第33話 「手・作・弁・当」
朝の出来事も嘘のように、昨日のような事もなく…何時もの日常に戻ったみたい。
少し違うことがあると言えば…私に話す相手が増えたこと。
今まで話しかけたことのない、クラスの女の子たちから話しかけられ…私の呼び名が「朝比奈くん」から「瑞樹ちゃん」に変わった事。
話す内容も趣味の話や食べ物の話、ファッションなど女の子らしい話題のものばかり。
TVドラマの話や占い、可愛いグッズの話とか…あーそうそう!この間の日曜に來海と行った雑貨屋さんで買った、可愛い文房具、みんなに見せるとすごく好評だった~♪買ってきた甲斐があったよ~また來海には感謝だね!
あっという間にお昼になり、いつものメンバーで食堂へ向かった…。
今日はいつもとは違う…そう!私は弁当持ちなのだ!そう思うと自然とお昼が楽しくなってくるよ~♪
食堂に着くと、今日も食堂の中は人でいっぱいだった…早速、席を探しに行かないとね!
「え!?瑞樹、今日はお弁当を持ってきてるの??」
「うん!母さんとの約束でね、これから毎日、私が作るようにしたの」
「そうなんだ!じゃあ、華奈ちゃんと2人で席を確保しといてよ、ボクたちは買ってくるから」
「うん、分かった~任しといて!」
そう言うと俊介と愛生ちゃんは、急いで購買のほうに向かっていった。
こっちはこっちで4人分の空席を見つけないとね!食堂を見渡す…あ!あそこが空いてるかも!!
榎本さんとその場所に移動して、席に着く。ちょうど4人分、席が空いてて良かったよ~♪
2人が帰ってくるのを待ち、弁当箱をテーブルに置く。それと同時に榎本さんが話しかけてきた。
「朝比奈くんって、料理とかできるんだ?すごいね~♪」
「…ううん、まだ始めたばかりで…その、まだ母さんに手伝ってもらってるし…」
「そっかーこれからなんだ!色々と覚えなきゃだねー頑張って~♪」
「うん、ありがとう…榎本さん」
素直にそう褒められるとすごく嬉しい…けど、ちょっと照れる。
そんなことを考えていたら、榎本さんが何かを思い出したように…。
「あ!そう言えば…愛生ちゃん、最近、お弁当を持ってこないよね?…またあれかな??愛生ちゃんのお母さん…忙しくなったりしたのかな?」
「そうだね…おばさん、何かと忙しいみたいだから……何してるのはさっぱり分からないけどね」
「ふ~ん…だったらさー朝比奈くんが作ってあげれば?愛生ちゃんの分のお弁当を」
え!?榎本さんは今、何をおっしゃいましたか?私が…その…愛生ちゃんにお弁当を…作れと??
「え!?…えええ!!!」
「そんなに驚くことはないんじゃない?1人分作るのも2人分作るのもそんなに手間は変わらないしね~。
朝比奈くんの練習だと思って、チャレンジしてみたら?きっと、愛生ちゃん…すごく喜ぶと思うよ~♪」
「え!?…あの…その…」
私が愛生ちゃんに手作りのお弁当を!?…練習と思って作るのは、私のためではあるけれど…。
でも、まだ始めたばかりで、味とか自信がないし…そもそも愛生ちゃんは喜んでくれるのかな…。
…もし、喜んでくれるのなら…作り甲斐はあると思う…その、すごく…嬉しいと思うし…。
私は顔を真っ赤にしながら、悶々と考え事をしていると…。
「ふふふ…これはもう決定だね!朝比奈くん、頑張ってね~♪私、応援してるよ!」
「え!?……うん、頑張って…みる」
私がそう答えると、榎本さんがすごく喜んでいた。でも、私はすごく恥ずかしくて、顔を真っ赤にして伏せていた…。
それから、購買に行ってた2人が帰ってきて…。
「ただいま~っと。…あれ!?どうしたの瑞樹?顔が真っ赤だよ??」
「え!?…あの…その…何でも…ないよ!うん、ねぇ榎本さん?」
「うん!何でもないよ~ちょっと朝比奈くんとお話ししてただけだよ」
「ん~なんか怪しいな…ボクに隠し事とか!?瑞樹、教えてよ~!」
「まぁまぁ、それより早く食べようぜ?俺、おなか減って倒れそうだよ…」
「それもそうね!…愛生ちゃん、さっさと座る!」
「!?…はい!」
榎本さんがそう言うと、愛生ちゃんは驚きながら、直ぐさま椅子に腰をかけた。
その姿がすごくおかしくて…思わず笑っちゃった…ごめんね、愛生ちゃん。
それから、みんなと楽しく会話しながら昼食を楽しんだ。
みんな、私のお弁当のおかずをつまみ食いして、「美味しい」って言ってくれた。
朝早く起きて、頑張って作った甲斐がありました、やったね~♪
でも、半分ぐらいは母さんの味付けだから…私ももっと頑張らないとね!一人で作れるようにならなきゃ!!
…それと榎本さんとの会話で、話の流れ的に…愛生ちゃんのお弁当を作ることになっちゃったしね。
愛生ちゃんに喜んでもらえるように、早速、今日でも母さんに相談してみよう。
早いもので…投稿を始めて一ヶ月が過ぎました。
良く続いたものだと思っています!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします!
感想や指摘などあれば、お気軽に書いてくださいませ、今後の参考にさせていただきます!




