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バーレッスン

「小春ー!踊り、見せてっ♪」


龍馬は小さな子どもの様に、目をキラキラさせて小春を見つめている。


「もーっ!今、朝ご飯食べたばかりじゃないですかぁ!私にも準備があるので、もう少し待ってもらっても良いですか?」


そう言い残し、小春は自分の部屋へ戻った。


部屋の奥に置いていたバッグを開け、服や洗面道具を出して、1番下にあったバレエの練習セットを取り出した。


・・・はぁ。めっちゃ緊張する。

練習、してないな。1ヶ月くらいかなぁ。

こんなにバレエから離れたのは初めてだ・・・


小春は、ゆっくりとバレエの練習着に着替え始めた。

タイツに足を通す感覚とレオタードの冷たさを確かめながら・・・


シューズは履かずに、畳の上で柔軟を始める。


・・・やっぱり硬くなってる。


息を吐きながら、ゆっくりと身体の可動域を広げていく。


ふぅ・・・


柔軟を終えると、腹筋と背筋を鍛える。


さて、バーレッスンはどうするか・・・


バレエの練習は、必ずバーレッスンから始まる。

それは、バレエを習い始めた小さな子ども達でも、プロのバレエダンサーでも同じ。いきなり、フロアでは踊らずに毎回バーに手を添えながら行う練習から始めるのだ。


小春は、ゆっくりと辺りを見回すと、部屋から庭に出るまでの間にある板張りの廊下に出て、板張りと畳の境い目にある柱を触った。


ここしかないかなぁ・・・

よし、やるか!


小春は、左手で柱を触りながら足を1番ポジションにする。そして足の小指から踵に力を入れ、膝を凹ませる。太ももを引き伸ばし、お尻に力を入れながら下げる。腹筋にも力を入れ、胸を開き首を長くし、目線を少し上に上げる。

その状態をキープしながら、ゆっくりと呼吸をする。

目を閉じて、頭の中でいつものバーレッスンの時のピアノの音を流しだす。

1小節、ピアノの音を聞いてからゆっくりと両手を下から上げていき左手は柱、右手は縁側の方へと伸ばす。


指先、目線、腕の位置、重心の位置、骨や筋肉の回し方、つま先にも気を付けながら音に合わせて基本の動きを確認していく。


右手、右足の動きが終わったら柱を右手で持ち、左手左足で同じ動きをする。


これを、徐々に難易度を上げながら右側、左側を繰り返す。


・・・最後はグランバットマン。


右側が終わり、スっとターンして次は左側。前に足を高く上げ、次は足を横から顔の近くまで上げる。


「小春っ?!何してんのっ!!」

正面から、おりょうが叫びながら走ってくる。


「へっ?」


「へっ?じゃないよ!女の子がそんな格好で、足開いたらダメでしょ!はしたないっ!」


「・・・これがバレエなんですけど。」

恥ずかしがる様子も無く、普段通りの小春に戸惑いながら、おりょうは、もう一度小春を頭からつま先まで見直す。


「・・・・・・・・・はぁぁぁぁあああああああああ?!」


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