0話 異世界の想像
この小説は2作品目です。
1作品目はまだ全然書けてないのですが、異世界モノを書きたくて次の作品を始めてしまいました。
興味のある方は是非読んでください。
私たちのほとんどは、「夢」を見たことがあるだろう。
「夢」は現実で起きたことを脳内で整理する働きがあると一般的に知られているが、果たしてそれは本当なのだろうか。
時として、自分がとても裕福で高層ビルから汗水たらして働く下民を見下すほどの存在になっていたり、はたまた、死神が一生追いかけてくるような血みどろな展開が用意されていたりと、むしろ現実とはかけ離れた世界が広がっている事の方が多い。
それは一人一人の頭の中で空が真っ暗になった時に無数に生まれるいわば自動であり、意識とは関係なく今日もまたそれは創造される。
しかしながら、その世界が重なることは天文学的な確率を通り越して、0%である。同じような夢をみていることだってあるんじゃないか...?という疑問があったとしたら断じて否だ。
100%同じ世界が交差することはないと断言できるのは、
それが同じ舞台でない確率が高いから?
それとも同じ物語ではない確率が高いから?
霧台が同じで、物語が同じであることだってあるかもしれない。そんなものよりもっと根本的に違うものがそれぞれの世界では異なる。
1番の違いは、各々が想像した世界の主人公はどの世界でも「あなた」であり、たとえ他人の夢に登場しようと、その世界の主人公はあくまでその人であって、あなたではない。
だから、想像した世界は重なることなく無限大という途方もない数が存在しているし、その1つ1つはまるで波紋のようにどこまでも広がっていく。
突然だが、あなたにはこんな経験はないだろうか。
今日夢を見たが、なぜかはっきりとは覚えていない、しかしなんとなく怖かったような、あるいはなんとなく嬉しかった、と言ったような曖昧な経験。
恐怖、幸福、後悔、優越感、嫌悪、憧れ、嫉妬。夢から覚めた時に人は何かしらの感情が残っている事がある。
しかし、想像し体験した世界について何も覚えていないのであれば、なんでこんな気持ちになっているのかという問いだけが残されるが、答えはまるで消しゴムで消されたかのようにいつまでたっても思い出せないでいる事は少なくない。
もしその世界で人の幸せに貢献し栄誉ある素晴らしい働きをしても、覚えていなければ『無』になるというのだろうか。
もしその世界で仕方なく人殺しをし、その関係者に恨まれ、軽蔑され、嫌悪されても、覚えていなければ『無』になるというのだろうか。
答えは否である。
自分で想像した世界であれば良いことであろうと、悪いことであろうと自分で責任を取るのが『筋』というものだろう。
そんなことを思った誰かが全ての元凶だった。