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1-1 ドSはクズなので殺してもいいとおもいます。

朝が来た。

ここは魔物最弱地帯シルヴァ草原。

『冒険者始まりの街シルヴァ』の周辺に広がる草原だ。

近くに森がある以外には特に何も無い、至って普通の草原。

俺は夜明け前に、その森にあるオークの集落から歩いてやって来た。


なぜこんなに早い時間から草原に来るかというと……


「お、来たな雌……ちょうどいい。一人か」


そう、駆け出し冒険者が活動を始める時間だからだ。

そして俺は、その冒険者を狩る。


俺達は『魔王軍オーク隊雌攫い班』に所属しているサクラとユイ。

仕事は人間の女……もとい苗床を攫う事で、勤務時間は午前4時〜午前6時の2時間。


なぜこんな短時間勤務かというと、朝早くから働かないと食べていけないレベルの駆け出し中の駆け出し冒険者なら狩易いからだ。

そしてこれ以上遅い時間になると、中途半端に強い中堅冒険者が働き出したりする。

だから2時間だけ自ら狩りに出て、残りの時間は集落の自主警備or休憩。


そしてここ大事、『今日は俺の初出勤日』だ。


という訳で初出勤日の初仕事、景気良く始めようじゃないかと相方のユイを見ると、真顔で尋ねてきた。


「あの、サクラさん。昨日のオカズはやっぱりユイだったんですか?」

「ファッ!?」

「昨日の夜、サクラさんが集落なのに野宿しているって聞いて見に行ったんです。そしたらオナり始めたのでつい覗いてしまいました」


ユイが俯き、申し訳なさそうに言う。

今日はオークである事を隠すため、帽子でチャームポイントの獣耳隠しているので表情は伺い知れないが、やっぱり申し訳なさそうなユイ。

(ちなみに獣耳が見えなかったらただの美少女にしか見えない。ほかのオークはオークオークしてたのに……なんでだ?まあ今はいいか)


「い、いや、気にするな。あんな所でしてた俺が悪い。だがそれより、なんでオカズがユイって思ったんだ?」


「だってサクラさん、ユイが見てるの気づいてましたよね?」

「なぁっ!?」

いつのまにかユイは顔をあげ、嗜虐的な笑みを浮かべていた。

俺は冷や汗を浮かべ、泣きそうな顔になる。

いつのまにか獲物の雌もどこかへ消えてしまったが、そんな事にも気付かず、ただただ背筋が冷えていく。


「サクラさん、ユイが見てるのに気づいたからそのちっちゃい包茎ちんぽシコシコしたんでしょう?見られて興奮したんでしょう?威圧スキル使って見てますアピールしたらおチンポビクンビクンしてましたし、確信犯ですよね?あ、でも安心してください♪ 野外でシコシコした挙句見られて興奮する変態露出狂ク()チンポさん、ユイはそんなに嫌いじゃないですよ!」


Mに目覚めたら、どんなに快感だろう……

本気(マジ)(マゾ覚醒)する5秒前だわ……


言葉責めと自己くっ殺で精神的に抹殺された俺を見て、楽しげに嗤うユイ。

その表情は優越感に満ちていて、ポルチオアクメを決めたように蕩けている。


「それじゃあ行きましょうかサクラさん♪ ……あれ?獲物が居ませんね?いつのまにあんな所に……」

見ると雌もとい女冒険者はこちらから離れて行っていた。

顎に指を当ててコクンと不思議そうに首を傾げるユイ(可愛い)だが、明らかにわざとである。


「おいお前、今のわざとだろ」

「えぇ?なんのことですかサクラさん?」

「今の俺達じゃあ、あの冒険者に勝てないと判断した。だから止めたんだろ?」

「さぁどうでしょう?もしかしたらただ虐めたかっただけかもしれませんよ?」

「それは知ってる」


じゃなきゃあんなに楽しそうにやらない。

俺がジト目で睨むと(決して涙目ではない。)ユイが折れて話し始めた。


「はぁ……今の冒険者は、はっきり言って弱いです。ワンパンで倒せます。」

「じゃあなんで……」

「考えてみてください。まだ低レベルのユイとサクラさんがワンパン出来る雑魚が、一人で狩りに出ますか?」

「あ……」

「つまり、あの冒険者は用を足しに一人で仲間から離れていた訳です」

「なるほど……あのまま襲っていたら、奴の仲間に不意打ちを仕掛けられていたかもしれないと言う事か」


「違います」

「え?」


予想外の返答にユイを見ると、なんか双眼鏡を使っていた。

そして無言でその双眼鏡を差し出して来る。


それを受け取り、なんとなしに覗く。


チョロロ………


そんな音が聞こえてきそうな景色が目に入って来た。


「お、お前!?何やって」

「ちょっと黙ってください。そして雌の後ろも見てください」


先程ユイに従って天国を拝めたので、今回も期待しながら指示に従う。

するとそこには、女冒険者の仲間と思われる男冒険者×2が、鼻の下を伸ばしてチョロロ……を見つめていた。


「……気色悪っ」

「何言ってるんですか!さっきサクラさんも同じような顔してましたよ。それより……今です!」


言うが速いか、俺の腕を掴んで女冒険者に向かって走り出すユイ。

ユイのレベルは聞いていないが、かなりの速さだ。


だがそんな事よりも問題なのは……


「そこの女性ぇぇぇ!!!覗かれてますヨォォォォォ!!!」


ユイの絶叫だった。

その絶叫を聞き後ろを振り返る女冒険者。


「うわっ!?お前達何してるんだ!?ぶっ殺してやるのだ!?」


「あ、ち、ち、違うんだレイン!」

「そうだ、これはこいつが言い出した事で、俺はこいつに無理矢理!」

「違うだろうが!お前が言い出したんだろ!?」

「バカ、んなわけ」


「どうでもいいのだ!二人とも、楽に死ねると思うな………四肢を切り裂いてホモォークの集落に放り込んでやるのだ!ケツアナ掘り裂かれて腸をブチまけて死んでしまえばいいのだクソがぁぁぁ!」


責任をなすりつけ合う男冒険者×2を一喝する女冒険者(レインという名前らしい。レイプっぽくていい名前だなと思った。)。

既に3人だけで修羅場っている。

そこに俺を引き連れたユイが乱入しようものなら場はカオスを極めてしまうが、ユイはいったい、どういうつもりなんだろう?


「お、おい。どう言うつもりだ。(小声)」

「分かってないですね。女冒険者に加勢してあの雄を抹殺し、直後に女冒険者を拉致するんです(小声)」

「なるほど常套手段だがエグいな。尊敬するぞ。あと一つ聞くが、ホモォークってなんだ?(小声)」

「ユイ達オークの亜種で、雄しかいません。そして全員ホモなので、男を妊娠させる種族スキルを編み出して子孫を残している凶悪極まりない種族です(小声)」


俺が想像だけで身震いしているうちに、ユイが決定的な言葉を叫んでしまった。


「加勢します!その男は殺してもいいですか!?」

「あぁ、頼むのだ!そいつらはゴブリン討伐クエストで組んでいるだけの他人なのだ!オークに嬲り殺された事にすれば良いから、出来るだけ凄惨に、屈辱的に、拷問さながらの殺し方をするのだ!こいつらは女の敵ダァ!!そこの男も手伝わせてやるのだ!」


「……ぁあ!!殺ってやる!」


もう引き返せない。

どうせ殺すなら人間だと、召喚された日に決めた。


……まあ、レベル8になるまでもう3人殺したから、案外抵抗は無いんだが。

それに……


「……人間は、獲物としては割りがいい」


俺のその昏い言葉にギョッとしたのは誰だったのだろう。

まあ、ユイ以外の全員だった。









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