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『再会』

 視界が渦巻き、ジェットコースターが怒涛の勢いで急降下、急上昇を連続で体感したような感覚の後、俺は地面に膝をついて倒れこむ。


「何度やっても……、慣れねえぜ」


 俺は体をふらつかせながら、なんとか足に力を入れ立ち上がりつつ、目を開けると既に暗闇の森の中にいた。


『こんなところに通じておったのか。薄気味悪い場所じゃのう』

 

 ヒル子の声が微かに震える。

「何だよ、びびってんのか? 」


 と俺がからかうように言うと


『ビビっておらん! 暗い所は好かんだけじゃ! 早く行くのじゃ! 』

 

 俺は周りを見る。昨日来た時に案内してくれた光の玉を探すが、どこにもいない。


『太陽。ここからどう進むのじゃ。こんな暗くては迷ってしまうぞ』

 

 ヒル子の言う通りだった。俺はどうしたものかと考えると、左手首のイマジナイトが展開し、光が放たれる。


 それは暗い森を一直線に突っ切り、行き先を示す。


「この光についていけってことか」


 俺は放たれた光が射す方へ歩いてゆく。


 暗闇の森を抜けると、初めに来た時と同じ、折れ曲がった木々が織りなすトンネルに入る。


 木々の隙間から光が射しこむ中、トンネルの出口を目指して歩く。


『もしかして、あの先に見えるのか⁉ 』


「だな」


 俺はトンネルの出口から、ひと際高い木々に覆われた広間にたどりつくとヒル子が感嘆の声を上げる。


『ほおおおおおおおお! 何じゃ、あの樹は!! でっかいのじゃ! 眩しく輝いているのじゃ! 』


 最初に見上げた時と変わらず、その黄金の大樹は、黄金色に輝いている。輝く幹や枝葉は、広間全体を照らしている。


『太陽よ。エルピスとはここで会ったのか? 』

「ああ。このでっけえ樹の中でな」

 

 俺は幹に近づいていくと、ちょうど幹の裏側から、何かがひょいっと顔を出す。


 じっとこちらを見ている少女に俺は声を掛ける。


「よっ、エルピス! 」


 俺が手を上げながら挨拶すると、エルピスは一旦樹の幹に隠れるも、今度は全身の姿を現し、こちらにゆっくりと近づいてくる。


 俺の前まで来ると、エルピスは透明な瞳でもって、俺をじっと見上げてくる。


「元気だったか? 」


 俺が尋ねると、エルピスは頷く。すると幹の裏の方から小さな影が唸りながら近づいてくる。


「おめえも元気だったか?」


 と子ライオンに向けて言うも、子ライオンは俺を見て一声唸ると、エルピスの脚に体を擦り付ける。エルピスは屈んで子ライオンを抱きかかえると、そのまま立ち上がる。


『なんとも不思議な雰囲気を持つ娘じゃのう』

 とヒル子は面白そうに呟く。


『にしても、この娘は何故喋らんのじゃ? 』

「なんでだろうな。俺にも理由はわかんねえけど……」

 

 俺はエルピスを見るも、エルピスは小首を傾げる。


 頭上を見上げると、太い幹から伸びる枝葉には、よく見ると葉の先にはりんごや葡萄に洋ナシといった形の実がなっている。どれも黄金色をしていた。


『何もかも金ぴかじゃのう』


 ヒル子も呆気にとられたかのようだ。


「この果物……でいいのかわかんねえけど、エルピスは食べたりするのか? 」


 俺は聞くと、エルピスは頷く。


 すると子ライオンは幹を昇り始める。そしてリンゴの形をした果実をちぎると咥えたままエルピスの下に降りてくる。

 エルピスが子ライオンを撫でると、嬉しそうに唸る。


「何だか俺も食ってみてえなあ」

『やめておいた方がよかろう』

 とヒル子が言う。

「何でだよ? 」

 と俺が聞くも

『いや、何となくじゃ。まあ勘じゃ』

「勘ってよお」

『いいから、それはやめとくのじゃ! 』

「わーったよ」


 エルピスは樹の根元に座り込むと、両手で持った金のリンゴをそのまましゃくりと食べ始める。子ライオンはエルピスの足元で寝転がる。


 俺は手持ち無沙汰になり、地面に座り込み、エルピスが食べ終わるのも待つことにする。


 どれぐらい時間が経ったのか。


 頭上から海の底から聞こえるような声が響く。

「よくぞ来てくれた、八剣太陽」


「ノーデンス! 」

 

 声のするを見上げると、空間が歪むと同時に、巨大な槍を握り、威厳を纏う白髪の老人が現れる。


『あやつがノーデンスなのか? 』

「ああ」


 現れたノーデンスは俺の目の前まで降りて来る。俺より一回り大きいその老人は、横目で座っているエルピスと子ライオンに視線をやるも、すぐに笑みを浮かべ俺を見る。


「約束通り来てくれたことに感謝する。では始めよう。少々時間がかかるが、お主にとって必要なことを、そしてお主が成すべきことを伝えよう」

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