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授業参観 弐

 珠子は小学校から戻ると、大翔の日記帳を改めて読んでみた。

「今日、ぼくは体育の時間になわとびをしました。二じゅうとびをしました。ぼくは八回できました。九条君は九回できました。たった一回だけだけど、まけたのでくやしいです。次は十回いじょうとんで、九条くんに勝ちたいです」

 真理子先生のコメント。

「それはくやしいねえ。今度は十回いじょうとべるように、もっと練習しよう」


 珠子は他のページも見た。

「今日、ぼくは九条君と、出やしき君と、中野君と、上野君と、西なだ君と、広せ君とであそびました。最初はどろけいをしました。そのあとでかんけりをしました。そのあとでかくれんぼしました。かくれんぼしているとき、中野君が本当にいなくなったので、びっくりしました。そのあとで中野君がみつかったので、ほっとしました」

「今日、ぼくは野球のれん習がありました。今日はキャッチボールをしてからノックをしました。ノックのときぼくはゴロはとれました。でもぼくはフライはとれませんでした。早くフライをとれるようになりたいです。そのあとでバッテングのれん習をしました。そして走りました。おねえちゃんもいっしょに走りました。一日じゅうやっていたので、つかれました。でも、たのしかったです」

「今日、ぼくははじめてしあいに出ました。こう白せんに出ました。打せきに立って、二回しかバットをふらなかったのに、三しんと言われました。家に帰って、間ちがえているよねとおねえちゃんに言いました。おねえちゃんは間ちがえているのはぼくのほうだと言いました。ストライクを三つとられたら三しんになるんだと言いました。ぼくは野球はおくがふかいなあと思いました」

 真理子先生のコメント。

「野球のルールはむずかしいね。しっかりおぼえようね」

 珠子は思った。

 三振という表現が紛らわしいかも。確かに野球のルールは複雑だ。


「今日、ぼくはなわとびのれん習をしました。家でしました。おねえちゃんがこうこうから帰ってきて、いっしょになわとびしてくれました。ぼくは二じゅうとびが二回とびました。おねえちゃんは三十回とびました。ぼくは何回もとびました。でもさい高が七回でした。あとでおねえちゃんは五十回もとびました。ぼくはぜんぜん負けました」

 真理子先生のコメント。

「お姉ちゃん、すごいね。高校生でもそんなにとべる人、そんなにいないよ。大翔君もそのうち負けないくらいとべるようになるよ」


「夜ねるとき、おねえちゃんはぼくに本をよんでくれます。いろんな本をよんでくれます。きのうはかなしい本でした。せんそうで小さな女の子がしんでしまう本でした。おねえちゃんは本をよんでいるとちゅうから、なきました。ぼくもなきました。せんそうはおそろしいなと思いました。でも、ねるときはかなしい本はよしたほうがいいです。ぼくはでん気を消してからも、かなしくてねることができませんでした。おねえちゃんもかなしい本はやめた方がいいねと言いました。今日はおもしろい本だったらいいと思います」

 真理子先生のコメント。

「先生も、ねる前に大翔君のお姉さんに本をよんでもらいたいな」


 こんなこと書いている日もある。

「日よう日、ぼくは今日野球がありませんでした。雨がふっていたからです。それで家でおひるにおいもをたべました。いっぱいたべました。お父さんがおいもをたべるとおならが出ると言って、おならをしました。ブーと大きな音がしました。すると、へやにあった空気せいじょおきがブーンと大きな音がしました。赤いランプがつきました。おねえちゃんがお父さんがおならするから空気せいじょおきが反のうしていると言いました。ぼくはおならで空気せいじょおきが反のうすることがおどろきました。ぼくもおならしたくなりましたので、空気せいじょおきのまえでおならしました。空気せいじょおきは黄色のランプがつきました。ぼくはお父さんのおならはくさいんだなあと思いました」

 このときの真理子先生コメント。

「・・・」

 珠子は、あのとき大翔から「お姉ちゃんもやってみてよ」と言われたことを思い出した。少し興味を覚えたが、つくづくやらないでよかったと思った。

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