第08話 「瑞・樹・行・動」(※)
宵待様より頂きました、イラストを挿絵しています。
苦手な方は、挿絵非表示の設定が出来ます、ご注意してお読みください。
來海から下着と服を借りて、來海に教えてもらいながら何とか着替える事が出来た。
淡い緑色のワンピース、膝上の。黄色の長袖のカーディガン、白の靴下。
今は5月だから、春らしく來海らしい服装だ。これはとても可愛い!
着替えてから、鏡を見せらたときホントにびっくりしたよ、これが僕なんだって…。
妹によく似た可愛らしい顔立ち、さすが兄妹…今は姉妹になるのかな?
來海から僕が可愛いと言われるのも少しは納得した…その言葉にまだ慣れないけどね!
でも、着替えるときに妹に裸を晒してしまった…。男性じゃない女性の身体を…。
同姓なのに、なぜかよけいに恥ずかしかった…。
もう何もかも吹っ切れたよ!
靴も足が小さくなったおかげで以前の靴が合わなくなった…來海に借りる事に…。
「じゃあ行ってきますー」
「行ってらっしゃい~気をつけてね~」
とにかく愛生ちゃんに会わなきゃ!会って僕のことも相談しなくちゃ!
愛生ちゃんの相談したい事って何だろう?行けば分かるかな??
慣れないスカートに戸惑いながら、愛生ちゃんの家に向かった。
僕と愛生ちゃんは同じ地区の住宅街に住んでいる。
さすがにお隣ではないけど、距離はそんなに離れていない。
300mぐらいなんだけど…行くまでに大通りを跨ぐので
近所のおばさん達の井戸端会議に出くわす事が多い。
大通りに出ると…噂をすれば何とやら…3人のおばさん達が井戸端会議中でした。
僕は、とにかく目立たないようにおばさん達を見ないように横切ろうとする。
「ねぇ見て見てーあの子すごく可愛いわね~」
「ほんとー近所の子かしら」
「この近所では見ないよね」
やっぱり、話題にされちゃってるよ…。
うー恥ずかしいよー急がなきゃ!!
おばさん達の目を逃れるようにその場を走り去った。
ふー何とか愛生ちゃんの家にたどり着いたよ。
ここまで来たら…なんだか緊張してきた…。
愛生ちゃんに僕のこの格好見られるんだよね…恥ずかしいな~。
この格好でおかしくないかな?あれこれ悩んでも仕方ないよね…
どうにでもなれ!行っちゃえ!!
「和泉」っ書いてあるプレートの横にあるインターホーンを押す。
ピンポーン♪
『はーい、どちら様ですか?』
え!?愛生ちゃんの声じゃない??
この声は愛生ちゃんのお母さんだ…まずい!!
愛生ちゃんが出てくると思っていたから、この展開は考えてなかったよ!
僕の気持ちを無視したように、玄関の扉が開いた…。
ガチャッ!
「どちら様ですかー」
愛生ちゃんのお母さんだった。
和泉 朱美いずみ あけみさん、愛生ちゃんのお母さんで
僕の母さん、朝比奈 良海あさひな よしみと親友でもある。
愛生ちゃんと同様に活発で気さくな方なので、とても喋りやすい。
僕が何も答えずにあれこれ考えていると、おばさんは首をかしげて
「…どちら様?」
あ!そっか…今僕は女の子だったんだ…。この姿を知るわけ無いよね…。
どうしよう!?ホントに何も考えてなかったよ…何とか切り抜けなきゃ!!
「あ!えっえーと、ぼ…私は愛生ちゃんの友達で、あのその…愛生ちゃんいますか?」
「あら!可愛い子ね~愛生は部屋にいるからどうぞ!」
「はい!お邪魔します!」
僕はそう頭を下げて、おばさんが玄関に入るように扉を開けて待っててくれていた。
何とか誤魔化せたのかな!?さすが愛生ちゃんのお母さんだ…。
難なく信用されちゃったよ。さぁ!これからどうしようかな…。
愛生ちゃん、絶対びっくりするだろな…何か緊張してきたよ…。
ストックが増えたので調子に乗ってあげてみた。
これが後々、痛い目に合うかもしれないのに…。