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3.部屋の外

 俺って何歳?

 んー十歳? うん十歳でいっか。


「外に出ていいの?」

 と聞くと、

「外に居る魔物は、お前と同じぐらいの強さ。儂の実を一つ持って戦って来い。

 死にそうになって、それを喰いながら逃げろ。お前の速さなら戻ってくることができる」

 と言った。

 俺は木剣と身を一つ持って外に出る。


 扉を出た瞬間。真っ黒な姿のドラゴンが現れる。

 二足歩行で背中にコウモリのような羽根。

 手には剣と盾。

 高さで五メートルほど。

 いきなりブレスを吹いた。

 何とか躱した後、ドラゴンに向け加速する。


 あっ、そういえば、重しをつけたままだ。


 それでもドラゴンよりは動きがいいようで、攻撃をかわして左足に攻撃を入れると、木剣は折れずにドラゴンの足が折れた。

「グモー!」

 という叫び声をあげるドラゴン。

 すると、俺の背後からもう一頭のドラゴンが現れる。


 仲間を呼んだ?


 いきなりの二頭。

 片方が怪我をしているとはいえ、勝てるのか?


 すると、そいつもいきなりのブレス。

 怪我をしたドラゴンは耐性があるのか、ブレスをものともしない。


 俺の体は炎に巻かれ、激痛が走る。

 無意識にバケモノの木の実を口に含みバケモノの木が要る部屋へ向かって走り始めた。

 そして、ドラゴンたちを振り切ると、バタンと扉を閉めると、扉にもたれかかるのだった。


 いきなり死にかけた。


「どうであった? 一頭ぐらいは倒せたか?」

 バケモノの木の一言。

「死ぬかと思った」

 絞り出すように出た一言。

「ドラゴンの一頭の足は折ったけど、その後仲間を呼ばれて囲まれて、ブレスで焼かれた」

 流れを説明すると、

「何故ブレスを防御しなかった?

 お前の魔力であれば、そのブレスを防御できるのではないかな?

 あと、儂の枝で作った木剣は魔力を通す。

 魔力で切れ味を揚げればドラゴンの足を切断できたかもしれんな」


 先に言え!


 そんな事を思ったが、バケモノの木がくれた実で助かったのも確か。

 感謝しつつ、教訓を教わったと納得し、再びバケモノの木の実を得て、そっと部屋を出る。

 ドラゴンは居なかった。


 再び敵を探していると、脚を引きずるドラゴンの後ろ姿が見えた。

 気配を消しドラゴンに迫る。

 そして、バケモノの木が言ったように魔力を木剣に纏わせ、すり抜けざまに右足を斬りつけると抵抗もなく斬れた。


 こんなに簡単に……。


 唖然とする俺。

 しかしその一瞬がいけなかった。痛めた左足では戦うことは難しいようでうつ伏せに倒れ込むドラゴン。

 再び上げた叫び声に呼応するようにドラゴンが現れた。

 手負いのドラゴンでも挟まれたら()られる。


 俺は急いで倒れたドラゴンの死角から回り込むと、ドラゴンの太い首を切った。

 ドラゴンが光り、目の前から消える。


 ドクン……。

 俺の中に何かが流れ込むがわかる。

「魔素を取り込んでいない」と言っていた。

 倒した魔物の魔素……RPGでいう経験なのだろうか……。

 つまり、俺はレベル1でこのダンジョンのボス前の敵を一人で葬り去る強さがあるってことらしい。

 そして、経験を得た。

 自分の中身が濃くなるような感じ。RPGで言えばレベルアップ。


 一人で考えていると、無防備な俺にブレスが吹きかけられたようだ。

 音がする方に手を出し、遮断するように水と空気を吹き出す。

 ブレスと俺の魔法が均衡を保つのを確認すると、放射熱で体が熱くなるのを感じながら暫くそれで耐えた。

 ブレスを放った後は、ドラゴンの頭が地面近くに来ており、それを視認すると俺は走り寄ってその首を斬る。ボトリと首が落ちた。

 そしてドラゴンは消えてなくなった。


 再び何かが流れ込む。

 そして、強くなった気がした。


 バケモノの木の前に戻って、

「ドラゴンを二頭倒したよ!」

 報告すると、

「もっと倒すんだ。

 そして強くなれ!」

 嬉しそうなバケモノの木が居た。


「魔物はたまに宝箱を出す。

 その中にある防具を身に着ければ、儂と戦う時、有利になるだろう」

 と言う。

 そして、

「お前は次元収納の魔法を使えるか?」

 と聞いてきた。

「次元収納?」

「ああ、別次元に物を収納する。

 出てきた宝箱の中には金がある。武器、防具、装飾品も出てくるだろう。

 それを全部持つことは難しい。

 それを別次元に収納するのだ。

 まあ、宝箱を見つけた時に使えばいい。

 お前なら出来るだろう」


 別次元に収納って……例の青い猫のアニメの奴か?



 バケモノの木の実を持ち、外で戦い、死にそうになるか疲れたら帰って寝る。

 それを繰り返す。

 ドラゴンだけではなく、十メートルほどある蜘蛛や変な悪魔のような奴、デカい芋虫も現れた。吸血鬼っぽいのも居た。

 死にそうになりながら攻略法を探し、出てきた宝箱から装備を得る。


 充実する装備。

 防御の腕輪(極)と魔力の腕輪(極)、力の指輪(極)、素早さの腕輪(極)、黒龍のブーツに鎧、兜、ガントレット。玄武の盾。この辺は枷が付いていても装備できるのには驚いた。

 マントはデモンスパイダーのマント。

 色々な組み合わせを考えたが、これが一番強いようだ。

 剣は相変わらず木剣。魔力が増えたせいか剣を核にして刀身を伸ばすこともできる。

 魔力で筋力を強化して戦うこともできるようになった。

 今では立ったままの黒龍を両断なども可能になる。


読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字等ありましたら、指摘していただけると幸いです。

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[気になる点] >俺って何歳? >んー十歳? うん十歳でいっか。 前世記憶持ちで舌が回るのは3歳として、2話から7年経過。7年の重みをまるで感じない軽さ。 バケモノと呼ぶ木と10年過ごして修行に明け…
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