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転生?〜最初からリミッター解除〜

オッサン頑張ります

俺は目を覚ますと、見知らぬ草原とも森ともとれる場所にいた。

あの易者に身ぐるみを剥がされたかな?

と自分の状態を確かめる。何かを取られた形跡は無か…いや財布とスマホ、カバンがねぇ。

それ以上に妙な違和感を感じた。世界がボヤケてる。俺は重度の近視で眼鏡が無いと生活をマトモに送れない。顔に手をやるとそこには確かに眼鏡がある。

…一体どーなってる?

眼鏡のレンズ外に視点をずらすとクッキリ見えている。とりあえず眼鏡を外し、身体を起こすと腰とスーツの左ポケットが重い。

ポケットを改めるとずた袋に見知らぬ硬貨がそれなりの量があるようだ。

次に腰に手を当てると…

「……え?」

刑事ドラマ特に銃撃戦大好きな俺には、それが何かわかった。

拳銃だ、それも2挺。

腰のホルスターから2挺とも抜いて改める、間違いなく拳銃である。俺の知識というほど知識は無いが初めて買ったエアガンと酷似したそれはおそらくコルトガバメントをベースにカスタムされているようだ。4.5インチのセミオートマチックハンドガン…予備弾倉は6発入が6個。

「なんでこんなものが?」

意識を失う直前のやり取りを思い出しても、この状況に理解が追いつかない。

どうしてか理由は分からないが、ただ握った2挺の拳銃を"本物"だと確信した。


しかし、やり直すったって、コレは些か乱暴じゃないか?

全く状態が分からない、よくある転生ものでもここまでの説明不足はあまり無いだろ。少なくてもこの時点で転生した説明くらい欲しいもんだ。

転生と決まったわけじゃないが。

楽観的に考えて、左ポケットの硬貨は軍資金、腰の銃は武器として最低限渡したということか?

酔は完全に覚めている、仕方なしにタバコを咥え火をつける。幸いマッチとタバコは盗られずにすんだようだな。

紫煙をくゆらせながら堂々めぐりの思案をしていると…


「キャーー!!」

女性の悲鳴が聞こえた。立ち止まっている理由が無い以上、声のする方へ向かうしかない。

「やれやれ、ゲームの導入みたいだな…」

素直な感想を述べながら、悲鳴の方向に走る。念の為、銃のセーフティを外しスライドも引きながら声の方向に向かう。


30mほど走った所でいかにも山賊です、という風体の男達が悲鳴を上げたであろう女の子を取り囲んでいる。連中との距離は20m程度、深い草のおかげで気づかれてはいない。

「あんた、神官だな…俺達は運がいい神官様なら高値で売れるぜ」

山賊(仮)は、下卑た声で如何にもな説明台詞を語ってくれた。少女はそんな山賊をキリッと睨み返している。少女の年は高く見積っても10代後半、パット見の見立てでは14、5歳か。黒いロングヘアーと整った顔立ちをしている。こんな時間に森?をぶらついてれば山賊でなくとも、そういう趣味の持ち主に襲われても文句は言えんだろう。

「貴方達、こんな真似をしてレイナ様の神罰が下りますよ」

そんな山賊に臆せず言葉を投げるあたり意外と肝が座ってるなぁ。

関心しながら遠巻きから山賊と少女のやり取りを眺める。

勿論、ただ聞き耳を立てるだけでなく状況は整理する。少女を囲う山賊は4人、手持ちの銃の装填数は6+1。三発は外してもいい計算だ。だが、不思議と外す気はしないのは何故だ?

そろそろ向こうも盛り上がってきている、必死に抵抗はしているが華奢な女の子。山賊共は数と腕力に物を言わせて力づくで拉致しようとしているのは明らかだ。

山賊から聞くか、女の子から聞くにしろ。

今はとにかく情報を得る必要がある。

「と、なるとやっぱりレディファーストの精神で」

山賊を撃つ。深呼吸して覚悟を決める。

相手はこちらに気づいていない、慎重に狙いを定めるだけの猶予はある。頭を狙うのはゲームの世界で十分。

大事なのは相手を無力化する事…騒いでいる山賊の身体の中心に狙いを定めて引き金を引く。


ドン!女の子を握っている山賊の手が離れた。

まずは成功だ。やはり銃は本物だった。

今ので、気づかれた以上次を慎重に狙うことは出来な…と高速で思考するが、不思議なことにまるでスローモーションの様に落ちていく山賊に他の3人の視線が集まっている。

コチラに気づいた気配はない。

まだ行ける?躊躇なく銃口を平行にスライドさせながら、ドン!ドン!…ドン!残り2人も同じように撃った。最後の一人は位置の関係上ヘッドショットになってしまったが、1発も外すことなく山賊の無力化は成功したようだ。

「あーこれで俺も人殺しか…まぁ、ムショなら食事には困らんか」

銃を撃った高揚感からか、悲観的な言葉の割に。声が明るい自分に驚いている。

目の前にそれ以上に驚いてる女の子が居るのを一瞬失念してしまった。

俺は意識を女の子に戻すと、

「大丈夫か?」

というが彼女は問いに対してただ頷くだけだ。

目の前で人死だからなぁ、落ち着くまで様子を見るしかないか。

俺は女の子を見据えるとゆっくり話しかける。

「とりあえず、俺は君に危害を加えるつもりはない。出来れば何個か質問に答えてくれると助かる」

俺は自分の要求を伝え、女の子に見えるよう山賊を屠った銃を腰のホルスターにセーフティをかけて戻す。

しばらくして、女の子は自分が山賊から、目の前の男(つまり俺)に助けられた。ということは理解できた様だ。

「あ、ありがとうございます。助かりました」

多少疑いの視線が痛いが、人死が出てる以上仕方ないと思うことにする。

「それで、質問とは何でしょうか??」

質問に答えてくれるというのは助かる。答えてもらわないとそれで詰みだ。

「まず、ここは何処か。見たところ森のようだが、夜が明けるまでに人通りのある所に出るにはどうしたらいい?」

俺の質問に女の子はキョトンとしていた。

「えーと、まずここは見ての通りの森です。私は薬草を集めに来ていたのですが、夢中で取っていたら日が落ちてしまい、先程のような状態に。人通りは街に戻るまで殆ど無いと思います、因みに街には今から歩いて夜明けに着く位に思ってください。」

女の子の丁寧な回答に

「ありがとう、街への方角はどっちかな?」

女の子は少し悩んだような顔をして、何秒か思案すると手をパンと叩いて、まさに名案が浮かんだとばかりだが?

「私もコレから街に戻るのですが、今みたいな事が起きるかも知れないので、一緒に行きませんか?」

俺にとっては願ったり叶ったりの提案だが、

「いいのかな?つい今しがた山賊を殺したような男を連れて歩いて?」

当然の疑問をぶつける。

彼女は、ニッコリ笑うと

「レイナ様のお導きです」

よく分からないが、手を出したら道に迷うしかない以上、素直に提案を受け入れた。

「わかった、君は道案内。僕は護衛ってことで。その前に君聖職者だよね?一応、彼らの亡骸を弔ってやってくれないかい」

最後の提案は意外だったようだが、彼女は頷いたので俺は遺体を安置するフリをして山賊共の身ぐるみを剥いだ。

運良く山賊は全滅した。持っているものも死人にはどうせ使えない、なら生きてる俺らが再利用する方が理に叶う。

といっても、回収出来たのはカトラスにダガー3本。後は自分のポケットに入っていた硬貨と同種の硬貨…恐らく色からして銅貨25枚程だ。無いよりマシということでありがたく頂戴する。4つ亡骸を安置すると女の子が恐らく祝詞やお教のようなモノを唱え始める10分程それを唱えて終わったようだった。

「さて、行きますか。あ、自己紹介がまだでしたね。私はレナ、見ての通りの神官です」

と握手を求めてきた。その手をとり

「僕はトシ、ここに来る前の記憶が無いんで何を仕事にしてたか分からない。短い間だけどよろしく」

そして、二人は街に歩き始めた。

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