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(なろう版)新米薬師の診療録  作者: 織姫みかん
Karte20:私もいつか

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経験の差?

 お昼過ぎに目覚めた私は少し休めたからか朝よりかは機嫌がよく、いつも通り患者さんを診る事が出来ました。もちろんエドに朝の件は謝りましたが、アリサさんからはその程度で八つ当たりするなと怒られました。

 「赤ん坊は泣くのが仕事なんだ。夜泣きは当たり前だ」

 「そ、そうですけど……」

 「ソフィー殿もいつか母親になるのだろう。ならば少しは堪えることも必要じゃないか?」

 いつものように優しく諭してくれるアリサさんはやっぱりお母さんみたいな存在です。私の腕の中でお昼寝中のメグちゃんの頬をそっと撫でるその姿に憧れる自分がいました。

 「ん? どうした。ソフィー殿?」

 「い、いえ。なんでも」

 「今日はアタシが泊ろう。毎日エドに任せるのは気が引けるしな」

 「そうして下さい。さすがにアリサさんが相手じゃ蹴ったりしないでしょうし」

 「だ、だから悪かったって言ってるでしょ!」

 「ソフィー殿。大きな声を出すと――ああ、起きてしまったじゃないか」

 自分でも声を張り上げ過ぎたと反省しています。エドに噛みついた直後、メグちゃんがぐずり、声を出して泣き始めたのです。

 「ご、ごめんね。びっくりしたよね」

 お昼寝の邪魔をされ、ご機嫌斜めとなったメグちゃんをどうにか宥めようとあやすけど泣き止む気配はありません。むしろ逆効果と言うか、出来れば耳を塞ぎたくなるほど甲高い声で泣き出してしまいました。

 「お、おい。どうするんだよ」

 「ど、どうするって――」

 「ア、アタシに聞くな。アタシだって子守りはしたことないんだ」

 3人揃って子守り経験ゼロでほんと良く引き受けたな。そんな後悔じみたことを思ってもこの場をやり過ごすことは出来ません。なんとか機嫌を取って泣き止んでもらわないと。

 「――ナニやってんのよ」

 「メグちゃんが泣き止まないんです――リリアさんっ⁉」

 「とりあえずあたしに任せなさい」

 「え? あ、はい」

 なぜリリアさんがいるの、って言うか何時からいたんだろう。そんな疑問は一先ず横に置いてメグちゃんをリリアさんに預けます。

 「まったく、寝てたとこを無理に起こしたんじゃないの。そりゃ機嫌悪くなるわよ」

 「どうしてそれを――」

 「あんたとは経験値が違うのよ。なんとか寝かしつけるから、あんたはご飯作ってやりなさい。茹でた野菜をすり潰したやつが良いわ。味付けは必要ないから」

 担ぐようにメグちゃんを抱き抱え、自身の身体を軽く揺らすリリアさんの指示に従う私は急いでキッチンに向かいました。


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