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お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?  作者: 夕立悠理
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
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懇親会

教室では、ホームルームがあったあと、簡単な自己紹介があった。彩月ちゃん以外は、知らない人ばかりで緊張したけれど、なんとか上手くできた、と思う。


 今日は、授業はないので、それでおしまいだ。荷物をまとめていると、男子生徒に声をかけられた。


 「うちクラスの懇親会をこのあとファミレスでしようとおもうんだけど、小鳥遊さんたちも来ない?」

まだ初対面同士で、緊張しているからか、男子の顔は赤い。

「もちろん、行くよ」


 私が頷くと、隣にいた彩月ちゃんが意外そうな声をあげた。

「えっ!? 小鳥遊先輩と一緒に帰らなくていいの?」

「うん、お兄ちゃんと登下校するのはやめにしたんだ」


 「お兄ちゃん……?」

 彩月ちゃんにももう、「優くん」から卒業するのだと話すと、彩月ちゃんは顔をしかめた。

「それ、ちゃんと小鳥遊先輩は、納得したの?」

「たぶん」


 寝起きでぼんやりしていたとはいえ、意識はちゃんとあっただろうし、それに何より、もう私に付きまとわれずにすむのだ。お兄ちゃんにとってもいいことずくめだと思う。


 「それより、彩月ちゃんもいくでしょ?」

「それは、私は朱里が行くならいくけど……」

なぜか未だ微妙な、顔をしている彩月ちゃんの手をとる。


 「今までは、ずっと放課後お兄ちゃんと一緒だったでしょう? でも、今日からは、彩月ちゃんといっぱい遊べるよ!」

私が笑うと、ようやく彩月ちゃんも笑ってくれた。


 「……そうね。まぁ、朱里がそういうならいっか」

お義母さんに今日のお昼ご飯と晩御飯は、食べて帰りますと、メールを入れてから、ファミレスに向かうことにした。






 懇親会は、とても楽しく新鮮だった。知らないひとばかりだったというのもあるけれど、今まで、クラスメイトと積極的に関わろうとしなかったから、余計そう感じたんだと思う。ドリンクバーで、色々な飲み物を混ぜて、未知の飲み物を作り出してみたりして、とても楽しかった。


 クラスの子の名前も大分覚えられたし、今日は来て良かったな。


 楽しい時間はあっという間にすぎ、そろそろいい時間になったので、お開きだ。


 暗い時間だからと、女子生徒は、男子生徒に送ってもらうことになった。

 「小鳥遊さんは、同じ方角だし、俺が送っていくよ」

「ありがとう」

私を送ってくれたのは、懇親会に誘ってくれた男子──確か名前は田中くんだったと思う。


 田中くんと話しながら、家に帰る。お兄ちゃん以外の人と帰るなんて初めてだ。


「小鳥遊さんは、何か、部活入るの?」

ちなみに、田中くんは野球部に入るつもりらしい。ううん、部活かぁ。考えたこともなかったなぁ。でも、これからは登下校はお兄ちゃんと一緒じゃないから、部活に入るのもありだよね。


 「そうだなぁ、料理部とか興味あるなぁ」

「料理部か、いいね。小鳥遊さん似合いそう」

「そうかな? ありがとう」

料理は好きだ。以前なら、お兄ちゃんに食べてもらいたい! っていうことばかり考えて、お菓子やご飯を作っていたけれど、自分のために作るのも楽しそうだ。


 そんな他愛ない話をしていると、いつの間にか、私の家の前だった。田中くんに、送ってくれたお礼を言って別れる。


 家に帰ると、なぜかお兄ちゃんが、玄関に立っていた。お兄ちゃんも今帰ったところなのかな?


「おかえり、朱里」

「ただいま、お兄ちゃん」


 さて、汗もかいちゃったし、お風呂に入ろうかな。着替えを取りに行こうと、二階に上がろうとすると、お兄ちゃんに手首を掴まれた。


 「……お兄ちゃん?」

「朱里、ちょっといいかな」

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