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大きめの魚を得るためにごく簡単な仕掛けで魚釣りをしてみよう

 さて、土器が幾つか完成したことで、芋のアク抜きができるようになったのは結構大きい。


 世界的には土器は水や食料の貯蔵用に使われたケースのほうが多いのだが、東南アジアから東アジアにかけては最初から煮炊きに使われているのはなかなか興味深いケースだ。


 これでヤム芋やタロ芋という今まではアクや毒のために生では食べられなかったでんぷん質が食えるようになったのは結構大きいのだ。


「ま、フローレス人には今いち評判悪いのだけど」


「おいしくなーい」


「おいしくなーい」


 最もフルーツや貝、ナマコ、海老に比べるとヤムイモやタロ芋は味が無いに等しいからフローレス人にはいまいち喜ばれてないようだがな。


「じゃあ、多少余裕もできてきたし大きめの魚を目指して釣りをしてみるか」


「?」


「?」


 フローレス人達は首を傾げてる。


「ああ、釣りって言ってもわからんよな。

 俺の真似をしてみてくれればいい」


「わかったー」


「わかったー」


 サバイバル生活での食料調達において釣りという手段は実はかなり有効なのである。


 釣りというと竿や糸、針、重りに浮きに餌など沢山のしかけが必要に思えるが最悪の場合、釣り糸と釣り針と餌があればなんとかなるのだ。


 猪や鹿を狩って食べようとするよりも危険は少ないしな。


 そして釣り針というとJの字の形をした金属製の釣り針を想像するだろう。


 古代の釣り針も貝殻や骨、角などを削ってJの字にしたものが発掘されている。


 しかし、これを作るのはとても大変だ。


 だからもっと単純な物をつくって使う。


 それはgorge hookとよばれる細い木の枝の左右を削って尖らせ真ん中に糸を付けたもの。


「先ずは枝を取りにいくぞー」


「いくぞー」


「いくぞー」


 木の枝であれば特に特別なものである必要はない。


 適当に落ちてるものを拾い上げる。


「見つけたかー?」


「見つけたー」


「見つけたー」


 見つけた木の枝を1センチ位に手で折る。


「じゃあ、このくらいの長さで折ってくれー」


「おるー」


「おるー」


 その両端を石器のナイフで削る。


「で、両端を削る」


「けずるー」


「けずるー」


 あとは適当な長さの木の枝と今作った左右を尖らせた針を糸で結ぶ。


「適当な長さの枝と針を糸で結ぶ」


「むすぶー」


「むすぶー」


 これで一応準備完了だ。


 木の枝や小石なり割れた土器の破片なりで浮きや重りもつくったりしてもいいのだが。


「じゃあ、餌を探しに行くぞー」


「いくぞー」


「いくぞー」


 海釣りで簡単に手に入るのはゴカイやイソメなどのワームだな。


 小川の河口部分とかにいるはずなので適当に砂を掘って探す。


「おー、いたな」


「いたー」


「いたー」


 あとは岩場に行って針に捕まえたゴカイなどを刺して海に投げ込む。


「じゃあ、はじめようぜー」


「はじめるー」


「はじめるー」


 魚が食いついたら糸が引っ張られ針が口のなかでつっかえて引っかかる。


「引っ張られたら木の枝をたててくれなー」


「わかったー」


「わかったー」


 そして木の枝をたてれば魚が水の中から出てきた。


「おっしゃー、きたきたー」


「きたきたー」


「きたきたー」


 もちろん針の大きさによって小さい魚や大きい魚は釣れなかったりするが、まだ魚に警戒心がないことも有って、意外ながらみんなちゃんと釣れた。


 連れたのはダツの仲間の何かっぽいな。


 ダツと言うのはサヨリやサンマなどの仲間で細長い体と鋭い口を持った魚。


 釣り上げたらエラを落としたり尾びれのところをナイフで切って活け〆しておくことは忘れずに行う


「よーし、じゃあ焼いてくおう」


「くおー」


「くおー」


 浜辺においてある簡易石コンロにいつものように枯れ枝を探してきてルーペで火をつけ火をおこし、石を熱してその上に釣り上げた魚を乗せて焼き上げる。


 片面が焼けたらひっくり返してじっくり火を通す。


 こうすれば寄生虫がいても大丈夫なはず。


「んー、いい匂いだな」


「いーにおいー」


「いーにおいー」


 焼きあがったらパラパラと海藻についている塩をふりかけてかぶりつくつく。


「おお、うめえ」


「うまー」


「うまー」


 なんとなくサンマっぽい味がする気がするし身もしまってるしこれはいい。


 脂はあんまり乗ってないけどな。


 とは言え魚釣りは釣れる時と釣れないときの差もでかいし少し余裕のある時にやるべきかな。


 駄目でも貝を取ればいいという安心感はあるけど。

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