必然
手紙を読み終えた小春は、お龍の銅像を見つめながら泣いていた。
最初の方のおりょうさんは、キャラが変わってて戸惑ったけど。龍馬って呼び捨てだったし。(笑)
それでも、小春の心は温かい色で満たされていた。
何故なら、最後の一文は小春が今まで生きてきて初めて言われた言葉で、一番言われたかった言葉だったからだ。
「おりょうさん私、幸せになるね。
幸せになる努力をするね。」
小春は、お龍に向けてそう声をかけると手紙を紙袋に入れて立ち上がり深く一礼すると、その場を後にした。
暫く歩くと、田園風景が広がっていた。
気づくと、小春はその中で踊っていた。
おりょうさん、私小さい頃から自分なんて愛されない存在だから。って思い込んでた。
でも、おりょうさんの手紙を読んで気づいた。
私が気づいて無かっただけで、私のお母さんも、おばあちゃんも、お父さんも、私をちゃんと愛してくれてたんだって。
だって、お母さんは私を産まない。っていう選択肢もあったはずなのに、自分の命を懸けて私を産んでくれた。
それは、私を愛してないと出来ない事だよね?
おばあちゃんも、身体が丈夫な方ではないのに、生まれたばかりの私をお母さんの代わりに育ててくれた。
毎日、昼夜関係なく3時間おきの授乳に、日々重くなる私をおんぶしながらの家事。
自分の身体より、私の身体を優先してくれた。
身体がキツそうな時も、私にはいつも笑顔でご飯の準備をしてくれた。
私のことを愛してくれてたから。
お父さんも、医者なのに自分の妻や妻の母の命を救えなかった事、凄く辛かったと思う。
それでも、私の前ではいつも笑顔でいてくれた。
仕事が忙しくなって、家で会う時間が少なくなったら冷蔵庫のホワイトボードやメールで、私の事を気遣ってくれた。
私のことを愛してたから。
ずっと、心にあった凝りが取れた感じがした。
私は、踊った。
私の心の色を表現する様に。
私だけの踊りを踊った。
~♪スマホの着信音が鳴る。
「もしもし?マイク?」
電話は、同じバレエ団の仲間からだった。
「小春、その踊り良いね♪ネットに上げとくよ!」
「はっ?どういう事?!日本に来てるの?何処にいるの?」
小春は、慌てて周りを見渡すがただ、田園風景があるだけだ。
「それより小春、僕と付き合う話し考えてくれた?」
「あれ?電波が悪くて聞こえないなぁ。」
そう言って電話を切った。
もう一度、辺りを見回す。白鷺が1羽こちらを見ていただけだった。
「小春は嘘が下手だなぁ。そこが大好きなんだけどね♪」マイクは、画面に映る小春を見つめながら電話を閉じた。
「偶然なんかない。全ては、必然だって書いたでしょ?」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
仕事、家事、育児の合間に少しずつ書いていたので、かなり読みづらい小説だったと思います。下手な文章で申し訳ないです。
途中何度も放置しようと思いましたがそれでも、何とか自分の思い描いた物語をここまで書く事が出来ました。
書くきっかけを下さった、小説家になろうラジオ様に感謝です。ありがとうございました。