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とりあえずサピエンスたちも自分の食い物は自分で確保できるようになったんじゃないか

 さて、まずはココナッツと牡蠣などの貝の採取から始めたことで、今までは無駄飯喰らいとサピエンスの集団では後ろ指を刺され冷たい視線を浴びてきたんであろう彼ら彼女らも自力で飲水と食べ物を得られたことで多少は自信をつけることができたようだ。


「やはり自分で食べるものを得られるのはいいことだな。

 今までは食い残しの腐りかけとかしか食えなかったから

 余計そう思うよ」


「本当に神様に感謝しないとね」


「いや、この人こそ神の使いなんじゃないか」


「そうかもしれないわ」


 そんなことを言ってるサピエンスに苦笑しつつ俺はいう。


「あー俺は別に神様でもなんでもないぞ。

 そう仕向けた存在はいるんだろうけど」


 サピエンスもフローレス人も一様に首を傾げている。


「存在?」


「そんざいー?」


 もちろん俺にもわからんけど神様が俺に何かしてくれという理由でここに飛ばされてきたのかね?

ちなみにサピエンスやフローレス人にも”神”と言うべき抽象的的な存在は既にあるらしい。


「まあ、今は目の前のことから対処していこう。

 次はバナナなんかを自力で取ることだな。

 縄を使って木を登りやすくしてあるから

 縄を使って登る練習から始めよう」


 フローレス人が賛成とばかりにいう。


「やろー」


「やろー」


 サピエンスたちはやっぱり不安な表情だ。


「木登りかい?だ、大丈夫かな」


「大丈夫だ!俺でも登れるようにしてあるからな」


 俺達はみんなで洞窟を出てバナナの木にココナッツファイバーの輪っかつきの縄を下げてある場所へ向かう。


「最初は低めのやつから始めよう。

 お前さん達は高いとこからとってくれ」


 俺はサピエンスには3メートル程度の低い木から、フローレス人は10メートルにもなる高い木からバナナをとってくるようにいう。


「わかったー」


「わかったー」


 フローレス人達はそう応えるとスルスルとバナナの木をよじ登っていく。

彼らは体重が軽い割に手足の力が強いから木登りは余裕。

一方のサピエンスはバナナの木に結びつけてある輪っか付きの縄の輪を使って恐る恐る木を登っていく。


「落ちたらどうしようとか余計なことは考えるな。

 輪っかに足を入れて踏ん張ってればそう簡単には落ちんからな」


「は、はい」


 彼ら彼女らの問題は身体能力そのものより自信を持ていないでいる精神的なもののほうが大きいような気がする、狩猟にせよ果実の採取にせよ今まではある程度の身体能力がないと難しかったのだろう。


「大丈夫だ、やればできるさ」


「は、はい」


 まずは3メートル程度の低いバナナの木からでもバナナを取ってこれれば自信につながるだろうし、それで食料の確保もできる。


「取れましたー」


「じゃあ、バナナは落としてからゆっくり降りてきてくれ」


「わかりましたー」


 バナナを持って降りてくるのは意外と大変だ。

だから最初はとったらその場で落とさせて降りることに集中させる。

登るより降りるほうが危ないからな。


「やった、降りれましたよ」


 無事にバナナから降りれて喜ぶサピエンス。


「やったー」


「やったー」


 自分のことのように喜ぶフローレス人。


「ああ、やったな」


 まだ釣りとかは難しいかもしれないので、当面は貝とフルーツで食いつなぎながら、土器や石器、紐や縄などの道具作りも教えておくとしよう。

紐の撚り方や縄の結い方を実践しながら教えるがうまくできないもんも結構多い。


「意外と大変ですね、これ」


「ああ、でも紐や縄は色々な使い道があるから作れるようにならないとな」


「はい!」


 前向きなのはいいことだな。

ちなみに紐や縄を作るのは圧倒的に女のほうが得意だ。

どうやら男は地味な同じことを長時間続ける作業にはあまり向いていないらしい。

狩猟には瞬発力のほうが重要だからだろうか?。

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