龍馬とおりょう
「早起きやねぇ」
おりょうが着物を手に、小春の隣に座る。
辺りはすっかり、明るくなっていた。
「あ!あの!ご飯とか、寝る場所とか、色々とありがとうございました!」
正座をし、おりょうの方を向くと頭を下げた。
・・・
「名前は?」
「・・・あ、こ、小春です!小さい春って書いて小春です!」
おりょうが優しく微笑んだ。
「可愛らしい名前♪うちは、りょう。おりょうって呼んで?」
ぐほぉっ!めっちゃキュンキュンするっ♡
幕末時代の女の人って、こんなに可愛かったんだぁ・・・
坂本龍馬の奥さんって、こんなに美人だったのかぁ・・・
骨抜きになっている小春に、おりょうが立ち上がりながら伝える。
「さっ、この着物に着替えて?朝ご飯食べたら、ここを立つからね!」
小春はフリーズした状態で、首を傾げる。
「着物って、着たことなくて。どうやって着るんですか?」
・・・
庭の木に留まっていた、二羽の雀が鳴きながら飛び立った。
「はっ?
いや、意味分かんないしっ!!着たことないって。じゃぁ、あんた今まで何着てたんだよ!
あっ!オランダとか外国から来たとか?
・・・にしては、見た目は私らと同じやし・・・
まっ、いっか!うちが着せるから、はよ支度して!!」
い、良いんだ・・・
小春は、おりょうに着物を着せてもらい、身支度をして朝ご飯が準備されている部屋に入った。
二人が部屋に入るなり、龍馬が大声で言った。
「もぉ!遅いぞっ!腹減ったき、先食べてまーす!」
なんか、あざと女子みたいに身振り手振り付きで可愛いな。
笑えるけど・・・
小春は、ふと我に返ると龍馬の近くで正座し、頭を下げた。
「あの!昨日は助けていただき、ありがとうございました!」
「小春っていうんだって♪」
おりょうがご飯を食べながら付け足す。
「小春!良い名前じゃ!」龍馬が満面の笑みで言った。
「さっ!はよ食べて行くよ!小春っ!!」
・・・?
小春は、言われるまま朝食を食べ、荷物をまとめて二人と共に宿を立った。