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お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?  作者: 夕立悠理
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
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お出かけ

今日は、休日だ。生徒会も土日は、何か運動会や文化祭など大きなイベントがない限り、お休みらしい。


 何をしよう。久しぶりにショッピングにでもいこうかな。


 そんなことを考えていると、扉がノックされた。

「朱里、ちょっといいかな」

「お兄ちゃん?」


 扉を開けると、お兄ちゃんが立っていた。

「朱里、今日予定空いてる?」

「うん、空いてるよ」


 何か用事かな?


 「だったら、水族館に行かない?」

「水族館!」

「うん、智則があまったからって、チケット二枚くれたんだ」

行きたい! と反射的にいいかけてはっとする。今までの私なら、むしろチケットが一枚しかなくても、お兄ちゃんと一緒にいるために着いていっただろう。でも。


 「私じゃなくて、他の人と行ってきなよ。例えばほら、中原さんとか」

愛梨ちゃんはすでにお兄ちゃんに夢中みたいだし。

「僕は、朱里を誘ってるんだけど。それとも、水族館行きたくない?」

行きたい。すごく行きたい。

「兄妹で水族館って、おかしくないかな?」

「家族で水族館くらい普通だよ」

「…………行きたい、です」


 「じゃあ、行こう」




 水族館は、様々な魚が優雅に泳いでいて、とても綺麗だった。どの魚も好きだけれど、私が一番好きなのは、やっぱり、


 「イルカ可愛い! お兄ちゃん見て、イルカだよ!」

なんで、イルカって、あんなに可愛いんだろう。しかも、頭も良いらしいし、すごいよね!


 久しぶりの水族館なのもあって、はしゃいでいると、お兄ちゃんが笑いながら、


 「朱里、イルカのショーもやってるみたいだよ」

と教えてくれたので、もちろん、見ることにした。


 休日だからか、観客席はいっぱいだったけれど、何とか座ることができた。


 わくわくしながら、ショーを見る。ショーは、イルカだけじゃなくて、アシカも出ていて、とても可愛かった。


 アシカのショーが終わったら、いよいよ、イルカだ。イルカが一斉にジャンプする。


 「すごい!」


 その後、様々なタイミングで、ジャンプしたり、フリスビーをキャッチしたりしたあと、ジャンプ技の最後は、イルカが今まで以上に高い位置のボールに向かってジャンプした。


 「見て、優くん! 今のジャンプすごい──」

あっ、しまった! つい前の癖で、名前で呼んじゃった。ちょっとだけ気まずくてちらりとお兄ちゃんを見る。すると、今まで見たことがないほど柔らかい表情をしていたお兄ちゃんと、目があった。


 わっ、と大きな歓声が遠くで聞こえた。


 ショーはまだ進行しているのに、お兄ちゃんから目がそらせない。お兄ちゃんの目の中にも私だけが映っていた。きっと、お兄ちゃんが運命の恋に落ちたらもうそんなことは、無くなる。だから、あと、少しだけ。


 結局、目をそらせたのは、ショーが終わったあとだった。



 「今日は、連れてきてくれてありがとう。すごく楽しかった! 私ばっかりはしゃいでごめんね」

帰りの電車のなかでお兄ちゃんにお礼を言うと、お兄ちゃんは笑った。

「僕も楽しかったよ。朱里ときて、良かった」


 魚は綺麗だったし、イルカとアシカは可愛かったし、お義母さんとお父さんや、彩月ちゃんにもお土産も買ったし、とっても素敵な休日だった。


 でも、一番印象に残ったのは、お兄ちゃんの笑顔だということは、一生の秘密にしておこう。

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