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幸せな結末  作者: 灰色 シオ
第Ⅳ章 高梨塁2
17/24

高校1年 7月 夏休み②

 不幸な事故で父親を亡くした少年 るいが転校してきたことから物語は動き出す。

 幼馴染の少女桃子と小学校に通うことになった塁。慎重に身を処し、うまくクラスに馴染めたと思ったころ、事件が起こる。

 互いに好意を寄せあっていた二人は事件をきっかけにすれ違い始める。全てを許し未来を掴もうとする桃子。対して塁は良心の呵責から桃子に対して素直になれない。塁の友人たちは何かとサポートするが二人の結末はどうなるのか?

 結局、ビキニにしてしまった。りさ子は攻め足りないと不満顔だったがJKとしては十分派手なものだ。別れ際にりさ子から受けたアドバイスを思い出す。


「今夜はビキニラインのお手入れもちゃんとしとけよ。はみ出して恥ずかしい思いするの桃子なんだから。普段から処理してないだろ」

「あうう……そうだった。わたしちょっと毛深いかも」

「カミソリ負けが嫌ならクリーム使ったら? これなら私も使ったことある。低刺激でVIOにも使えるって」

 スマートフォンで教えてくれたものを桃子はドラッグストアで購入した。塁には店の外で待っててもらった。買ってるところを見られるのも恥ずかしい。


 お風呂に入る。身体を洗ってクリームを取り出す。へらを使って毛根になじませるように塗って5分。シャワーで洗い流す。水圧で恥毛が排水溝へ流されていく様子は淫靡いんびだ。


 !?


 なんてことを……洗い流して桃子は初めて失敗に気づいた。

 ムダな部分だけでよかったのに。桃子の下半身は子供のようにつるつるになってしまった。


 小学生みたい……そう思ったらジュンとしてしまった。あのときのことを思い出してしまった。

 鏡を見ながら無毛のそこに右手を伸ばす。

 あんっ

 声が抑えきれない。ノブを捻りシャワーを強めにしてごまかす。

 あそこは既にあふれんばかりに潤っている。毛が無いためか、いつもより感じる。

 とぷっ

 溢れ出した恥ずかしい体液が内ももを伝って垂れる。

「塁君、触って……うん、そこ。そこがいいの……あっ、ダメ!」

 頭の中が真っ白になった。


 目を開けると鏡の中でだらしない顔をした桃子わたしが満足げに微笑んでいた。けがらわしくて涙が出た。


     *


 夏休みの二日目。オレたちは海に向かう電車に乗っていた。平日の朝7時台の電車は混んでいた。半数はサラリーマン風の大人たち。残り半数はオレたち同様夏休みモードの学生だった。りさ子の言う通り早めに家を出てよかった。のんびりしていたら場所取りもできないほど混んでいただろう。


 桃子とりさ子がはしゃいでいる。それに無遠慮な視線を送る連中がいた。

 オレたちは明らかに海に行くとわかる格好をしている。女子二人はTシャツからうっすら水着が透けてすらいる。室内ではわからなかったかもしれないが、夏の日差しを受けると一目瞭然だ。ガードが甘い。甘すぎる。そんなことだからあのような連中に卑猥ひわいな目を向けられるのだ。腹が立つことに連中はオレがいても気にもしていない。


     *


「海―――っ!!」

 桃子が叫ぶ。


 何故人は当たり前のことを叫びたがるのだろうか。目の前に広がるのは一面の……人の海だった。今は引き潮。波打ち際は100mも先だ。

「人多すぎ! まだ9時前だよ。平日だというのに」

「3万人は来るらしいからな。まだ、少ない方じゃないか?」

 ぶつくさ言うりさ子を適当にあしらいながらオレはレジャーシートを広げた。

「3万ってハマスタより多いじゃんか!?」

 バカ野郎、ベイスターズ舐めるな! 3万人くらい集まるわ!


 そんな会話をするオレとりさ子の前でわざとらしく桃子がTシャツを脱ぎだす。

 ああ、見せたいんだな……

 オレの反応を窺うようにちらちら視線を送りながら、続けてショートパンツも下ろした。ヒップを見せつけるかのように後ろを向いて。

「じゃじゃーん。どうかな?」

 向き直った桃子がオレの前に立つ。パステルピンクのビキニだった。胸元にヒラヒラがついているやつだ。目のやり場に困る。

「……うん。似合ってるんじゃないか」

「えへへっ……そうかな?」


 嬉しそうにクルクル回って見せる桃子を遠い目で見ながら、隣で日焼け止めを塗っているりさ子を問いただした。

「お前さんがついていながら、なぜ、あのセレクトを? ヒラヒラで全然隠れてねえじゃんか。下乳丸出しだぞ。むしろ普通のビキニよりエロくなってんじゃねえか!」

「ヒラヒラ? ああ、ビスチェのことか。あの娘、布が多い方が恥ずかしくないと思い込んでるんだ」

「自分では見えないだろうからな」

「ビスチェってのは小さめの奴が盛るためのものなんだけどな」

「ふーん。りさ子は自分のことよくわかっているようだな」

 桃子と色違いの黒の水着を着たりさ子がいた。


 グーで殴られた。


     *


「剛、またフラれてやんの」

「けっ。ブスのくせに気取ってやがる。本気のわけねぇだろ」


 高校生らしい3人組が朝からナンパにいそしんでいる。成果はないようだ。

 彼らは勘違いしている。ナンパは朝一でするものではない。ひと通り遊んで物足りなくなった頃に声をかけるのが鉄則だ。たとえ女の子たちの目的がナンパされることであったとしてもがっついてると思われたくはないのだ。

 そこらへんがわかっていないとはまだまだである。見かけのチャラさとは違って普通の高校生なのかもしれない。


「誰だよ。現地調達しようなんて言いだしたのは?」

「幸雄、おめえだろ! このタコ!」

「オレだけのせいじゃないだろ。康一だって任せておけなんて言っておいて全滅じゃねえか」

「夏休み早々金髪に染めたの似合ってねえからじゃね」

「剛だって人のこと言えねえだろ。メッシュなんか入れやがって。浮いてんだよ」

「お前ら染める髪があっていいよな。オレなんか野球部だったから……」

「「………… 」」

 大会が終わって1ヶ月。野球部を引退してから伸ばし始めた坊主頭は半端な長さで、ウニのようだ。


「ま、まあ髪型はアイテムの一つでしかないし」

「最後の夏を一回戦負けで終了した幸雄を元気づけるために来たんだから」

「元気づけられるより凹んでるけどな」

「オレたち男子高生は女慣れしてねえからな」

「ネットで調べたナンパテクあてにならねえじゃん」

「雑誌も同じく」

「「………… 」」

「まあまあ、ナンパなんだから数撃たないと当たるもんも当たらねえだろ」

「そうだな……」


 精神的に疲弊した男子高生はぬるくなったコーラを口にしながら人込みを眺める。

「おい! あの娘。電車の中で見かけた娘じゃね」

 金髪が人込みの一角を指さした。メッシュと坊主頭が喰いつく。

「えっ、どこどこ?」

「ほら、あそこ。ピンクのビキニの娘」

「ああ、黒ビキニの娘と一緒にいる」

「すげぇ乳してるな。Fはあるだろ」

「女の子二人だな」

「行ってみるか?」

「行ってみるか!」


     *


「塁君、大丈夫かな?」

「ほっときな。あんなやつ」

 心配する桃子をふてくされたりさ子が突き放す。

「ぶつけたって言ってたけど何にぶつけたんだろう?」

「そこは追及してやるな。とりあえず遊ぶぞ! 行こう、桃子!」

「うん!」


 砂が熱くて歩けない。波打ち際まで走る。そのままジャブジャブ海に駆け込む。

「冷たーい。気持ちいいーっ!」

「あー、熱かった」

 顔を見合わせ二人は笑う。


「えい!」

「やったな、桃子。これでもくらえ!」

「きゃー!」

 お約束のように水をかけてはしゃぐ桃子にりさ子がやり返す。キャーキャーはしゃぐJK達はひと通り儀式を済ませると二人は顔を見合わせ笑った。

「それにしても人多いね」

「沖の方なら少しはましかな?」

「でも、わたし泳ぐの得意じゃないから」

「足つくとこまでだよ。それに波に乗って浮いてるだけだよ」

「それなら大丈夫」

「桃子、泳ごう」

「うん」


 水際から30mほどで人影はまばらになった。遠浅の海水浴場はそれでも胸のあたりまでだ。

「桃子。楽しい?」

 りさ子が尋ねてくる。

「うん。とっても!」

「それはよかった」

 りさ子の返事に桃子は心配げに聞き返す。

「りさ子は楽しくないの?」

「私は桃子と一緒に来たかったんだ。だから桃子が楽しいなら私も楽しい」

「ありがとう。りさ子、大好き」

「おいおい、それは私に言う台詞じゃないぞ。勘違いしちゃうだろ」

 可愛いことを言う桃子に抱きつきながらりさ子も嬉しそうだった。


「海に来るのなんて久しぶり。小学校のときに家族で来て以来かな」

 穏やかな水面にぷかぷか浮きながら桃子がつぶやく。

「ごめん……」

「やっぱりりさ子、まだ気にしてるんだね。今日だってわたしを気にして誘ってくれたんでしょ?」

 りさ子の優しさは桃子も理解している。だから早く解放してあげたかった。

「だってあれは……」

「だってじゃないよ。わたしは気にしてないし」

「そんなこと言ったって……」

「わたしは罪滅ぼしで誘ってもらうより、友達だから誘ってくれた方がうれしいな」

 りさ子は泣きそうな顔になる。

「でも、高梨とは相変わらずだろ? あんなことなければ今頃……」

「それはわたしと塁君の問題だよ。あのこととは関係ない」

「関係ないわけないじゃん!」

「ううん。関係ないの」

 桃子は泣き出したりさ子をそっと抱きしめた。

「わたしは塁君が好き。自分のことはどうなってもいいから彼だけは守りたい。彼もわたしのこと嫌ってはいないと思う。でも、それだけじゃダメなの。彼が自分の心と折り合いをつけて自分から好きって言ってくれるまでわたしは待つつもり」

「でも、そんなの……」

「いつまで待てばいいのかな? きっとまだまだ先のことだよね。でも、そうしないと彼は救われない。そのためにはりさ子……まず、あなたが救われて見せてあげて。彼のためにも必要なことだから」

「そんなこと言ったら桃子は……」

「わたしは最後でいいんだよ。溺れている塁君を押し上げてあげるの。だ・か・ら!」

 最後の言葉と共に飛びついてりさ子を水の中に沈める。

「ぷはっ。何するの?」

「だって、泣き顔のままじゃ戻れないでしょ。ね、笑って。りさ子」

「大好き!」


 りさ子はさっきまでとは違う涙を流しながら桃子に抱きついた。そのまま二人で海に倒れこむ。同じ塩濃度の水が二人の涙を洗い流していった。

 立ち上がると顔を見合わせて二人は楽しそうに笑った。

「ね、戻ろう。りさ子」

「うん」

読んでくれてありがとうございました。

高校生らしい青春を描いたエピソードです。塁もしぶしぶながら桃子に付き合って海に来ました。開放感あふれる海で自閉的な塁の心も開かれるとよいのですが

いいなぁ、自分もビキニの似合う彼女が欲しかったです。

投稿は毎週火曜日と金曜日に行う予定です。今後もお付き合い頂けたら幸いです。

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