表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/70

第60話 「事・件・決・着」

第58話 「主・役・参・上」からの瑞樹視点に戻ります。読むときはご注意ください!

愛生ちゃんが助けに来てくれた……暗闇の中を彷徨い歩き続けて、ようやく光が見えた…そんな安心感を得たような気がする。私に覆いかぶさっている不良の1人が、愛生ちゃんの事を気にしているらしく、私から顔を背け、後ろの様子を伺っている。



後ろで控えていたもう1人の不良と愛生ちゃんが言い争っている…。この2人は、とてもケンカは強いし、手加減をまったく知らない……。


(愛生ちゃん1人だし…すごく危ないよ!怪我しちゃう!!)


…私は怖くなって目をつぶり、愛生ちゃんが怪我しないように祈るしかなかった。



「葦原!お前、何やってんだよ!?…ったく、仕方ねーな!!」


私に覆いかぶさっていた不良の1人がそう言いながら、私から離れていく…。私は今の危険な状態から抜け出したのかな?体中から張りつめていた緊張が解けていく…。

起き上がろうとして足に力を入れるも…恐怖の連続の所為だったのか…腰が抜けたらしく、立ち上がることが出来ない…。私は起き上がるのを諦め、再び目をつぶり…。


(どうか…愛生ちゃんが怪我をしませんように!)


そう、心の中で再び祈るしか出来なかった…。どれぐらい時がたったのだろう?誰かが私の方へと近づいてくる…私は不良たちが来たのだと思い、再び緊張で体が強張らせる。



「…瑞樹、大丈夫?」


あぁぁ…愛生ちゃんの声だ。その声と同時に私を優しく起こしてくれて…私はようやく座ることが出来た。閉じていた両目をそっと開く……愛生ちゃんが心配そうに私を見つめている…私は「うん」と軽く頷いた。


そんな私を見て安心したみたいで少し微笑んでいたんだけど…突然、顔を赤くして顔を背ける、立ち上がって制服のシャツを脱ぎだした!?え!?一体どうしたんだろう??……ふと、私は今の状態を思い出して…。


「きゃっ!」


私は慌てて、両腕で胸を隠す!…シャツを引き裂かさかれて、下着が見えていたんだった…恥ずかしいよー!!顔を赤くして、恥ずかしがっている私に…愛生ちゃんは優しく自分のシャツをかけてくれた。

そのまま私に抱きついて来て…愛生ちゃんの優しく暖かい温もりを感じながら、私は今までの恐ろしかった思いの感情が一気に溢れだしてきて…。



「…愛生…ちゃん!…ぐすっ…愛生ちゃぁぁん!!怖かったよぉぉぉぉー!!!」


愛生ちゃんにしがみつく様に…私は思いっきり泣いた…。それを優しく受け止めてくれるように私の背中をポンポンと叩きながら…。


「もう…大丈夫だから…。ボクが来たからね?瑞樹は…何も心配することはないよ…。」


私の耳元で囁いてくれて…でも、私は涙が止まらなくて…「うんうん」と2回軽く頷くことで精いっぱいだった…。



私が泣き止んだ頃に愛生ちゃんが抱きつくのをやめて、私の顔を見つめてくる…。どうしたんだろう?っと、私は少し首を傾げてたんだけど……私の赤くなった左頬に右手を添えて…優しく撫でてくれた。

私は嬉しくて…愛生ちゃんの右手に左手を添えて…少し惚けていたら、愛生ちゃんの表情が変わった…。


普段は滅多な事で怒らない、温厚な愛生ちゃんなんだけど…たった1度だけ、こんな風に怒ったのを見たことがあるのを思い出した……確か…小学校低学年の時だったと思う…。

その時の私は、同級生の男の子たちに虐められていて…本当に私が男の子かどうか確かめるために、衣服を全部はぎとられ、丸裸にされてしまって……恥ずかしくて悔しくて…私はその場に座り込んで泣いていた。その姿を見た愛生ちゃんが…本気で怒って、その男の子たちをボコボコにして…大けがをさせちゃったんだよね…その時とまったく同じ雰囲気。



私はすごく心配になって…愛生ちゃんを見ていると…段々と愛生ちゃんの顔もが近づいて来て……私の右頬に柔らかい感触が……え!?私、キスされてる!?


「…え!?」


「瑞樹…もう少しここで待っててね?すぐ…終わらせてくるから。」


私は突然の事で…顔が真っ赤になって…頭がショートしてしまい、コクコクと頷く事しか出来なくて…その様子を見て愛生ちゃんは…ニコッと微笑みながら、私から離れて、不良たちの方へと歩いて行った。



「よくも…ボクの瑞樹を…傷つけ、泣かしてくれたなー!お前たち!!絶対に許さないからなー!!!」


愛生ちゃんがそう叫ぶと…愛生ちゃんの体が…眩しい光に包まれていく……え!?愛生ちゃんの体に何が起きてるの??……大丈夫かな…すごく心配だよ!


(愛生ちゃん…無理だけはしないで!)


…何も出来ない私は、愛生ちゃんがケガをしないように、再び祈るしか出来なかった。



それからの愛生ちゃんの動きは凄かった!あの不良たち2人を相手に、引けを取らない強さを見せていた。…でも、いつもの愛生ちゃんの動きじゃない…私はそれが怖かった…無理してるようにしか見えなくて…。ケガはしてほしくない…でも負けてほしくもない!


(愛生ちゃん…頑張って!…あの2人なんかに負けないでー!!)


私がそう願うと…また愛生ちゃんの体がより一層、眩しく光りだして…不良たちを圧倒しだした!不良たちはボコボコになりながら…


「はぁはぁ…何だ、こいつは!?この強さは…おかしいぞ??」


「…ぐふっ!…マジやべーよ……この場は、いったん…退いた方が良くないか?」


「…悔しいが、今日はこの辺にして……げっ!?」


屋上から去ろうと考えた不良たちは、愛生ちゃんに背中を見せて、出入り口に向かおうとしたんだけど…愛生ちゃんが先回りをしていて…。



「…ボクが逃がすわけないだろ?…これで最後だ!」


愛生ちゃんから渾身の一撃が…不良たちに放たれた!…右パンチで、1人がその場に倒れて…気絶をしたみたいにピクリとも動かなくなった。それを見たもう1人が…突然、土下座をして…。


「わっ分かった!俺たちが悪かった!!…あいつの事は金輪際、狙わないから……勘弁してくれ!!」


「…ボクの瑞樹を散々、傷つけておいて…今更、命乞いかい?」


愛生ちゃんは、そう言いながら…土下座している不良の顔に右足で蹴りつけようと…。それを見た私は思わず!


「愛生ちゃんー!もう良いよー許してあげて!!…私はもう良いから…もう大丈夫だからー!!」


私はそう叫んでいた…愛生ちゃんはそんな言葉を聞いて、蹴るのを止め…全身からの力を抜いた……そうすると…愛生ちゃんの体に纏っていた眩しい光が消えていった。


「…もう行きなよ!今後、ボクたちに近づいたら…容赦しないから!!」


それを聞いて不良の1人が大きく頷きながら、倒れているもう一人の不良を抱えて、屋上から去って行った…。愛生ちゃんがそれを確認して、私の所に駆け寄ってきて…私に抱き着いてきた…私もそれに応じて、愛生ちゃんの体に腕を回す。



「…瑞樹、お待たせ。これで…すべて決着ついたよ。」


「うん…うん…ありがとう、愛生ちゃん…お疲れ様でした。…でも、ケガとか無い?大丈夫??」


「ちょっと何発か貰っちゃったかも…まぁ、瑞樹の心の傷に比べれば…軽いものさ!」


「…もう、バカ…。後で痣とか残っちゃうとダメなんだからね?ちょっと見せて…」



愛生ちゃんの顔を確認してみると…下唇が少し切れてるみたいで…少し血が出ていた。私は制服のポケットからハンカチを取り出して、愛生ちゃんの血をふき取る。


「あいたた…」


「もう、無茶ばかりするんだから…すごく心配だったんだよ?」


「それはこっちのセリフだよ…これで良く分かっただろう?瑞樹はもう女の子なんだから…もう少し警戒しないとダメだよ??」


「尾上くんに会いに行けって言っておいて…よくそんなセリフが言えるよね?…愛生ちゃんバカなの??」


「あははーそう言えばそうだった!今回はボクのミスだね!ごーめん~ごめん!!」


「もう…愛生ちゃんたら…クスッ」


いつの間にか2人に笑顔が戻っていた……長かった私の悪夢は、ようやくここで解放されるのでした。

この2日間、体調が良くなくて…アップすることが出来ませんでした(>_<)

お待たせして申し訳ありませんでした…。

ようやく決着がつきました!もう少し続きます…60話でも終わることが出来ませんでした(-_-;)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ