『時間逆行 - ファイブミニッツ』
「「君とはここでお別れだ」
チームリーダーは言った。
僕らはSクラスチームのパーティ、数々の冒険をして、この地位を得た。華々しい未来がまっていた矢先にそう宣告された。
「追放ってことかぁ」
僕はリーダーに聞こえるようにつぶやいた。
これは僕の作戦ミスであったとも言える。
僕はスキルを使ってこのチームを成功に導いたのだけど、そのことを彼はしらなかった。
そのスキルは『時間逆行 - ファイブミニッツ』
つまり五分前に戻れる。攻略の難しいモンスターでも行動パターンを覚えてやり直せる。
僕はこの力をつかって、みんなに支持を出し強いモンスターも倒してきた。ただし、一つだけ問題があったのだ。そのスキルで記憶をもったまま戻れるのは僕だけ。
『つまり、僕以外はこのスキルに気がついていない』
なので追放という話になるわけだ。
与えられている役目を果たしていないと認識されたということだ。
「一応聞くけど、ほんとにいいの?」
僕はリーダーに聞いた。
僕がいなくなれば、もちろんこのチームは崩壊する。
僕の指示なしで今のレベルのモンスターを倒せる実力はみんなにはない。いまのSクラスを保つことは難しいだろう。
「もちろんだ。君より強い剣士はやまほどいるからね。さらに上を目指したいんだ」
リーダーはそう言った。彼の言うことも一理あった。ぼくは『単純な剣士としてはそんなに強くはなかった』控えめにいって普通の剣士というところだった。
「そっか、それは残念だけど、リーダーが決めたならしょうがないね!またどこかで会えたら会おう!」
僕はリーダーに言った。
「もちろんだ!」
リーダーは固い握手を求めてきたのでしっかりと握り返した。礼儀は大事だ。
そして僕は追放された。
「さて、どうしようかな」
僕は途方に暮れる。
やることがいきなりなくなった。
「とりあえず、お金はあるし、一番栄えてる城下町に行こうかな」
僕はそう言って森を下っていった。
追放と言っても紳士的な追放で、身ぐるみ剥がされたりするわけではもちろんなかった。Sクラスパーティなので報酬も普通にもらっていた。
「きゃー!」
悲鳴が聞こえた。
僕はその声の方に向かっていった。
「どうしました?」
僕は彼女の方を見た。
かなり裕福な服を着ているなと感じた。
「護衛の方がモンスターにやられてしまいまして!」
彼女は説明する。
護衛がついて、裕福な服を着ているところから良い育ちの人なのだろうなと予想がついた。
「なるほど、敵はトロールですか」
僕は言う。
カンカンと剣で音をならして、モンスターの意識をこちらに向ける。
そして、相手の棍棒の攻撃を避けて一刀両断した。
「だいじょうぶですか?姫様」
僕は言った。
「えっすごい!こんな強い敵を一撃で!」
彼女は驚いていた。
「うん、三回やりなおしたからね」
そう、僕は『時間逆行 - ファイブミニッツ』で相手の攻撃を覚えて一撃で倒したのだった。
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