『ゲームショップEDEN』Ⅱ
そして気が付くと、店の外から見える夕日が沈んでいっていた。腕時計を見ると、午後六時を過ぎている。
「やべえ、そろそろ帰らねえと」
「確かにしゃべりすぎたねえ。何か用事でもあるのかい?」
「いや、ちょっと受験のことで母ちゃんと喧嘩して出てきたんすよ。流石にこれ以上キレられるのはごめんなんで、早く家に帰ろうと思って」
「なるほど、それはあんまり遅くなるのはまずい」
俺は店長にお礼を行って、店の出口に向かおうとすると、
「あ、そうだ、太陽君。夜道には気を付けるんだよ」
「何言ってんすか、店長。俺みたいなごつい奴を、わざわざ狙うやつなんていないっすよ」
笑いながら言うと、一瞬店長のかけている眼鏡が光る。
「最近物騒だからね。君も知っているだろう?」
「ああ、あのニュースのことすか。真夜中に、変な怪物を見かけたみたいな」
店長はレジ横にあるテレビの電源をつけると、ちょうどそのニュースが流れていた。
曰く、真夜中に道を歩いていると、自分の影から奇妙な形をした怪物が見えて、自分目掛けて飛び出してきた、といった都市伝説紛いのニュースだ。
「けど、まさか怪物なんているわけねえじゃん、な?店長」
俺が可笑しく笑うも、店長はテレビに見入っていた。
「店長?」
「……そうだね。まあ、一応念のためさ。遅くならないにこしたことはないよ」
店長はわざわざ店の外まで出てきて、手を振り見送ってくる。
俺は背中に背負ったリュックにエロゲを入れると、自転車に乗って、家を目指す。
「『運命は、歩む意思ある者を先導し、意思なき者を力づくで引き立てる』」
「太陽君。どうか君の前途に、幸があらんことを」




