高校生リスタート!
大雑把なあらすじから興味だけで書き始めてしまった小説なのでストーリーもクソも無いと思います。
まあ無理やりストーリーっぽいものを作って行けるように頑張りたいと思います!
『次回!闇のハートと光のハート!来週も…』
ピッ
「はぁ…終わっちゃったよ…」
オタク気質の高校1年生 吉野 陸久はふとつぶやいた。
「何もすることもないし、とりあえずbiscordでも見て…寝るか…」
と気だるそうに言いながらスマートフォンを手に取る。
biscordを使って他県の人と連絡を取り合い、ゲームをし…通話をし…と言う生活を送っていた。
「麺族」と名付けられた言わば仲良しグループの一員である陸久は毎日欠かさずみんなと連絡を取るのが日課になるつつあったのと、陸久にとって居心地のいい場所でもあった。
***
まほいっぷ
『もうこんな時間か…いや〜今日も
【シャイニーハーツ】は面白かったな〜!』
たこまろ
『ああああ!!すっかり忘れてた!!絶対にネタバレだけはしないでくれ!頼む!!』
ムヒ
『どうしようかな〜?www』
***
陸久はクスッと笑みを浮かべ、布団に入った。
「おはよう…」
「あら。やけに元気ないわね。」
「いや…いつも寝起きなんて…ふわぁ〜…」
「ちょっと熱でもあるんじゃないの?体調悪いなら早いうちに言ってよね!移されたらたまったもんじゃないんだから!」
「わかってるって…ムニャムニャ...」
あくびで涙まみれの目を擦りながら椅子に座る。
陸久の家は母子家庭で、心配してくれる気遣いもたまには邪魔だったりもした。
でも朝の眠い時にはそんなのそっちのけで眠気の方が勝ってしまうのだ。
「はい。朝ごはん。いつまでも眠そうな顔してないで顔洗ってきなさい。」
「は〜い…」
『続いて、速報が入ってきました。4年前離婚をした、○○さんが 女優の○○さんと結婚すると発表がありました。』
黙々と朝ごはんを食べ進めながらじっとテレビを見ていた。
「再婚…か…」
(お母さんは俺が小さい頃に離婚をしたって言ってたけど記憶もないし深く聞いたこともなかったな。
少し気になるけど…聞いていい訳ないよな…)
「ご馳走様でした。」
朝ごはんを食べ終わり、パパッと支度をして家を出た。
「おはよう!吉野!」
元気に声をかけてくれたのは、有加 梨咲だった。吉野のクラスメートだ。
「うん。おはよう。」
「ありゃりゃ。なんだかそんなに元気じゃないみたいだけど…なんかあったの?」
「いや…別になんもないけど少し考え事を…」
「何もないのに考え事をする人なんている訳ないでしょ?全く…吉野は嘘が下手なんだから…」
「有加はなんでもお見通しだな…ははは…」
「でしょでしょ?もっと褒めてくれてもいいんだよ〜?あははははっ」
陸久と有加は家から学校が近いから徒歩で通っているのもあって、コミュニケーションの場が増えているのもあり、こうして喋ることも多かった。
(有加と喋っていると考え事も軽くなったような…
とりあえず ありがとう だけでも…)
「あの…」
「あっ!!華恋ちゃん!!」
「えっ…?」
「あ、ごめん!吉野!続きはまた教室でね!」
「う、うん…」
(いっちゃった…有加ってあの美月さんとも仲が良かったのか…)
有加が声をかけに行ったのは、学年の中でも人気の女子 美月 華恋上級生も同級生も声をかけてくるような高嶺の花だ。
ふぅ とため息をつき、また考え事をしながら教室へ入っていった。
放課後になった。
しかし、陸久の悩みは晴れることはなかった。
「おいおい吉野…お前大丈夫か?今日一日なんだか様子がおかしかったぞ?」
「うわぁ!…なんだ…奈良か…」
宵奈良 宗峯 陸久が中学の時に出会った友達で一番頼りにしている。テンションの高さが良さでもあり、悪さでもあるが良い奴であることは間違いない。
陸久が肩を下ろすとすかさず宵奈良が聞く
「どうしたんだよ。らしくねぇなあ。悩み事か?」
「いや、なんていうか…」
「なんていうか…?」
「自分の中の…葛藤…というか…」
「なんだよそれ!!なんでも言ってくれよ!!なんか力になれるかもしれないだろ?恋愛か?恋なのか!?」
「からかうならあっち行っててくれよ!」
「んははははは!悪かったって。そんな怒ることもないと思ったんだけどなあ。まあ話せることがあれば何でもいいから話してくれよ。とりあえず一緒に帰ろうぜ?」
「…うん。そうだな」
宵奈良に誘われて2人で下校をしたが、陸久は考えていることを話すことはなかった。
ガチャッ
「ただいま」
「あら、おかえり。おやつあるから手を洗ってうがいしてきなさい。」
「いや、今日はいらないよ」
「何処か出かけるの?」
「そういう訳じゃないけど…普通にいらない。」
悩み事がずっと引っかかって全く興味がなかった。
そしてそのまま自分の部屋へと入っていった。
「このまま悩んでてもなぁ…」
大きくため息をついた。
「よし。ここは思い切って…」
「あのさ…お母さん」
「ん?どうかしたの?」
「いや…その…」
(くっそ!こういう時に限って緊張してくる…
陸久お前なら言える!聞ける!)
「お母さんは……離婚…したんだよね?」
「うん。そうだけど?それがどうかしたの?まさか虐められてたりしてないわよね?」
「いや、そうじゃなくて…気になるから少し話を聞いてみたくて…」
(ぎこちなかったけど、とりあえず言えた!!)
「分かったわ。もう陸久も高校生だものね。」
「あれはまだ陸久が2歳の頃よ。お父さんが社長と揉めちゃって、クビになっちゃったの。私は必死にバックアップしてたつもりなんだけど、かえって逆効果になって怒らせちゃったのよ。」
陸久はヒヤヒヤしながら真剣に聞いていた。
「それでね。怒ったお父さんが私に殴ってきたの。普段からそんなことをするような人じゃなかったから驚いて…嫌になって…離婚を決断したの」
「もちろん。決断も早かったし、もっと考え直すことをできたって今なら思うけど、当時の私は自分の殻に閉じこもるしかなかったの。」
初めて聞かされる事実に陸久も唖然とさせられる。
当時の記憶がないこともあり、他人の話のように聞いているが、重苦しい感覚が心臓に伝わる。
「…っ…」
陸久は言葉に詰まった。
「ごめんね。陸久。こんな話にするつもりはなかったの…」
「聞いたのはこっちだから…最後まで話して」
「わかったわ。って言ってももう話すことはほとんどないけどね。これでお父さんがこの家を出ていって…」
「陸久の兄を。双子の兄を引き取って出ていっちゃったの。」
衝撃的な事実だった。
自分の知らないところに双子の兄がいる。
見た記憶すら生活していた思い出すら何も残っていない。何もわからない。
未知の兄。知らなかった事実。嬉しいのか悲しいのか辛いのかこれでよかったのか。全くわからなかった。
「……見つけ……」
「今からでも…」
「陸久?」
「今からでも、見つけることって…できるかな…」
お母さんの表情が一気に暗くなる。
離婚した家庭の環境なんて知りたくないのなんて当たり前だ。
数分黙り込んだ後、お母さんは口を開いた。
「好きにしなさい。もうこれ以上口出しはしないわ。見つけたいなら自分の力で見つけなさい。」
「うん…ありがとう。お母さん。」
そういって陸久は部屋に戻っていった。
「俺にできること…俺にでも探せる方法…」
「そうだ!」
カシャッ カシャッ
陸久はスマホで自撮りを始めた。
(双子ってことは少なからず俺に似ているかも…俺は覚えてないけど向こうは覚えているかも…!)
「今はやってみるしかない!」
そう言って陸久はトイッターに本文と
「名前、年齢、顔写真、出身地」をアップロードしてしまった。
陸久もかなり上手く行ったと思っていた。
次の日になるまでは…
次の日の朝
陸久はすぐさまスマホを手に取った。
「昨日の投稿…どうなってるかな…」
***
「ぶっさwwwwこんな写真あげてたら兄貴が気がついても出てこれないだろうなww恥ずかしくてwww」
「【速報】自分をイケメンだと思い込んでるオタクさんが自撮りで兄弟を探し始めた件www」
「今話題になってる兄探しオタクのBB作りましたwwwwご自由にご使用くださいwwwwww」
***
「えっ…そんな…ネタにされてる…」
陸久はすぐにbiscordを開いた
***
たこまろ
「よしのり大丈夫か?とんでもないことになってないか?」
まほいっぷ
「これは流石にやばいでしょ」
えくろ
「これは流石に笑えん」
ゆかり
「流石にもう手遅れだよな…」
***
唖然とした。あんなに必死になって、しかも名案だと思っていた投稿が一夜にして全てを逆鏡に追い込んだ。biscordに返信すら送れなかった。
「ちょっと陸久!!あんたどういうことなの!?」
怒鳴り声につられてすぐさまリビングに行った。
そこには大量の砂袋や宅配ピザなどが置かれていた。
「えっ…何…これ…」
「何これって…あんたが頼んだんでしょ!?」
「いや、違う…こんなの頼んだ覚えなんて…」
ハッとしてスマホを見る。
するとこんな投稿を目にすることになってしまった
「今話題の吉野くんの住所特定しましたwwwwww
リプ欄に書いておくんで勝手にご覧くださいw
配送などに関しては一切の責任を負いません」
お母さんにこの投稿を無言で見せた。
見せるしかなかった。
「あんたこれ!どういうことなの!?」
「ごめん…」
「ちょっと何したの!?ねぇ!」
渋々と自分の投稿をお母さんに見せた。
お母さんはこの状況を理解した。
そして泣き崩れてしまった。
「くっ…!」
陸久も涙を堪えながら部屋に篭った。
「こんなはずじゃなかったのに…」
「こんなふうに困らせるはずじゃ…こんな…」
「やり直したい…昨日の夜に戻りたい…」
泣き崩れた。小さく座り込んだまま。
友達からの連絡も無視してずっと泣いていた。
俺が変わるにはどうしたらいいんだ。
何から始めればいいんだ。
記憶をそのままに…
別な人に…こんなことをなかったことに…
「もし今から俺が女の子にでもなれたら…」
目が覚めた。
なんだかいつもと少し違っているような気がした。
ドンドン!!
部屋をノックする音が聞こえる。
「ん〜?…ムニャムニャ」
「ん〜 じゃないわよ!莉香!このままじゃ遅刻するわよ!!」
莉香?誰のことだ?俺?いや、そんな訳ないよな。
てか誰の声だ?いや普通に考えてお母さんだよな。
何言ってんだろ。ははははははは。
ガチャッ!
荒々しくドアノブを触る音だ。
「早く起きなさい!!!!」
バサッ!!!
布団を勢いよくめくられた。
そしてようやくパッと目を開けて目の前にいる女性を見て一言だけ呟いた。
「誰…?」