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水分はココナッツで補おう、ついでにヤシガニゲットだぜ

 さて、野生のバナナと牡蠣やシャコガイ、それにナマコのお陰である程度食糧の食糧の調達の見込みはついた。


 食事をしたらあとは寝るだけなので、ある意味究極のスローライフとも言えるし究極のサバイバルとも言える。


 そして翌朝だが今日は日の出とともに起きることができた。


 そしてフローレス人達はも起きているが、何もなくても彼らはやっぱりなんだか楽しそうな感じに見えるな。


 きっと俺が珍しいことをするのが面白いのだろうけど。


「後は気軽に飲める水分を探さないとな」


 俺の言葉に


「すいぶん?」


「すいぶん?」


「ん、ああ、お前達バナナとか貝とかナマコだけだとのどがかわかないか?」


「のど?」


「かわく?」


 うむむ、フルーツを主食にしているフローレス人には水分の摂取はあんまり必要ないのかもしれないな。


 だが、俺には正直フルーツや貝、ナマコだけだとちょっと厳しい。


 ただ南洋では水分補給に助かる植物があって、それはココナッツだ。


 ココナッツはヤシ科の単子葉植物のココヤシの果実でココナッツミルクやココナッツウォーターは21世紀の日本でも割りと有名だな。


「ああ、なんでちょっと探しものに行くが一緒に来るか?」


「いくー」


「いくー」


 というわけでいつものように彼等を引き連れて海岸に行く。


「まずは落ちてるココナッツがあれば木に登らなくていいんだが……。

 あ、結構落ちてるな、これは助かる」


「あったー」


「あったー」


 今までは気にしていなかったので見落としていたが熟したココナッツはあちこちに転がっているので集めるのは意外と簡単だった。


 フローレス人たちも楽しそうに落ちてるココナツを拾い上げている。


 しかし、まだまだ問題がある。


 ヤシの実は「外果皮」「中果皮」「内果皮」と呼ばれる三種類の硬い皮で厚く覆われているので当然そのままでは中のココナッツウオーターは飲めない。


 そして人間が素手でココナッツの硬い殻を割るのは無理だ。


 しかしながら岩や石を使えば簡単ではないがココナツを割ることは出来る。


 まずは大きめの石を拾い集めてココナッツのとがった面を上に向けて固定し、それの上に大きな石を落としてやれば重さと衝撃でココナツにヒビが入る。


「あいたー」


「おー、真似するのはいいが落とした岩を足にぶつけるなよー」


「いうのおそーい」


 確かにぶつけてから言っても遅いか。


「すまん、もっとはやくいうべきだった」


「だったー」


 まああんまり気にしてないみたいだし大きな怪我もないみたいでよかった。


 で、まずは一番外がわの外果皮に縦の割れ目ができたら、ココナツを上下逆さまにして反対側にも岩を落とすと全体に大きなヒビが入るのであとは割れた外果皮を手でこじ開ける。


 そうするとちょっとふさふさした中果皮が出てくるのでこれもむしる。


 ちなみにココナッツファイバーともよばれるこれは撚ればロープなどに出来るほど丈夫な植物繊維だ。


 そして原始的な衣類や網などにできないこともない、当然そうするのには相当な手間がかかるけどな。


 そして焚付にも使える中々万能な素材なのだ。


 で中果皮を剥ぎ取れば中果皮ココナッツの種の殻である内果皮が出てくるからこれを開けられれば、ココナッツウォーターが飲めるはず。


 種子の底面にはある目のようなくぼみの上を通る筋状の出っ張りの中間部分を岩に勢い良くぶつけると、種子がパカっと2つに割れるので中のココナッツウォーターをこぼさないように、急いで飲む。


「んー美味い」


 真似をしていたフローレス人もココナッツウォーターが飲めたようだ。


「んまー」


「んまー」


 ココナッツウォーターはスポーツドリンクや生理食塩水代わりになるほどミネラルが豊富なのもよい。


 で、中に溜まっていたココナツウォーターを飲んだら、内果皮の内側のココナツの白い果肉を食べよう。


 牡蠣の貝殻をスプーン代わりに使ってココナツの果肉を削リとって口にする。


「ほんのり甘くていいな」


「いいなー」


「いいなー」


 そしてある程度果肉を削ったココナッツをカマドの周りに放置して今日は帰る。


「あー、久しぶりにたっぷり水分突端で蘇ったな」


「よみがえった!」


「よみがえった!」


 そして一晩寝て起きた後で昨日おいてきたココナッツを見にくればヤシガニがむしゃむしゃと残ったココナッツを食べている。


 ヤシガニは蟹と言いながら実際は巨大なヤドカリで小さな頃は貝の中に入って過ごすがでかくなり過ぎてやがて貝殻に入れなくなってしまうというちょっとお間抜けさんなのだ。


「良し、ヤシガニゲットだぜ」


「だぜー」


「だぜー」


 ヤシガニの捕獲はとてつもなく強力なハサミに挟まれることにさえ注意すれば動きは遅いのでそこまで難しくない。


 そして煮ても焼いても非常に美味なのが素晴らしい。


 ヤシガニをじっくり炙って中まで火を通して食べることにしよう。


「このあたりに住んでるヤシガニには毒はないはずだが……」


 貝毒やヤシガニの毒は食べているものの種類によるのでこのあたりだと大丈夫な可能性は高い。


 もっとも死んで腐りかけた動物や魚なども食うから雑菌まみれな可能性は高いのだがそれはシャコも同じか。


 そして十分火が通ったら石で殻を割って食べてみる。


「うん、やっぱ美味いわ」


 同じようにフローレス人もヤシガニの殻を割って食べる。


「うまー」


「うまー」


 ナマコに比べるとヤシガニは生息域では実際良く食べられていたらしいし、やはり美味いと言うのは古今東西変わらないのだろうな。


 そのせいでヤシガニが絶滅してしまった島もあるようなのではあるけど。

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