まだまだこれから
翌日。3日間の修行を終えた私はリリアさんに見送られセント・ジョーズ・ワートを後にしました。
「それじゃ、ソフィア。気を付けて帰るのよ」
「はい。リリアさん、3日間お世話になりました」
「今度来るのは免状更新の時かしら? 今度は合格点出せるレシピ持ってきなさい」
「うぅ⁉ 頑張ります」
絶対合格点は出さないからと不敵な笑みで伝えてくるリリアさんに急かされ馬車に乗り込む私。村までの乗合馬車は無いので荷馬車に便乗する形になるけど、それはいつもことなので気にするまでもありません。
リリアさんの下で過ごしたこの3日間はとても有意義なものでした。考えていた新薬のレシピは全部不合格になったけど、実用化するためのヒントを貰えたし、なによりリリアさんの事をよく知ることが出来ました。師匠の知り合いだったことには驚きましたが、きっとこれもなにかの縁なのだと思います。もしかしたら私が寂しくないように師匠が天国から結んでくれたのかもしれません。
(師匠、ありがとうございます)
ゴトゴト揺れる馬車の荷台から見上げる晩冬の空は青く、何処までの澄み渡っています。
「もうすぐ春かぁ。早いよね」
今度の春で薬師になって3年目を迎えます。ようやく修業期間も折り返しに入ります。まだまだ師匠を超えること出来ないけど、その前にリリアさんを追い抜こう。そんな新たな目標が生まれた3日間でした。