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第48話 「玩・具・指・輪」

『みずき~ボクといつもいっしょだよー』


『うん…ぼくもあきちゃんと…いつもいっしょー』


そう言いながら…いつも、どこでも手を繋いで歩いていた。何時からだったのかな?愛生ちゃんと手を繋がなくなったのは…。中学に上がってから、お互いの体が成長していき性を意識しだしてから、何となく気恥ずかしくなって、距離感が生まれていた。

ん?何かが違う……私は他の男子より成長が遅くて…背は少ししか伸びないし筋肉もつかない、声変りもしなくて、小学校とあまり変わっていなかった。変わったのは愛生ちゃんの方だった…胸は大きくなって、女の子らしい体形に変わっていった…そうだ、私が避け始めたんだった。俊介と出会って、仲良くなったのもあるけれど…愛生ちゃんを女性として…急激に意識し始めていた。



愛生ちゃんと手を繋いだまま、雑貨屋さんに辿り着いた。愛生ちゃんはその間、終始無言だった。ずっと赤い顔をしながら前を向いて…私の方を見ようとしない。いつも冷静な愛生ちゃんなのに、すごく珍しくてそんな行動が可笑しくて、つい笑ってしまう。逆に私は、愛生ちゃんと手を繋いでいる事が、すごく嬉しくて楽しくて…鼻歌交じりで気分は最高でした~♪周りから見ると、私と愛生ちゃんがすごく対照的な反応をしているんだと思う、何だが愛生ちゃんに勝ったような気分で…余計に嬉しかったよ~♪。


久しぶりの雑貨屋さんに、ちょっとテンション上がってきたよ~♪でもここは我慢して…ここに来た目的である、愛生ちゃん専用のお弁当箱を探さないとね!愛生ちゃんの手を引っ張りながら、目的の品を探す。カラフルで色んな大きさのお弁当箱が並べられている…どれにしようかな~。



「色んなのがあるね?…愛生ちゃん、どれにしようか??」


「んー何でも良いよ、瑞樹に任せる」


「えー何それ!?愛生ちゃんのお弁当箱なんだよ?ちゃんと選んでよ~!」


相変わらず適当なんだから…自分が使うものなんだから、気に入ったものを使いたいよね?普通は。私に任せるとか…それで良いの?愛生ちゃんの好みは、何となく分かってるつもりだけど、せっかくなんだから自分で選んで欲しいよ!私にそう言われて、少しは考えているのか…愛生ちゃんは「う~ん」と唸りながら、一つのお弁当箱に手を伸ばす。


「うん、この中からだと…これかな?」


愛生ちゃんが手にしたお弁当箱は、シンプル・イズ・ベスト!その言葉が合いそうな…とてもシンプルなお弁当箱だった。2段BOXタイプの少し長細い形をしていて、色もいたってシンプル。上がアイビーで下がホワイト。お箸箱もアイビー色で、フォークとスプーンもついている。コンパクトで持ち運びしやすく、使いやすそうではあるから、お弁当箱としては実用的でいい感じだよね!いたって地味なんだけど…。愛生ちゃんらしいチョイスだとは思う、無難な選択でした…まぁ良いかな?本人もそれで満足してそうだし。そのお弁当箱を買い物かごに入れて、とりあえず…目的達成だね!あ!ちなみに予算は、おばさんからいただいています♪今朝に家事を手伝っているときに、この話をすると…。


「愛生の為に、瑞樹ちゃんが頑張ってくれているのに…うん、予算は私が出すわ!いいえ、出させてちょうだい!!」


そんな感じで、おばさんからお金を渡されているので、少し高い商品でも良かったんだけど…ね。



買うお弁当箱を決めて、次はどうしようか考えていると、何か愛生ちゃんがソワソワとし始めた…どうしたのかな?…そう聞こうかと思っていたら、私と繋いでいた手を離して…。


「何か色々とありすぎて…ワクワクしてきたよ!向こうに面白グッズとかあるからさー見てきても良い?」


「うん、良いよ~私も見たいグッズとかあるし、出口で待ち合わせするって事で良いかな?」


「了解~じゃあ、また後で!」


どうも、愛生ちゃんの子供心を擽られたみたいで…私がそう答えると喜んで、面白グッズコーナーに走って行っちゃった。…ホント、愛生ちゃんは子供だよね。一緒に見て回りたかったんだけど…まぁ良いか~愛生ちゃんも楽しそうだしね♪私は気持ちを切り替えて、私も欲しいグッズがないか…お店の中を見て回ることにした。


猫や犬の絵柄の付箋やメモ、レターセットなど…見ているだけで楽しくなってくる~♪可愛いものを見てると心が癒されるよね!欲しいものばかりで困っちゃうな~。この間、來海と出かけたときに結構、お金を使っちゃったから…今日は、欲しいものをチェックだけしていくかな~?



そんな感じで商品の棚を色々と見て回って…一つのコーナーで目に留まる。小さな子供さん用のおもちゃがいっぱい並んでるコーナーで、車のおもちゃや水鉄砲、風船など小さい時に遊んだものがいっぱい並んでいる…なつかしいな~。その中で特に目が引く物を見つけてしまった!手に取って見てみる…何の変哲もない小さな玩具の指輪。…今でも大切に保管している、愛生ちゃんからもらった玩具の指輪。貰ったというより預かっている…と言うのが正しいのかな?それを思い出してみる…。



『みずき~いいものをかってきたよ~』


『え!?なになに?』


『じゃ~ん!これだよー!いいでしょ?』


『わ~すごくかわいいね~それな~に??』


『ママにきいたら、「ゆびわ」っていってた』


『ゆび…わ?なににつかうの??』


『ママがいってたんだけど~「およめさん」になるときにわたすものなんだって』


『え~そうなんだ、あきちゃんは「およめさん」になるの?』


『そうだよーだから、みずきにわたしておくね~おおきくなったらボクを「およめさん」にしてね~』


『うん、わかった~それまでは、ぼくがもっておくね』


『やくそくだからね~ぜったいだよ?』


クスッ…小さい時にした他愛もない約束を思い出して、つい笑ってしまう。でも…あの小さな玩具の指輪は今でも私の大事な宝物。愛生ちゃんから預かったとはいえ…初めてもらったプレゼントなんだから…。愛生ちゃんは…今でもその事は、覚えているのだろうか…。指輪を持ったまま、色々と物思いにふけていると…誰かが私の肩に手を置いた。


「瑞樹?何をやっているの??そんなオモチャを持ってさ」


「あ!…ううん、何でもないよ、ちょっと…気になって見ていただけ」


「ふ~ん、それで何か買ったの?ボクさ~色々と面白いもの見つけて、あれこれ買っちゃったよ♪」


「私は何も…また今度に買おうかなって思って、チェックしてただけだから。…って、また愛生ちゃん!無駄遣いしたな~!!衝動買いはダメって言ってあったのにー!!」


そう言いながら、そっと指輪を元の場所に戻して、お店を出たのでした。


ほんのちょっとだけ、過去の2人を出してみました…漢字が無く読みにくいかな?

幼さを出したかったので…そういう風にしてみました。

何か可愛さが出ていて、書いてて楽しかったですけど(笑)

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