を貰い次第、敵国への侵攻と陥落に踏み切る。細部の方針、民間人の保護等は今後詰めるとして――ここに、一つの大きな方針が決まりました。」

ウルフェンの深夜に、静かだが重い決定が下された。明日よりこの戦は、新たな段階へと移ることになる。

15 Royal family

翌々日、王室に白亜の壁に柔らかな金色を落とし始めていた。アンドルザー王は、食堂にて朝食をとっていた。湯気の立つミートスープと、軽く焼かれたパン、それに季節の果物が並ぶ静かな食卓。年若い王女の妹が、隣でパンに蜂蜜を塗りながら軽く欠伸をしていた。

近衛兵が手慣れた動作で文筒を外し、王の席へと進み出た。王はうなずいて受け取り、銀の器にパンを置くと、布で指先をぬぐい、落ち着いた動作で封を解いた。

「こいつは、……近衛軍の鳩か。はてさて、どんな手紙かな?」

「お姉様からですか?」

「いや、ルビートとなっているな。まあ、ミラルは筆不精だし中々手紙は送らないだろう。それより……内容は。」

『ウルフェン包囲解放戦。解放したり。敵線国境間近まで退却、会議の上、王様の許可を貰い次第、ダーヴェラゴザンヂを陥落させる予定也。以下、それぞれの捕虜の扱い、及び陥落会議の簡単な主張也。』

文面を読み進めるうち、彼の眉は少しだけひそめられた。それは怒りではなく、沈思の皺。捕虜の扱い、会議での論調、そして陥落を前提とした進軍の可能性……。

まず、ノピリ教軍による捕虜への冷酷な対応。彼の指がわずかに止まった。キラ教の教義に傾く彼にとって、尊厳なき扱いは決して許容しうるものではなかった。だが、それが味方の一軍であり、戦の激しさが背景にあると考えると、即断もできぬ。

「ゼクスシアよ……わからんことは無いものの。汝の剣は鋭すぎるな。」と静かに呟く。

次に目を留めたのはギルド軍の緩やかさとキラ教軍の穏健な処遇。王は満足げに目を細めた。いずれの道を選ぶとしても、この二軍が人の道を踏み外すことはあるまい。少々キラ教の意見は甘いことはあるものの、まぁ、充分であろう。

そして最後に会議の要旨。王国軍が、ついに魔国の心臓部たる「ダーヴェラゴザンヂ」陥落を視野に入れたと知った時、王の表情に動揺はなかった。だが、読み終えたその時、小さくため息をついた。

「魔を討つ剣が、人の魂まで討ち滅ぼさねばよいがな……」

王は手元の紙に静かにペンを走らせた。返書の内容は簡潔に、だが威厳と信頼を込めて。

「お父様、どうでした?」

「……悩ましいことだ。」

返書

ウルフェン解放、誠に労多き戦果なり。皆の働き、余深く感謝す。捕虜の件、各軍の立場は理解せり。されど、されどなればこそ、我が軍が人の道を貫かねば、戦の果てに民の信が残らぬことを忘れるなかれ。

今後の戦略、地の遠きゆえ、会議に一任す。慎重にして大胆たれ。魔国の陥落を望む声が強きこと、よく分かる。されど、必要なのは勝利ではなく、王国の未来なり。民の命、魂、信仰、その全てを守るためにこそ剣を抜け。

余は王都にて見守る。諸将、勝って驕るなかれ、敗れて屈するなかれ。

第42代アンドルザー王より。

追伸、妹が心配している故、王女様の様子をお伝えくださると幸いである。


筆を置いた王は、それを封じ、鳩の足に再び結びつけるよう指示した。

「行け。まだ目覚めぬ戦場へ、我が声を届けよ。」

そう静かに呟いた時、窓の外ではもう日が昇っていた。戦火の影は、ゆっくりと、王の国の西へと伸びていく──。

16 Yuuta.ver

イザベラ軍と、ヴァンデルヒ軍が来て数日が経った。戦死者達の合同墓も建てることができ、次のを待つことになった。暑いが、カラッとした暑さなので日本で長時間外にいるよりはマシだった。水も配布してくれたし。というか日本暑すぎるんだよな。

「戦策が決まった。もうすぐ、ギルド軍の隊長から演説がはじまる。心して聞くといい。」

「了解した。」

「どうするんだろーね。」隣にいるアリシアが、ワクワクしながら話しかけてきた。今日は珍しく、全員が集まっているんだよな。

「さぁな。まあ、数十万の軍がここに集まってるんだ。ただの撤退では終わらないだろう。」

「それもそうか。」そのあと僕らは少し待つと声が聞こえてきた。

「今から、決定事項を伝える。よく聞いてくれ。これから我々軍隊は、ダーヴェラゴザンヂに侵入、民間人の保護を徹底しながら、国を落とす。そのために、山を越える。

名前は翠緑進軍。

やり方はこうだ。まず、先頭はギルド軍、エルフなどの種族がいるので、山道にも慣れているだろうというので先頭を通る。次に雑多軍、他国軍、近衛軍、ノピリ軍、最後にキラ軍で通る。けもの道を主とする。馬車二台が並ぶ幅を進み、先発の列が森を抜ける頃、次の列が入る。すべてを分け、すべてを守り、ひとつの道をつなげて進む。

恐らく、到達日数は10日弱かかる。それは35万人もいるため、仕方の無いことだろう。

近隣の道には、アラクネやケンタウロスなどの種族が住まう。戦えば、勝てる相手ではあろう。しかし、戦って無闇に戦力を消耗させる必要はない。よって、我らは彼らを敵とせぬ。森を荒らすことも、枝一本を折ることも禁ずる。襲ってこないうちは、敵と思うなかれ。進軍は、明日から開始とする。今日は1日、出発までの準備をしなさい。」

彼はひと呼吸を置き、最後に声を落とした。

これはただの行軍ではない。これは、我らの力と誇りと理を通す、緑の聖なる道行きだ。――それに命を託せる者のみ、足を踏み出せ」

兵の誰かが無言で拳を胸に打ち、またひとり、またひとりとそれに倣った。自分やアリシアもそれに倣った。明日か。捕虜を持ちながら行くのは結構めんどくさいと思うけど。

「おい、お前。」

「ん?なんだ?」

「捕虜の準備しにいくぞ。」

「分かった。」

「私たちも行きますか?」

「もちろんだ。子供のこの子以外は捕虜担当だろ?」

「私は弓使いだから捕虜の方は言われなかったし。ルーナカミもそうかな?」

「私も!」

「そーだね。私は傷病者を治したりするから捕虜はちょっと扱わなかったかな?」

「じゃあそいつらの3人か。」

「ん。」

「あぁ。」

「分かりました。」そう言うと僕とナサールとソリスの3人は立ち上がり、捕虜のところに向かった。

「それで、何をするんですか?」

「捕虜の移動準備だ。捕虜の移動のため、手に縄を縛る必要がある。それと足におもしをつけなければいけない。正直いってやりたくないが……捕虜を安全に輸送するためにはそれが一番だ。やれるか。」

「分かりました。」

「……ん。縄そっちやって。重しは私が持ってやった方が早い。」

「わかった。」そう言うと僕らは手に持てるだけの縄を持って捕虜のところに行った。

「なんだその縄……殺す気か?」

「殺さねーよ。これから山越えるんだ。逃げたら困るからな。この縄で結んで逃げられないようにするんだ。」

「そのあと、この足のおもしをつける。」

「……それって意味あるのか?」捕虜のひとりはナサールの持ってる足枷を指さして言った。確かに片手にナサールの半分くらいの大きさがある鉄球がある枷をひとつずつ持ってなお歩いてるもんな。ナサール力ある方とはいえ……まあ、この鋼の大きさなら問題ないか。

「大丈夫だと思う。ほら、持ってみて。」ナサールはそう言うと捕虜のひとりにその鉄球を渡した。捕虜はそれを持ったが持った瞬間「重っ……」とだけといって地面においた。やっぱり魔属とはいえこれぐらいのたまの大きさは重いんだな。

「じゃあやるぞ。」自分はそう言うと縄を縛った。解きにくいやり方をソリスから教えてもらい痛くならないように結んだ。それをみんなでやり、そしておわった。意外と太いから魔属が軽く力を入れた限りでは破れないんだな。

16

翌日、朝ごはんを食べて前の方に6人で行き出発を待った。ギルド内での進み順はある程度自由だから、数十分歩けば先頭の方に行けるんだよな。そして全軍の準備がすんだのか、進み始めた。

「なあ、山を越えるって言ってたけど今更だけど山ってなんだ?」

「あぁ。ローラル山脈のことですか。ローラル山脈はイザベラ国、クリス国、ヴァンデルヒ国、ダーヴェラゴザンチ国の四カ国に跨る大山脈です。最高峰はローラル山の3400m程。東西は100キロ程ですが、南北は2000キロあります。様々な種族などが入り交じるため、危険性から、けものみち以外のほとんどはどこに何があるのかすらわかっておりません。また、それ故にローラル山脈は自然の国境壁として役立っており、実際、この道を通る時は細心の注意を払うべきだと言われています。」

「捕虜からも山越えには苦労したと聞いた。途中で動く木や魔女の妨害にあったりしてここを超えるだけで数日かかって千数百人は死んだらしい。」

「魔属ですら2000人弱ってことは相当気張らないといけなさそうだな。」

「そだねー。まあ、山の歩き方なら任せて!森に住んできただけあるから!」

「まあ、山二三日間野宿していたことはありますからね。そこは素直に従ってもいいでしょう。」

「ドーンと任せなさい!」

17

山にはいるために3日間草原を山の方に歩き、ついに山に入り始めた。先頭そのものを歩いてたが、ギルド軍自体は「最終的に着けばある程度自由な道歩いていい。」という方針なので特に僕たちのチームはウロウロ歩いていった。そもそも2~3万人くらいの集団事にバラバラにして向かってるので多少バラけてしまうのは仕方ないことだった。

「ここどこなんだろうね。」

「さぁ、一応軍隊から見えるところではあるからいざとなったら助けは呼べるな。」棒はそういいながら後ろを見た。後ろの方には第1軍として出発していた軍隊の大軍がいた。

「そだね〜。」

「まぁ、あまりけもの道から外れないようにしましょう。」

「どんなものが襲ってくるか、分からないし……。」

「襲ってきたら一旦はこっちで対処しないとね。」

「うん!頑張らないと。」そのあと2時間くらい歩くと50-60cmはある蜘蛛の大軍に巻き込まれた。ちょっと前の方にアラクネのような上半身人間の蜘蛛がいたのでそいつが操っているんだろう。中立なのか?

「うわっ!」

「わ!」

「きゃー!」

「お〜!」

「……はぁ。」僕らは声を上げながら巻き込まれて遠くに話されていった。蜘蛛が海のようにいるので足置ける間もなくて、しかもバラバラになっていくので仕方なく離れていった。……どうしよう。何とか近場にいたソリスとは合流出来たけど……マレもどこかに行っちゃったし。

「……どこいってしまったんでしょう。」

「さぁ。軍隊からも遠く離れてしまったし少なくとも地平線の限り見える状態ではないな。」

「アリシアたちも見れませんし……」

「とりあえずさ。蜘蛛が運んで行く前、右の方向に向かっていこうぜ。」

「そうですね。」そのあと僕らは右方向に歩き始めた。蜘蛛色んな方向に動いてたからな。けもの道がどこにあるかすら分かってないな。そう思いながら歩いて10数分ウロウロしているマレを見つけた。

「マレ!こっちだ。」

「あ!良かった!見つからなかったからどこいったかと思ったよ〜。」

「ナサールたちはどこですか?」

「それがね〜。蜘蛛が遠くに運んじゃったのか私も結構右の方に進んで行ったんだけどさ。いなかったんだよ。」

「それなら探しに行きましょうか。」

「そうだな。」僕らはそういいながら右に歩いた。するとけもの道が見えそこにはギルド達の一部がいた。

「お前ら、先頭にいたはずじゃ。それになんか人いなくないか?」

「そうなんですよ。」

「蜘蛛に巻き込まれてな。」

「皆離れ離れになっちゃった!」

「ありゃりゃ。そりゃ災難なことだな。蜘蛛は……見えていったがその上に人が乗ってたのは見かけなかったぞ。と言ってもかなり大きかったから気づかなかっただけかもしれないけど。」

「そっか。」

「どっち方向に?」

「あっちだな。」ギルドの人はそう言うとさらに奥の方を指さした。なので僕らはお礼を言いながらその先に向かっていった。

探して1時間はたっただろうか。昼飯を食べてから山に潜ったのにもう数時間探しているから日も大分陰ってきたころ。もの風から音がした。

「なに?」

「ちょっと離れてください。」

「いや、僕も敵ならやらせてもらう。」

「……分かりました。」僕とソリスはそう言うと音がしたところをガン見した。

「……会えた。」物陰からその声とともにナサールが出てきた。……良かった。

「あ、ナサールでしたか……」

「ごめんな。」

「んん。敵として認識するのはこの森の中じゃ当たり前のことだし仕方ないよ。」

「アリシアとルーナカミ見かけませんでした?」

「いや。結構奥の方まで流されたけどアリシアとルーナカミさらに奥まで流されたみたい。手繋ごうとしたけど間に合わなかった。」

「そうか。」

「まぁ、あと2人ですしまだ探せば何とかなるかも知れません。探していきましょう。」

「ん。」そのあとさらに30分ほど奥の方に進むとルーナカミが「お〜い!」と声を上げながら走ってきた。

「やっと会えましたね。」

「アリシア分かる?」

「えとね。途中でオークとゴブリンの群れに襲われちゃって。」

「大丈夫か?」

「え?」

「それでアリシアが私が盾になるからその間に逃げて。って言ってきたから言われた通り逃げてきたんだけど……アリシアの方はそのまま置いてきたからアリシアは……多分。」

「あぁ。」

「そこまで、連れてって。」

「わかった!こっちこっち!」ルーナカミはそう言うと走ってそっちの方に向かった。

「ここだよ!」数分走っただろうか。その位置に着いたらしい。確かに2体のゴブリンが死んでいた。群れと戦って2体倒すってゴブリンやオークの戦いとしては上出来だとは思うけど……肝心の姿がどこにも見えないからな。

「えーと。既に戦ったあとだね。」

「何体いたかとか覚えてるか?」

「少なくともゴブリンが5体くらいでオークみたいなでっかいのが1体だったよ。」

「つまりは……倒しきれずどこかに連れてかれた可能性が高いか?」

「恐らく、そうだと。」

「匂いとか分かる?」

「うーん。」

「サーチリングやれる?」

「やってみる。サーチリング……うっ。」ルーナカミはそう言うと倒れた。なんだなんだ?

「大丈夫?」

「……う……うん。ちょっと見える範囲が大きすぎてクラッてなっちゃって。ゆっくり見ればいいかな……」

「それにしてもなんでこんな便利な魔法みんな使わないんだ?デメリットはあるにはあるけどそれ以前にメリットがデカすぎるだろ。」

「まともに使えるレベルが170超えてからですからね。そもそも170超えてる人が少数派なので。」

「使いたくても使える人がそんなに居ないのか。」

「そういうことです。」

「……あっちにゴブリンみたいなモンスターの巣がある。あと、人がいっぱいいる。形でしか分からないけど多分その中にアリシアもいるんじゃないかな。」ルーナカミは座った状態で

「魔力源でうっすらシルエットがわかる状態なんだな。」

「うん。そういうことだね。」

「では行きましょうか。」

「ん。立てる?」

「大丈夫。かなりマシになった。」そう言うとルーナカミが道を紹介してくれた。10分ほど歩くと洞窟があり、そこをゴブリンがウロウロしていた。ここが巣っぽいな。

「ここにアリシアいる可能性高いのか。」

「うん。そうだね。」

「でもやっぱり巣なので結構居ますね。」

「回復は任せて!」

「まぁ、最悪、悪魔でなんとかするから。」

「じゃあやるか。」僕らはそう言うと木の下から出た。ゴブリンも早速気づいた様子で棍棒を振り回しながら襲ってきた。できる限り早く殺したいから首狙うか。

「どりゃ!」僕はそう叫びゴブリンの元に走って行った。

「ウガラゴウ!」ゴブリンもそう叫びながら襲いかかってきたが何とか1発で首をきることに成功した。ゴブリンはどうやら立ったまま死んだみたい。

「ここからかなり多くなると思います。気合い入れましょう。」

「あぁ。」僕らはそう言いながら中に入っていった。中はある程度の光量と広さは確保されているようだった。十数体のゴブリンが中にいるらしい。恐らくオークも一体以上いるだろう。

すぐさま中から褌を巻いただけのゴブリンがでてきた。

「サンディラス!」

「アイアンボール!」ソリスとルーナカミがそう叫んでゴブリンに雷と重そうな鉄球を当てると、ゴブリンの頭蓋骨が鈍い音を立てて砕け散り倒れた。

そのまま進んで小部屋に入るとそこには2人の拘束されていてぐったりした裸の女と汚く汚れた衣服やその人がつけていたであろう装飾器具が転がっていた。

「あ……助け?」

「うあ?」

「ああ」

「はい。今助けますからちょっとまっててください。」

「私、部屋の外見てる。」

「おう。頼んだ。」その後ナサール以外の3人は縄を解きアリシアの姿をいいながら聞いた。しかし、どうやらさっきまで犯されており、それまでは気絶していたため、誰が来たのかすら分かってないらしい。ただ、奥の部屋にはまだそういう心神喪失状態になってない女性がいるから奥に行けばそういうのがわかる人がいるかもしれないらしい。

「それならまだいいか。」

「……子供?」

「まぁ。ん。」

「そだねー。でもこういうのは見てきたから安心して。」いや、見てきたんかい。

「なら。」その後縄を外したのを見ると僕らは奥へと進んだ。一旦待っててと言われたらゆっくり承諾してくれた。

「ほ……っと。」奥の方に進んでみるとナサールがオークをぶん殴って倒していた。

「なんか来てたから倒しといた。いった。」ナサールはそう言いながら痛がった。見てみると腕の方に大きな痣ができておりそれが原因で痛がってる。

「ヒーリラル!」

「ありがとう。これかな……。棍棒に当たったとは思ったけどこんなに痣できるとは思ってなかった。」

「ん。」そのあと回復が終わるまで待ち、さらに中に突っ込んで行った。中にはこれまた数人のエルフや人間と、裸のゴブリンが数体いた。人間やエルフ服きてたり裸だっだり色んな服装のかたいるな。

「ゴラガア!」

「アイスニードル!」

「トライアングル・ガン!」

「毬栗飛んでけ!胸を貫け!」

「それい!」僕ら4人はその後ゴブリン数体を流れるように倒して救った。

「助けだ……。」

「良かった!良かった!」

「あう……」

「安心した。」僕らはそれを聞きながら縄で解きアリシアがいたかを姿を話しながら聞いた。

「……私はさっきまで気絶してたから。」

「私もそれどころじゃなかった。」

「……ん。」

「私は行きみたよ。あのおっぱいがすごい大きい反抗してた子でしょ。」

「本当か?」

「うん。気絶した感じでさらにその奥に連れてかれたけどゴブリンもその子も血塗れで反抗しまくってた感じが伝わってきたよ。」

「ありがとうございます。」

「そうか。」

「じゃあ……もっと奥行った方がいいね〜。」

「ん。」

「ヒーリラル・リング!」マレは怪我おってたりする子らを回復して様子を見、その後僕らはさらに奥に行こうとした。

「あ……その、こっからは子供は見たらダメかも。」

「大丈夫。そういうのされてるご主人様とお姉ちゃん奴隷見たことあるから……。」

「……いや、それでも見ない方がいいよ。」

「うん。」

「ちょっとあれを子供に見せるのは……ね。」

「なにが、そんなに?」

「ん〜。魔改造されてるって言ったら分かる?」

「ああ。」

「まさか人の形を(たも)ってないとかじゃありませんよね?」

「いや、保ってはいるけど。」

「正気を失ってる状態に近い人が1人奥の部屋の左の方にいるからさ。大人ならともかく子供、特に魔属の子供もそうだけど力が弱い人属の子供は追いかけ回されてトラウマになったり力で負けて襲われたりする可能性があるから……。」そっちか。多分改造ではやされてる感じがな?

「なら、待った方がいいかもですね。」

「大丈夫?」

「うん!じゃあ……待ってるね。」

「ん。」

「なんかあったら大声で叫ぶんだぞ。」

「わかった!」僕らはそういいルーナカミを託してさらに奥に進んだ。奥はふたつに別れており奥の方からはなんか声が聞こえていた。

「どうします?」

「じゃあ僕が左行くよ。右頼めるか?」

「分かりました。」そのあと僕らは二手に別れた。さてと……

「ウグ!」

「おーい。入るぞ……くっさ。」左の部屋の方に入るとそこには裸で生えてる少女が寝ていた。周囲にはイカ臭い匂いがたちこめていた。

「おい!大丈夫か?」

「ん……むにゃむにゃ。男……男!?」

「あぁ。おい。大丈夫か?」

「ひぁい。……大丈夫でぇす。」

「そうか。助けに来たぞ。」

「そうなの?もう無理だと思った……。生えちゃったし……。」

「事情は知らねぇがたまたま通りがかったギルドだ。生えてもなんでも助け出すのが普通だろ。」

「そっか……。そうだよね。」

「あぁ。そうだ。一つ質問いいか?」

「いいけどここ入ってからはずっとこっちがお熱だったからここ2日3日のことは知らないよ?」

「……ならいいや。」

「ゴラアン!!」そう喋ってるとすごい大きな叫び声がした。

「とりあえずあとちょっと待ってろ。隣の部屋に同じく助けに来た仲間がいるんだ。そいつらの様子見てくる。」

「うん。」そのあと僕は一旦右の方の部屋に行った。中にはオークが一体、ゴブリンが一体倒れており、その後にカチューシャと衣服と鎧、裸の女の子が拘束された状態で1人ころがっていた。奥に道は無いからここで最後らしいけど……アリシアは?

「……アリシアは?」

「いませんね……」

「ん。」

「そだね〜。」

「ちょっと聞いてみるか。」その後女の子にアリシアの姿を聞いた。

「あぁ。あの人の事ね。アリシアっていうんだ……。」

「知ってるの?」

「うん。あの人ね。ここに寝っ転がってるゴブリンいるでしょ?」

「うん。いますね。」

「こいつのあそこアリシアの口に入れようとしたらアリシアあそこかみちぎって逃げた。縄後ろ手に結んだから大丈夫と思ったんだろうね。」その子は縄を外されながら言った。

「逃げた?」

「うん。だから正直どこに行ったのかは分からないよ。まぁ、でもまだ近くにはいるんじゃない?」

「そうか。」

「なら、けもの道に合流しながら探しますか。」

「ついて行くよね。」

「うん。あ、それ、その子がぬがされた衣服だから取っといた方がいいよ。」そのあと僕らは服を着るまで待ち、土にまみれた服を流し着さしてを繰り返しながら外に出た。途中でルーナカミも回収し、ちょっとゴタゴタもあったものの特に何事もなく出ることが出来た。そのあとルーナカミにサーチリングでけもの道の方向を教えてもらい、そこまで直線距離で歩くことにした。そこから10分ほど歩いてると木の奥側から裸のアリシアと服を着たアルダンテがでてきた。……会えた。よかった。

「アリシア!」

「お〜!逃げれた?」

「うん!会えて良かった!」

「ごめんね〜。」

「全く……ゴブリンの巣に入って助けた人に聞いた時に逃げたって言われた時はビックリしましたからね。」

「ごめんね。入れられた瞬間や!だと思って噛みちぎって逃げちゃった。お腹になんかやられてるけどなんだろうね。」アリシアはむねをもちあげへそら辺を見せるようにした。確かにおへそら辺に何かが書かれていた。

「これか……」

「淫紋じゃない?」

「え〜。」

「とりあえず衣服着ませんか?淫紋とかは後で確認するとして。」

「そだね。新しい服で大丈夫?」

「はい。大丈夫です。」アリシアはそのあと下着も合わせて新しい服を着た。その後はけもの道まで進み戻ってきた。列はかなり後ろの方と合流しておりそこには悪魔属等がいた。このなかにサキュバスいないかな?

「誰だ?」

「えーと、こちらです。ちょっと色々あってみんなの列から外れてしまって、ゴブリンの巣破壊してそこで掴まってた人たちを連れて戻ってきたところです。博識なサキュバスを知りませんか?」ソリスはギルドカードを表示しながら言った。

「あぁ。分かった。捕虜にサキュバスがいるからちょっと聞いてみろ。今日は一旦寝て明日にまた言って越えることにした。」えらそうな男の人はそう言ったので言われた通りに捕虜のところに行きサキュバスを探した。

「は〜い。なに?搾ってもらいたいの?」サキュバスと思わしき女の子が擦り寄ってきた。

「違う違う。離れろ。」

「あの……ちょっと色々ありまして淫紋が塗られてしまったものが何人かおりまして。」

「見てもらいたいでーす!」

「お願い!」

「……分かった。一列に並んでください。何に襲われたの?インキュバス?」

「ゴブリンだよ〜。」

「ゴブリンですか。あいつら意外と丁寧に重ねがけするからサキュバスたちと違って外すのがめんどくさいのよね。とりあえず淫紋見たいから着いてる人は1人ずつ前に出てへそ出しておいて。」そう言われたのでアリシアを含めた4人はへそ出しにした。

「えーと、まず左から行くわよ。発動済みが発情と感度上げ未発動が排卵活発と未妊娠母乳ね。まだ楽な部類で良かった。外せるわよ。で、つぎは、ふたなりと発情ね……。発情はまだ行けるとしてふたなりは外せないわ。諦めてくれない?」

「……うん。」

「で次、服従が発動済み。発動してないのが快楽堕ち、痛みを快楽に変えるもの。発情。未妊娠母乳。膨乳。全部外せるけど複雑だから結構時間かかるわよ。で、最後……もうちょいおっぱいあげて。見えない。」

「分かった。」

「よし。未発動が発情、服従、未妊娠母乳。全部行ける。外すの楽なものからいくわよ。」サキュバスはそう言うと舌なめずりをした。

「まずふたなりの人。あ、そうそう。こっからはこっちに任せてみんなあっち行った方がいいわよ。結構なことなるから。」

「分かりました。それじゃあ後はよろしくお願いします。」

「あぁ。分かった。」

「ん。」

「了解!」

「じゃあよろしく!」そのあと僕らはサキュバスにそのあとを任せ、夕飯を貰って食べた。1時間もするとアリシアが帰ってきた。全部未発動なのが幸いしてかなり楽にすんだらしい。そのあと寝た。

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