表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?  作者: 夕立悠理
お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね?
62/82

とある一日2

「おはよう、朱里」

「おはよう、彩月ちゃん」

教室に入ると、彩月ちゃんがひらひらと手を振っていた。私も、彩月ちゃんに手を振り返すと、彩月ちゃんは笑った。


 「今日も、先輩とラブラブだったね」

彩月ちゃんが窓を指差す。どうやら、見られていたみたいだ。

「……うん、まぁ」

ほんとは、学校まで手を繋ぐのは、嬉しいけれど恥ずかしくもあり。でも、結局繋いでしまうのは、お兄ちゃんのことが大好きなのと、愛梨ちゃんに負けたくない思いもあった。愛梨ちゃんはやっぱり、ヒロインらしく、私たちが付き合い始めても、さっきのよように諦めない、と宣言されたのだ。


 正直いって、愛梨ちゃんはとても可愛いので、モテる。唯一の欠点としたら、少々ドジなところだけれど、男子から言わせれば、そんなところも可愛いらしい。物語は、二人が結ばれればハッピーエンドで終わるけれども、私の人生はお兄ちゃんと付き合いだしてからも続いていく。


 もちろん、もう愛梨ちゃんがヒロインだからと言って、お兄ちゃんを諦めることはしない。だけど、私が、焦っていることは、事実だった。


 「……朱里?」

下を向いた私に、心配そうに彩月ちゃんが声をかける。

「う、ううん! なんでもないよ」

「そう? そういえば、もうすぐ、ホワイトデーだね」

笑った彩月ちゃんの言葉にはっとする。ホワイトデー。バレンタインデーがあったんだから、いつかはやってくるよね。最近の生徒会は、予算を組むのに忙しいからすっかり忘れていた。


 「ホワイトデーは、三倍返しっていうし、小鳥遊先輩はすごいことしてくれそう」

「どうだろう? いつもは、飴だけど」

ここ数年私が何をあげても、お兄ちゃんは毎年瓶詰めの飴をくれるんだよね。なんで、飴なのかわからなかったけど。毎年貰った飴の瓶はとってある。私がそういうと、彩月ちゃんがにやにやとした。


 「前から思ってたんだけど、それって──」

「?」

彩月ちゃんの言葉の続きを聞こうとしたけれど、そこで、担任の先生が入ってきたので、話は打ちきりとなった。



 放課後。今日のぶんの生徒会の仕事は終わったので、お兄ちゃんと一緒に帰る。やはり……というか、もちろん、手は繋いでいる。やっぱり、ちょっと嬉しいけど、恥ずかしい。そんなことを考えていると、ふと、お兄ちゃんが、立ち止まった。


 「そういえば、朱里は、ホワイトデー空いてる?」

「う、うん! 空いてるよ!!」

思わず、大きな声を出してしまった。そんな私にお兄ちゃんはくすくすと笑った。今年のホワイトデーは、お休みだ。


 「じゃあ、どこか出掛けようか」

「やったー!」

お兄ちゃんは、受験勉強で忙しく外でデートは最近はあまりない。だから、嬉しいな。


 「どこがいい?」

「えーっとね、うーん」

どこがいいだろう? 水族館もいいし、また映画館もいいよね。


 「あっ、ええと、それじゃあ遊園地がいい」

「じゃあ、遊園地にしようか」

「うん!」


 ホワイトデーが楽しみだ。その前に、期末テストがあるけど。期末テストも頑張って、お兄ちゃんと楽しいホワイトデーを過ごすぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ