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第28話 「瑞・樹・教・育」

番外・來海編が終わりましたので、今回から本編に戻ります。

再び、瑞樹の視点に戻り、第27話からの続きとなります。

学校から帰ってきた私が來海と話を終え、自分の部屋に行こうとしていたら、母さんに声をかけられた。

むー今日は朝から色々とあって、疲れてて部屋で休みたいんだけど…でも、何かあったのかな?


「瑞樹ーちょっと良いかしら…何、嫌そうな顔をしてるの?」


「え!?きっ気にしないで!…それで、どうしたの?母さん」


「ふーまぁ良いわ。あなたは女の子になっちゃったわけだし…これから瑞樹は、女の子として生きていかないとダメだと思うの。…それであなたは今、どう思っているのかしら?」



すごく真面目な話だった…母さんは真剣な顔つきでそう言い、私の返事を待っている。

…私は未だにこの現実を受け入れていないと思う、そんな覚悟もあるはずがなかった。


「…私にはまだ分からないよ、これから…どうして行きたいのか」


「あら!?瑞樹、自分の事を『私』と呼ぶようにしたの?」



あれ!?そう言えば…意識してたわけじゃないのに、母さんにそう言われて気付いたよ!

…無意識に來海との約束を実行していたのかな?うん、別に嫌じゃないし、まぁ良いかな。


「さっき、來海に怒られちゃって…女の子なのに『僕』はおかしいでしょ!って。

しかも私の事をいきなり『お姉ちゃん』と呼んでくるし…何かあったのかな?」



來海と今朝会った時は、普通に「お兄ちゃん」って呼んできていたのに…。

この半日の間に何か変化があったのかな?…良く分からない。


「あの子も色々と悩むお年頃だしね…何か自分の中で答えが出たんじゃないかしら?」


「そうなの!?私にはさっぱり分からないけど…もしかして、私の所為なのかな?」


「それは瑞樹の考え過ぎよ…気にしなくて良いわ、あの子も成長したってことで、とても喜ばしい事よ?お母さんは嬉しいわ~♪もちろん瑞樹の事もね!」


「母さんがそう言うなら、私は構わないけど…あ!それで私に、その…何か用があるの?」


私がそう言うと、母さんが思い出したかのようにポンと手を叩く。

…絶対ツッコまないからね!



「あ!?そうだったわ…ごめんね、話が逸れちゃったみたいで…。

じゃあ改めて、コホン!…これからお母さんは、瑞樹を『女の子』として教育しなおします!」


「え!?きょっ教育??」


「そう!今日からあなたは朝比奈家の長女として、料理・洗濯・掃除…家事全般を何処へ行っても恥ずかしくないよう…徹底的に覚えてもらいます!」


あわわわ…母さんは本気だ!これは絶対に逆らえないよ…。

…でも、こういった事は最初からキチンと習いたかったし、それはそれで良いのかも。

うん、大丈夫!私、頑張れるよ!!


「はい!私、頑張る!!」


「…良い返事ね、瑞樹…今日の夕飯からビシ!バシ!と厳しく行くから…覚悟していてね?」


私は、「うん」と頷く。



「あ!因みにさっき言った朝比奈家の長女って話は、冗談では無いわよ?」


「え!?どういう事??」


「あなたは戸籍上、男性。それではこれからの人生、色々と困るのよ…結婚や出産もあるだろうし…だから今、家庭裁判所に戸籍変更の手続き中よ、少し時間はかかるけどね」


「あの…母さん、戸籍を変更って!?何を変更するの??そもそも…そんな事ができるの?」


「先ずは名前ね…『瑞樹』はどう見ても男の子の名前の漢字だし、生活するにも支障が出るわ。

それとこれは、まだ先の話なんだけど…あなたが20歳を越えたら、性別の変更…長男から長女になるのよ」


そう言いながら母さんは『お父さんと一生懸命、考えた名前なんだけどね』と少し残念そうに言っていた。

私の名前には、両親の色んな思いがあるんだ…そんな事、全然知らなかった。


「改名の漢字はも決めてはいるんだけど…今は内緒にしておきます、判決が出て決定したら言うわね」


「えー今、知りたいのに…母さんの意地悪…」



私の名前が変わるんだ…『瑞樹』を15年も親しんできた私の名前。それが無くなって新しいものに生まれ変わる…まったく想像がつかない。でも嫌じゃない…良く分からないけど、直感でそう感じていた。



「あなただけではないのよ?愛生ちゃんも変更手続きしているの」


「え!?愛生ちゃんも?」


「もちろんじゃない。愛生ちゃんも変更しないと生活に支障が出るからね。特に男性は社会に出て、仕事に就くわけだからね?体裁は大事だし…。元々、戸籍変更を言い出したのも朱美ちゃんからだしね~」


「…愛生ちゃんのおばさんからだったんだね…何となくわかる気がするよ」


また出てきたよ…愛生ちゃんのおばさんだよ。

話が纏まっていくような気がする…私たちの戸籍変更もすんなりと終わるような気がする。

おばさんに任せよう…うん、何も考えずにそうしよう。


「まぁ、話はこれぐらいにして…さぁ!瑞樹、覚悟しなさいよね?」


「…はい」


母さんの私への教育が始まった…。

不安だけど…私、頑張るよ!母さんの期待に応えて見せるから。

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