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とりあえずサピエンスにはココナッツの割り方や貝のとり方から教えようか

 さて、フラフラだったサピエンスたちだがバナナを食って一晩ぐっすり寝たことで大分元気にはなったようで、フローレス人達はもとから元気だったが人が増えたことを喜んでるように思う。


「さて、とりあえず自分の飲み食いするものは自分で

 えられるようになってもらわないとな」


 俺がそういうとサピエンスたちは怯えた表情になった。


「俺達はそれができないから追い出されたんだが……」


 確かに彼らは体格も貧相だしおそらく不器用だったりして要領も良くないのだろう。


「まあ、多分大丈夫だ。

 とりあえず一緒に来てくれ」


 サピエンスたちは顔を見合わせたあとで、フローレス人達は元気よく俺のあとについてくる。


「先ずは飲み水の確保でココナッツの割り方を教えるぞ」


 食べ物より飲料水の確保のほうが短期的には重要だからな。

土器が焼けるようになったから雨水を土器にためておいて一旦沸かしてから飲んだりすることもできるようになったけど、ココナッツウォーターはスポーツドリンク代わりになるくらいミネラルが豊富だしココナッツファイバーも重要な資源だからちゃんと割れるようにしておくに越したことはない。


「先ずは落ちてるココナッツを一人一個ずつ探してくれ」


「わかったー」


「わかったー」


 フローレス人達は手慣れた様子で散らばっていく。


「俺たちも落ちてるココナッツを探して持ってくればいいのか?」


 サピエンスの一人がおどおどとした様子で聞いてきた。


「ああ、ココナッツの割り方を覚えるのは重要だからな」


「わ、わかった」


 サピエンスたちも意味がよくわかっていないだろううが、落ちているココナッツを探しにいった。

ココナッツ自体はあちこちに落ちてるんで探し出すこと自体は難しくない。

まずは一番外の殻を割るために大きめの石を拾い集めてココナッツのとがった面を上に向けて固定し、それの上に大きな石を落としてやる。


「こんな感じでまずはココナッツの一番外の殻を割ってくれ。

 石を足に落とさないように気をつけてな」


「わかったー」


 フローレス人達はもう手慣れたものだ。

サピエンスたちは恐る恐るやってるがそのほうが帰って危ない。


「ちっとはなれたとこから岩を思い切り落とした方がいいぞ」


「わ、わかった」


 岩を落として一番外がわの外果皮に縦の割れ目ができたら裏返してもう一度岩を落とす。

こうして割れた外果皮を手でこじ開ける。


「毛はいろいろ使えるから捨てないで取っておいてくれな」


「あ、ああわかった」


 余裕でココナッツファイバーをむいているフローレス人とおっかなびっくりやってるサピエンスとが対照的だが、これをひたすらむしって中身にたどり着いた。


「じゃあまずは水を取り出すためにココ(猿)の目や口に見えるところに

 細い木の枝を指して、それを石槌で叩く。

 そうすれば穴が開くから、でかいシャコガイの貝殻の上に

 ココナッツウオーターを出す」


 俺が穴あけをしてシャコガイにココナッツウオーターを取り出して見せた後でサピエンスたちにちょこっとずつ飲ませてみた。


「これはうまいな」


「だろう?」


 以前は割って開けていたのでココナッツウォーターを結構こぼしてしまっていたが、猿の顔のような凹んだ部分に細い木の枝を差し込んだ状態で丸い石を木の棒にココナッツファイバーの糸で結びつけた石槌で叩くことで穴を開けられるようになっていた。

穴を2つ以上開ければ中のココナッツウォーターを取り出すのは簡単なので無駄にこぼすこともなくなったのだな。


「で、中のココナッツウォーターを全部出したら

 筋状の出っ張りの中間部分を石槌でコンコン叩いていけば

 パカっと割れるぞ」


 石だけを使うより石と木を組み合わせたほうが安全だし楽だ。

ココナッツファイバーの糸はかなり丈夫なのは助かる。


「あとは貝殻をつかって中身の白いところを

 剥がして食べれば結構うまいぞ」


 フローレス人達はなれた手つきでココナッツを食べてるし、サピエンスたちも悪戦苦闘しながらココナッツウォーターを飲んでココナッツミートを貝殻ですくって食べる。


「たしかにこれはうまい」


「本当ね」


 サピエンスの男女が無事にココナッツからココナッツウォーターを取り出し、ココナッツミートを食えるようになったら次は貝を取らせる。


「岩場には貝がいっぱい張り付いてるから

 これを使って剥がして集めてくれ」


 貝をはがしやすいように棒の先に石をくくりつけたものを渡してサピエンスたちに牡蠣などを取らせる。


 俺は潮が引いて水の上に出てる岩牡蠣を引剥して水の上に出て取った牡蠣を見せる。


「これはうまいからな。

 たくさんひっついてるから取れるようになってくれ」


「わかった」


 フローレス人達は余裕で一人一個ずつ牡蠣を引剥してくるが、サピエンスたちはなれないためかなかなか取れない。


「結構難しいな」


「焦らなくても牡蠣は逃げないが水が上がってるから早めにな」


 なんとかサピエンスたちも牡蠣を岩から剥ぎ取った。

あとは火を起こして焼くだけだ。

落ちてる枯れ枝と、まだ木に生えている生木の枝を集めて炉をつくって牡蠣を焼く。


「おお、これはうまいな!」


 サピエンスたちが焼いた牡蠣を喜んで食べている。


「ああ、動いてる動物を捕まえて食べるのは大変だが

 貝なら割と簡単だからな。

 お前さんたちでも大丈夫だろ?」


「本当に助かるよ」


「本当にありがとう」


 ちなみにナマコを焼いて食わせようとしたら嫌がられた。

ナマコもうまいのにな、解せぬ。

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