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第40話 「愛・生・活・躍」

更衣室での1件で疲れた私は、華奈さんに手を引っ張られて体育館に移動していた。

私たちの教室のある校舎から、少し離れた場所に体育館があり、校舎をいったん外に出て体育館に入る感じ。専用通路には屋根があるから雨の日でも安心…なんだけど、風があると少し濡れちゃうかも。


「ほら!瑞樹ちゃん、急がないと授業に遅れちゃうよ?」


私はようやく我に戻り、「うん」と頷いて、華奈さんと急ぎ足で体育館に入った。


今日の体育の授業は、男子はバスケットボールで、女子はバレーボールを行う事になっている。

体育館の真ん中でネットで仕切り、入り口の左側、バスケットゴールがあるエリアが男子のエリア、右側のバレーのネットを張っているエリアが女子のエリアになっている。


私は運動が苦手で…球技は特にダメだった。体育の授業は、すごく憂鬱な時間なんだよね…。でも、サボるわけにも行かないから、授業は参加をしている。しかも女子のほうでの運動は初めてだし…みんなの足を引っ張るのは目に見えてるから、気が重いよ…。


ふと、男子エリアのほうに目をやると、愛生ちゃんと目があった。私のほうに手を振っている…もう、恥ずかしいな~そう思いつつも小さく手を振って愛生ちゃんに返した。愛生ちゃんはニコッと笑顔で返し、軽くウォーミングアップを始めたみたい…愛生ちゃんは、運動神経が良いから、すごく楽しそうだよ。



いつの間にか華奈さんが隣に来ていて、私のそんな姿を見て、ニコニコしている…何で嬉しそうなのかな?


「瑞樹ちゃん…今、愛生ちゃんのほうを見てたでしょ?見とれてたの??」


「え!?…あの、そうじゃなくて、その…愛生ちゃん、楽しそうだな~って」


「あーそうだね…あの子、運動が得意だからね~男の子になったから、何処まで出来るのか楽しみなんだね、きっと。」


「うん、私もそう思う。笑顔が子供みたいだったよ…キラキラしてて、すごく楽しそう。」


「…さぁ!私たちも愛生ちゃんに負けずに、軽くウォーミングアップしよ?」


「うん、そうしようー」


私は華奈さんと他の女子で授業が始まるまでの間、バレーボールを打ち合って軽く汗を流した。

それから、授業が始まり、先生からチーム編成とルールの説明を受ける。華奈さんとは同じチームだった…良かった、あまり知らない人と組むのはすごく怖いから…足をひっぱっちゃうし。

準備運動を済ませ、私たちのチームは次の試合だから審判をすることになる、私は線審をすることになった。


試合が始まるまでみんなは軽く練習をしている。ふと、男子エリアのほうに目をやると、愛生ちゃんが試合に出るみたい、俊介と同じチームになっている。審判となる体育の先生が試合開始のホイッスルともにバスケットボールを真上に放り投げる。


愛生ちゃんと相手チームの男子とがお互いジャンプし、ボールを取りに行く。…がんばれー!

愛生ちゃんがボールをうまくキャッチした!…やったね!

そのまま、ドリブルして相手チームのコートに攻め込む…相手チームをよく見てみると、何人かバスケ部の男子がいるみたいだよ…愛生ちゃん…大丈夫かな…すごく気になるよ~。


ハラハラしながら試合を見ていると…女子の方でも、試合開始のホイッスルが吹かれた!

あ!私は今、線審だからこっちの試合に集中しないと…うーでも愛生ちゃんの試合も気になるよ~。心の中で「愛生ちゃん頑張って!」っと応援をしつつ、バレーの試合に集中することにしたのでした…。



試合は結果だけで言うと、愛生ちゃんたちのチームは惜しくも負けちゃいました…。

相手チームに現役のバスケ部の人がいたから仕方がないんだけど…愛生ちゃんの活躍はすごかったみたい。俊介も愛生ちゃんと絶妙なコンビネーションを披露してて、俊介がアシストをして愛生ちゃんで点を取るスタイルで試合を運んでいたんだけど、さすがに愛生ちゃんのマークがきつくなって…思うように点が取れず、相手のペースのまま試合が終了!となったみたい。その試合をみんなが食い入るように見ていて…時より女子から黄色い歓声が聞こえていたし…男子からも称賛の声が上がっていた。



私の試合の結果は…散々でした…。身長が低くなったこともあって、ボールを思うようにレシーブできない。トスしようとして頭でボール打っちゃうし…何もない所で躓いたり……そんな私のみっともない姿を見ていた華奈さんや同じチームの女子からは、そんな私を笑って許してくれたんだけど……私は悔しくて悔しくて…しかも恥ずかしくて。

更衣室で制服に着替えた後、教室へ戻らず、部屋の隅っこで少し泣いちゃった。私が更衣室から出てこないのを心配して…華奈さんが戻ってきてくれてたみたいで……そんな私を見つけた、華奈さんは…。


「瑞樹ちゃんはすごく頑張っていたよ?…だから泣く事なんて、無いんだからね?」


そう言いながら、私の頭を優しく撫でてくれた。…慰めてくれて嬉しくなって、私は華奈さんに抱き着き、少し泣いたのでした。ありがとう、華奈さん……今日は華奈さんに、いっぱい助けてもらった…悔しくて悲しい思いはしたけど、とても嬉しくて心が暖まった…そんな1日でした。

たまには、こんな日常の1ページ的な話も良いかな~って思い、書きました。

私も運動が苦手だったので…体育の授業はとても憂鬱でした(>_<)

運動できる人って、とても羨ましく思えるけど、プレイを見てるだけでもこっちも楽しくなりますよね!

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