第三話 何この女の子! 可愛い! 神々しい!
安心してください! 生きてますよ!
生きてるんだからぁ♪
失踪なんて、ダメよ~ダメダメ。
#女子四人組の可愛がり担当浅田視点
目を開ける。
そこには、広がる平野。そして空が雄大に広がっていた。
平野に吹いたそよ風は、平原の草々を靡かせ、優雅に去っていく。
空は水色、いや、真っ青に澄み渡り、心までもその色に染めてしまいそうな、そんな気さえする。
その空には、雲があちこちにあり、その雲の動きはゆるやか、そして秀逸な美しさを醸し出している。
その雲の上には城すらも作ってしまえそうな雰囲気で、私はそれを眼前にし立ち尽くしていた。
初めて見るその景色に圧倒されながらも、周りを見てみることにした。
私の他に、4人居ることを確認した。
ゆりっちと、りりと、はなちゃんと…………誰? でも凄く神々しい格好をしている。
可愛い可愛い銀髪の幼女、着ている服は一般的に言う羽衣という奴である。
見知らぬ彼女はこちらを向いて、何かを思い出そうとしているかのように見つめる。
そんな姿に刺激されて、つい声を出してしまう。
「何この女の子! 可愛い! 神々しい!」
私のそんな一声がきっかけとなり、他の子も可愛がることが加速した。いや、可愛がりというのは、相撲で問題になった暴行についてではない。ただ単に可愛がるだけのことだ。
そして、皆で一緒にこの子に近づいていって、ついに抱きしめようとも思ったのだが、それは憚られた。だが、抱きしめない程度には触ったり撫でたりのことはした。
だが、彼女は私達の可愛がりに反応せず、どこか虚空を見つめるように、自分だけの世界に入り込んでしまったかのように思えた。
皆、全力ペタペタ、いや、ベタベタしているのにも関わらず一切反応を見せないことに意地になってしまい、少し声を大きくしていった。
「あなたはだぁれ?」
だが、彼女は聞く耳を持たなかった。そして、彼女は非現実的なことをした。
地図を思しき紙切れを虚空から取り出し、読み始めたのだ。(!)
こんな可愛い子も地図を読む時代になったんだなぁと、何故かそんな感心をしたのだが、少し気になって地図を覗いてみると、世界地図とは全く違う地形がそこには描かれていた。
でも、そんな情報気にも止めなかった。
「ねぇねぇ」
「ねぇねぇ! 聞いてるの?」
次第に声は大きくなっていった。
彼女は気付いているかのようだったのだが、一切無視の姿勢を取っていた。
彼女は最後に地図を一瞥にして、歩き始めた時に、私は思わず彼女に抱きついてしまっていた。
最初の内は彼女も引き剥がそうとしてたのだが、何故かそれを止め、こんな声をかけられたのだった。
「すみません……放してくれませんか?」
可愛い!
……そんな声質に対しての感想は今はどうでもいいんだ。それよりも、この子の発言に応じなければならない時分となっていた事に気付いた。
私は抱きつくのを止め、謝ろうとしたのだが、その前に、隣に居たりりが、大声を上げてこう言った。
「シャ、シャベッタアアアアアアアア!!!!」
五月蝿い……。実に不愉快ではあるが、私も多分言えない気がするので、何も言わなかった。
そして、私が先に聞こうとしていたことを、続いてもりりが聞いた。
「ねぇねぇ。貴方クラスの人じゃないわよね……? だったら、貴方の名前は……?」
名前を問う質問であるのだが、こういう答えが返ったきた。
「アルジェンティアです」
可愛い名前だと思う。でもそれはどうでもいいのだ。
私達4人組は、転移する前から旅をして、色々回ってみようという決定事項があった。
だから、私はその旅に一緒に来ないかと言うことにした。
彼女は何もできなくても、私達のマスコットキャラクターになってくれればという意見が、おそらく他の人も思っていて、それが総意だろう。
だが、私がそれを提案する前にりりが声をかけた。
「アルジェンティアちゃんだね! 貴方はなんでここに……?」
ふむ。それを聞くのも重要かもしれない。
あれ待て。実は、この女の子、クラス転移で飛んできた人だけど、名前と容姿を騙っているだけの人かもしれない。
もしアルジェンティアちゃんが名前と容姿を騙っている人だとしたら、おそらくここは安易な手として、記憶喪失を選択する気がする。
「わかりません……気付いたらここに居て……」
その安易な手だった。
でも、それにしても可愛いというのは事実であった。
アルちゃんが、容姿を騙っている人で、私達の妨害をしようとしている人だったとしても、一緒に旅が出来れば、悔いは無い。どころか、嬉しい限りである。
ということで、アルちゃんに一つ提案をした。
「アルちゃん。私達と旅しようよ!」
だが、その前からアルちゃんは物事を考え始めた様子だった。
何か、私達には見えない、謎力が働いている気がした。
それは予想通りとも言えるだろう。
私は意識を失った。
ぐーすかぴー。ぱちり。
目を覚ました。
すると、皆、寝ていた。ぐー、ぐーと音を立てる。までとは言わないが、スヤスヤと眠っていた。
だが、それより重要な事項があった。
アルちゃんが消えていた。
まさか、アルちゃん……誘拐されてないよね……? と思った。
あり得るっちゃああり得る。
けど、今は状況確認だった。
私はまだこの世界の景色を見て、アルちゃんの姿を凝視していただけだったのだ。実質的な世界観には一切触れていなかった。
ここで、私は、転移前言われてたような気がすることを思い出し、まずステータスの有無を確認してみることにした。
自分の能力は、ステータスを見ればわかるのか、誰かに鑑定してもらわないとダメなのか。
それを見極める為にも、ステータスを開くように念じた。
すると、予想通りステータスが開いた。そこには、煩雑なことが書かれていた。
Name:浅田 朱莉 性別:女 Lv11(0/4096) 種族:人間
HP:2900 MP:5700
Job:空間魔術師
ステータス-
STR:5(5)
VIT:6(6)
DEX:11(11)
AGI:7(7)
INT:15(13)
MEN:13(13)
(0/55)
詳細+
装備+
スキル+
まず、強いのか弱いのかがよくわからん。
でも、ジョブは空間魔術師となっていて、強そうだった。
スキルという欄を開くと、そこには何とも強そうなスキル、転移というものがあった。
ちなみにその効果は、真名、つまり私で言うと"浅田 朱莉"といったようなものを知っており、一回でも肌に触れたことのある人物の元になら半径3m以内の空間なら移動可能だ、ということだ。
おまけに、消費MPを増やせば、一緒に味方を連れて行ける。だが、その場合、空間魔術師の肌に触れていないとだめだそうだ。
つまりは、アルちゃんに、ファミリーネームがなければ飛べるという結果がそこに表示されていると同義だった。
早速飛んでみようとしたのだが、他の人はまだ寝ていることに今更気付いた。
少々手荒だったが、皆起こし、皆で飛ぶことにした。
ちなみに、他の子にもスキルとかを確認してもらった。
ゆりっちは、回復魔術師。
りりは、剣姫(!?)。
はなちゃんは、プリンセス(!!?)。
後半少々おかしい気もするが、回復魔術師は、回復魔法を使えて、剣姫は、剣を非常に上手に使いこなせて、プリンセスに関しては、範囲内の味方の能力があがるとかそんな感じだった。他に副効果もあるかもしれないという。
前衛が足りてよかった。
ちなみにりりは、剣も合わせ持っていた。安い物らしいが。
だが、これで大丈夫だ。
アルちゃんを救い出せるか、アルちゃんと一緒に死ぬか。
もうこのどちらか二つしかない。
だから、私は行く! アルちゃんの元へ!!!
9/10はサプライズデ~
申し訳ありませんが、書き溜め分があと一話しか残っておりません。
先が見たい人はまた新しく書けるまで待っててください。
話の展開ももうそろそろ決めないとなぁ……。
けれど、いかんせん最後に書いたのが今年の5月とかでもう三分の一年は過ぎていて記憶の片隅にすら残ってない!
頑張って覚えなおします。そして10万字目指して頑張ります。
勿論、こんな感じに4ヶ月も失踪したら冷たい目で見放してください!
それでは、また会う日まで! ボンジュール!
ちゃう! それ"こんにちは"や!
ってことで改めまして、また会う日まで! シー・ユー・アゲイン!