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貝は比較手に入れやすいタンパク源

 さて、フローレス人が俺のためにとってきてくれたバナナがだが、彼等には申し訳ないが俺の食欲を満たすには全然足らない。

脳と赤血球は多量の糖質を筋肉は脂肪を必要とするんだがもちろんそれは体積の大きさによるわけでフローレス人の脳容量の少なさや身長の低さなどは氷河期以外は小さな島になってしまうここに適応した結果なのだろう。

大型肉食獣などがほとんどいない状態であれば大型化をする必要性もあんまりないのだろう。


 しかし、本来であれば21世紀とは大気中、土壌中も含めてバナナに含まれている細菌や真菌、ウイルスなどは全く違い呼吸するだけでもコロナウイルスによって肺炎を起こしてもおかしくはないのだが、フローレス人たちと何故か会話できるのとともに呼吸しバナナを食っても特に問題は起きないように何らかの力は働いているらしい。

まあ、転移した瞬間に肺炎で死んだんじゃ俺を転移させた存在にとっても不都合なことなのだろう。

どんな理由でどうやって俺を転移させたのかはわからんが。


 それはともかく洞窟からしばらく歩いて青い海が見える岩の海岸に到着。

幸いなことに日差しは暖かくて水にはいっても凍えて死んだりすることはなさそうだ。

こういった熱帯の浅い海にはシャコガイや牡蠣、サラサバテイやクモガイなどが居るからそれを捕まえれば美味しくいただけるはずだ。


「さて、いるかな?」


 俺は水に入って海水中の岩を見ると、うん、やっぱりいるな。

牡蠣というのは世界中に居るから古くから世界的に喰われてきた貝なのだな。

もちろん張り付いているそれを俺が素手で取るのは大変だが移植ゴテを使えば岩から剥がしたりするのもかんたんだ。

そしてシャコガイは熱帯域でないといないが熱帯の海では良く食べられている貝だ。

そして貝類は栄養もなかなか豊富なのが良い。

フローレス人たちが薄めの石をつかって真似して牡蠣などを岩から剥がしてるるようだが大丈夫かな、大丈夫か。

彼ら彼女らは樹上のバナナを普通に取ってくる程度に筋力に知能は発達しているわけだしな。


「怪我しないように気をつけて付けてくれよ~」


「けがーしないー」


「けがーしないー」


 うむ貝がたくさんいてもそんなに長持ちするものでもないし何個か取れればいいな。

それよりも意味がわかっているかどうかよくわからんフローレス人たちは貝を食えるのかと後はどうやって食べるかだがな。


「やっぱ焼いておいたほうがいいか」


「やくー」


「やくー」


 もちろんここにはコンロも何もないし、そもそも火から用意しないといけない。

牡蠣もシャコガイも生でも食えるが食べやすいとはいえないしな。

エブゴゴはなんでも生で食っていたというが70万年前くらいのフローレス人達は小型の象やゾウガメを狩って食べてもいたようなんだが、10万年ほどしてそういった狩りやすい動きの遅い動物は一度絶滅してしまったらしいし、その後はフルーツをメインにしていったらしいのだよな。

最も今現状のフローレス人も火や石器自体は使っているようなので多分大丈夫なのだろう。

スンダランドが繋がったりはなれたりしてそういった象やゾウガメなどの動物がまたはいってきたから、果実が取れないときには狩りもしているんだろうけど。


「貝を焼いて食ったことあるか」


「?」 


「?」


 うむ、意味が良くわかってないようだ。

貝は食ってなかったのかな?

問題はどうやって火をおこして貝を焼くか何だがな。

幸いなことに発掘道具として身につけていたルーペがあるからこれで太陽光を集めて火をおこすことは出来ると思うがその前に竈のための大きめの石と枯れ枝や枯れ葉と生木を集めないといけないな。


「落ちてる枯れ枝と、まだ木に生えている生木の枝を一緒に集めてくれるか」


「あつめるー」


「あつめるー」


 石は熱を逃さないためと高さを得るため、枯れ枝や枯れ葉は燃やすため、生木の枝は海水で濡らして鉄の網代わりに貝を載せるのだ。

まずは適当な大きさの石をコの字型においてその中に枯れ枝を置き、その上に枯れ葉や乾いた樹皮を乗せてルーペで照らすとやがてモクモクと煙が出てきて火がつく。


「わー」


「わー」


 火がついたら竈の上に海水に浸した生木を渡して火の上に貝を置けるようにする。

そしてシャコガイや牡蠣を細い生木の枝を使って火の上に置くと段々と良い香りが漂ってくる。


「熱いから食べるならちょっとまって冷めてからな」


 俺は貝を火からおろした後でそう言うとフローレス人がコクコク頷く。

焼けた貝殻を持ってやけどしたら目も当てられないからな。


「まつー」


「まつー」


 後は予熱で貝の身がいい感じに加熱されるのを待って食べるだけだ。


「よーしそろそろいいぞー」


「いいぞー」


「いいぞー」


 十分に焼けた牡蠣を手づかみで食べる。


「んー美味いなー」


 海が綺麗なこの時代だからこそか干潟などで感じるのあの生臭い嫌な匂いもしない。


「うまー」


「うまー」


 貝は採取の手間はあまりかからん代わりに貝殻の重量に比べて中身が少ないものが多いという欠点があるのだが、大きな牡蠣やシャコガイであればその問題も割と少ないように思う。


 しかし、彼等は体が小さいからかそんなにたくさん食べる必要はないみたいだ。

効率的なのはある意味羨ましくはあるな。


「あーそれにしても美味いな。

 特に味付けとかしてないのに」


「あじつけー?」


「あじつけー?」


「ん、言っても良くわからんか」


 首を傾げて彼らはいう。


「わからーん」


「わからーん」


 最もこのあたりはスパイスの類もあるはずだが無理して手に入れないといけない必要性もないな。

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