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サピエンスも少しずつここでの生活に慣れてきたようだ、ココナッツファイバーで履物とバナナの葉っぱで簡単な服を作ろうか

 さて、最初は色々おっかなびっくりでココナツを割ったり牡蠣を剥がして焼いて食べたりしていたサピエンスたちの男女もなんとか馴染んできた。


 そして、彼らは何故か俺を神もしくは神の使いのように崇めるようになったのだ。


「俺たちには取れなかったバナナを俺達でも取れるようにしていただき、ココナッツを割れるようにしていただけ、俺達は今も生きることができるようになりました。

 本当にありがたいことです」


「あなたには感謝しかありません」


 そう言われても別にそこまで感謝されるほどとも思わんのだが……。


「あ、ああ、別にそんなに感謝されることじゃないんだが……」


 最も男は狩りや木登りで食料を得る、女は子供を生むという成人資格を得られず集団から追放されたものたちはほぼ餓死することになったろうから今でも生きていられるのは奇跡的なのかもしれないけど。


 俺が神様だとしたらフローレス人達は天使かな?


 もっとも餓死する手前でヒョロガリだった彼らの体つきもも大分ましになってきてるしいいことだな。


 そういえば、東南アジアやニューギニアを中心に各地に見られるバナナ型神話では神が人間に対して石とバナナを示し、どちらかを一つを選ぶように命ずるが人間には食べられない石よりも、食べることのできるバナナを選ぶが硬くて変質しない石は不老不死の象徴であり、ここで石を選んでいれば人間は不死になることができたが、バナナを選んでしまったために短命になってしまったという話があるのだが、この神話における石というのは実は岩牡蠣ではないかと思う。


 そして岩牡蠣では無くバナナを選んだ理由はおそらく津波だろう。


 21世紀でもスマトラの大津波で多くの人間が津波にさらわれて死んだが、このあたりは大きな地震がよく起こる。


 なので海岸沿いで牡蠣を取って暮らしていると度々津波の被害をうけて壊滅的になっただろうから内陸部でバナナを食べるようになったのだろう。


 しかし、牡蠣を含んだ貝類は栄養豊富であるがバナナばかりでは栄養が偏って死にやすくなったんじゃないだろうか。


 結果として以前より短命になったことでこんな神話ができたように思う。


 まあそれはそれとして生活の改善を進めようか。


「さて、そろそろ俺の靴や服もぼろぼろだし、履物や着るものをココナッツの繊維を編んでつくってみようか」


 俺がそういうとフローレス人もサピエンスも一様に首を傾げた。


「あむー?」


「あむー?」


「あんで作るとはどういう意味でしょうか?」


 うむ、そもそも編むという概念がないか。


「大雑把に言えば糸を交互にくくったりして、足の大きさにしたりして足の裏でちょっと尖った岩を踏んでも怪我をしないようにしたいんだ。

 あと腰回りも守りたいしな」


「なるほどー」


「なるほどー」


「確かに岩の上を歩いたりすると足を切るときがありますね」


 どうやら納得してくれたようだ。


 先ずは男の腰回りや女性は胸周りを隠すために縄を結って腰や乳房の上で縄を結んでバナナの葉っぱなどを縄に結わえ付けて陰部や乳房が隠れるようにする。


 聖書でアダムとイブが知恵の実・禁断の果実であるイチジクの葉で陰部を隠したとされてるがこの実とは実はバナナのことで彼らが陰部などを隠した際に使われたのも実はバナナなのではないかとも言われている。


「こうすれば葉っぱなんかで腰回りや乳房を斬らなくて済むようになるからな」


 フローレス人はやはり元気に答える。


「すむー」


「すむー」


 サピエンスも喜ばしげだ。


「なるほど、これは良いですね」


「本当ですね」


 寒冷地に適応したネアンデルタール人なんかは全身を覆う毛皮の衣服や履物をとっくに身につけているという話もあるが、海退によって紅海が干上がってアフリカから海岸沿いを歩いてきたサピエンスは防寒のための衣服や履物は必要なかったのかもしれない。


 もっとも毛皮では暑すぎて熱帯では衣類に不向きでは有っただろうけど。


 西アジアに北上した一部サピエンスはネアンデルタール人と一緒に暮らして衣服や履物を身に着けていったらしいけどな。


 そして履物を作るためにとりあえずココナッツファイバーで縄を長めに結ったあと、両脚を投げ出して床に座り、まず縄を足の大きさに合わせて丸めたあと両足の親指にロープをかけ、内側からかかとの方に伸ばしながらロープを交差させ、交差した部分をむすぶ。


 この状態から編み布をきゅっと結んでから、4本の糸を表裏になるように交差させたあと縄が通ったらギュッとかかと側にてで押し付けて網目を詰める。


 原理的には機織りと同じだな。


 これをつま先側が詰まるまで繰り返せばまず底になる部分ができる。


 あとは鼻緒をつければ草履(ぞうり)、かかとの方に糸を通せるように輪っかをつけて周りを一周させて足首で縄を結べば草鞋(わらじ)だ。


「こんな感じだ、わかるか?」


 フローレス人達は元気に答える。


「わかるー」


「わかるー」


 一方サピエンスたちは自信なさげだ。


「こ、こうかな?」


「こんな感じでしょうか」


 俺はサピエンスにゆっくりやり方を見せながらいう。


「ああ、焦らなくてもいいぞ。

 多少間違っても問題はないしな」


 ま、急ぐ必要はないのでのんびりやらせてみた。


 革のサンダルと比べて縄の草鞋は濡れた岩でも滑らないというメリットが有る。


 時間はかかったが皆履物を作ることはできた。


 実際に履いて歩いてみるが結構いいぞ。


「うん、素足と比べて岩場を歩いても痛くないのはいいな」


 フローレス人もサピエンスも同じようにはいて歩いているし。


 俺がそういうとニコっと笑って頷いた。


「いいー」


「いいー」


「そうですね」


「これで牡蠣を取るのも楽になりますね」


 彼ら彼女らは足裏の皮は厚くなってると思うけどやっぱ履物が有ったほうがいいもんな。


 縄にたらした葉っぱで体を覆えばさらに怪我も減るだろうしいいんじゃねえかな?。

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