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第61話 「口・付・未・遂」

私たちは、ここであった出来事が、現実ではなく、まるで夢だったかのように…笑いながら話をしていたんだけど……突然、愛生ちゃんが真剣な顔をして…。


「それよりも…瑞樹?何で尾上くんと屋上で会う話が…いつの間にか矢城や葦原の2人が出て来て、こんな事になってたのさ??…尾上くんとあの2人……まったく繋がりが分からないんだけど?」



そうだよね…尾上くんとあの2人との接点なんて…分かるはずもない。私が中学時代に、あの2人に虐められていた話から始めないと…話がまったく繋がらないと思う…。

でも、どうしよう…中学時代に虐められていたことを愛生ちゃんには一切、話をしていない。愛生ちゃんに心配をかけたくなかったから…何も言えなかった。あの2人から暴力を振るわれてケガをしても、家の階段から落ちた…とか、そう言って…いつも誤魔化していたし。



「……」


「…ボクに何か隠しているね…。前にも言ったけど、そうやって1人で何もかも抱え込むのは、瑞樹の悪い癖だよ?…そんなにボクは、瑞樹の頼りにならないのかな??」


「…え!?えっと…そんなつもりじゃ…なくて…その…。」


私は…愛生ちゃんに言い寄られて、つい愛生ちゃんから視線を逸らす。


「じゃあ、どんなつもりなのかな?…はっきり言わない悪い子には…お仕置きが必要だね!えいっ!!」


そんな掛け声とともに、愛生ちゃんが私の脇腹を擽り始めた……え!?


「きゃっ!あっ愛生ちゃん!?ちょっちょっと!くすぐったいよー!!あははーやめてよー!!」


私は、愛生ちゃんの両手に自分の手を添えて、擽るのを止めようとしたんだけど…愛生ちゃんが更に強く擽ってきて…。


「みーずーきー、さぁはくんだー!さっさと、はいちゃえー!!」


「いやぁぁぁー!あははーくすぐったいよー!!もうだめー!!あははー!!!」


私は擽り攻撃から逃れようと、後ろに移動をしようとしたのだけど、まだ腰が抜けてて力が入らなくて…そのまま後ろに倒れてしまった!その際に私は愛生ちゃんの両腕を握ってしまって…



「きゃっ!……あいたた、ごめんね?私まだ足腰が立たなくて…。」


私は愛生ちゃんに謝りながら、そっと目を開けると……目の前に愛生ちゃんの顔があった!…え!?ちっ近いよ!!…倒れている私に、愛生ちゃんが覆いかぶさる格好になっていた。


「…瑞樹。」


「あっ愛生ちゃん!?」


愛生ちゃんが、私の顔をじっと見つめていて…すごく真剣な顔をしている……。えっ!?これってもしかして…私、キス…されちゃうのかな…。そう思うと胸が高鳴り…顔は真っ赤になって頭がショートしそうになる…。私のファーストキス……愛生ちゃんなら捧げても良いかな?…覚悟を決めて、そっと目を閉じた。その瞬間、屋上の出入り口の方から数人の足音がしてきて…。



「瑞樹ー!大丈夫かー!!」


「朝比奈くーん!」


俊介と尾上くんの声が聞こえる…。愛生ちゃんは慌てて私から離れて、私をそっと抱き起してくれた……あー危なかった…。気を取り直して…私の名前を呼ぶ2人に、手を振りながら返事をする。


「うん、大丈夫だよー!愛生ちゃんが助けてくれたからー!!」


それを聞いて安心したのか、俊介たちはホッとした顔をしている。私たちの近くまでやってきて…。



「和泉ちゃん、先に来てたのか!?良かったぜ…榎本ちゃんから連絡がちゃんと行ってたんだなー。さすがは…榎本ちゃんだ!」


「ん?…ううん、華奈ちゃんから教えてもらったわけじゃなくて……あれ!?何だろう?…何でボクは瑞樹がピンチなのを知ってたんだろう??…うーん、思い出せない…。」


「何だよ…それ!?…和泉ちゃん、大丈夫か?」


「うーん、どうも家に帰っている途中から…瑞樹を助けるまでの間の記憶が…何か、抜けてる感じがするんだよね…。何だろう…誰かに何かを言われたような気がするんだけどな~、まぁいっか。それよりも!スマホ、スマホっと…。」


愛生ちゃんが慌てて、スマホを確認をしている…愛生ちゃんの顔色がだんだん青くなっていって…。


「げげっ!華奈ちゃんから、何分かおきに電話がかかってきてるよ!やば!電話しなくちゃー!!」



慌てて、華奈さんに電話をかけている…なんかすごく謝っている様子…。うふふ…かなり怒られてるみたいだね!そんなやり取りが目に見えて分かるから…少し可笑しくなっちゃった。そんな愛生ちゃんの様子を眺めていたら…尾上くんが私の前にきて…いきなり土下座をし始めた!…え!?何で??


「え!?尾上くん?いきなりどうしたの??」


「本当にごめんよ!僕の所為で…朝比奈くんを危険な目に合わせちゃって…どんな償いでも…する覚悟です!…何でもさせて下さい!!」


「ちょっちょっと!?待ってよー尾上くん!いきなり、そんなこと言われても…。私は愛生ちゃんのおかげで、無事だったわけなんだし。…それに尾上くんは、私の事を気にかけてくれて、俊介たちをここに連れてきてくれたんでしょ?」


「そっそれは……僕の所為でこうなってしまった訳だし…僕の出来る事が、それしか思いつかなかったから……僕は何もできない弱い人間だから…。」


「そうかな?…尾上くんは逃げずに…ここに戻ってきてくれたじゃない?それは…弱い人間が出来る事かな?私はすごいと思ったよ。」


「…朝比奈くん。」



ずっと、私たちのやり取りを黙って見ていた俊介が、複雑な顔をしながら…。


「えーと、2人ともお互いに納得してるところで済まないが、俺たちに分かるように説明してくれないか?尾上に『瑞樹がピンチだから!』としか説明を受けてなくてさーこの状況が全然理解できないんだが…。」


「華奈ちゃん、もう学校に来てるってさ!もう少しで屋上に来るから!!…さてと、ボクにもちゃんと説明してほしいね!何でこんな状況になったのさ!?」


華奈さんと通話が終わって、愛生ちゃんも話に加わってきた…。どうしよう…華奈さんも屋上に来るのなら、みんな集まってから話した方が良いのかな?そう考えていると…。



「何か…めんどくさい話になってきたな…朝比奈も無事だったわけだし、俺たちは帰るよ」


「そうだな!俺たちがここにいる理由もないしなー。じゃあ、植草、また明日な!」


「ああ、済まなかった…サンキューな!…また明日。」


そう言いながら、俊介の友達2人が屋上を去って行った…。私の為に…みんなありがとう!…私はもう決めた!もう1人で悩まない…華奈さんが来てから、みんなに一部始終を聞いてほしい、そう覚悟を決めて…。



「…えーと、愛生ちゃん?華奈さん、もうすぐここに来るんだよね??」


「うん、もう学校内に入っているから、数分したら来ると思うよ。」


「うん、分かった…ありがとうね。華奈さんが来たら、みんなに…全部話すね」


私がそう言うと、みんなは納得した表情で頷いて…華奈さんが屋上に着くのを待つことにしたのでした…。

瑞樹と愛生…ちょっとイチャイチャさせ過ぎたかな…話が全然進まなかったよ!(>_<)

でも、久しぶりに書いてて楽しかったです(笑)

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