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お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?  作者: 夕立悠理
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
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遊園地

週末はすぐにやってきた。

「朱里ー」

「彩月ちゃん!」

手を振ってくれた彩月ちゃんに手を振り返して、彩月ちゃんの元へと走る。


 「待った?」

「ううん、時間通りだよ」

今日は、クラスの皆で遊園地だ。遊園地集合だけど、私と彩月ちゃんは最寄り駅が一緒なので、一緒に行こうという話になったのだった。


 「それにしても、見送りとは、流石小鳥遊先輩だね」

「うっ。お兄ちゃん、過保護すぎだよね」

徒歩で十分もかからないというのに、お兄ちゃんは、心配しすぎだと思う。


 「まぁ、小鳥遊先輩の気持ちもわかるけどね。朱里は危機感がないもの」

「そうかな?」

ちゃんと不審者が出たら防犯ブザーくらい鳴らせる。そう主張すると、彩月ちゃんに、そういうところだと言われた。なんだか、釈然としない思いを抱えつつも、電車に乗る。


 遊園地に着くと、もうすでに何人かが着いていた。その子達とお話ししている間に、他の子もぞくぞくと到着し、入園することになった。


 「遊園地、久しぶりだから楽しみ」

「そうだっけ? 修学旅行は?」

「うん、私、修学旅行熱で休んじゃったから」

でもその代わりに、お兄ちゃんが看病してくれたから、それはそれで嬉しかったけど。


 クラスで四、五人のグループに別れて、アトラクションを回る。私たちのグループは、普段仲良くしている、彩月ちゃん、亮くん、私、それから、小塚瞬くんだ。


 やっぱり最初は、ジェットコースター! というわけで、スタンダードなジェットコースターに乗って思いっきり叫んだ。その後も、コークスクリューや、サイクロンといったジェットコースターに乗った。


 「楽しかったねー」

「そろそろ、お昼にする?」

というわけで、遊園地内のフードコートで、それぞれハンバーガーなどを注文する。


 「小鳥遊さん、ちょっといいかな?」

彩月ちゃんと小塚くんが飲み物を買いに行っている間に亮くんに話しかけられた。

「うん。どうしたの?」

「実は、小塚、藤堂さんに気があるらしいんだ」


 「ええっ!」

初耳だ。もう五月だ。一月もクラスでよく一緒に行動するのに、全く気付かなかった。私、本当に鈍感なんだなぁ。でも、彩月ちゃんは明るくて可愛いし、優しい。好きになるのも頷ける。


 「だから、ちょっと二人きりにしてあげたいんだけど……、どうかな?」

「いいと思う」


 彩月ちゃんから小塚くんが特に好きだとは聞いてないけれど、もう少しお互いに深く知る機会があるのはいいことなんじゃないかな。


 亮くんと打ち合わせた通り、昼食を食べ終わったあと、お化け屋敷に行きたいという彩月ちゃんたちに、どうしても乗りたいライドがあるのだといって、別々に行動することになった。


 私たちはもう一回、ジェットコースターに乗り、最後に、観覧車に乗った。


 「わー、見て、すごく高いよ」

観覧車は日本一とはいかないまでも、それなりの高さを誇り、綺麗な景色が見渡せる。


 「……ほんとだ」

「どうしたの?」

返事のわりには、亮くんは心ここにあらずといった風だ。もしかして、高所恐怖症なんだろうか。それなら、観覧車に乗りたいといって悪いことをしちゃったなぁ。


 「……実は、俺、」

「うん?」

「好きなんだ」

「えっ!」


 彩月ちゃんのことが!? じゃあ、小塚くんと二人きりにしたらまずかったんじゃ……。


 「違うよ。そうじゃなくて、小鳥遊さんのこと、好きなんだ。だから、付き合ってもらえないかな?」

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