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第51話 「悪・夢・再・来」

『おい!おかま野郎、お前、気持ち悪いんだよ!!』


僕は…おかまなんかじゃない…男の子なんだ。


『何だ?その顔は…文句あるのか!?鬱陶しいんだよ!!おらっ!!』


そう言って、僕はお腹を蹴られる…ごほっごほっ!すごく痛い…息が出来なくなる。でも顔は守らないと…顔を怪我するとみんなにバレるから……それだけは守らないと…。僕はお腹を抱えて、その場所で横たわっていると…2人組の不良たちがボクを見下していて…横たわっている僕を、何回も何回も足で蹴り続けてくる…僕は体を丸め込んで、頭や顔を守る…。いつまで続くんだろう…何時になったら僕は許してくれるのだろうか……僕は声を出さずに耐えていると…。



『…ホントつまらない奴だな、このおかま野郎が!』


『何か飽きたな、もうこんな奴ほっといて、どっか行こうぜ?』


『そうだな…おい!おかま野郎!!』


そう言いながら、不良の1人が僕の髪の毛をつかみ、無理やり正面に向かされる。


『お前は、普通の人間じゃないんだぜ?分かるか??おかまなんだよ、お・か・ま!俺たちと住む世界が違うんだよ!さっさとどっかに行きやがれ!!』


そう言い終わると、掴んだ僕の髪の毛を離し、背中を向けて不良たちは僕から離れていく…。


『ホント気持ち悪い野郎だぜ、見ていてイラつくわ』


『一緒にいるだけ反吐が出るぐらいだわ…どっかでパーッと遊んで忘れようぜ』


笑いながら去っていく不良たち……僕は一人その場に残されて、男性としての僕…人間としての僕を何もかも拒絶されて、悔しくて悲しくて…何時までもその場で泣いていた…。誰か…誰か!僕を助けてよー!!



頬に流れる涙が冷たく感じて、それで私は目を覚ます…。中学時代に虐められた時の記憶が夢となって思い出されていた…すごく最悪な気分。「女の子」になってからの私は、悪夢を見ることが少なくなってきていた。ようやく偽りの自分から抜け出し、自分らしくなれたのだと思っていた…。


中学を卒業と共に、あの2人組からの虐めは無くなっていた…だから安心をしていた、あの辛かった日々はもう戻ってくるはずがないと。たまたま私が見かけただけ…あの2人と会ってはいないし、出会ったとしても…今の私の姿と中学の頃とは全然違うから、分かるはずもない…うん、大丈夫!…私は自分に言い聞かせて、今の日常に戻ろう!みんながいる平和な日常に…。何時もの様に…朝早く起きて、家事をすることにした。



制服に着替え、歯磨きと洗顔を終わらせて台所へ向かう。台所には母さんと來海が朝ごはんの支度をしていた…あれ!?母さんはともかく來海が朝早く起きてきているのは…どうしたんだろう??


「母さん、來海おはようー。」


「あら、瑞樹おはよう、もう体の方は大丈夫なの??」


「おはよう、お姉ちゃん!…お姉ちゃん、大丈夫!?ゆっくりして良いんだよ?私がやっとくから」


そう言って來海が私に抱きつき、心配そうな顔で私を見てくる……どうも、私は愛生ちゃんだけではなく…母さんや來海にも心配をかけちゃったみたいで…悪夢を見たけど、すごく救われた気がするよ、ありがとう…母さん、來海。…でも、甘えてばかりではいられない!



「うん、もう大丈夫だよ、心配かけちゃってごめんなさい…。でも、家事はちゃんとするよ、母さんとの約束だもん!」


「…瑞樹ったら、嬉しいこと言ってくれるわね♪でも、3人で台所に立つと、かえって邪魔になるわよ?」


「じゃあ、私とお姉ちゃんで支度するよ!お母さんは休んでてよー。それで良いよね?お姉ちゃん!」


「うん、私はかまわないよー。…たまには母さんもゆっくりしてて。」


母さんは、「あら?そう??2人の言葉に甘えちゃおうかしら」と少し困りながら…でも嬉しそうにエプロンを外し、テーブルのあるリビングへ移動した。…そう言えば、來海と一緒に家事をするのは初めてだよね?でも、私よりも早くから家事を手伝っていたのだから…私よりはベテランさんになるのかな?


「…じゃあ、來海?さっさと済ませちゃおうか?」


「うん!お姉ちゃん頑張ろうね!!」


と言いながらも…來海が私から離れようとしない、目をキラキラさせながら何かを待っているご様子。あ!もしかして…こうして欲しかったのかな?そう思って、私は來海の頭をなでなでと撫でる、來海は嬉しそうに惚けた顔をして…。


「ふにゃ…お姉ちゃんに撫でられるの、だ~い好き♪……よし!お姉ちゃん成分、充填完了~っと♪」



そう言いながら、來海は私から離れた。…それよりも何ですか?お姉ちゃん成分とは??私はその言葉の意味が分からず、首を傾げていると…。


「ほら!お姉ちゃん、さっさと支度するよ~ほらほら、ボォーッとしないの!!」


何時もの様に、來海のペースに巻き込まれる私…ホント仕方ないなー。朝起きてから気分が優れなかったのに…いつの間にか平常に戻っていた。來海に感謝をしつつ、2人で朝ごはんとお昼のお弁当を作るのでした……家事が終わった後、愛生ちゃんにもメッセージを送っておかないとね!

『昨日は心配をかけてごめんなさい、私はもう大丈夫だから』って。

今日は仕事がお休みだったので、頑張って連日投稿しました!


『おかま』って言葉は差別用語にあたります。皆様もどうか…人前でこの言葉を発しないように、気を付けてくださいね!

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